概要
普通のコガネムシからカブトムシまで属するコガネムシ科、およびそれに近いセンチコガネやクワガタムシなどの甲虫の幼虫が該当する。
「すくもむし(蠐螬)」・「ねきりむし」・「入道虫」とも呼ばれる。英語は通称「grub」(グラブ)、学術的には「scarabaeiform larva」(コガネムシ型幼虫)という。
体は肥満で柔らかく、乳白色の体表から往々にして灰色の内容物が見える。硬い頭部はオレンジ色から黒褐色で、目はなく、短い触角と頑丈な顎を持つ。胸部の脚は短く、前胸と腹部の体節ごとに気門(呼吸用の穴)が両筋に並ぶ。芋虫と異なり腹脚(腹部の脚として機能する突起)を持たない。
地域によっては単に地中で住む昆虫を指して、ケラなどまで地虫と呼ばれる場合もある。また、オーストラリアでは樹木に住む一部の大型蛾の幼虫が「witchetty grub」と呼ばれたりする。
生態
腐植食・草食・糞食のものが知られている。普通のコガネムシやカブトムシのように地中で住む種類の方が一般に知られるため総じて「地虫」と呼ばれるが、クワガタムシは多くが朽ち木の中で、フンコロガシやセンチコガネなどの糞虫は糞の中で暮らす。いずれにせよ無防備であり、羽化するまで基本外に出ることない。
移動方法はミミズのように体を伸縮して潜るのではなく、全身をC字状に曲げてクルクル回りながら前述した環境を掘り進む。掘れない場所に置かれてしまうと一般には短い脚で慌てて歩くが、ハナムグリの場合は背中で接地し、仰向けながら蠕動して進む。
蛹化の時が近づくと、身の回りに蛹にフィットする楕円形のスペースを押し出し、自分の糞で内壁を補強して繭を作る。
多くの地虫は大人しいが、一部の種類は凶暴で、顎を触れた部分に向けて反撃したり(コーカサスオオカブトなど)、同じ環境に住む別種の地虫を排除したりする(ムナコブクワガタなど)。