概要
現代日本に転生した破壊神と彼を狙って暗躍する転生者たちの苦悩、葛藤、そして戦いを描いた、“現代学園異能青春ラブコメ時々バトル”。
ストーリー
かつて『紅の破壊神』と呼ばれる者がいた。
万物を滅ぼすことを使命とし、いかなる物をも消し去る絶対的な神。
しかしそれは1人の転生者によって敗れ去り、破壊神は「転生」した。
人々を恐怖に陥れたあの絶対神はどこへやら。動物愛護精神にあふれた青年に育った真田辰季(さなだたつき)は、「不死」や「変異」の能力を備えたまま学校に向かう。が。
転生した辰季の復活を恐れて異世界からの勇者:狐塚日花里(こづかひかり)が辰季を襲う!! もはやただの動物好きの高校生なのに!?
(公式サイトより引用)
登場人物
主要人物
真田辰季
本作の主人公。上の画像右の人物。
かつて世界中に混沌と破壊をもたらし、人々から恐れられた『紅の破壊神』の生まれ変わり。
生まれた時から破壊神だった前世の記憶は保持していたものの、人格はまったくの別物になっており、平和な現代日本で暮らし続けるうちに博愛の精神に充ち溢れた好青年へと成長した。ただ、前世の名残りなのか、身体能力がずば抜けて高く、大型車両に激突されても傷を負わない(万が一深い傷を負うようなことがあったとしても、時間が経つと完全に治癒してしまう)ほど体が頑丈だったりと、常人離れした特徴も持っている。また、危機的な状態に陥っても取り乱すことは殆どなく、冷静に状況を分析して事態を打開しようとする等、かなり肝の据わった性格でもある。
体から血を流すことで一定時間五感を研ぎ澄まし、身体能力をさらに高めるブラッド・トランスという能力を持つ。これは出血量が多いほど効果が高まるが、当然ながら命の危機とも隣り合わせの状況に陥る為、強力な反面、諸刃の刃とも言える能力である(実際、1巻、2巻ともこの能力を使用して戦った後は満身創痍の状態になり倒れてしまっている)。
作者曰く、初期案ではもっと明るく元気な性格だったものの、担当者から「ラノベの主人公っぽすぎる」という指摘を受けて現在の形に落ち着いたのだという。
小説ではドライな少年といった側面が強いものの、後述する外伝漫画ではもう少しはっちゃけた性格の持ち主として描かれている。また、同作では理数科目が得意らしく、数学の試験では満点を取っている。反面、英語などの文系科目は苦手(実際に、小説中でも語られている)だが、空良曰く、「苦手科目でも(成績は)だいたい上位」とのこと。
狐塚日花里
本作のヒロインの1人。『魔法少女の世界』の住人。
辰季の命を奪い、転生させることを目的に活動しているが、迂闊で間の抜けたなところが多く、毎度の如く軽くあしらわれたり出し抜かれたりしては失敗している。根は優しい性格であり、課せられた任務とはいえ、人の命を奪うことに苦悩するなど、非情に徹しきれないところも。
アストラルやフォルテが襲撃してきた際には「辰季の命を他者に奪われたくない」という理由を口実に共闘する。
外伝漫画ではあまり勉強が得意でなく、赤点や補習の常習犯であることが明かされている。
魔法少女に変身すると狐耳と尻尾が生える。さわり心地はかなり良いようだ。
エル
本作のヒロインの1人。
辰季の護衛の為に現れた女性。地球の人間でいうと12, 3歳の少女の外見をしているが、これは地球(特に日中)では魔素が薄くなるためであり、本来の姿は上の画像右のような、スタイル抜群の美女。年齢も辰季より少し上らしい。
地球では辰季の通う高校の化学の教員:宇佐美エルとして活動しており、生徒からは「幼女先生」という仇名で親しまれている。
日花里と凪々美が束になっても敵わないほどの戦闘能力の持ち主で、護衛としての腕前は申し分ない。また、料理の苦手な辰季のために三食を作ってあげるなど、小間使いのような役割もこなしている。
破壊神に心酔しており、自宅には破壊神をモチーフとしたグッズを多数飾っている。また、それゆえかつての面影の全くない辰季に対し、当初はやや複雑な感情を抱いていた。辰季を守るためには手段を選ばず、時に行き過ぎた行動を取って彼に窘められたり、方針を巡って対立することもしばしば。
2巻では魔界の王であるフォルテに家族を人質にされる形で強引に協力させられ、日花里・凪々美と対峙する。
物事を評価する際に「(ベリー)バッド」若しくは「(ベリー)グッド」という表現を用いる癖がある。
間宮凪々美
日花里の仲間。
実は、以前から辰季の学校の養護教諭として潜入しており、生徒たちからは「マミ先生」と呼ばれて慕われていた。
「~ですぞ」「~ですかな」という語尾で話す。作中では日花里に対して度々セクハラを働こうとするも、その都度制裁を受けて失敗するのがお約束になっている。
当初は裏から彼女のサポートをしていたらしく、第1巻で辰季を仕留めるために待ち伏せていたが、エルに見抜かれて気絶させられ、失敗。電話で日花里と連絡を取り合っていた。
第2巻でようやく姿を現し、辰季に自分たちの目的を改めて説明した上で、自分たちの世界に来るよう交渉するが、辰季からは拒否される。その後は、フォルテから日花里を助け出すべく、辰季と共闘する。
魔法少女に変身すると狸の耳と尻尾が生える。さわり心地はやはり良好のようだ。
異世界転生者
†アストラル=レイ†
第1巻に登場。
辰季の命を狙って現れた刺客。
辰季、日花里、レイの3人が束になっても敵わないほどの圧倒的な戦闘力の持ち主で、第1巻の大ボスに当たる存在。
元々は地球の住人だったが、死後、異世界転生者となった。
性格は傲慢かつ残酷で、自分より弱い相手を徹底的に見下して甚振ったり、無関係なカップルを手にかけようとしたりと非道な行いも平然と行った。
真魔の世界
フォルテ・アンダーロウ
第2巻に登場。
現在の真魔の世界の国王。年齢はエルとほぼ同じくらいらしい。
エルと同じく、魔素の少ない世界では上の画像のように容姿がやや幼くなる。
生まれつき強大な力をもって生まれてきたが、それ故自分に敵う者のいない現実に幻滅するようになり、強い者との戦いを渇望するようになる(それ故、他国を挑発するような言動も多く、周辺国と一触即発の状態になったことも)。やがて、かつて世界を恐怖に陥れた「紅の破壊神」に興味を持ち、破壊神=辰季との闘いを求めて現代の地球を訪れる。
目的のためには手段を択ばないところがあり、人質を取って相手に脅しをかけるなどといった行動も取っているが、根は悪人ではない。
王族として育った故か、不遜な態度が目立ち、世間知らずなところがある。学校見学に訪れた際にはエルと辰季を散々振り回した。
外伝漫画でも登場しており、相変わらず辰季一行を振り回している。
カルモ・アンダーロウ
第2巻に登場。フォルテの兄。
フォルテが不在の際には代わりに王政を取り仕切っている。彼の元で国が混乱せずにきちんとまとまっていることから察するに、為政者としては優秀な人物の模様。
フォルテの身勝手さにはかなり頭を痛めているようだ。
その他
後鳥羽空良(ごとばそら)
辰季の幼馴染みで、高校の同級生。
他者とのコミュニケーションをやや苦手とする辰季とクラスメートたちとのパイプ役も担っており、辰季がクラスで孤立しかねない状況に陥った際に彼女がその場を取り繕ったことで事なきを得たことも何度かあった。
日花里からは、辰季との関係を疑われたこともあったが、彼女はあくまで辰季とは親友として接し続けており、辰季も彼女を頼りになる良き理解者というスタンスで接している。ただ、過去に起きたとある事件を理由に、辰季は彼女の両親から危険視されているらしく、家の出入りはしていない(何が起きたかは間接的にしか言及・描写はされていないが、かなり凄惨な事件であったことは示唆されている)。
元はただのモブキャラだったらしいが、次第に役割が増えていき、今の重要なポジションに収まったとのこと。後述する外伝漫画では事実上のヒロインとして扱われている。
用語
地名
八方生(やもき)市
本作の舞台となる街。日本の北部に位置しており、都会とは言えないが田舎とも言えず、どちらかといえば都会よりの、平凡な街。
モデルになった街は不明だが、著者の出身地が北海道であることから、北海道のどこかである可能性がある。
八方生第一高校
主人公たちの通う学校。市の東区に位置する、生徒数700人程度の公立高校。
校則は緩めらしいが、それが原因で生徒の鬱憤も溜まりにくく、治安は比較的良好な模様。
第2巻ではフォルテが見学に訪れたほか、最後の決戦の場ともなった。
にゃめいじんぐ
第1巻ではエルを、第2巻ではフォルテとエルを連れてこの店を訪れてる。
その他
紅の破壊神
辰季の生前の姿。カラーイラストでは赤い西洋のドラゴンのような姿で描かれている。
あらゆる生命体と意思の疎通を図ることができたとされ、単純な戦闘力だけでなく精神攻撃などの搦め手も用いて多くの命を弄び、奪い去っていった。次元の壁を壊して穴を開け、別の世界に移動することも可能。
圧倒的な力で幾多の世界を破壊しつくして回ったが、やがて結集した異世界転生者たちによって討伐され、人間の姿へと転生する。
多くの世界に混沌と破壊をもたらした存在だが、エルやフォルテの故郷である「真魔の世界」では自分たちの脅威となる国を滅ぼしたり、破壊神という共通の敵ができたことで自分たちに対する敵意が削がれたことなどで滅亡の危機を免れ、破壊神を神格化し、崇拝している(アニメが放送されたり、グッズも販売されるなど、半ばアイドル化している部分もあるが)。
異世界転生者
本作におけるキーワード。
死亡するなどして他の世界に魂が転移したり、新たに肉体を得た者が、その身に宿していた本来の能力を発揮できるようになった存在。現段階では辰季とアストラルがこれに該当する(ただし、辰季は器と魂がチグハグな状態で生まれてきたため、その力を限定的にしか行使できない特異な事例である)。
常人を遥かに上回る能力を持っていることから、いずれの世界においても貴重な戦力となる為、羨望の眼差しを受けることが多い。しかし、それ故、アストラルのように増長して心を歪めてしまう者も少なからず存在する。また、日花里の属する『魔法少女の世界』のように、自国の戦力とするために意図的に対象を殺害して異世界転生者を生み出そうとする勢力が現れるという新たな問題も生まれている。
真魔の世界
かつて多くの国に対して蛮行を働き、「魔界」として恐れられていた国家。
その報復として多くの国から目の敵にされ、度重なる侵攻を受けていたが、皮肉にも破壊神の出現によって国家の危機を救われることとなる。
国の様子はほかの世界と比べて断片的ながらも描写されており、王政が敷かれていること、アニメが放送されている(=テレビ若しくはそれに類するものがある)こと、犬が生息しておりペットを飼う習慣があるらしいことなどが窺える。
カード
日花里、エル、アストラル、フォルテ、カルモが魔法を使用する際に使用するカードで、デッキケースに収納されている。
大きさは定期券サイズで、砕くことで効果を発動させる。
日によって使用できる枚数が決まっており、使い切ってしまうと補充されるまで魔法が使用できなくなる。
恋愛感情のまるでない幼馴染漫画
もともと渡井氏は空良と辰季がお気に入りだったらしく、「機会があったらこの2人を中心としたスピンオフも書きたい」と話していたが、2巻発売からしばらくして、漫画という形で自身のtwitterやpixiv上にアップするようになった。
登場人物は空良と辰季のみだったが、最近ではエルや日花里といった他のキャラクターも登場するようになってきており、『イノセントレッド』の後日談としての役割も担っている模様。
ただし、魔法や異世界転生などのファンタジー要素は一切出てこず、普通の学園漫画としての側面が強い。そのため、原作を未読であっても普通に楽しめる内容になっているが、一方で原作を読んでいると思わずニヤリとするような描写・台詞も多い。
2016年8月4日発売の雑誌「まんがくらぶ」(竹書房)にゲスト掲載されることが決定。
当初はWeb上にアップしたものを高解像度にして描き直し+一部描き下ろししたものを掲載していたが、現在は新規に描き下ろしたものが掲載されている。
また、詳細な時期は未定だが、現在単行本化に向けた準備が進められているとのこと(ちなみに、無事に発行・発売まで漕ぎつければ、渡井氏にとっては自身初の漫画の単行本化となる)。
余談
- キャラクターデザインの原案は、すべて原作者の渡井氏自身が手掛けており、渡井氏の描いたデザイン画を滝本氏が修正するという形で行われた。なお、渡井氏の描いたデザインのラフ画が単行本第2巻の巻末に掲載されている。
- 講談社とは別の出版社にスピンオフ漫画が掲載されるという、ある意味異例の事態になっているが、講談社側は「原作の一次創作者なので問題ない」という理由で掲載を許可したとのことである。
既刊情報
関連イラスト
2016年現在、投稿されているイラストはすべて著者の渡井亘氏の描き下ろし。