概要
小畑健との共著『DEATHNOTE』で一躍有名になった漫画原作者。
社会現象とも言うべき大ヒット作となった漫画の原作者でありながら、その経歴や素性の多くが秘密とされており、その正体についてネット内でたびたび議論が重ねられていた。そして、作品内に隠されたいくつかの特徴から、「正体は『とっても!ラッキーマン』で知られるギャグ漫画家のガモウひろしではないか?」という噂が瞬く間に広がり、一種の都市伝説として扱われるようになった。
その後、次作である『バクマン。』の単行本には、大場つぐみ本人が作成したというネームが掲載され、描かれたキャラの顔立ちなどの画風の類似性から、上記の説はいよいよ高い信憑性を持って語られることとなった。
2014年には『となりの怪物くん』のろびこと組んで週刊ヤングジャンプに読切『スキップ!山田君』を掲載。
最新作は小畑と共にジャンプSQにて連載した『プラチナエンド』。
ガモウ=大場説の数々の根拠
- 大場が描いたとされる『DEATH NOTE』13巻掲載の原案ラフ、『バクマン。』の単行本で公開されたネーム、アニメ版公開前NHK宛に送ったトータルテンボスの似顔絵、WJ50周年記念色紙の絵(ガモウは巻末コメントのみ参加)、『ジョジョの奇妙な冒険』20周年記念の寄稿イラストなどの絵柄がガモウと似ている。
- 更に『ジョジョ』寄稿の際に「4部の生原稿をジャンプに載る前に見させていただいた」とコメントを残しているが、4部の連載期間は1992〜95年、大場のデビューは2003年のため辻褄が合わないこと。仮にガモウなら1992年の時点で漫画家として活動しているため不自然ではない。
- WJ50周年記念号の巻末で、大場が「ここにもコメントさせていただき」と意味深なことを書いている。(同誌にはガモウも巻末コメントを送っている)
- 2007年、『バクマン。』が連載会議すらされていなかった頃、2chにてガモウの息子を名乗る人物が「大場つぐみも鷹野常雄(『DEATH NOTE』と『バクマン。』の間に小畑健作画で連載されていた『ラルΩグラド』の原作者)もガモウのPN」と書き込んだ上、「今度はパンツが主人公の絵本出す」「オヤジの次の漫画は漫画家を目指す少年と声優を目指す少女の話らしい」などと後のガモウ・大場両名の作品の内容を予言した。
- この予言通り、2003年以降全く活動していなかったガモウが突如として2008年に絵本『でたぁーっわんつーぱんつくん』で復活を遂げた。(『DEATH NOTE』は2003~06年、『ラルΩグラド』は2006~07年に掲載)
- 2009年に刊行された『ラッキーマン』文庫版で「(『ラッキーマン』の印税以外で)どうやって生活費を稼いでいるんですか」という読者の質問に「一番聞いてはいけないこと」と応えている。
- 編集者のスキャンダルを暴露した事でも有名な漫画家・木多康昭も大場つぐみの正体をガモウだと公言した事がある。
両名の作品での描写
- 初期はギャグが飛び交っていた『ラッキーマン』であるが、終盤ではコマの半分が台詞のみで埋まるほど台詞が長くなっており、同様の現象が『DEATH NOTE』でも見受けられること。
- 例を挙げると『ラッキーマン』最後の長編である大宇宙編では小宇宙神たちが3ページに渡り会議を繰り広げる回があるが、そのやりとりが『DN』のヨツバ死の会議とよく似ている。
- 『DEATH NOTE』第1話に「蒲生ゼミナール」という塾が出てくる。
- 『バクマン。』第1巻の表紙に『ラッキーマン』の単行本と思われる本が描かれている。
- 『BAKUMAN』の下半分を少し隠すと『RAKIIMAN』に見える。
- 『バクマン。』に登場する「川口たろう」の設定がガモウに似ている。
- 例として「ギャグヒーロー漫画家」「絵が非常に下手」「代表作の後に描いた2作品は鳴かず飛ばず」など。
- また川口の代表作『超ヒーロー伝説』にも『ラッキーマン』のパロディと思しき要素が複数登場している。(例:「『男のロマン』をもじった名前のヒーローが登場」「OPアニメーションの演出が『ラッキーマン』のOP(所謂金田演出)のオマージュ」など)
- 序盤にて、数年前亡くなった川口の遺産を甥のサイコーが受け継ぐという、仮に大場≠ガモウであった場合ガモウに大変失礼と言わざるを得ない描写がある。
- 『ラッキーマン』に「こしがやたろう」という投げやりな名前の悪役が登場しており、川口市は越谷市のすぐ隣である。
- また川口市に川口太郎焼きという銘菓もあるので、むしろ越谷太郎の方がマネした可能性もある。
- 『バクマン。』の主人公2人のペンネーム「亜城木夢叶」をローマ字にしてアナグラムすると、ASHIROGI-MUTO→GAMOU-HIROSHIになる(Tが余るがTSUGUMIのTと解釈できなくもない)。
名前の由来
「大場つぐみ」というペンネームの由来についてもいくつかの説があり、そのうち最も有名なのが以下の逸話。
ジャンプ編集部には、持ち込まれた原稿のうち、本誌に掲載されることなく不採用(ボツ)となったものを保管するための、大きな×(バツ)印が描かれた箱がある。そして、幾度となく原稿を持ち込むも、実力不足等でことごとくボツにされてしまう漫画家は、上記の箱にちなんで「大バツ組」と呼ばれている。
一説では、原作者として再スタートを切った件の漫画家が、ストーリー作成の才能に恵まれながらも画力がそれに追いつかなかったために、長らく「大バツ組」として不遇の時代を歩んできた自身に対する自嘲を込めてつけたペンネームが、「大バツ組」→「おおばつぐみ」→「大場つぐみ」である。
ただし、この話もあくまで都市伝説の一つであり、その真偽は不明である。
なお、大場つぐみ・鷹野常雄・ガモウひろしと漫画原作者が複数のPNを持っているのは特に珍しい事ではない。
一例(先達)として梶原一騎(高森朝雄)や武論尊(史村翔)や樹林伸(天樹征丸等複数)や宮崎まさる(写楽麿等複数)や名木田恵子(水木杏子等複数)といった原作者たちがいる。