ニア(DEATHNOTE)
にあ
白髪に白い服が特徴の少年。
誰にでも丁寧口調で接する反面、かなりの毒舌家でもある。
Lがガムシロップを積み上げていたように、何かを組み立てたり、おもちゃで遊んでいる場面が多い。初期の頃はサイコロやマッチ棒を大量に積み上げビル群を再現しており、漫画担当者はニアが出る時は無数のサイコロやマッチを書き込まなければならないので作画泣かせの趣味だった。ちなみに当時のデスノートのアシスタント募集には「かなり厳しい職場なので忍耐力があり細かい作業が好きな人。経験者の方優遇です」と記載されていて、仕事の大変さを煽る内容から「太臓もて王サーガ」でもパロディネタにされた。その後、飛行機や電車のおもちゃを扱うようになっている。
メロと比べて頭脳や冷静さでは勝るが、行動力では彼に劣り、自身は「一人一人の力ではLに及ばないがメロと二人でならばLを超えられる」と語っている。メロからは常に敵対心を向けられていたが、ニア自身はメロに好感を持っていたらしく、彼の言は基本信じるという姿勢や、メロの銃を用いた脅しにも動じない様子からもそれは窺える。
Lに対しては純粋に尊敬の念を向け、キラ事件の解決をLへの手向けと考えていた一方、上記の通り「自分一人では決してLを越える事は出来ない」と言う劣等感も共に抱いていた(Lの面や指人形を本物よりやや不細工に作りつつ、自分の指人形はLに似せると言う所からもそれが窺える)。嫌いなものでも分かる通りLを討ち取ったキラには激しい敵愾心を抱いており、キラ陣営の人物を不細工にカリカチュアした指人形を作ったり等からもキラに加担する者にも嫌悪感を抱いている節を描写されている。
一方でLを討ち取った、引いてはLを超えたと言えるキラの力量や能力自体は認めていた節もあり、キラの台頭によって犯罪を減少させ一時は戦争を根絶させた影響力自体は評価している。勝利宣言時に『Lが検挙できなかったキラをこうして検挙している』と逆説的にキラがLを超えている(そのキラをLの後継者である自身とメロが超えたというのが主張であるが)発言からもその事はうかがえる。
ワイミーズ時代の成績は常に首位をキープしていた。メロと同時期にワイミーズハウスを離れた後、何らかの経緯でメイスンFBI長官の協力を得て、本格的なキラ捜査に乗り出すべく、ホープ米大統領に接触。キラ対策機関SPKを結成する。
自らが真なるLの後継者であることを2代目Lである夜神月に知らしめ、彼の前では通称Nと名乗る。
しかしメロ率いるマフィアにSPKメンバーの大半が殺害されてしまい、リーダーのニア含む4名だけが辛くも生き残る(リライト2では魅上の仕業とされ、ノートに操られたメンバーがニアを射殺しようとするものの、『第三者を巻き込む死に方は採用されない』ルールにより死を回避。しかし逸れた弾が傍らの死体を撃ち抜き、返り血に染まる衝撃的な姿を見せた)。
体勢を立て直したニアは4名で活動を再開させるが、死亡したホープ大統領に代わって副大統領のサイラスが「キラを追わない」という意思を表明してしまった為、非合法組織へ転落してしまう。しかしニアのキラと戦う意志は揺るがず、月に嗾けられたキラ過激派に本部を襲撃されても、Lの遺産のドル札をばら撒く奇策で脱出に成功。容疑者の月が居る日本に乗り込む。
「捜査は決めつけて掛かり、間違っていたらごめんなさいで良い」という、強引とも取れるポリシーで月を追い詰め、更に捜査本部のメンバーに揺さぶりを掛けて月を孤立させようとする。こうして得られた相沢の情報や、メロから齎された嘘ルールの有無など、徐々に煮詰まって来た推論の元、ニアは「キラ=月」の容疑を確定。少しずつ事件の真相に肉薄していく。月もニアの疑念を察知し、彼とSPKの抹殺を誓う。
月がキラ信者の検事・魅上照、嘗て交際していた人気アナ・高田清美との連携体制を確立した頃、ニア側でも魅上がキラ代理(Xキラと呼称)、高田がキラ本人と魅上を繋ぐメッセンジャーと定め、彼らを中心に捜査網を敷く。それと同時にキラの正体を公にするため、とある計画を立案する。
それはキラ容疑者たる月を含む捜査本部のメンバーを招集、現在月と繋がっているだろう魅上をも誘き出し、事前にノートの中身を普通の紙にすり替えた細工を施した状態で敢えて名を書かせ、彼が名前を書かなかった者=真のキラを炙り出すというものだった。決行日は年が明けた2010年1月28日。集まるにはあまりに殺風景で不穏極まりない、大黒埠頭のYB(イエローボックス)倉庫が決戦の舞台になった。
しかしこの計画は既に月に看破されてしまっていた。月側は逆に自分達で精巧な偽のノートを用意することで細工をそちらにさせる罠に掛け、魅上には本物のノートをXデーまで隠させておき、当日持ち出したそれを使ってニアらSPKと日本捜査本部のメンバーを皆殺しにするという最終計画を立てるが…。
その当日まで残り2日の1月26日、突如メロが高田清美を誘拐する事件が勃発していた。これは捜査本部・SPK双方共に予期せぬアクシデントであり、余計な事件を増やされたニアには頭の痛い出来事であった。しかし月はその時犯罪者裁きを彼女にやらせるため、魅上に命じてノートの切れ端を高田に定期送付させており、更に高田にはメロの本名を教えておき、万一メロ絡みで事が起きた際にはそれでメロを殺すように指示しておいたため、メロは彼女に名を書かれ命を落とす。だが、この時高田誘拐をニュースで知った魅上が機転を利かせ、自身のノートでの高田殺害に向け独断で動き出した事で、魅上を尾行していた SPKのジェバンニに不自然な動向を察知されてしまう。
魅上は病的なまでに几帳面な性格で、毎日のスケジュールを同じ時間の同じ予定で繰り返す生活をしていた。その為その日に限って予定を自ら崩す行動に出た魅上を、ジェバンニが不審に思わない筈が無く、こうしてニアは偽のノートがある可能性に気付く事が出来た。加えてノートの切れ端を送っていた魅上は、高田が誘拐犯をノートで殺したことを素早く察知。月と同じく証拠隠滅を狙って「焼身自殺」という死因を書いて高田を殺害。死の時間も月が設定した時間と1分差に偶然なっていたことに加え、連絡役だった高田が居なくなったこともあって誤差の修正も効かず、二人がほぼ同時に彼女をノートで殺したことにお互い気付かないまま当日を迎えたのである。
問題は差し迫った期日の中、如何に本物のノートを細工するかだが、そこは何とも言えない力押しで解決した。
そして当日が経ち、月と魅上はニア(ジェバンニ)によって細工されたノートを本物だと信じ切ったまま月は(既にニア側にも月の策にバレたにもかかわらず)そのまま、
月「ニア 僕の勝ちだ」
と勝利宣言した。
松田「1分は経った…死なない!」
「だから細工したと何度も言ったはず」
魅上「なぜ…何故死なない!?」
規定の40秒が経過しても彼らは斃れない。狼狽する魅上。苦虫を噛み潰した状態の月。すかさずニアは魅上を取り押さえ、凶器のノートに記された名前の中に月の名前がないことを知らしめ、更に油断しきった月の上記の勝利宣言、同じく油断しきった魅上の月に対する神呼ばわりと合わせて「月=キラ」を立証した。
混乱する月にニアは「メロのおかげです」と静かに敗因を語り始めた。
「夜神月 あなたがキラです」
追い詰められた月は『新世界の神』として熱弁を振るい、隙を突いてニアを仕込みノートで殺そうとするが眼中にもなかった松田に銃撃されて果たせず、錯乱し喚きながらもリュークに助けを求める。しかしリュークは月にこれ以上面白い事は期待できそうに無いと彼を見限り、月の名前を書いてこれを殺害した。
ニアはジェラスのノートとレムのノートを押収し、二冊とも焼却処分した。
様々な不確定要素とニア自身の強靱な意志の元、多くの犠牲を払いながらも、6年もの長きに亘ったキラ事件は遂に解決へ導かれたのだった。
アニメ版では原作最終回のエピソードがカットされたことに伴い、月に勝利する部分までは同様だが魅上が絶望した末にその場で自殺した際に月が逃亡。後を追いかけようとする相沢達を「ノートは隠し持っていないでしょうし、あの傷では遠くには行けない。放っておいても身動きは止まります」と言って引き止めようとしたが殺人犯である以上月を見殺しにしても構わないと言わんばかりの発言だったためか相沢から「ニア、君の指図は受けない」と反発されてしまい「わかりました。お任せします」と月を確保しようとする相沢達をバツが悪そうに見送る場面を最後に出番を終えており、原作に比べやや締まらない結末になっている。
特別編
本編から3年後の「Cキラ編」では3代目Lとして登場し、幼さが抜けLに似た精悍な雰囲気の青年に成長している。
新たに殺人を開始したキラを「Cキラ」と呼称し、電波ジャックによるメッセージで対峙する。該当編では上記のLに対する複雑な感情から来る「自分はLの後継者としてどうあるべきか」と言うニアの内面描写が主題となっている。
なお、Cキラに対しては「コレをキラと呼ぶのはキラを敵と定めたLに対しても、やり方はどうあれ実際に戦争や犯罪を激減させてみせた夜神月に対してすらも無礼」とするほど見下しておりメッセージも第一声は「これはキラじゃない、お前に興味を持てない、故にお前とは戦わない」と明言した上で、、Lとしてではなく個人としては「この人殺し」と吐き捨てて退場
結果として(プロファイリングが正しければだが)親族の老人を殺害した罪悪感を死にかけの老人を殺すことで誤魔化していたCキラは自身の罪を眼前に突きつけられたことで発狂、ノートに自分の名前を書いたらしい。(同時に月がどれだけ常軌を逸した精神をしていたかが示された)
本編から6年後の「aキラ編」にも登場。髪は腰まで伸ばした長髪になっており、どことなく中性的な雰囲気に変貌している。リュークを使ってデスノートのオークションを開始した田中実を「aキラ」と呼称、かつてデスノートを「過去最悪の殺人兵器」と称した事を引用した上で凶器の売買を例に「デスノートのオークションだけでは罪に問えない」としながらも、その頭脳や「殺人にしか使えないノートを殺人以外で使った」発想に感服し「会ってみたい、話してみたい」という個人的動機から捜査にあたる。aキラ自身何の罪を犯しているわけではないためか過去のような攻撃的な言動はなりを潜めている。
追跡については「デスノート所持者はは実際に使わせないと逮捕できないが、本人が使う気がない」「ノートの受け渡し現場を押さえればいいがそれでは負けた気分になる」などと真剣みに欠いた言動が目立ち、最終的に米国政府がノートを落札した際には「自分も米国の庇護下にあるから」と奪取をあっさり諦めた。
唯一絶対に発生する隙である落札金の入手方法からaキラ個人を特定するため、「莫大な金をどう受け取るのか?」を思案していたが、ニアをもってしても完全に予想外の方法により個人特定ができず出来たとしてもその頃にはAキラ本人が既に自分がキラだった記憶すらないため手遅れ、と悟ったときにもどこか清々しい様子で、「Lになってから初めて負けた」と潔かった。
なお、下界でデスノートが大っぴらかつ派手に動きすぎたことで死神大王がご立腹であり、「ノートの売買を行なったものは、買った者はノートを受け取った瞬間、売った者は金を受け取った瞬間心臓麻痺で死ぬ」というルールが後付けされ、それをリュークが大統領に通達したうえで「お前が受け取るならその瞬間死ぬが、他の誰が拾ってもアメリカのもの(所有者が死んでいるので所有権は死神の下に戻っているため)」「受け取らないのであれば死なないが、所有権の放棄とみなし、支払った金を取り戻す様なことは禁止」と選択を迫り「ノートを受け取らないが、「確かに手に入れ、かつ本物であったと発表する」持っていて使わないのが一番印象がいい」としてノートを破棄した。(ニア曰く「いくらデスノートでもどこの誰が持っているかわかっていたらそうそう使えるものではない」)
一方Aキラはリュークに「何があっても以後自分の前に現れるな」と約束させていたため、キラだった自覚もなくルールの改訂も知らないまま金を受け取り、その場で心臓麻痺で死亡した。
キャラをデザインした小畑健のコメントによると、当初ニアは現在のメロのデザインを考えていて、メロは大人しい女性的なキャラ、リバーは悪人面の人物にする予定だった。しかし、大場つぐみに提出する際にメロとニアの名前を逆に書いてしまいそれが通ったため、後に引けなくなり元々はメロだった容姿が今のニアになっている。
なお作画の小畑健氏は、ニアの白い服についてイメージがまとまらず描くのに苦心していたが、ある時「あの服はパジャマだ」と思い至ったことで克服した(ゆえに本編終盤では、かなりオーバーサイズかつ柔らかめの質感になっている)という。
単行本とジャンプ掲載時では顔のデザインが大きく異なっている。単行本ではほとんど無表情だが、ジャンプ掲載時では常にニヤケ面で、人をバカにした感じの笑みを浮かべている場面が多い。
L change the WorLd
本編とは容姿や設定が大きく異なる。ウイルスで滅んだタイの村の生き残りの少年。ウイルス事件解決の為にLに同行する。好物はかつて月が好きだったコンソメポテチ。登場した当初は名前がなく、BOYと呼ばれており、ラストでLがニアと名付ける。本編のニアとは全く別の人物であるが、玩具に興味を示しているという共通点があり、フィボナッチ数列など高度な数式を理解する数学の天才というキャラ設定がなされている。
後日談である『デスノート NEW GENERATION』「竜崎編/意志」では声のみ登場。Lの後継である二代目竜崎(ニアにとっては先輩)やワイミーズハウスのJと電話で会話している。
ドラマ版
白い髪に白い服と、原作準拠の外見としては初の実写化である。
「少年」と明言されていた今までとは異なり、「男とも女ともつかない謎の人物」という、性別不明キャラとなっている。
今回のドラマ版のテーマ、「隠れた天才VS生まれながらの天才VS危険因子」の危険因子。
原作では前任者と後継者の関係とされていたLとは何らかの関係があり、電話で親しげに会話する場面があるが、詳細は不明。
そして手にはメロに似た人形を持っており、それと会話するような姿を見せているが、腹話術なのか、二重人格なのかはまだ明かされていない。
そして、メロに向かって呼びかけるシーンはあるものの、その際に人形とは別の方向を向いていたため、ファンの間で人間としてのメロがいるという説も挙げられていた。
……が、第4話にてメロとは二重人格で腹話術で会話していたことが判明した。
原作の「N」のほか、偽名として「B<バベル>」を名乗っており、ヨツバ潜入に際してはヨツバの味方をするふりをして情報をLに流していた。