概要
2020年12月30日に全米公開を予定。日本では、最新作『MHR』の発売に合わせて2021年3月26日に公開された(本来はもっと早く公開される予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期された)。
監督はポール・W・S・アンダーソン、主演はミラ・ジョヴォヴィッチと、同社の『バイオハザード』の実写版でお馴染みのコンビが再びカプコンの人気作の実写化に挑むことで大きな話題となった。
過去のインタビューを読む限りでは、『バイオハザードV:リトリビューション』の公開された、2012年下半期ごろには既に製作の構想があった模様で、それから実に8年近くの歳月を費やして、ようやく実現させたということになる。
主人公は、現実世界の米軍大尉ナタリー・アルテミス。
砂漠で失踪した偵察チームの捜査のため、自身の所属部隊と共に現地に赴くが、突如出現した“ポータル”に引き込まれ、モンスターと人間たちが激しい生存競争を繰り広げる「新世界」に迷い込んでしまう…という、所謂異世界転移モノ。
原作の中でも撮影当時の直近タイトルである『モンスターハンター:ワールド』および『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の影響が色濃く、本作から登場するスリンガーを使用するシーンや、大団長や受付嬢の姿も見られる。その一方で、ネルスキュラやゴア・マガラ等MHWの舞台である新大陸には見られなかったモンスターの姿も見られるため、様々なシリーズの要素を複合した作品でとなっている。
製作にあたってはカプコンによる監修もきちんと行われており、原作のイメージから乖離した作品にならないよう配慮されている模様である(これについては、『バイオハザード』の実写版がシリーズを経るにつれて原作から乖離した内容になっていってしまったことの反省もあると考えられる)。
なお、監督のポール氏は早くも続編の製作に向けて準備を進めているらしい。
……のだが、公開から1年経った2022年12月現在でも続編の情報はない。
原因としては、予算が海外ドルで6000万ドル(日本円で約56億円)なのに対し、興行収入は海外ドル3100万ドル(日本円で約42億円)と興行収入が予算より低かったことや、この映画自体がアクション等が高評価だったのに対し、脚本、演出、編集は低い評価を付けられてしまっていること。さらには後述の余談にある中国の上映において、劇中のシーンに中国人や日本人に対する差別的な表現を想起させる台詞があることが問題視され、中国にて公開が中止されてしまったことが原因と見られている。
果たして、続編は作られるのだろうか……。
登場モンスター
監督により、今作には小型を含めて総勢6体のモンスターが登場する。
原作でのモンスターの数の多さを考えると少なすぎる気もするが、予算などの都合もある関係上仕方がないと言えるだろう。
お馴染み砂漠地帯の暴れん坊。
モンスターハンターの世界に迷い込んだ一行が最初に対峙するモンスターであり、同時に主人公達にとって乗り越えるべき最初の壁として立ちはだかる。
シリーズを代表する空の王者。
実は本作に登場するものは極めて特殊な個体とされ、通常種よりも巨大かつ強力な存在となっている。
蜘蛛のような姿をした不気味な風貌のモンスター。
砂漠に住むという亜種に近い生態を持ち、さらに群れを成して行動するなど、ゲームとはまた違った恐ろしさを持つモンスターとして描かれている。
未知のウイルスをまき散らす黒色のモンスター。
全てを終えた主人公達の前に突如として姿を表して彼らに襲いかかり、最後の激戦を繰り広げる。
お馴染みホーミング生肉。
やはりというか本作でもハンターとモンスターの戦いに巻き込まれて散々な目に遭う。
砂漠に棲む小型の魚竜。
アルテミスたちのご飯。
キャスト
役名 | 演者 | 吹き替え |
---|---|---|
ナタリー・アルテミス | ミラ・ジョヴォヴィッチ | 本田貴子 |
ザ・ハンター | トニー・ジャー | 松坂桃李 |
リンク | ティップ・“T.I.”・ハリス | 杉田智和 |
ダッシュ | ミーガン・グッド | 井上麻里奈 |
マーシャル | ディエゴ・ボネータ | 宮野真守 |
ハンドラー(受付嬢) | 山崎紘菜 | 〃 |
アドミラル | ロン・パールマン | 大塚明夫 |
スティーラー | ジョシュ・ヘルマン | 中村悠一 |
アックス | ジン・オウヤン | 花江夏樹 |
※1 吹き替え声優は、「モンスターハンターが大好きな人」という基準で選ばれたとのこと(ただし、本田貴子は長年ミラ・ジョヴォヴィッチの吹き替えを専属で担当していた声優の1人であり、声優としてのキャリアも当然ながら選定の基準にはなったと思われる)。
※2 杉田智和、宮野真守、大塚明夫、花江夏樹はゲーム版の方にも出演経験がある。
余談
本作のロケは南アフリカで行われた。
監督によると、ジャングルや砂漠等、色々な景観が存在するため撮影にうってつけだったらしい。
ただし、砂漠でのロケは50℃近い気温(しかも天候が変わると気温が大きく下がり、風も強くなったらしい)の中での撮影となったため相当酷だったらしく、主演のミラも「あれよりつらいことはない」と述懐している。
中国では日本よりも早く上映が行われたのだが、公開からしばらくして、中国人や日本人に対する差別的な表現を想起させる台詞があることが問題視され、公開が中止されてしまった。
監督のアンダーソン氏は謝罪した上で、該当のシーンを削除し、改めて公開し直すとする声明を出している。
ゲームとのコラボ
『アイスボーン』にて、本項の映画とコラボしたイベントクエストが実装された(2部構成)。
内容は、再びポータルを通ったアルテミスが、本作世界へ迷い込んでしまうというもの。翼竜で空を横切った本作の大団長の背中を見た彼女は、彼を自身の知る大団長と勘違いし追いかけようとするが…
このクエストで、映画でアルテミスが活躍した世界と本作世界が別次元であることが明確にされた(ただ、アルテミスが残した手帳などから本作世界が映画世界の過去であるとも匂わされている)。また『ウィッチャー3』コラボクエストと同様、プレイヤーは一時的にアルテミスを操作することになり、これまで集めた武器防具やアイテムも使用できない。因みに『ウィッチャー3』でのゲラルトが専用の片手剣「ウィッチャーの銀の剣」を装備できたのに対し、アルテミスは専用の双剣「アルテミスの双剣」が装備できる。
なお、本クエストではプレイヤー各々の言語設定に関係なく、アルテミスが英語(当然、声はジョヴォヴィッチ氏)、大団長がモンハン語を話してストーリーが展開される。手帳を元になんとか意思疎通をはかろうとするアルテミスと、彼女を勝手に「5期団か6期団(?)」と思い込んで指示を与える大団長のやり取りはなんともコミカルである。また、限定のクエスト報酬を元にアルテミス装備の作成が可能になる。この防具一式は、序盤としては高い防御力と体力系統の強化や防音耐性スキルが組まれていたりとかなりの高性能で、本編中盤までは他装備と併用しながら実用できるだろう。
関連動画
関連項目
オズの魔法使い:この映画の主人公であるナタリーが、「新世界」に飛ばされる経緯が、本作の主人公であるドロシー・ゲイルがオズ王国へ飛ばされる経緯を連想させる。