悪役令嬢に実況解説がついたら、世界一かわいいツンデレでした
概要
恵ノ島すずによる悪役令嬢もの系の長編ラブコメ。略称は「ツンリゼ」。
多くの「悪役令嬢もの」の世界観が「乙女ゲームの世界」だというテンプレ(お約束)を逆手にとる事で、ここにゲーム実況という要素を加えた作品。
小説投稿サイト「小説家になろう」での連載の後、「カクヨム」に移管。完結後も番外編という形で更新が続けられている(目次)。
カドカワBOOKSから全2巻が書籍化されており、キャラクター原案と挿絵はえいひが手掛ける。
また、ストーリー構成を再構築した逆木ルミヲによるコミカライズ版が『B's-LOG COMIC』で2019年6月5日号から連載されていたが、魔女との対決における女神の浄化降臨&ガチ土下座を成した時点で終了となってしまった(単行本レーベル・ビーズログコミックス公式Xアカウントでの事情説明とお詫び)。単行本は全7巻。
2019年にはクラウドファンディングサイト「Makuake」にて新作ボイスドラマが制作された。
2022年7月には予てより企画が進行していたTVアニメの放送時期が発表された。
2023年冬アニメとしてAT-Xのほか毎日放送やBS-TBSやTBSにて放送された。制作は手塚プロダクション。なお、AT-X以外ではアニメイズムでの放送であった。
また、発表と同時期に発売された漫画第5巻の特装版には、アニメ版キャストによるドラマCDが付けられた。
導入
かつて創造神の争いによって、大地に神の力が散らばった世界。その力を「魔法」として体系化し、支配階級と結びつけた国のひとつ、フィッツェンハーゲン国では、代々の王族から「神託」を賜る者を輩出していた。
王立魔導学園に籍を置く王太子・ジークヴァルトは3年生のある日、天から降る馴染みのない男女の声を知覚するようになる。なぜか婚約者・リーゼロッテの胸の内を詳らかにしていく不可解な神託とは意思疎通が可能であり、ジークヴァルトは神々の声から、リーゼロッテが自分に向ける不器用で一途な愛情と、そんな彼女を破滅へと導く騒乱がいずれ訪れることを告げられるのだった――。
『マジカルに恋して』
解説「っていうか、このゲーム逆ハールート以外は誰かしら死ぬ」
実況「えっ…あのさ、なんでゲームにそこまで心折られなきゃなんないの? 制作チームは悪意の塊なの?」
解説「さすが実況氏。理解が速いなぁ。素晴らしい!」
フィッツェンハーゲン国の王立魔導学園を舞台に、ヒロイン・フィーネと5人の攻略対象(隠しルートでさらに1人)の1年間の恋模様を描いた乙女ゲーム。通称「まじこい」。
シリアスなストーリー展開が評判を呼んで大ヒットし、ファンディスクには悲劇の悪役令嬢・リーゼロッテの孤独と苦悩が綴られた手記も収録された。
冒頭の実況と解説に見られるように、シリアスすぎる路線がハンパない究極の鬱ゲーとして評価されている。
登場人物
※キャストはボイスドラマ版→TVアニメ版
※主要キャラクター原案 / 夏季私服①・②・③
王立魔導学園
いずれ王位を接ぐ王太子で、聡明な3年生。魔法はバランス型。王家に伝わる「異界の神の声」と対話する力に目覚め、二柱の神「エンドー様」「コバヤシ様」の助言によって、学園に迫る闇の存在を知る。
同時に、本心を掴みあぐねていた気の強い婚約者・リーゼロッテの胸中を思わぬ形で知ってしまい、彼女の性格が癖のある照れ隠し=「ツンデレ」であることを心得てからは、その不器用さと元来の優しさに愛情を深めていく。……のはいいのだが、ツンデレの意味を理解してからは赤面含めたかわいい反応があえて見えるようなフォローをして、かわいい姿を堪能している。
リーゼロッテに対しては年頃の青年らしい情動を覚えることもあるが、生来の立場に加えて神に見られているという意識も働き、いたずらっぽくも紳士的な態度で接している。
- リーゼロッテ・リーフェンシュタール(cv: 石上静香→楠木ともり)
紫水晶のような瞳をもつ、美貌の1年生。侯爵家の令嬢で、ジークの婚約者。態度が尊大で物言いもとげとげしいことは十分に自覚しており、自己嫌悪に陥ることもしばしば。いずれ国を背負うことになるジークの孤独に寄り添いたい一心で自らを律し、彼への思慕と献身には崇敬まじりのところがある。
黒幕である「古の魔女」に目を付けられており、しがらみのないフィーネに対する憧れや、ジークとのすれ違いで鬱屈していく感情に付け込まれ、人知れず酷い悪夢にうなされている。
父・ブルーノが当代の将軍を務める軍人の家系ゆえ、魔法のみならず武芸も修めており、槍が得意。身長が少し高めなのを気にしている。
『まじこい』のメインヒロイン。ローズブロンドに空色の瞳をもつ、庶民出身の15歳。突如として魔法に目覚め、王立魔導学園に入学した。恋にかまけて鍛錬を怠ると戦闘パートで死んでしまうが、攻略対象そっちのけで能力を上限まで上げると一人でラスボスを倒してしまう極端なヒロイン。癖の強い母がいる。
実況解説ルートではなぜか初期から能力がカンストしており、高い回復魔法の適性を持ちながら、基本は身体強化と敏捷性を活かした肉弾戦。普段は学園の裏山で実戦訓練ついでのモンスター狩り(と食用肉の確保)に明け暮れている。また「切断された腕を即座につないで返り討ちにする」「2対1(フィーネが1)の模擬戦においてまず補佐役を速攻で殴り倒してから前衛を叩き潰す」など、戦闘時における判断力も迅速かつ正確。
ジーク曰く、座学の成績は絶望的らしい。
- バルドゥール・リーフェンシュタール (cv:杉田智和)
見習いとして騎士団にも籍を置く2年生。リーフェンシュタールの傍系にあたる子爵家の子息で、リーゼロッテとはいとこ同士。本家への婿入り(リーゼロッテの義弟となる)が望まれているようだが、妹のように接してきたリーフェンシュタール姉妹との婚姻には乗り気ではない。姉妹の方も関係そのものは悪くないのだが、ゆえに性格まで把握していることから「バル兄が政略結婚なんて絶対無理」と断固拒否の姿勢。
フィーネの覚醒イベントとなる秋の感謝祭で身を挺して彼女を守りその死が逆転のきっかけになることが基本なルート構成なため、小林さん曰く「死にやすさナンバー2」。悲劇を案じる遠藤くんからゲームシステム「寵愛」を授けられ、その意を汲んだジークによってフィーネの護衛に任ぜられる。バルドゥールルートではもちろん生き延びるため、小林さんはフィーネとの信頼関係の度合いが彼の生存ルートへの鍵と考えるが……。
- アルトゥル・リヒター(コミカライズ版デザイン①・②) (cv:逢坂良太)
3年生。リヒター伯爵家の子息。ジークとは気の置けない幼馴染み。回復・補助魔法に適性のある家系で、若き神官として神殿で実務に就いている。職業柄、結婚の見込みが無いこともあってか、あちこちで浮き名を流してはフられているちょっと残念な色男。
- ファビアン・オルテンブルク(コミカライズ版デザイン) (cv:堀江瞬)
オルテンブルク子爵家の子息。凄まじい威力の攻撃魔法を扱う天才美少年だが、その力を狙う不穏分子に誘拐された経験もあり、やや内向的で、成人男性に対する警戒心が非常に強い。能力の制御と本人の保護を兼ねる形で、11歳で学園に籍を置いている。
- レオン・シャッヘ (cv:八代拓)
シャッヘ伯爵の婚外子。24歳。血縁の身勝手さに翻弄される少年期を送り、その中で出会ったとある女性の生き様に感化され、現在では貴族社会を離れて学園の教職員として暮らしている。状態異常やステータス異常を引き起こす呪いの類を得意としており、外聞の悪さもあって表舞台には出たがらない。
実況・解説席
実況担当の男子。放送部所属の高校2年生。小林さんとの共通の話題ほしさもあって、初めての乙女ゲーム『まじこい』に触れる。リーゼロッテの報われない境遇を心底不憫に思っており、彼女が最愛の人を奪われてしまう「ジークヴァルト攻略ルート」のプレイを最後まで渋っていた。「乙女ゲームで実況解説の練習」という小林さんの提案に折れる形で始めたジークルートで、突然ジークヴァルト本人から語りかけられ、「神の声」としてシナリオの書き換えに挑むことになる。
故障で野球をやめた折に小林さんから放送部に誘われ、失意から立ち直るきっかけをくれた彼女への片思いを募らせている。
解説担当の女子。『まじこい』をファンディスクまで完全攻略して「リゼたん」の虜となっており、同級生の遠藤くんを引きずり込んでジー×リゼの二次創作に手を染めようとしている。死人の出ない「フィーネの逆ハーレムルート」をハッピーエンド扱いしているが、予期せぬ現象で生まれた「最高のハッピーエンド」の可能性に戸惑いながらも、作品の知識をフルに使って最良の一手を模索する。
妙に無防備なところがあるため、遠藤くんからはちょっと心配されている。
リーフェンシュタール家
- ブルーノ・リーフェンシュタール(CV:前田雄)
リーゼロッテの父で当代リーフェンシュタール侯爵。病弱であった兄・アウグスト(CV:財満健太)の病死を受け彼の代わりに家を継いだ過去がある。兄弟仲は良好で、病弱ではあれども人格者かつ為政者としての才覚も十分にあった兄を死後もなお尊敬しており「本来リーフェンシュタールは私ではなく兄が継ぐべきだった」と常々惜しむほど。
- ヨゼフィーネ・リーフェンシュタール
リーゼロッテの母。当代リーフェンシュタール侯爵夫人、という事になるが、実は国内に知られた画家でもあり、普段の家は夫と娘たち(と使用人たち)に任せ、自らは芸術活動のために山の中に建てたアトリエに引きこもっている。かつて「マルシュナーの妖精姫」と呼ばれた令嬢の唯一無二の親友であり、彼女をモチーフにした連作絵画のシリーズである『妖精』を代表作としている。しかし、その代表作は本人にとっては「彼女の美の全てを再現できているものではない」不完全な作品であるらしく「それでも彼女の面影を追わねばとても生きていけない」が故に芸術家特有の苦悩を抱えながらシリーズを描き続けている。
実はエキセントリックな暴走癖があり、感情が高ぶると芝居がかったオーバーリアクションで自己完結の演説めいた語りを朗々と続けてしまうため、その度に夫のブルーノに抱きかかえられてストップされる。
- アデリナ・リーフェンシュタール(CV:大本なな子)/ カトリナ・リーフェンシュタール(CV:飯隈のどか)
リーゼロッテの妹で双子。姉が生真面目で固い上、どこか斜め上な行動を取りやすい部分を間近で見てきた結果、それを反面教師にしたため奔放に育っている。
姉であるリゼの事は大好きで「姉の事をきちんと見抜いてくれる人じゃないと、姉はやれない」とか真顔で言うレベル。
上述のように下の妹ともどもに誰かがバルと結婚してリーフェンシュタールを継がねばならないと言われているのだが、自分たちの奔放さやバルの不器用加減から「もし万が一にもバル兄自身が惹かれる人を見つけてしまったら婚約破棄まっしぐらだから絶対に嫌!」として徹底拒否の構えを見せている。(実際、バルはフィーネと巡り合って接近しているので、この危惧は正しい)
なお「まじこい」では姉の死後、姉の敵討ちのためジークとフィーネの前に立ち塞がり二人を詰り精神的に追い詰めていくトラウマ級の策士系悪役令嬢として立ち並ぶ模様。
一方、本編ではリゼがフィーネを家に連れてきたために関係は超良好。フィーネのカンスト身体能力を見込んで狩りに誘ったりしている。のちにフィーネがリーフェンシュタール家の一員になった時にも、家を継ぐ責任やバルとの婚姻から逃れる事が出来るという打算込みで姉妹が増えたと大喜びしていた。
- ツェツィーリエ・リーフェンシュタール(CV:白石ゆきね)
リーゼロッテの妹で、リーフェンシュタール四姉妹の末妹。いわゆる素直クールなのだがクール方面が振り切っており、一見すると何を考えているか解らない微表情の少女。やっぱりお姉ちゃん大好き。武門の家たるリーフェンシュタールの娘らしく「強い人が好き」と言ってはばからず、強いと評判の人物を見つけては道場破りのごとく挑みまくりたがる。のちにファビアンに一目惚れ。彼の能力や人格的な資質を即座に見抜き、出会い即刻逆プロポーズという暴挙に出てしまった。
全ての元凶
- リレナ(CV:伊藤静)
この世界を産み出した創造神の片割れのひとり。ジークたちからは「創造の女神リレナ」として知られ崇められる存在で、この国が奉じている女神でもある。あるのだが……ある悲劇に見舞われて闇堕ちしてしまったDV被害者でもあり、長い時代において自らと波長が合ってしまった人間に取り付いて悪意を振り撒いては封印される事を繰り返し、いつしか伝説の厄災「古の魔女」扱いされる羽目となり、本作時間軸では魂の波長が合うリゼに取り付く事を目論んで彼女へ闇堕ちを働きかけるようになる。
ジークたちによる「古の魔女討伐」によって浄化されて正気を取り戻すと、復活即、全力土下座を披露。本騒動の真の黒幕の存在を明かし、ジークたちおよび遠藤くんと小林さんを狙う本当の危機を告げる。
- クオン(CV:福山潤)
この世界を産み出した創造神の片割れのひとりとなる男神。しかし、その存在は歴史から忘れ去られている…というか、ある目論見のために自分から存在を消した。
本作における全ての元凶、だいたいこいつのせい。そして純黒のDV野郎。
自らとリレナで産み出した「はじまりの人間」であるつがいアーダムとエーファのうちエーファに惹かれて横恋慕するようになり、アーダムを殺りエーファを奪わんと画策。アーダムの殺害こそは成功するもののエーファには振り向いてもらうどころか「夫を殺した敵」として殺意を抱かれる事に。しかし、自身はそれを受け入れられず、自らを諭さんとするリレナにモラハラDVの限りを尽くして闇堕ちさせ、自ら死と転生を選んだエーファを追う羽目に。
自らもエーファと同じ人間になるために、遠藤くんと小林さんがいる地球に目を付け、同地に住まう大学生である久遠桐聖に対して彼の大病につけこんで、まんまと憑依転生(桐聖本人の人格は辛うじて残っている)を果たす。
そしてエーファと魂の波長の似る小林さん(もしくは小林さんのお姉さん)を「この世界のエーファの器」として目を付け、転生したエーファを小林さん(orお姉さん)に憑依転生させるため暗躍を始めてしまった。
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