ワイリー「例え心を持ったとて、ロボットは人間の道具に過ぎない!圧倒的なパワー!目にも止まらぬスピード!到底、人の及ばぬ驚異の力を誇示してこそ…ロボットは人々から慕われ、認められる存在になる!それを実現するのが、私が提案するダブルギアシステム!これを組み込めば、全てのロボットがヒーローとなるのだ!」
概要
ロボットの性能を格段にアップさせる強化装置。大学生時代のアルバート・W・ワイリーが考案した。
圧倒的な力を引き出すパワーギア、常識外れの加速を得るスピードギアで構成される。
ワイリーはたとえ心を持っても人間の道具に過ぎないロボットを、人知を超えた力で人間から認められるヒーローにするべくこの装置を考案した。
だがこの装置はロボットに大きな負担を与えてしまうばかりか悪用されて人類に仇名す危険性を秘めていた為、学友であるトーマス・ライトはこの研究に猛反対し、周囲もそれに賛同した事でライトが提唱するロボットの思考回路に関する研究が優先され、ワイリーのダブルギアの研究は凍結されてしまう。
それに腹を立てたワイリーはダブルギアシステムの試作品を投げ捨てて自らのやり方で世間を認めさせようとして、更に過激さを増していってしまい、遂には世界征服を企む悪党へと堕ちていった(ライトとしては研究を否定したのは彼の暴走を止めようとしていたつもりだった)。
ただし、仮に正式採用されたとしても、ロボットへの過負荷から結局は「使い捨ての存在」としてしか扱われなくなったり、先述の通りに軍事利用等で悪用されるリスクの方が高くなるのは明白で、何より上述のワイリーの発言は、裏を返せば「ロボットがヒーローとして認められるならばロボットへの弊害など問題では無い」と、結局ロボット達の事を省みようとしない事に繋がる為、ライトが反対したのも間違いでは無いだろう。
言うなれば、ライトがロボット達の「心」を重視したのに対し、ワイリーはロボット達の「力」ばかりに固執していた事になる。
数十年後、ワイリーが夢でこの事を思い出し、遂にこの装置を完成させることに成功、打倒ロックマンと世界征服を成し遂げようと動き始めた事が「ロックマン11」の物語の始まりであった(しかしクイックマンやハードマン、ターボマン等ダブルギアシステムの内、片方の要素を組み込まれて作られていたであろうロボットは以前にも出ている為、ワイリーは無意識の内にギアシステムを搭載させていたのだと思われる)。
ダブルギアシステムを完成させ、乗り込んだ定期検診の会場から拉致したブロックマンを始めとするロボット達にそれを組み込んだワイリーに対してライトはかつてワイリーが作ったダブルギアシステムの試作品をロックマンに組み込む事を決意した。
尚、ワイリーが完成させたダブルギアシステムとかつてのダブルギアシステムとの違いはどうなのかは不明。
ワイリーは勝手に自分の装置が使われている事を怒っており、ライトを発明泥棒と罵った(どの口が言うか)がライトはダブルギアシステムを搭載したロックマンの姿は「かつて自分たちが掲げたそれぞれの理想の歯車がかみ合った姿」であると語った。
なお、このダブルギアシステムは設定では着脱が可能な追加機能であるらしく、エピローグではライトットにも装備できている。
ゲームにおいて
スピードギア、パワーギア共通
- 概要
- 「ギアゲージ」(以下、ゲージ)を消費して稼働させる。ゲージはギアパワーをオフにしている間、時間経過で回復する。
- ゲージはスピードギア、パワーギアで共用。
- ギアゲージを振り切ると“クールダウン”状態となり、ゲージが全回復するまでギアパワーを使用できなくなる。
- 連続稼働時間は最大5秒ほど。途中でギアパワーをオフにすればクールダウンは避けられる。
スピードギア
- 概要
- 時間の流れがゆっくりになり、敵やギミックを見切りやすくなるギアパワー。
- ステージ・ボス共に助けられる場面は多い。
- 相手がスピードギアを使ってきた際に、こちらもスピードギアを発動させるとロックマン側の効果が優先される。
- 余談
- ロックマンロックマンの「タイムスロー」やロックマンゼクスアドベントの「タイムボム」と特性がほぼ同じ。
パワーギア
- 概要
- ロックバスターの手数や、特殊武器の攻撃範囲を増やす。こちらはやや手慣れた人向け。デメリットもある。
- ノーマルショットの大きさがセミチャージショットと同等になり、威力も上がる。
- チャージショットも含め、ショットが2点バーストになり、一度の入力で自動的に二連射する。
- デメリット
- 発動中はダメージを受けるとチャージがキャンセルされてしまう。
- また、特殊武器は消費エネルギー量が増える。
- ファイナルチャージショット
- ロックバスターが2段階チャージ可能になり、ザコを一掃できる「ファイナルチャージショット」を放てる。
- 出力が高すぎるために、ロックマンが発射時に大きく後退する。落とし穴やトゲがあると事故を起こしかねないので注意。
- ゲージを全て使ってチャージするため、発動後のクールダウンは必至。
- 発射するかダメージを受けるまでクールダウンに移行しないので、溜め終わってから狙いをつける程度のことは出来る。
- 余談
- ファイナルチャージショットは、公式サイトで後述のダブルギア専用技のように紹介されていたが、実際はパワーギアだけでも使用できる。
ダブルギア
- 概要
- スピードギアとパワーギアを同時発動する起死回生のギアパワー。ロックマンのライフが残りわずかになったときのみ発動可能。
- デメリットも大きく、諸刃の剣。
- ゲージは独立しているが、クールダウン中は発動できない。
- デメリット
- 途中解除が出来ない。
- 更に、ゲージが尽きるとクールダウンよりも症状の重い“オーバーヒート”状態になる。
- オーバーヒート中はロックバスターの性能が落ち、連射とチャージが出来なくなる。
- しかもクールダウンよりギアゲージの回復が遅い。
- ゲージが回復すれば、全てのギアパワーを再び使えるようになり、ロックバスターの性能も戻る。
- ファイナルチャージショット
- パワーギア単体のときよりもチャージ完了までが早く、時間内に最大2発まで撃てる。
- ただし、あちらと違いゲージを使い切ると強制終了する。
関連パーツ
スピードギアブースター
- スピードギア発動中のロックマンの移動速度が通常時と同じになる。
クールダウン システム
- オーバーヒートの回復が早くなる。
クールダウン システム ∞
- クリア特典として交換可能になる。
- ギアパワーが無制限になり、実質クールダウンとオーバーヒートが無くなる。
- このパーツを装備してもダブルギアは窮地に陥らないと発動できず、ゲージも消費する。
- ただし、オーバーヒートはせず、終了と同時にゲージが全回復するので即座にダブルギアを含むギアパワーを再発動できる。
エネルギーディスチャージャー
- 装備するとロックマンのライフが残り4目盛りまで減る。
- 任意のタイミングでダブルギアを発動可能にするためのパーツ。
余談
ダブルギアシステムによる負荷の原因
ロボットがオーバーヒートを起こす事にあるようである。
言ってみればPCのオーバークロック(こちらも熱対策をきちんと施さないと逆にパフォーマンスが落ちる)に近い。
現に過去のワイリーが作ったロボットでも
クイックマン:『タイムストッパー遮断装置に欠陥がある』
タップマン:『長時間高速回転し続けると内部メカに負担がかかる』
等がある為、片方のギアだけでもオーバーヒートを起こす代物と言える(一応「彼らに搭載されていたのはあやふやな記憶で作られた不完全な物」と説明出来るが)。
難易度
ダブルギアシステムを一切使わずにEXPERTをプレイした際の難易度はシリーズでトップクラスであると言われている。
例えばトーチマンステージの迫る炎地帯はスピードギア無しだと、非常に猶予が短いうえに、針に糸を通すかのような緻密さが求められる。
元ネタ?
バスターや特殊武器を大幅強化する&超高速で動くという点からピンと来たプレイヤーも多いかもしれないが、ダブルギアシステムの特徴はロックマンの後継機であるロックマンエックスの能力と酷似している。(特にスピードギアの方は発動中の残像エフェクトがX4〜6のダッシュのエフェクトにそっくり。)
この事からライト博士はエックスにもダブルギアシステム(もしくはそれを参考にした機能)を搭載したのではないかとも考察できる。
この説が正しいのならば、ライト博士が提唱したロボットに心を持たせる研究(並びにワイリーがあるロボットに仕込んだロボット破壊プログラム)が、後に発生する心を持つが故に人間に対し反発するレプリロイド達のイレギュラー化とそれによるシグマの反乱へ繋がり、エックスを苦しめるのに対し、ワイリーが提唱したダブルギアシステムがエックスの心強い味方としてロックマンを支える事になるという下記の例と合わさってなんとも皮肉な結末となっている。
かみ合った歯車と体現した理想
11のラストでワイリーは最後までライトとの和解を拒んだ事で歯車はかみ合わなかったが以下の例を見る限りではある意味二人の歯車がかみ合っているとも取れる上にかつてのワイリーの理想が実現しているとも言える。
ライトが作ったロックマンとワイリーが作ったフォルテが共闘した作品であり、結末はワイリーが元凶だったものの、一時的とはいえライトとワイリーの歯車がかみ合ったようなケースである。
ロックマンシリーズの未来を描いたロックマンXシリーズとロックマンゼロシリーズでお馴染みのゼロはワイリーの遺作と言われているロボットで世界征服と打倒ロックマンの為に作られたらしいのだが、彼はワイリーが目標にしていた世界征服どころか皮肉にもダブルギアを作っていたワイリーの若き頃の理想像であった“ヒーローロボット”を体現している。しかも更に皮肉な事に宿敵ロックマンの後継機にしてライトが最後に作ったロボットと言われるエックスと親友になり、共に悪と戦っており、ここに来てようやくライトとワイリーの歯車がかみ合ったと言える。
特にゼロシリーズでは人類とレプリロイドに未曾有の危機を齎した元・人間の科学者を自らの意思で叩き切り、ロボットと人間が対等の関係になる切っ掛けを作っている。
更にそこから後の時代にこのゼロとエックスの意思を受け継ぐ金属が合わさって変身する英雄も登場している。
関連タグ
ロボット破壊プログラム:ワイリーがゼロに仕込んだとされる恐るべき代物。こちらは後にシグマウイルスとなって沢山の惨劇を引き起こしたのだが、このプログラムから解放されたゼロが皮肉にもそれに立ち向かっていくのであった。