概要
1975年から1979年にかけて週刊少年ジャンプ(集英社)に連載された漫画。作画・平松伸二、原作・武論尊。
「ドーベルマン」と恐れられる刑事・加納が、凶悪な犯罪者達に立ち向かう姿を描く。
また、2012年から2013年にかけて週刊漫画ゴラク(日本文芸社)にて続編にあたる「新ドーベルマン刑事」が掲載されている。
過激派や凶悪事件が新聞を賑わせていた時代の作品だけあって、バイオレンス描写は今日では考えられない程過激で、主人公の加納は「毎回のように犯人を射殺する」ことで悪評高く、.44マグナムを街中でも平気でぶっ放す。
モブキャラも孤児を門前払いする採用担当、人探しのチラシを真面目に読まずに貰ったその場で捨てる通行人、孤児への差別意識を持っていたり二次加害でしかない記事を書こうとする記者等、ある意味で犯罪者より厄介な連中がいる。
もっとも犯人サイドも、世間を震撼させる凶悪犯や、血も涙もない冷血漢ばかりなので、そういった輩に問答無用の鉄槌を下してゆく加納の姿には多くの読者が溜飲を下げ、約4年の連載期間の間、大人気を博していた。
登場人物
- 加納錠治:主人公。警視庁特別犯罪課、通称「特犯課」所属の刑事。愛銃はスターム・ルガー・ニュー・スーパー・ブラックホーク。「狂犬」「ドーベルマン」と犯罪者達には恐れられ、暴力的な捜査や、凶悪犯は「ド外道が~!」と問答無用で射殺する非情さにより、警視庁内部や新聞記者からも問題視されている。クールでハードボイルドな性格の為、滅多に笑う事もないが、孤児院出身という事もあって、子供や社会的弱者には優しい。
- 西谷博:特犯課主任で加納の上司。東大卒のエリート。加納の最大の理解者であり、彼がいかに世間や警察上層部から非難されようとも、犯罪に命懸けで立ち向かう加納を全力でサポートし、見守っている。
- 三森竜子:特犯課所属の女性刑事(後に少年課に転属)。当初は加納と対立する事も多かったが、いつしか彼に惹かれてゆく。
- 宮武鉄二:大阪出身で、ゲタ履きに半纏と腹巻姿という型破りな刑事。愛銃は.44オートマグ。加納と勝負したいという理由で転勤してきた。加納と負けず劣らずのバイオレンス派だが、根は人情家。
- 綾川沙樹:特犯課所属の女性警官。祖父は長野県の駐在巡査、父親は暴力団竜神会の会長というすごい家系。作品が過激化する一方だったので、マイルド化させるためのテコ入れキャラとして登場した。
映像化
1977年に東映東京撮影所の手によって映画が作られ、主に東映系の映画館で上映された。出演は千葉真一、ジャネット八田(田淵幸一の現在の嫁)、松方弘樹ほか。監督は深作欣二。
原作のプレストーリーという位置づけで作られている。
1996年にはギャガ・コミュニケーションズの手によってビデオ映画化されている。出演は竹内力ほか。
「爆走! ドーベルマン刑事」というタイトルでテレビドラマ化された。
1980年4月から10月にかけて、テレビ朝日系列にて月曜20時台に放送された。制作は東映東京撮影所。出演は黒沢年雄ほか。
ただし、原作との関わりは主人公の名前を拝借した位であり、内容は覆面オートバイ部隊と3頭の警察犬の活躍を描くという、似ても似つかぬ作品。
いずれの作品も、平松をガッカリさせる出来であった。
余談
- 連載第1話の加納に復讐しにくる精神障碍者が、よだれを垂らしたいかにもなキャラだったため、市民団体から抗議が来て、武論尊は少年ジャンプ編集の中野祐介、後藤広喜と共に謝りに行くことになった。平松が呼ばれていない理由を聞くと後藤が「平松くんは未来があるから」と答えたので『俺には無いのか!?』と思ったという。
- 武論尊は市民団体に吊るし上げを食いながらひたすら謝っていたが、女性の団員が「原作者の先生はどこの学校を出られてるんですか」と聞き、中卒だと答えると「そんなだからこんなのしか書けない」と堂々と学歴差別を始めたので、キレて立ち上がろうとしたが編集の2人に押しとどめられた。しかし、市民団体の人達も『このババア、言ってはならない事を言いやがった…』と思ったらしくシーンとしてしまい、それ以上の追求は無かった。
- 問題があった第1話なのに、集英社の不手際で単行本の初版だけそのまま収録されてしまった。2版以降は修正されており、レアなグッズとなっている。
関連タグ
マーダーライセンス牙、ブラック・エンジェルズ、外道坊…同様にド外道に鉄槌を下す平松伸二作品。