概要
和歌山県南東部の東牟婁郡(ひがしむろぐん)に属し、熊野灘に突き出た小さな半島に位置する。
2021年現在和歌山県の市町村として最も面積が小さいが、他の自治体と合併せずに残っている。
陸地は全て那智勝浦町と隣接。
中心外から離れた場所にJR西日本紀勢本線の太地駅が所在し、最長で京都駅と新宮駅を結ぶ特急くろしお号も停車する。
沿岸の少し沖が大型種も含めた鯨類の回遊ルートであった事から、太古より捕鯨が行われており日本の古式捕鯨発祥の地となった。
戦後国際捕鯨委員会(IWC)に加盟していた日本は1988年の国際決議から2019年6月に脱退するまで大型種の商業捕鯨が禁止されていたため、太地町では水産庁の規制の下でIWCの管轄外にあった近海での小規模な小型種の捕鯨に切り替えられた。
現在も水族館の飼育展示用の生捕りも含めて捕獲が行われており、通常の魚介類漁や観光にも力を入れている。
イルカの追い込み漁を欧米の反捕鯨団体が時に不法侵入などで盗撮した映画「ザ・コーヴ」の題材の地となり、近年も特に過激な海外団体などが漁の妨害や網などの器物破損等の犯罪行為に及んでいる事が問題となっており、地元警察も目を光らせている。
しかしながら、長年イルカやクジラに関わってきただけあって町をあげての学術上の研究が大変進んでおり、町立の「くじらの博物館」には巨大なものも含めた貴重な実物の資料が数多く展示されている。
その周囲には小型クジラやイルカと触れ合ったり泳いだりできる水族館や施設等があり、他にも捕鯨に関する史跡、旅館やホテル、鯨肉や近海の水産物を使った飲食店などもあって観光資源も施設も充実している。
一年を通して温暖な気候と自然豊かな静かな町である事から、保養地や静養地としても適している。