概要
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』(およびそれを原作としたアニメ)のエピソードの一つ。TC3巻収録。
ストーリー
空き地でしずかとスネ夫が会話している様子を見かけたのび太。声をかけると、しずかが「今朝、愛犬のペロが死んでしまった」と告げる。しずか曰く、ペロは彼女が赤ちゃんだった頃に源家で飼われることになり、ずっと一緒に育って来た。しずかが野良犬に襲われている時も、ペロが命懸けで助けてくれたこともあると言う。
のび太は涙を流しながら、しずかに「ペロを生き返らせよう」と約束する。その話を聞いたドラえもんは驚愕し、「死んだものを生き返らせるなんて…いくら僕でも出来ることと出来ないことがあるよ!」と言い放つ。のび太から土下座で頼み込まれるも、ドラえもんは困り顔で「そんなことが出来るなら、地球が生き物で埋まってしまうよ。早く断って来てくれ」と言う。
困り果てたのび太は源家へ向かうも、既に亡くなったペロの傍でしずかが泣きながら「のび太さんが言ったのよ。ドラちゃんに頼めば何とかしてくれるって」と言う様子を目撃する。のび太はしずかにペロを生き返らせることは無理だと言えなくなってしまい、悩みながら家へ帰ろうとする。しかしのび太が中々来ないと考えたしずかは野比家へ向かうと、玄関前でのび太に呼び掛け始める。
その様子を見たのび太は家に戻ることさえ出来ないと焦っていると、ドラえもんがやって来る。ドラえもんは「万病薬」(作中では「どんな病気にもきく薬」と呼ばれている)を取り出すと、のび太に「タイムマシンで昨夜に戻り、ペロが死ぬ前にこの薬を飲ませれば良い」と説明する。
ドラえもんとのび太はしずかに気付かれないようにしながら野比家に入り、「タイムマシン」に乗り込んで夜中の12時頃へ戻る。源家へ向かう途中、ドラえもんは「薬だから効かないこともある」と説明するが、のび太は「とにかく、やれるだけやろう」と言う。
ドラえもん達が源家に着くと、衰弱しているペロをしずかが心配していた。両親から「ペロはもう大丈夫だから寝なさい」と言われても、しずかはペロから離れようとしない。それだけでなく、しずかは涙を流しながらペロを抱き締め、「ごめんねペロ。私には、どうにもしてあげられないの」と呟く。
その様子をドラえもん達が眺めていると、警察官から声をかけられる。のび太が警察官から「夜中に人の家を覗き込むなんて怪しい」と言われている隙に、ドラえもんは「タケコプター」を警察官に取り付け、そのまま彼をどこかへ飛ばしてしまう。
その後、両親に説得されたしずかが家の中に戻ると、ドラえもん達はペロの元へ向かう。ドラえもんがペロに薬を飲ませると、ペロはそのまま気を失ってしまった。のび太が「死んじゃったじゃないか!」と慌てるが、ドラえもんは冷静に「眠ったんだよ。治れば明日目が覚めるし、ダメならこのまま」と説明する。
「出来ることはやった」と考えたドラえもんはのび太を連れて元の時間へ戻ると、しずかが待ち構えていた。ドラえもんとのび太はしずかに連れられる形で源家へ向かうが、2人は昨夜の薬が効いていることを祈るしかなかった。
ドラえもん達が源家へ到着すると、無事に病気が完治したペロが飛び出して来た。しずかは涙を流しながらペロが生き返ったことを喜び、ドラえもんとのび太もその様子を眺めながら「今日は本当に気持ちの良い日だね」と言う。
そしてしずかはドラえもん達やペロを連れて遊びに出かけ、笑顔で「秋空を飛び回りたいような、素敵な日ね」と言うのだが、彼らの後ろでは昨夜タケコプターを取り付けられた警察官が、正に秋空を飛びながら叫んでいるのだった。
登場人物
ドラえもん
のび太から「死んでしまったペロを生き返らせて!」と無茶を言われるも、「万病薬」と「タイムマシン」を併用してペロを救う方法を思いつく。
のび太
しずかの愛犬であるペロを蘇らせる為、無茶な約束をしてしまう。
しずか
愛犬であるペロが死んでしまったことを悲しんでいたが、のび太が「ドラえもんに頼んでペロを生き返らせてもらう」と約束してくれたことに望みを託し…。
スネ夫
ドラえもんとのび太の友人。
冒頭でしずかを慰めていたが、それ以降は全く登場しない為、影は薄い。
ペロ
源家で飼われている犬。
しずかとは幼少期の頃から仲良しで、彼女と共に育って来た。冒頭では既にしずかの声も耳に届いていない様子だったが、ドラえもんとのび太が過去に遡ったことで…。
ひみつ道具
飲むだけでどんな病気でも治療することが出来る。詳細は項目を参照。
お馴染み過去や未来へ自由に行くことが出来る乗り物。
今回はペロがまだ生きている時間へ遡る為に使われた。
お馴染み空を飛ぶことが出来る道具。
今回は警察官を強引に追い払う為に使われた。
余談
上記のエピソードでは、ドラえもんは「死んだものを生き返らせることは出来ない」と発言しているが、TC2巻収録「タイムふろしき」及びTC11巻収録「化石大発見!」、大長編及び映画『恐竜』の作中で、ドラえもんやのび太達は「タイムふろしき」を使用してワニ革の鞄を生きたワニに戻したり、三葉虫の化石や首長竜の卵の化石を蘇らせている(「タイムふろしき」〈『小学四年生』1970年12月号掲載〉は「ペロ! 生きかえって」〈『小学二年生』1971年11月号掲載〉より前に描かれたエピソードである)。
派生作品を含めれば、学習漫画『ドラえもん 大昔大探検』では、ドラえもんが「よーし。タイムふろしきで生きかえらせてやる」と言いながら風呂敷をミイラに被せ、既に死亡した人間を生き返らせている。
また、上記のエピソードはドラえもん達が「タイムマシン」で過去に遡ったことで、ペロの死がなかったことになったということなのか、ドラえもん達が昨夜に遡ってペロに薬を飲ませたことで、朝になってもペロはまだ眠り続けたままとなり、その様子を見たしずかが「ペロが死んでしまった」と勘違いしただけで、そもそもペロは最初から死んでいなかったということなのかは不明。
ちなみにペロは上記のエピソードだけでなく、TC14巻収録「ヨンダラ首わ」にも登場しており、TCプラス6巻収録「持ち主あて機」では直接登場こそしていないものの、しずかがペロを飼っていることが言及されている。
ただし「ヨンダラ首わ」については、2020年版(水田わさび版アニメ)では「ペロ! 生きかえって」と同じペロが登場しているが、原作版では子犬である。それだけでなく、派生作品を含めれば『月面探査記』にも「ペロ! 生きかえって」と同じペロが登場している。
また、他の作品でもペロと見た目はほぼ同じだが名前が違う犬が何度か登場している。TC12巻収録「はいどうたづな」ではチロ、TC16巻収録「ドロン葉」ではシロという犬が登場している。