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ウルトラマンデュアル

うるとらまんでゅある

『ウルトラマンデュアル』とは、早川書房より発売されたウルトラシリーズを題材とした小説及びその作中に登場するウルトラマンの名称。
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強大な暴力に巻き込まれた時、避けがたい理不尽に襲われた時、自己犠牲の精神を目の前にした時、何を成す事が正義なのか?


君には今でも、ウルトラの星が見えているか?


概要編集

2016年1月23日より早川書房より発売された三島浩司の書き下ろし小説。

表紙イラストはウルトラシリーズでお馴染みの後藤正行が担当している。


宇宙人に実質支配された地球を舞台に、高い壁に覆われた「光の国の飛び地」に立てこもり、侵略者たちに立ち向かう人々や、ウルトラマンの戦いを描く。

基本的な世界観は「M78スペース」だが、敵であるヴェンダリスタ星人が現れるまで宇宙人を見たことがない等あくまでベースのみ。

またこれまでのウルトラシリーズではあまり見られなかった「政治」と「外交」が描かれている点も特徴である。

劇中には相撲に関連するワードが登場するが、これは作者が子供の頃ウルトラマン消しゴムで相撲をしたことに由来する模様。


2018年に文庫版が発売された。また9月19日には続編『ウルトラマンデュアル2』が発売された。


あらすじ編集

地球征服を目論むヴェンダリスタ星人とそれを阻止するウルトラの戦士達は激しく衝突し戦力を削りあった。

どちらの援軍が先に到着するかで、この星の運命が決まるーー


地球は勝敗が決するまで、ウルトラの戦士に希望を託しつつ、ヴェンダリスタ星人にも服従の態度を示さねばならぬジレンマを抱える事となった。

政府は苦渋の選択の末、傷ついた宇宙船で東京近郊に不時着したウルトラの聖女を、建前上はヴェンダリスタと同等の侵略者と位置付けた。

ウルトラの聖女もまた地球の事情を察し、その一帯を「光の国の飛び地」として侵略支配する事を宣言する。


巨大な壁に囲まれ情報と物資の供給が絶たれた小さな飛び地に、ヴェンダリスタはウルトラの聖女を倒すべく次々と怪獣を送り込む。

地球の為に涙する聖女に心打たれ、共闘を誓った少数の者達は、中立の立場を崩さない政府によって国籍を剥奪され、地球人である事を捨てて極秘のうちに飛び地へ渡った。

その1人、二栁日々輝もまた複雑な思いを胸に、光の国への扉をくぐるのだった……


登場人物編集

  • 二柳日々輝

主人公。27歳。ニックネームはビッキー。ヴェンダリスタ星人に反抗したため元の仕事を辞職し、国籍を捨てて飛び地へ渡った。若い頃は結構やんちゃをしたこともあるが、一方で同級生だった鈴と深くかかわったことがある。

初めてウルトラマンデュアル(Ⅱ)となった頃は、正平以来のファイタータイプとして期待されているが、予想以上の過酷な戦いと、ウルトラ戦士としてまともな訓練を経験しないまま現場に駆り出されているため苦戦を強いられ内心では恐怖を覚えているものの、ヴェンダリスタ星人の刺客となった怪獣たちに果敢に立ち向かう。


  • 植松鈴

ヒロイン。飛び地ではオペレーターを勤める。名前の『鈴』は「りん」ではなく「れい」と読む。

過去に火事を経験して大やけどを負ったが、ウルトラ化の影響で傷跡もなくなっている。過去に日々輝に救われたことがあって強い恩を感じているが、ウルトラ化の影響でその当時のことがやや薄れている。しかし何かあったことは感覚的に覚えているため、日々輝と再び親しい仲になる。


  • 片蔵正平

故人。先代のウルトラマンデュアル(Ⅰ)。

飛び地に来る前は医者を営んでいた。デュアルとして戦っていたが、息子の誉がヴェンダリスタ星人のキップに憑依されたせいで敗北、死亡した。しかし彼の残した戦闘のレポートが日々輝の力となっている。


  • 友利光矢

地球側のもう一人の主人公。17歳の高校生。

正平の息子の誉とは親友であり、彼の影響を強く受けており、序の口の一員となって飛び地を支援する。


  • 伊波滴

ティアと並ぶもう一人のヒロイン。16歳。

ティアと一心同体となり、そのうえで再び互いの要素を保持した状態で二人『シズク』と『伊波滴』に分身している。

地球側と飛び地側で互いにテレパシーで交信しながら互いのことを情報交換しているが、滴が三矢と親しくなったことに飛び地のシズクがちょっと腹を立てたりと、年頃の少女らしい一面も強く持っている。


ティアズ・スタンド編集

  • 伊波松男

滴の父。


  • 菊田裕子

ティアズ・スタンドの司令官。


  • 熊野良子

光の国出身でオペレーターの小型怪獣。


序の口編集

  • 南条睦美
  • 霧島雄吾
  • 浜本恒明

ヴェンダリスタ星人の器編集

  • 片倉誉

三矢の親友で正平ことデュアルⅠの息子。キップに憑依されたせいで自由を奪われ父親を失うが……


  • 西田里美

ラトに憑依された女子高生。本来は普通の女子高生なのだが、憑依したラトが我儘で凶悪な性格のため、傍若無人に振る舞ってしまう。



ウルトラ戦士編集


登場怪獣・宇宙人編集


※茶褐色の肌を持つ服のようなものを着た名称不明の巨大怪人や巨大な松ぼっくりを思い浮かべる容姿の怪獣。そして最後となる死体同然の怪獣が確認されている。


その他にも、ブラックキングサラマンドラガンダーザニカベムラーアリゲラアンタレスリンドンアシュランバットンといった従来のウルトラ怪獣の存在が作中で言及されている。


用語編集

  • 光の国の飛び地

地球側の微妙な立場を理解したウルトラの聖女ことウルトラセイントティアが侵略支配したという建前で、ヴェンダリスタ星人と戦っている唯一の場所。

場所はヴェンダリスタ星人が最初に爆破した東京都練馬区を中心とした場所で、周辺は広大な壁で覆われている。この壁は相撲の土俵のようなもので、戦う場所とそうでない場所を区別している。

ここに来るには地球人であることを捨てる、すなわち国籍を抹消する必要がある。

そうでなければ地球人としてヴェンダリスタ星人に宣戦布告したとみなされ、将来ヴェンダリスタ側が勝利した場合何をされるか解らないから。

さらに飛び地に行くと必ずウルトラオペレーションでウルトラマンにされるため、仮に勝利したとしても今後世界に受け入れられるかどうかという要素がある。

また飛び地はあくまで光の国の領地であるため、仮にヴェンダリスタ星人達を倒して光の国の聖女が宇宙へ帰ったとしても正当な手続きを踏まなければ光の国のままで、日本の国土に戻す間にアメリカや中国と言った大国に安く買いたたかれる可能性もある為、日本政府とティアズ・スタンド上層部は頭を抱えている。

ちなみに場所が場所なだけあって、ティアズ・スタンドのメンバーの大半は日本人。


  • ティアズ・スタンド

ティアが乗って来た宇宙船。現在は飛び地の拠点となっている。


  • ウルトラオペレーション

ウルトラセイントティアが行う人間をウルトラマンにする行いの事。


  • ウルトラコンディショナー

ティアズ・スタンドにある治療装置。

怪我の治療は勿論の事、体調を整えたり眠気を取り除いたり満腹感を与えたり排泄までしてくれるなど非常に高性能。光の国の物であるため、通常の人間には使えないが、ウルトラマン化した人間の人間態ならば有効。

失った毛根を再生させる能力まである為、薄毛に悩んでコンディショナー通いになっている人間もいる。


  • 序の口

政府非公認の秘密組織。

ウルトラマンにはなりたくないが戦う意思はあるという人々が集まった秘密組織で、外部から飛び地を支援する。

資源を補給したり、飛び地の外の情報を仕入れることもでき、なにより国籍を抹消した飛び地の人間たちに外と繋がっているという実感を与える為、物理的、精神的にも欠かせない。


天の川銀河に本星のあるヴェンダリスタ星人の他、スタグレンス星人、リトデイ星人、カードウ星人の4つの宇宙人たちが結成した一大組織。


  • 光の国の聖職者

M78星雲光の国の聖者たち。職業名であると同時に種族名でもある。

聖者たち共通の能力として「相手の命を問答無用で奪う能力」というものがあり、それほどの力を持ちながら決して使う事がなく、いかなる凶悪な怪獣や宇宙人であっても命を奪えば罪となる事から敬意を込め聖職者と呼ばれている。

この能力はかつて全ての光の国の住人が使えたものだが、いつしか純粋な戦闘能力の強化へと進化していきこの能力は失われ、代わりに一部の者にのみ「命を与える力」を持つようになった。

そのためウルトラ戦士達と聖職者たちの間には距離があり、彼らを疎むウルトラ戦士達もいる。

もっとも正しく言えば日本人が外国人に抱く偏見や隔意のようなもので、距離こそあれど仲は険悪ではない。

この両者の距離感の結果、地球は巻き込まれる事になった。


関連項目編集

ウルトラシリーズ

その他のウルトラシリーズの小説作品

ウルトラマン妹 ウルトラマンF

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