L(DEATHNOTE)
える
「正義は必ず勝つということを」
「私はLです」
「い…命を懸ける事と 命をやすやすと奪われる可能性があることをするのは 正反対の事です」
第一部のもう一人の主人公。世界の警察権力の「影のトップ」であり、「最後の切り札」ともいわれる世界一の名探偵で、ICPOでも絶大な発言権を持つ。
これまで数多くの難事件をほぼ単独の捜査で解決してきた天才的人物であり、その多大な功績のためにFBIすらもLからの捜査指示に逆らうことはできない。一方でその捜査手法は傲慢と取られることもあり、キラ事件捜査においては多くの日本人捜査官の反発を招くに至った。
警察が手に負えないような難しい事件にしか興味を示さず、自らが興味を惹かれた事件以外には決して介入しないとされ、ICPOの会議内で「わがままな人物」と公然と非難されることもあった。とはいえ生涯で解決した事件は分かっているだけでも3500件にも上るという。
なお、劇中では便宜上「探偵」と称されているが、全世界の警察に対する命令権を持つなど超法規的な存在である事が劇中から窺え、現実世界における「探偵」とはその実態は大きく異なる。
(とはいえ、キラ事件における日本国内の捜査では日本の法律を尊重する姿勢を一応は取っている)
普段はワタリと称する代理人を介して各国警察に指示を出し、自身が表舞台に出ることは決してない。だが、キラ事件においてはキラ=夜神月の策略によって自ら前線にて捜査指揮を執らざるを得なくなる。そしてその結果……
人柄
天才肌にありがちな相当な変人であり、同じ天才でも(表向きではあるが)外交的な性格である夜神月とは異なり、周囲との協調などはあまり意に介さない性格。
L自身曰く「幼稚で負けず嫌い」であり、その辺りは月の性格とも似通っている。独自の正義感の下にキラに対しては強い敵対心を覗かせる。
また、本編中では自身を「正義だ」と称する発言があるが、一方で連載終了後に描かれた特別編ではワイミーズハウスの子供達に「正義か悪かで言えば自分自身も幾つも法を犯している悪人である」という旨の発言もしている。
しかし、この自身の行為がまるで正しい訳ではないと理解しているという「悪の自認」こそが、殺人という最大の禁忌を犯しながら、その罪を独善的な正義で覆い隠そうとするキラとの相違であり、対極にもなっている。
しかし月のようなカリスマ性がある訳ではなく、自分の考えを周囲に理解させ徹底することはあまり得意ではない。必要とあらば自身の捜査に協力する人間をも欺く。劇中で「レイ・ペンバーの尾行対象者の中にキラが居る可能性」について、「5%です」と捜査本部の人間には語っているが、実はこの数字は出鱈目でLが確率を口にした時点で彼の中での疑惑は9割を超えている(この事について原作者は「彼は嘘つきですから」と語っている)。
引きこもりがちに見える外見とは裏腹に、捜査ではキラ容疑者である月への直接の接触に代表されるように積極的で大胆な行動を取るが、時にその手法は法や人道を無視した強引な捜査手法となることもある(死刑囚を自分の身代りにTV出演させてキラに殺させる、容疑者宅に盗聴器と監視カメラを付ける等)。基本的に常に冷静で、感情的になることはないが、キラ事件においてはキラの挑発的な行動に怒りを見せるシーンがあったり、第2のキラにより宇生田が殺害された際に相沢の前で身体を震わせるシーンがある等、感情的な行動も幾つか見られた。
過去に関しては断片的にしか描かれていないが、ワタリ=キルシュ・ワイミーが各分野に秀でた優秀な子供たちを集めて育成する孤児院「ワイミーズハウス」で幼少期を過ごしていた。
ある程度成長してから犯罪捜査に「どんなゲームを解くよりも難しい」と興味を持ち始め、その才能を発揮し始めるとワイミーズハウスは「Lの後継者を育成する機関」としての側面を帯びるようになっていった。
容姿
13巻で原作曰く「美形じゃない」というコンセプト。
容姿は痩せ形。やや猫背ぎみ。頭髪は耳が隠れる長めの黒髪で、いたる部分がはねている、服装は常に白い長袖のシャツとよれよれのジーンズを着用している。常に裸足で靴下が嫌い。外出時は裸足のまま靴の踵を踏んづけて履く。服は同じものを何着も持っており、ワタリが管理しているため無精そうな見た目に似合わず意外に清潔である。
三白眼で目の下にクマがある。初期の頃は眉毛があったが、途中から描かれなくなっている。いつもケーキや飴などの甘い物を食べている甘党だが、太ることはない(甘いものを食べても頭を使えば太らないらしい)。本人いわく「頭を働かせるためには糖分が必要不可欠ですから」とのこと。実写版では月の使ったトリックを見抜いていたのかどうかは不明であるがポテトチップスも食べており、『LcW』でもまだ買い置きがあったらしく「BOY」が勝手に袋を開けて頬張っている。
- 原作者の認識では作中で最高の頭脳の持ち主である(13巻での作者インタビューにて。曰く「漫画の設定上そうでないといけないから」)。キラ事件を解決したニアはともに後継者として育てられたメロも引き合いに出したうえで「一人ずつではLを超えられない」と発言している。直接の駆け引きでは月を常に押しており、海砂確保の時点までは月に対して勝利目前だったと言ってよい。月の勝利はレムという「明らかにキラ側に肩入れしている」死神の協力を得られたからであり、月単独の力ではLに対する勝利は得られなかった可能性が高い。
- その優秀な頭脳は事件の捜査のみならず勉学にも発揮され、劇中では東応大学の入学試験を全教科満点のトップ成績でクリアしている。
- 頭脳以外にも、テニスでは中学生チャンピオンだった月と互角に渡り合い(事実かは不明だが当人が「イギリスのJrチャンピオンだったことがある」と発言)、南米の格闘技であるカポエイラを使いこなすなど運動能力も存外に高い。
- 語学能力も高く、日本語、中国語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語に堪能で、各国のICPO関係者や日本の警察関係者に対しても難なく会話をこなせる。
- 椅子に座る時は、膝を曲げて胸に抱え込むような姿勢で座り、本人曰く「この座り方でないと推理力が40%落ちる」という。因みにこの座り方は「L座り」と呼ばれている。物を持つときはほとんどのものを親指と人差し指でつまんでいて、潔癖症を思わせるような場面が多い。深く考え込むと親指の爪をかむ癖があり、苛立つと露骨に態度に露わしたりいじけて見せたりと全体的に子供っぽい振る舞いが目立つ。
- 体内時計の概念は持ち合わせておらず、102時間起きていた後に17時間程睡眠を取っている事が多い。
- 風呂に入る時はワタリが発明した乾燥まで全自動で行われるヒューマンウォッシャー(人間洗濯機)で行い、睡眠やトイレもL座りで行う模様。
- トイレは一人で行けるが、ドアは開け放しにしている。
- ベッドやソファーで横になるよりも、椅子ごと横にしてL座りを行って寝る方が落ち着くらしい。
- 基本的には一日中自室のモニターの前で何かを考えているか、難事件を解いているかのどちらかだが、たまに外出する時は美術館やアイドルコンサートに行く事が趣味。
- 遊園地も嫌いではないが、本人は公園の方がお気に入りらしい。
- フルネームは「エル=ローライト(L Lawliet)」であることが『DEATHNOTE HOW TO READ 13』で判明。しかし戸籍上の姓名かは不明。
- 出身地はイギリスだが、親など家族や出自についての情報は一切明かされていない。原作者の大場は、コミックス13巻での「Lはどこの国の人か」という問いに対して、「日本人が1/4、イギリス人が1/4、ロシア人が1/4、フランス人かイタリア人が1/4というイメージ」と答えている。
- 海外では人気が高く、彼のコスプレがブームとなっていた時期もあった。
- 作中世界では他にエラルド・コイル、ドヌーヴという「L」と合わせて3大探偵と並び称される人物がいるとされるが、その正体はどちらもLであり、3大探偵はすべて同一人物の別名義である。(ノベライズ版において、コイル、ドヌーヴ共に本来は実在する別の探偵だったがとある事件の捜査を通じて「L」がその名を勝ち取ったという裏設定が明かされた)
- イメージカラーは金色である。(13巻参照)が、あくまで原作でのイメージカラーであり、アニメ版のイメージカラーは青。
「やはり… 私は… 間違っていなかった…」
「が… ま… 」
月に海砂の命を盾にされたレムにより名を書かれ、ワタリ共々心臓麻痺で亡くなる。最期に見たのはこれ以上無いほど邪悪な月の顔であり、Lの無念が偲ばれる。
しかし生前にワタリあるいはLが施していた措置により、その遺志は次の後継者たちに受け継がれる事となる。
Lが最期に何を言わんとしたのか、原作者側は読者の想像に任せるとしており、様々な考察がされている。
映画版
実写映画版では松山ケンイチがLを演じ、あまりにもハマり役だったために話題を呼んだ。
Lを演じている松山ケンイチは眉毛を剃って撮影し、その姿は小畑健氏にも「超L!」と言わしめるなど高く評価されており、写真集も出されている。
後編にて高田清美(原作におけるヨツバキラ)からデスノートを押収後、キラや死神から名前を書かれて暗殺されることを予感したことで、自ら寿命を延ばせる限界の日付と本名を書いたことで、デスノートのルールである「2冊以上のデスノートに同じ人間の名前が書かれた場合、一番先に書かれたものが優先される。」により、後から書かれたレムのデスノートが無効。これによって夜神月を欺かせ、キラの正体を暴くことに成功する(ただしワタリは原作通りレムに暗殺されてしまった為、「予想外だった」と悔やんだ)。デスノートのルールを最大限に活かした策だったことでファンからも高評価を得ている。
完結編『L Change The World』では主人公を務める。デスノートを焼却処分し、残された僅かな時間で世界中の事件を解決するも、同じワイミーズハウス出身者の起こしたバイオテロに巻き込まれてしまう。結果的にテロ被害を最小限に抑え、バイオテロで孤児となった少年をワイミーズハウスに届け、名前を授け、翌日に自身の書いたデスノートの記載どおり「安らかに眠る」で短い生涯を終えた。(この部分は後編のラストシーンで描かれている)
ドラマ版
全世界の警察を動かせる存在という設定は同じであるが、
- 性格が高慢かつ生意気になっている
- 自分で服を着替える(原作文庫版や映画版写真集に収録された漫画では手伝いがあることによって着替えている)
- お菓子を過剰に食べるなどの奇行が抑えられる
- 目の下のクマが薄くなる。(雑誌によると猫目メイクとのことらしい)
- 服装がアイロンがきいたワイシャツと白いズボンを着用している(ニアのような服装)
- ポーカーフェイスじゃない
- L座りではなく、机に足を乗せる
など、作中で一番といっていいほどの変更がなされており、もはや別人である。
原作では前任者と後継者の関係とされていたニアとは何らかの関係があるようだが、こちらでは不明である。
コメント
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