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変格

へんかく

変則的なありさま。文芸界隈では「変格ミステリー」の略称として用いられる。
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意味編集

1.正規格式でないこと。変則とも。(「広辞苑」第六版より)

2.「変格活用」の略。(同上)

3.変格ミステリーのこと。本稿で解説。


歴史編集

明治よりはじまる文明開化の波は日本の文芸界隈にも押し寄せることになった。


それ以前より本邦でも捕物帳という括りで類似のものが多数存在したが、エドガー・アラン・ポーコナン・ドイルらの海外の文豪の作品らの影響をうけることで日本国内の文芸界隈にもにわかに推理小説に代表されるミステリーという概念が出現することになった。多くの人が知るように、現在でも人気のジャンルである。


……ただし、本邦における「ミステリー」は、当初は「ストーリー経過と共に徐々になどの伏線が回収される」という構図からSF伝奇冒険物(※一部の戦記ものや現在のハードボイルド系も含む)、等々を一緒くたに捉えられるケースが多かった。

当然ながらこれによってその棲み分けに大きな混乱が生じることになった。そして、これの差別化をおこない本邦の「ミステリー」をより確定した概念とするために尽力した人物の一人が江戸川乱歩その人である。


乱歩とその周囲の尽力でこれらは徐々に個別ジャンルとしての道を歩み出すことになった。


そして、こららを切り離したうえで提唱されたものが「本格ミステリー」である。

綾辻行人が自著『十角館の殺人』内で述べたそのイメージは、


  • 小説という形式を使った「読者 対 名探偵」の、あるいは「読者 対 作者」の、刺激的な論理の遊び(ゲーム)
  • 小道具や世界観は、『名探偵』、『大邸宅』(※あるいは無人島などのそれに類似した閉鎖空間)、『怪しげな住民たち』、『血みどろの惨劇』、『不可能犯罪』、『破天荒な大トリック』……ect
  • 作中に登場する名探偵たちは「灰色の脳細胞(=頭脳閃き)を唯一の武器」にして眼前の謎に挑むことになる。
  • まとめると、その本質は論理”と”推理

……まさに現在の「推理小説」の王道、そのイメージそのままである。

成立時期は諸説あるが、だいたい大正昭和のはじめには大枠は出来上がっていたとされる。



そして……この本格の枠組みにとらわれない、いや言葉を選ばずに言えば一応はミステリーを名乗ってはいるがまったくの埒外の作風のものも当時はコアな人気を博していた。

これを総称したものを「変格ミステリー」と呼んだわけである。



傾向編集

乱歩自身が著した『人でなしの恋』や『盲獣』等を一読すればわかるだろうが、一応はミステリーではあるがほとんどホラー小説というべき内容となっている。


エログロナンセンスとの親和性も高く、戦後もガロ系などのコアなサブカルやアングラ界隈に強い影響力を与えた。



関連タグ編集

ミステリー

怪談 サイコホラー

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