概要
ゲジ目に分類されるムカデのこと。正式には「ゲジ」(蚰蜒、蚨虶、䖡蚭)といい、これはそのうち日本で一般に見られる1種(Thereuonema tuberculata)を指す和名でもある。
英語では洞窟や屋内に出現することから「cave centipede」(洞窟ムカデ)「house centipede」(家ムカデ)と呼ばれる。
短い胴体に対して15対の脚が極めて細長く、他のムカデから一線を画すほどの印象を受けられる。
頭部は他の多足類に例のない糸状の触角や大きな複眼を持つため、一見ムカデというよりコオロギなどの昆虫と似た顔付きである(勿論昆虫ではない)。
実際は十数の体節があるのに対して、背中の外骨格が大きく特化したため、見かけ上8節しかない(腹面はちゃんと十数節)。
呼吸器(気管)の穴(気門)は体の両筋ではなく、背中の外骨格の中央に開くのも特徴的。
体長はだいたい3cm前後だが、非常に長い肢を放射状に広がるため、4cm以上の大型種であれば大人の掌にも収まらないほど大きく見える。
これらの特徴から、とてもムカデとは思えない姿をしているが、ムカデのアイデンティティである、頭部直後の前脚から変化した顎肢(毒牙)は健在。ただしゲジの顎肢は他のムカデより華奢で可動域が高く、短い脚のような原始的な形をしている。
4億1,800万年前の古生代シルル紀から既に現れ、ムカデの中でも最も起源が古いグループと考えられる。
100種ほど知られ、日本にはゲジ(無印)とオオゲジの2種が生息している。
生態
脚を波打つように動かして、滑るように高速で走る。先頭の触角のみならず、末端の一番長い脚(曳航肢)も常に宙に浮かぶセンサーとして働いている。
他のムカデと同じ捕食性で、有毒な顎肢で獲物を仕留めるが、一般的なムカデより毒性と嚙む力が弱い。一方、細長い脚は他のムカデより器用で、無数の触手のように獲物の手足に縛り付けて無力化させる。この脚のおかげで、小さな虫なら同時に何匹も捕まえながら走ることも可能である。
またこの脚は、鳥等の天敵に襲われた際に自切し、しかもその脚は切られた後もしばらく動き、天敵がこれに気をとられている間に逃げる。
数本欠けたくらいでは何の問題もなく走り、脱皮の際再生する。また、自切のポイントである脚の付け根は他のムカデのような筋肉や気管が通っていないため、自切がもたらす損傷も他のムカデより少ない。
オオムカデのような子育てはしないが、卵を土に産んでは泥などで保護する。生まれたての幼体は体が短くて脚も4対しか持たず、脱皮を繰り返すことで体節と脚を大人の数まで増やす。
人間との関わり
ムカデではあるが、一般のオオムカデに比べて大人しく、積極的に人に噛み付くことは無く毒も人間に対して弱い部類である。
偶には屋内で出現し、奇妙な見た目故一般に嫌われるが、人間に対して不利益なことをする動物ではない。それどころかゴキブリなどの衛生害虫を捕食する益虫である。
しかし残念な事に、その外見と意外な運動性から不快害虫の扱いを受けている。しかし、人間に対してはほぼ無毒であり、愛好家もいる為少数ながらも沖縄や東南アジアに生息するオオゲジはペットして流通している。
ゲジゲジをモチーフとしたキャラクター
ゲジ将軍 マイティボンジャック
別名・表記ゆれ
関連タグ
おろちんゆー…動画内で数回、ゲジゲジを調理して食べている。