概要
ドラゴンクエストシリーズに登場する呪文。上位呪文にベギラマ、ベギラゴン、ギラグレイドがある。
変遷
初代『ドラゴンクエスト』で登場した攻撃呪文。
火球を放ち、単体にダメージを与える呪文…と、この時点では後発のメラのような立場だった。
『ドラゴンクエストⅡ』でも同様の呪文として扱われている。
現在では「炎により敵1グループを攻撃する呪文」として説明されたりゲーム中のエフェクトはそのように表示されている事が多いものの、
作品や媒体によって説明が二転三転どころではなく変わっており、
熱線である説、閃光である説、雷系の呪文である説など様々な説が存在している。
このようなややこしい扱いになってしまった理由としては、初代と『Ⅱ』の時点では「ギラ=火球を発射する呪文」、「ベギラマ=雷で攻撃する呪文」と、火と雷が同系統に扱われてしまった事が発端で、『ドラゴンクエストⅢ』にて呪文の増設が行われた際に火の呪文としてメラ系が新設されると、ギラ系の呪文は全部雷系と説明書では紹介されていた(ライデインが登場しているが、高電圧の糸を絡み付かせて攻撃という特殊なモノだったからだと思われる)。
だが、後日発売された『Ⅲ』の公式ガイドブックではギラ系は炎でライデインとギガデインは雷の呪文と説明されていた。
その後も『ドラゴンクエストⅣ』及びその前後に発売された書籍・スピンオフ作品などでは混乱が続き公式ガイドブックなどでは手から火炎を噴射する呪文として、『Ⅳ』の説明書ではギラ系=閃光呪文としつつも、その次ページにあるギラの説明は「雷の呪文」と掲載されているなど、だいぶ制作陣も混乱していたようである。
この時期に出たスピンオフ作品もギラの扱いが同じく混乱しているものが多い(後述)。
その後、『ドラゴンクエストⅤ』以降の作品では戦闘中にエフェクトが表示されるようになり、ギラ系のアニメーションは(何らかの理由により)炎を発生させ、敵を範囲攻撃するという見た目になっている事が多い。
同作の説明書には「まばゆい光と灼熱の炎」と記載されているが、公式ガイドブックでは「閃光」表記だったりと、この時代はまだ前述の混乱の名残があったりもする。以後のナンバリング作品ではやっと扱いが統一され、「炎」と説明されるようになった(そのためリメイク版『ドラゴンクエストⅤ』では炎扱い)。
以上のような扱いの変遷を表にすると、以下のようになる。
FC版DQ1〜2 | FC版DQ3 | DQ4〜5 | DQ6~11(9除く) | DQMJ~2 | DQMJ3 | |
---|---|---|---|---|---|---|
ギラ | 炎 | 雷/炎 | 閃光 | 炎 | 炎 | 光 |
ベギラマ | 雷 | 雷/炎 | 閃光 | 炎 | 炎 | 光 |
ライデイン | 存在しない | 高電圧の糸/雷 | 雷 | 雷 | 光 | 電撃 |
ギガデイン | 存在しない | 体内から破壊/雷 | 雷 | 雷 | 光 | 電撃 |
『Ⅲ』以降のゲーム内での効果は「敵1グループにダメージを与える」というもの。
メラ系と違い複数の敵を攻撃できるが、イオ系等のように全体攻撃は出来ず、消費するMPはその中間程度…という、間に挟まる形の呪文。
作品によってはピンポイントで活躍する事もあるものの、ブーメランやムチ系といった複数攻撃可能な武器の登場、無消費で複数攻撃出来てしまう特技の登場、何故かやけに習得が遅いなど不遇な要素がある場合が多かった。
そのせいなのか、最古参呪文であるにもかかわらず『ドラゴンクエストⅨ』にてまさかのリストラ。
開発中の画面写真には「ギラ」と「ギラブラスト」というギラ系の最上位呪文と思われるものが写っていたが、製品版には登場できなかった。
同作プレイヤーからは「やはりギラ系は必要なのではないか」という意見が多く、直後に発売された『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』及び『ドラゴンクエストⅩ』にもきちんと登場し、復帰を果たしている。
『ドラゴンクエストⅨ』で他カテゴリに登場した既存の3段階を越える最上位呪文に関しては、同作に登場しそこねた為に一歩遅れて『ドラゴンクエストⅩ』及び『ドラゴンクエストⅪ』より登場。前述の「ギラブラスト」ではなく、「ギラグレイド」という名称に変更されている。
その他
漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の作中では、ベギラゴンがイオナズンより強力(本家とは逆)で、イオナズンを使えても、よりレベルアップしないと習得できないなど、ギラ系が優遇されている描写がある(実際、初代『ドラゴンクエスト』ではベギラマが最強の攻撃呪文だった)。作者によると、当時シリーズ皆勤のギラ系に敬意を表したものらしい。
時期的には上記の扱いの変遷の真っ只中だったため、漢字表記は「閃光(熱)呪文」。劇中の描写や解説でも超高熱のエネルギーをビーム状に手や魔法の杖などから発射する呪文、とされている。高いレベルの術者なら、収束率を極度に高めることで花びらに対し(焼き飛ばすこともなく)小さな穴だけを焼き開けるなどの事も出来ていた。
『ドラゴンクエストⅢ』と『Ⅳ』の間の頃に放送されたアニメ『ドラゴンクエスト (勇者アベル伝説)』では
モロにこの設定が変わった影響を受けており、
前半ではベギラマ=雷として登場していたものの、後半になると火炎・光熱波という描写に変わっている。
これ以外にも、この前後に発売されたドラマCD、ゲームブック等では扱いがまちまちになりがち。
ゲーム『トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン』では前方3方向の敵を同時に攻撃する呪文となっているのだが、使い勝手はイマイチ。
見た目は炎っぽいが扱いは属性なしで、フレイムなどにも普通に効く。
なお余談として、実はこうした設定変更の名残は実はナンバリングタイトル内にもかなり長い間残っていたりする。
具体的には装備の「いかづちのつえ」がそうで、『ドラゴンクエストⅢ』以降から『ドラゴンクエストⅨ』でギラ系自体がリストラされてしまうまでの間、ずっと戦闘中に道具として使った時の効果は「いかづちがほとばしる!」と言いつつも、実際には「ベギラマ」程度のギラ系ダメージを与えるものだった。
『ドラゴンクエストⅨ』では表記の通り雷になり、以後雷属性のダメージを与える効果に変更されたものの、実に20年以上このような効果だった為に未だにギラ系だと思われている事もしばしば。