紙銀鱗雪
しぎんりんせつ
「きらら~ん」
「とにもかくにもそこをお退きなさい! それが虫にとっても人間にとっても有益な結果に繋がるのですから!」
紙銀鱗雪(しぎんりんせつ)は東方二次創作作品「東方居虫球」に登場する「紙魚(シミ)」という昆虫とその文化的扱いを元としたオリキャラ。
stage5「飛行繭は銀鱗の夢を乗せて」(威虫宮)の中ボスとボスを担当する。
居虫球では唯一昆虫以外に元ネタを持たないボスキャラクターである。
(スペルカードには道教における紙魚の変異体「脈望」などの要素も含まれているが)
本来は1面ボスがいいとこな弱小妖怪だったが、ラスボスの近くにいたことで大きな力を得ていた。
実際にその力を全く借りずに参戦した続編の「妖蟲大戦争」では1~2面ボスに相当するエリア2のボスを担当している。
頭には紙魚らしく触角が生えている。
一部が金色がかった長い銀髪を4回ほどしばり、その先を三つ編みにしている。
三つ編みの先端部分には球状の髪飾りがついており、そこから三方へ房が分かれている。
鱗柄の半袖浴衣の上にはアカデミックガウン風のセーラーカラーと三段構造のクラバットを着用しており、和風なんだか洋風なんだかよく分からない見た目をしている。
浴衣の帯は雪景色柄であり雪だるまが描いてある。
右手にはしおりを挟んだ本、左手には今作の重要アイテム「辟邪の絵巻」を持っている。
紙魚は本の近くによく現れ、紙面を薄ーく削り取るように食べる虫である。
そのことから東西で「読書家」「本の知識しかない世間知らず」「本を読んでも真の意味を理解できない奴」などの例えに使われるようになった。
鱗雪はそんな紙魚が妖怪化した存在なので、それらの特徴を受けついでいる。
作中登場時は少女の姿をとっているものの、本来は他と変わらない紙魚そのものな姿をしている。
ちなみに前述の紙魚の変異体「脈望」は紙魚が「神仙の字」を三度食べると変化するという存在。
身体には五色を持ち、これを使って星の使いを呼び出して薬をもらったり、脈望自体を飲んだりすることで不老不死を得られる(=仙人になる)のだとか。
鱗雪は星の使いを呼び出す方の伝承を気に入っており、スペルカードのモチーフに使ったり星弾を使った弾幕を使用したりする。
彼女自身は脈望ではなく、本当に紙魚が脈望になれるのかも謎である。
(江戸時代の日本では後者の方法の失敗談を引用して出鱈目だと非難する文献がいくつかある)
「知識を食べる程度の能力」
簡単に言えば瞬間記憶能力である。
稗田阿求の一度見た物を忘れない程度の能力に似ているが、こちらは紙面に描かれた文章限定で記憶の取捨選択が可能。
ただし紙魚が紙を食べる時のように表層を薄く摂取するだけなので文章の裏に隠された本質までは理解できていないことも多く、勝手な解釈をしてしまうことも。
彼女が知識を食べても本から内容が消えないのはこのためかもしれない。
読書家で本が大好き。なので本に穴を開ける死番虫(シバンムシ)を毛嫌いしている。
色んな場所に虫の姿を使って入り込んで本から知識を得るのを楽しみとしているが、紅魔館の図書館はガードが固くて中々うまくいかないらしい。
ただし魔理沙の家には何度も侵入に成功している。
人間に対しては本来なら害意も興味もないが、魔理沙に関しては紅魔館を含めた色んな場所から本を借りてきて、魔理沙の家に忍び込んだ自分もその本を読むことができるので有難く思っている。
さらに魔理沙が書いた弾幕の資料集も勝手に読んだ(食べた)らしく、「美味」「大好き」「とろけるくらい甘い」などという感想を残している。
脅留子曰く「(魔理沙の)ファン」。
またロマンチストでもあり古き虫たちの栄光に憧れていて、虫の栄光を再び蘇らせるために後述のように「神虫」の召喚を行った。
自身が仕える神虫様に対しては盲信に近い感情を抱きつつも「子供っぽいなあ」とも感じている様子。
彼女が所持する古の書。人里の蔵で見つけたらしい。
そこには、
の五柱の辟邪神(魔除けの神)がその説明書きと共に描かれていた。
鱗雪はその中で唯一虫の神であった「神虫」を見て、
「虫たちに栄光をもたらしてくれる存在に違いない」
と確信し、前述の技能で召喚を行った。
ちなみに辟邪の絵巻に載っている神様は現実世界の「辟邪絵」と全く同じものだが、記述の方は微妙に違っているらしい。
神虫については「一日に三千三百もの鬼・疫病を喰らうことで無病息災をもたらす」と書かれている。
東方居虫球での紙銀鱗雪
異変を起こした犯人であり、今作の黒幕。
まず彼女は虫に栄光をもたらす神を召喚し、「虫の活性化異変」が開始した。
ただし地底や洞窟には虫を活性化させる力も届きにくかったらしく、そういう場所にいた虫は対象外である。
その神は飢えて幻想郷中の病気を喰らい、「人間が健康になる異変」が発生。
それでも食い足りない神は誰かが病気に感染したらすぐに捕食を行うようになり、「人間が病気にならなくなる異変」が発生。
土蜘蛛たちが感じた嫌な力とはこの神の力のことだった。
ちなみに神は鬼も捕食対象としていたので地底の鬼たちの機嫌が悪くなったのもこのせいである。
自然な病気程度では足りないので鱗雪はアレルギー性の喘息や鼻炎を誘発するために幻想郷中に鱗粉をばらまいた。これが鱗粉異変の正体だった。
しかし神の本来の餌は感染症と鬼であり、アレルギー疾患では栄養不足。
そこで蓑鬼脅留子に協力を依頼し、「人間の前で鬼(の部分)を食べさせて退治させ信仰で腹を満たさせる」作戦を実行しようとする。
そして人間組の自機が5面に到着するころ、脅留子が里に到着する前に人間(自機)に倒されてしまったという報せを聞く。
彼女は大慌てで代わりの鬼を探しに行こうとしたが自機と鉢合わせ。
異変の元凶だとばれてしまい倒された。
リグルルートでは「病気を起こす虫も平等に元気にして」と要求するリグルに対し、「最初から彼らは救済対象にないのです」と突っぱねた上で「人間の健康を害する虫を応援するのは信仰集めの邪魔にしかならない」という理由で毒を持つ虫たちまで活性化の対象外にしようとし、リグルの怒りを買って戦うことになる。
こちらのルートでは戦闘後に脅留子が霊夢に倒された報せを受け、リグルに逃げることを提案した上で鬼を捜しに去って行った。
その後のリグル曰く「あの紙魚も今頃やられてるわよ」。
そもそもリグルルートは霊夢ルートのIFのようなものなので迎えた結末は同じなのだろう。
妖蟲大戦争での紙銀鱗雪
リグルに現代流蟲毒の招待状を送りつけた張本人。
しかし今回は騒動の首謀者というわけではなく騒動を利用しようとした側である。
蠱毒の参加者を増やした上で自身が仕える神(神虫様)もそこへ参加させ、さらなる力を得させようとしただけのようだ。
鱗雪本人は「神に仕える者として相応しい力を身に着けなければ」とひそかに特訓を重ねていたらしく、本来の実力を試すために神の力抜きで蠱毒に参加していた。
その結果がエリア2ボス(1~2面ボス相当)。
一勝くらいはできるかと思っていたらしいがリグルが初戦だったらしいので……
ちなみに敗退させる気は満々だったものの、リグルに対する態度は前作よりもかなり軟化している。これはリグルが神虫様と仲良くなったのが大きいのだろう。
自身の敗退後は「頑張って準優勝を目指してくださいね!」と彼女なりのエールを送った。
なお、この時点では威虫宮で起こっていた神虫様の脱走騒ぎのことは知らなかった様子。
その後はエリア7で脅留子共々威虫宮の入り口でリグルを出迎えた。
「神虫様はリグルさんと戦うのを大変楽しみにしています」とこの時は完全に歓迎ムードだった。全ては神虫様次第なのだろう。
威虫宮で神虫様が戦う中、使われた召喚タイプのスペルカードによって脅留子と共に一時的にだがリグルと再戦した。
神虫様が敗北すると、蠱毒によるパワーアップ作戦が失敗したことを認めた。
普段から神虫様への信仰を集めるために様々な作戦を考えているらしく、現在は人間にとってほぼ害虫でしかない者も「益虫も操ることができるから」という理由でしつこく仲間に勧誘して鬱陶しがられているとか。
ちなみに本の内容を誤認することも多い彼女だが極光(オーロラ)に関してはかなり正確な情報を持っていたようで、とある事情から極光を捜すことになったリグル(とそれに協力する脅留子や神虫様)に詳しい情報を与えてくれた。
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