念能力
ねんのうりょく
概要
体から溢れ出す生命エネルギー「オーラ」を自在に使いこなす力のこと。
あらゆる生物がオーラを持っているが、それを使いこなせる念能力者はごくわずかに限られる。常識では考えられない力を発揮できるため、念能力者は一般人からは天才や超人として特別視されている。ある分野で突出した力を持つ人物が、本人も自覚しないまま念能力を使っているケースは多い。
修行次第では誰にでも習得が可能で、動物や虫ですら可能。しかし悪用される危険があるため、念の存在は一般人には秘匿になっている。
ただし、プロハンターには相応の強さが求められるため、念の習得は「裏ハンター試験」の課題となっている。
話が進むにつれてハンター以外にも念に対する知識や運用能力を持つ能力者や集団(幻影旅団、陰獣、カキン帝国)なども存在しているためハンターだけの専売特許ではない。
バトル描写が多いので勘違いされるが、特にハンターは『獲物(ターゲット)を追い求めるもの』であり、敵を殺傷することが主目的ではないので、念能力=必殺技ではない。
むしろ念能力を殺傷目的で極める(何かを害する以外使い道がない能力を開発する)のはかなり異質なことであり、あの戦闘狂のヒソカですら多彩な利用が可能だがそのままでは殆ど殺傷能力がない能力で、マフィア専属の陰獣も梟の不思議で便利な大風呂敷や病犬の牙、豪猪の毛針など殺しのみの技ではない
念能力を巡るあらすじ
ハンター試験に合格したゴンは、自身の力不足と路銀の問題を解決するため、キルアと共に天空闘技場へと向かった。そして、そこで出会った少年ズシが、自分たちにとって格上のヒソカやイルミと同じ力を使えることに気付く。
ズシの師匠にあたるウイングに弟子入りし、念に目覚めた二人は、基礎の「四大行」を習得。ゴンは「裏ハンター試験」に合格する。
その後グリードアイランドのプレイ中に出会ったウイングの師匠ビスケにより、念の「応用技」と「発」の稽古をつけてもらい、二人はゲームを通じて念願の必殺技を会得する。
キメラアント編では引き続き彼女のコーチによる「堅」の特訓で、オーラの総量を上げている。厳しさを増す蟻との戦いの中で、二人は自分の技にさらなる磨きをかけている。
念の覚醒
オーラの溢れ出す穴「精孔」を開いた状態にすることで、念能力に覚醒する。
目の精孔も開くため、オーラが見えるようになる。
通常人間の精孔は閉じていて、頭から微弱なオーラしか出ていない上に垂れ流しになっている。当然オーラは見えず、念能力者の放つオーラも殺気や不気味な気配程度にしか意識できない。
精孔を開くには、座禅や瞑想でオーラの流れを体感しながら「ゆっくり開く」場合と、オーラを他人の肉体にぶつけて「無理やり開く」場合の二つの方法がある。
「ゆっくり開く」場合は目安として毎日3時間の修行を一年以上行うことでオーラが増大し纏を習得する最終段階に入る。習得速度には個人差があり、遅い者は一年より長く、速い者は数か月から半年以内、天賦の才を持つ者なら一か月を切る日数で覚醒する。
「無理やり開く」場合は上記のように非能力者に念能力による攻撃かそれに準する行為を行うことで強制的に精孔を解放させるが、この方法はオーラを持たない者にオーラをぶつけるわけなので非常に危険であり、場合によっては死もありえる。オーラはそれ自体が強烈な威力を秘めており、念能力者同士の戦いであっても実力差があれば念の防御を貫いて顔面を吹き飛ばす、四肢を欠損させるほどの被害を出す事も珍しくないため、それを何も防御していない人間に行えばどうなるかは言うまでもない。
さらに悪い事に、この手の「攻撃」を行うという事は明確な悪意と殺意がある事が多いというのも、重篤な結果を招きやすいことの一因となっている。
これらの理由からウイングは「外法」と表現している。
急ぎ修得しなければならない等で、知人に最大限気を使って無理矢理起こしてもらったとしても纏を習得するまでは精孔が開いた上で垂れ流しとなるため、常人なら数分と持たずオーラを使い果たし、精魂尽き果て倒れる事になる(オーラ=生命力であるため、十数時間は絶状態で失神する、体調によっては衰弱死もありうる)。
キメラアントは暴力的に無理やり開くことで、弱者を間引き、兵隊としての素質がある者を残す「選別」を行っていた。
このように「無理やり開く」のは文字通り何らかの無理を行う事が殆どであるが、例外として「他人に念能力を貸し与える」能力者がおり、それが非能力者をも対象にできる場合、覚醒しないまま念能力を貸し与えられた者は副作用で念能力に目覚める事がある。この場合、目覚める者は身体的な被害リスクが全く無い事もある。
基本能力
四大行
読み | 説明 | 主な効果 | |
---|---|---|---|
纏 | テン | オーラが拡散しないように、体の周囲にとどめる | 体を頑丈にする、若さを保つ |
絶 | ゼツ | 精孔を閉じ、オーラが全く出ていない状態にする | 気配を絶つ、疲労回復 |
練 | レン | 精孔を広げて、通常以上のオーラを出す | 大量のオーラを駆使できるようになる、攻防力が上がる |
発 | ハツ | オーラを自在に操る | 念能力の集大成。個別の能力。いわゆる特殊能力・必殺技 |
備考
- 念の説明を避けるための方便として「燃」の四大行が存在する。これは意志を強くする過程として説明され、
- 「点」で目標を定める
- 「舌」で目標を言葉にする
- 「錬」でその意志を高める
- 「発」で実際の行動に移す
というもので、錬(意志)で勝れば実行に移さずとも人を圧倒できると説明されている。これは念を教えるべきではないと思われる相手を煙に巻くための方便だが、念を使用するために必要な心構えも表しており、精神力が高まればそれだけオーラも磨かれ増強されるため念の修行を禁止されたゴンは「燃の修行」として自己を見つめ直すことで、念の精度を格段に上昇させた。
- ハンター同士のスラングで「強さを見せる」ことを「練を見せる」と呼ぶ。その場合、見せる能力には「発」も含まれる。そのため馬鹿正直に「練」を見せると鼻で笑われるので注意(オーラ量自体が桁違いの武器になるほどの馬鹿げたデカさのオーラを見せたなら別だが)
応用技
四大行の上位技、または複数の基本能力を組み合わせた複合技である。
応用技は四大行と比べ疲労が激しいため、使いこなすには相応の訓練が求められる。
読み方 | 基になる技 | 説明 | 主な効果 | |
---|---|---|---|---|
周 | シュウ | 纏 | 物質にオーラを纏わせる | 武器が硬化して強度が増す。刃物なら切れ味が増す。速度や回転などを強化する |
隠 | イン | 絶 | オーラを見えにくくする | 気配が消せる。「発」が見えなくなるため、仕込みや不意打ちが可能。具現化した物体も見えにくくなる |
凝 | ギョウ | 練 | オーラを体の一部に集中させる | 攻防力・身体能力が部分的に強化される。目にオーラを集めることで「隠」を見破ることができる |
堅 | ケン | 纏・練 | 「練」の状態を維持する | 戦闘態勢をとり、隙のない防御を固める |
円 | エン | 纏・練 | オーラの覆っている範囲を広げる | オーラに触れたモノの位置や形状を肌で感じ取ることができる |
硬 | コウ | 纏・絶・練・発・凝 | 練で生み出したオーラ全てを一点に集める | 特定部位の攻防力が飛躍的に上がる。反面それ以外の箇所は「絶」の状態であるため極端に脆くなる |
流 | リュウ | 凝 | オーラの量を振り分ける | 状況に応じて、強化する箇所とその度合いを決めて戦うことができる |
備考
- 「凝」とは目に限らず身体のどこかの部分にオーラを集中させること全般を指すが、特にどこと言わずにただ「凝」とだけ言う場合、目にオーラを集中させ「隠」を見破る技術という意味で使われる事が多い。
- 「隠」を「凝」で見破る場合、それぞれの実力差に影響される。自分より遥かに格上の能力者の行う「隠」は全力で「凝」をしても見えてもごくわずかにうっすら見えるだけ、そもそも見破れない、という事がある。
- 厳密な「円」とは、自分を中心にオーラを半径2m以上、1分以上維持する技術を指すため、この範囲までオーラを広げられない者は定義上は「円を使えない」と言う事になる。しかし「自身のオーラに触れたものを知覚する」事は普段身に纏っているオーラにも備わっている力であり、定義上「円ができない」者でも、狭い範囲でなら円と同様の効果を得る事はできる。また具現化した物体や体から離れたオーラが「円」の役割を果たすこともある。
- 円は得意不得意の個人差が顕著で、規模が極端に違う(作中で言及されている例でいえば、ゼノが(本気を出せば)半径300メートル、ノブナガが4メートル、カイトが45メートル前後、ネフェルピトーはそもそも円形ではなくアメーバ状に一部を伸ばす事ができ、最大で2kmまで届く。逆にキルアは円が極端に苦手であり、57センチしかない。これは上記の通り定義上は「円ができない」事になる。
- また、タイマンの時、あるいは全員敵ならいざ知らず、不特定多数が入り乱れる環境で「円」を使用する行為はスラム街にむき出しの財布と大量の貴金属を持って一人で行き「FREE KILL(好きに殺せ)」と叫ぶ様なモノとされる。不特定多数の中で円を使う時点で「対象を特定できていない」ことを自白しているも同然でありながら、「円の中に入れられている」事は相手にも分かるためオーラの発生源から自分の位置はモロバレになってしまう。しかもそれですぐに特定できればいいが、できずに時間をかければオーラ垂れ流しで負担が大きい上、「長時間出していた円をひっこめた瞬間」は疲労している瞬間でもあるため、奇襲に絶好のタイミングを相手に教えてしまう事になる。さらには円の中で複数の物体が動き回ること自体が円使用者の集中力を削ることになるため、前述のような「全部敵」という分かりやすい状況でもなければ、「動き回る敵か味方かも分からない不特定多数」を円の中に入れて円を維持する事自体が難しい。
- 「硬」によるオーラの集中は、周の応用で自分の肉体だけでなく武器などの物質にも可能である。
個別能力
系統
オーラには6つの属性があり、誰もが生まれついてその何れかに属している。
生まれ持つ系統が最も効率がよく、習得が早い、そして強い力が発揮できる。逆に相性の悪い系統ほど、扱いにくく覚えにくい。そのため、放出系に向いているからと言って絶対に具現化系が使えないわけではないが、生来の習得率を超えると容量のバランスが崩れ、他の系統能力が習得できず、伸び代が途絶える事になりかねないため、明確な目的か相当な執着がない限り苦手な系統を限界以上に覚えるのは非推奨。
各系統は円を描くようにして並んでおり、隣り合うものほど相性がいい。系統の並ぶ順番は反時計回りに以下の通りである。
備考
- 戦闘において最もバランスの良い系統は強化系である。
- 系統は生まれつきの適性であり、後天的に変えられない。
- 先天的系統は一つと決まっているが強化系寄りの放出系や操作系寄りの放出系の様な差異があるため、放出系だからといって操作系も強化系も80%くらいの精度とは限らない(70:100:90くらいの割合になることもあり得る)。
- 才能的に他系統とのちょうど中間に位置する能力者も存在し、2系統の能力を効率よく習得することが可能である。
- 修行方法や、修行の量、生活環境、心身の変化などが要因となり、自身が属する系統の範囲内で表記される位置が変化することもある。
- 発は習得できる量に限りがあり、これを(作中ではヒソカのみ)「容量(メモリ)」という。自系統が100%、両隣が80%、反対が40%、それ以外は60%となる。
- 反面教師の具体例としてカストロがおり、彼はウィングの見立てによれば体術の威力からしてほぼ間違いなく強化系だが、独学な上ヒソカとの戦闘のトラウマからか、操作系と具現化系を高度にミックスさせた「分身(ダブル)」という能力を身につけてしまった。「強化系にもかかわらず分身を覚えられた」才能には特筆すべき点があるが、完全手動操作な上人体という複雑なモノを具現化させた結果、「高い集中力が必要なので動揺したり負傷すると能力が使えなくなる」「戦闘中に付いた汚れまでは再現できない」「他の能力が一切ないし今後覚えられない」という様々な不利を背負ってしまい、バレた瞬間一方的になぶり殺しにされてしまった。これをヒソカは「容量(メモリ)の無駄遣い」と表している。
- 後天的に特質系に変化する場合がある。可能性が高いのは両隣の具現化系と操作系である。
- 特質系の能力は例外であり特質系能力者にしか使えず、他の五系統の能力者では基本的に一切使用できない。
- なぜ具現化系と操作系の横にあるかと言うと、後天的に特質系になり得る可能性が一番高いのがこの二つだからで、強化系の正反対にある理由は「強化系はオーラの最もオーソドックスな性質」であり「特質系はオーラで最も例外性が高い性質」を持っているからである。
- オーラの系統はあくまで「自分が修得するのに最適」と言うだけのもので、上述のカストロの様にそれ以外の系統の能力を修得出来ない訳ではない。例えば強化系でも放出系・操作系の能力を修得できるが性能は劣ってしまう(六性図で自分の系統から遠くなればなるほど修得出来るレベル・精度は低下する)。そのため自系統をそのまま極めた方が強い場合が多いが、それ一辺倒だと応用力に乏しいため基本は自身の系統ともう一つの最低二系統、理想は両隣の三系統だが、場合によっては五系統をバランスよく極める例も少なくはない。
- 例外として特質系は系統図における不自由が存在しないという名の通り極めて特殊な性質を持つ、それ故に特質系は具現化系と操作系が相性がいいというわけではなく、それこそ特質系と強化系と操作系というような無茶苦茶な念の覚え方も可能になる。
- とはいえ容量そのものは他の五系統同様定まっているため、自由度が高いというだけであり、念能力の習得比率は変わらないので却って成長方向の選択が難しくなる。
- そのため、特質系と知らず強化系と両隣を極めてしまい、後で容量が無くなってから特質系や他の能力も覚えられたはずだったことを認識という損なケースも発生しうる。
- 習得率の最適解を徹底的に遵守した能力が必ずしも強くなるとは限らない。念能力は本人の資質以上に性格や願望、愛着といった精神的要素が非常に多くのウェイトを占めているため、本人が病的なまでに執着する物事に関わる何かであれば強化系なのに特質系と思われる遠隔監視能力に目覚め、使いこなせたり、相性の悪い系統を複雑に組み合わせた能力を能力性質や適性、非効率性を平然と飛び越えて実践的能力として開花させる事もあり、逆に適性通りの理論上最高効率の能力でも愛着も何もないせいで全然伸びない事もままある。無鉄砲なのもマズいが、強烈な拘りや本人の直感、閃きは時として適性よりも能力を昇華させる。
- 悪例として挙げられるカストロの分身も、本来であれば「本人に似ても似つかない」「弱い、脆い」「操作中一切動けない」などとても実用性に足らない能力にしかならない、或いは下記の制約と誓約でガチガチに固められている筈のものを格下〜互角未満の相手にはある程度通用する「実戦レベルの能力」、「一切の制約と制約も無し」で修得できているのがそもそもおかしい筈の能力である。これもまた本人の妄執が生み出した奇跡の一例とも言える(肝心の「カストロが使うに値すると思うレベルの相手」には通用しないし通用する相手にはそもそも分身を使わず勝ててしまう=無意味というだけである)。
- 王位継承戦編で新たに明らかになった特性として、「特質系に属する能力者は『○○系は天性の能力者に比べて60%程度までしか極められない』という制限が無く、修練次第でどの系統でも100%極められる」と語られた。
- 特質系能力者の「発」が他の系統では真似できない特殊な発である事が多いのも、このような性質により「相反する系統の能力を高度に必要とする本来実現不可能な組み合わせ」が個人レベルでできるからだという理由もあると思われる。
- 本人のスペックの限界が変わる訳ではないので、「特質系でありながら強化系を極める事に才能の全てを費やしてしまい、結果としてただの強化系と大して変わらない能力になった」等というケースがあり得る。これらの情報を語ったモレナによると、念能力成長の初期段階で自分が特質系であると知る事ができなかった特質系の「あるある」らしい。
- ネテロ会長を開祖とする「心源流」で学んだ能力者なら、水見式によって初期段階で系統を判別する術を教えて貰えるのでこのようなケースにはなりにくいと思われるが、そうでない流派では系統判別をしない可能性もあるし、系統判別をしても「既存の系統と見分けにくい結果を出す特質系」と言うケースも考えられる。
- じゃあクラピカは特質系なのに何でわざわざ寿命を代償に「全系統100%」なんていう能力を使ってるの?と思うかも知れないが、上記の通り特質系は「組み合わせの制限が無い」と言うだけで全ての系統の能力を100まで鍛え上げる事は事実上不可能。例えば常人にはできない「強化・具現化・操作」という組み合わせの能力を作りそれ用に鍛え上げたとして、鍛え上げていない変化や放出の能力は低いままである。一方でクラピカの『絶対時間』は、クラピカが作り上げた能力の性質や修練度に関係なく、全系統で「それ専門で鍛え上げた100の能力者」と同等の力を発揮できるものである。
発の主な種類
念弾
通常オーラは肉体や物質に纏わせない限り透過するが、体から離すと丸く硬くなる性質があり、それを利用して対象を破壊する放出系能力。
放出系は強化系と隣り合っているのでオーラの総量が多く、手練れの能力者が使用すればそれだけでも強力な戦闘手段となる。
強化系による肉弾戦と並んで最も単純な攻撃方法のため、駆け引きによる対策も難しい。
物質の具現化
具現化系が得意とする「発」だが、物語が進むにつれ具現化系以外の能力者でも何らかのものを具現化している能力が多数登場する。
この系統の能力を習得するのに、当初クラピカは「寝ても覚めても鎖を触り続けて鎖の幻覚を見るまでになる」という修行をしていたのだが、後に登場する具現化能力使いは到底そのような修行をしているとは思えないものを具現化しているため、矛盾の一つとして指摘される事があるが、これに対する答えは「本物と見分けがつかないレベルのディティールを持たせるなら必要になるのでは」と考察されている。
実際、クラピカは「普段から鎖を具現化し続けて実在の鎖を装う戦略を取っている」=「ディティールが必要である」のに対し、それ以外ではカストロの分身くらいしか詳細なディティールを必要とするような具現化物は登場していない。
自分の身体から離さず、独立して動く事が無い「ただの物体」を具現化するのなら具現化系の能力だけで実現できる。具現化した物体に何らかの特殊な効果を付与するのも具現化系の能力。しかし自分の身体から離しても性能を維持するならば放出系、独立して何らかの動きをさせるならば操作系の能力を必要とするため、複合能力になる事が多い。
ただの物体ではなく、何らかの生物的なものを具現化する「念獣(獣と表されるが人型やマスコット型の分身も含まれる)」の場合、基本的に本体から独立して動くので具現化・放出・操作の3種複合能力になる。
念獣でも「遠く離してもパワーを維持なら放出系」「複雑な動きをさせるなら操作系」「特殊な能力を付与したり、ディティールを細かくするなら具現化系」の能力を多く必要とするのは同じ。
念空間
通常空間から隔絶された空間を生み出したもので、空間内や出入りに様々な法則やルールを作りこむことが多い。放出系と具現化系の相反する能力の複合で作られる模様で、一方通行や出入り不可能な空間にすることも可能。
放出系は空間そのものを移動させることに長けていて、具現化系は空間内に様々な法則やルールを持たせることに長けている。
迎撃(カウンター)型
敵の攻撃を受ける等の条件を満たす事で、それ以上のダメージを相手に与えるタイプの念能力。これにより、たとえ戦闘能力では相手に勝っている強者でも簡単に倒されてしまう場合がある。
いかにして自分の能力を隠し相手の能力を知るかがカギとなるので、念能力者との戦闘では戦力だけではなく思考力がものを言う。
カウンターの条件を満たさないと能力が発動しないので、相手に念能力の詳細を知られると弱い。具体的には相手に能力を奪われたり強制的に「絶」状態にされると、そもそもカウンターが発動せず前提が崩れ去ってしまう。
相互協力(ジョイント)型
複数の念能力者が協力することで、一人で行うものよりもより高度で複雑な能力を発揮できるタイプの念能力。
単純に2人分のオーラ量を用いる事ができるという利点以外にも、複数の系統の能力を使う複合型の能力でも、苦手な系統の能力を他者に担当してもらう事で「相性の悪い系統を必要とするため高度な完成が難しい」とされる複合能力を作る事ができる。
「協力」の度合いにも種類があり、「最初から特定の相手と協力している場合のみ発動可能なように作られた能力」かそうでないかの違いはある。
「特定の相手との協力を前提として作られた能力」の具体例としては、G.I編のゲンスルーの「命の音(カウントダウン)」がある。
これはゲンスルーとサブとバラの3人でのみ発動できる能力であり、3人のオーラ量と系統別担当により、放出・操作・具現化の3系統を必要とする複雑な能力を、生半可な「凝」では到底防ぎきれない威力レベルで実現している。
特定の相手に限らない協力型はキルア・アルカ編に登場したゾルディック家の執事・ツボネの「大和撫子七変化(ライダーズハイ)」がある。
これはツボネ自身が乗り物に変化するが、稼働にはオーラを供給する役の搭乗者が必要で、単独では稼働できない。
これらの能力の欠点は、協力者が1人でも死んだり分断されると能力を十分に発揮できなくなる。例としてサブ・バラと分断されてタイマンに持ち込まれた結果、チームプレーや「命の音」の即時爆破が封じられたばかりか、サブ・バラには「命の音」以外の他の能力が何一つなく、敗北したゲンスルーの例がある。
寄生型
暗黒大陸編で出てきた新たなタイプの念能力。
能力者本人以外の人間を宿主とし、宿主のオーラを消費することで能力を発動させる性質を持ち、宿主には寄生された自覚もなければ寄生している念を操作することもできない。
宿主の思念を糧にして生まれるため能力者も完全な制御は出来ず(制約を設けることは可能)、同じ能力でも宿主を守護することもあれば危害を加える可能性もあるなど、行動原理がバラバラでランダム性が強い。
利点としては、宿主が念を知らず念に覚醒していない場合でも宿主からオーラを得て能力を発動できる点が挙げられる。
欠点としては本人の意思に反して意図しない発動で宿主のオーラを消費してしまうため、宿主に利がある能力としても有利に働くとは言えない点。
代表例はカキン帝国の「守護霊獣」。
守護霊獣は特定の条件に沿って行動し、宿主となる王子達を守りながら王子の計略や策謀の手助けを行っている。
奪取型
数は少ないが、「他者の念能力(発)を自分のものにする」能力者も存在する。
作中で発現した事例は基本的に特質系(クラピカも絶対時間発動中でないと使用できない)。
ただし、能力を奪うだけなら具現化系の通常時クラピカでも可能、イカルゴは「取り付いた死体の念能力のみ」という条件だが操作系で似た効果を使用しているなど、奪って自由自在に使えるともなると特質系に限られるだけで、「誓約と制約」次第で類似の効果を得ることは可能らしい。
他者が修業の末編み出した必殺の念能力を修業なしにものにでき、更に奪われた者は基本その間その能力を使えなくなる非常に強力な能力だが、その代償として奪取の条件は非常に厳しく、緩い条件のものもあるがその場合は奪った能力の使用に時間や回数制限があったりする。
また使用条件も原則そのまま引き継ぐので、元の使用者ほどには使いこなせないことも多く、念能力の解析も別口で行う必要が多いなど、強力だが癖も非常に強い。
奪った相手が死亡した場合も使えなくなることが多い(後述の「死によって強くなる念」の場合は例外の模様)ので、相手を完全に無力化するのが難しいという欠点もある。
ただこの欠点を逆に使えば遠く離れた相手の生死確認にも利用できる。
ちなみにジンがレオリオの能力を即興で実行して見せたのは単なる「解析と模倣」であり、特殊な念能力ではない(レオリオの能力が比較的シンプルな打撃系能力で模倣がしやすかったのと一度喰らったこと、そしてジンの類稀な才覚があってのことであり、常人には真似できない)。
無敵型
特定の条件を満たすことで発動した能力に対して一切の攻撃が通じなくなってしまうタイプの念能力。強力ではあるものの制約が厳しいので利用には相応の工夫が必要。
ポットクリンは「相手にカウントを宣告するだけで一切の干渉をしない」というアナウンスのみに専念した故の無敵性がある。
ただし念であるため、念能力の影響自体を取り去ってしまう「除念」には無力。
上述のポットクリンも除念によって外されてしまっている。
除念すら受け付けない無敵というのは今の所登場していない(除念のコストが高すぎて除念できないというパターンはある)。
制約と誓約
ケルト神話のゲッシュよろしく、自ら念能力に制約(ルール)を定めて、それを遵守すると心に誓う(誓約)と、爆発的な力を発揮できるようになる。
制約が厳しいものであればあるほど念能力は強大化するが、術者の背負うリスクも大きくなる。地道な修行で得られる「安定した力」とは真逆の「諸刃の剣」であるため、強力ではあるが非常に危険。そのため制約と誓約を使うには、相応の覚悟が求められる。
上記の「容量(メモリ)」の削減にも繋がるため、ある程度必然的に満たす条件は制約と誓約として付加しておくのもある。
使用するたびに肉体や寿命などに制約を課されるパターン、禁忌を破ると巨大なリスクを背負うパターン、特定の条件を満たさないとそもそも能力が発動しないパターンがある。
「触った箇所に」や「能力を説明する」、「一定時間だけ」等はオーソドックスな制約と誓約である。
個人の「容量」や系統上の制限を考えると到底実現不可能なレベルの高度な能力を見た時、「これほどの能力なら何らかの制約があるはず」と考え、そこから攻略の糸口を考えるケースもある。
制約と誓約でパワーアップしたキャラクターは以下の通り。なお厳密にはその一部である。
死者の念と除念
念能力は使い手が死んでも能力が解除されるとは限らない。術者が強い執着や恨みを持ったまま死ぬと、その念は恐ろしく強くなり、自ずと憎悪や執念の対象へと向かうようになる。すでに念を込めたものがあれば、その能力が強大化する可能性が極めて高い(「命に変えても」「死んでも殺す」と言う覚悟や「使用すると死ぬ」という制約を掛けたも同義であり、当然その強化倍率は異常にして無法なレベルである)。意識的に死後の念にする事も一応可能であり、その場合能力の性質によっては死後、自身を蘇生させる事も理論上可能。
念能力を解除するには解除条件を満たす以外に「除念」する方法がある。これが可能な念能力者は「除念師」と呼ばれ非常に数が少ない。特に死者が遺した念を除念するのは極めて難しく、これが可能な除念師は世界中で10人足らずである。「除念」といっても念の影響を完全に取り除けるわけではなく、現状では除念師が死者の念を代わりに引き受け、その分のリスクを負うという大変に危険な方法でしか行うことができない。無論何でも除念できるわけではなく、あまりにも業の深い「ドス黒いオーラ」に対しては、除念師も音を上げてしまう。なお、念能力の存在を知らない一般人はこうした現象を霊の仕業と誤解しており、霊能力者によって除霊できると考えている。
「死後の念」を防ぐには念能力の源泉になるオーラを使い果たしてから死亡させる、特に具現化系など意識を失わせるなどして能力を解除させてから死亡させる、強制的に絶状態にしてから死亡させる、操作系で意識を乗っ取り恨みをなくして殺す、念能力の発動条件を満たさないようにするなどの方法があると思われる。念能力者は死後の念にいくらかの耐性があるようである。実際、ハンターハンターの世界では多数の死人が出ているが死後の念が問題になるケースは比較的少ない。
仮に死後の念に取りつかれたとしてもそれを維持するオーラには限度があり、死後の念が致命的なものにならなければ、時間の経過によって失われると思われる。
カキン編では強い怨念と自殺を前提とした念能力が守護霊獣には効かないことが示唆されている。