概要
系統的にはプレシオサウルス等の首長竜に近縁であると考えられている。このグループに属する化石種のすべてが水棲生活を送っていたと考えられ、その殆どが海成層から産出する。板歯類の殆どが体長1m〜2mの大きさであり、最大で3mになる者もいた。最初の化石標本は1830年代に発見された。このグループの化石は主にヨーロッパ全域、北アフリカ、中東で見つかっているが、最近になって中国からも発見されている。
形態
三畳紀前期〜中期にかけて生存したプラコドゥスのような初期の板歯類は胴の膨れたトカゲのような形態をしていた。丁度現生のウミイグアナを大きくした形態である。しかし、ウミイグアナと異なり、彼らは海底の貝を食べていた。食性に関してはむしろ、現生のラッコやセイウチに似ている。最初期の板歯類はその身体の大きさから、サメ等の捕食者から逃げずとも十分だったのかもしれない。しかし三畳紀中期以降、魚竜やノトサウルス等の肉食の海生爬虫類が分化してくると、それらから身を守るためか板歯類は身体の表面に皮骨板を発達させるようになる。三畳紀後期の板歯類、ヘノドゥスやプラコケリス等はまるでウミガメのように体全体を覆う甲羅を発達させている。あるいはキャモドゥスのように、カブトガニのような体節構造のある甲羅を発達させる者もいた。これらは収斂進化の好例として考えることが出来る。
生態
板歯類は重い骨と甲羅のために水面に浮かぶことは難しく、泳ぐには大量のエネルギーを消費したと考えられる。この推定と化石の産状から、板歯目は主に浅い海底に生息していたものと考えられている。板歯類の歯は大きく、平板状で突き出ていた。この歯の特殊な形状は、小動物の厚い殻を噛み砕く特殊な食性に特化した結果であると考えられている。そのことから、彼らの主な餌は海生の二枚貝、腕足類、甲殻類、その他の小動物であったと考えられる。恐らく、彼らは現生のセイウチのように海底を掘り返して餌を取っていたのであろう。