概要
水木しげるが1973年に描いた漫画で、自身の戦争体験と実話を元に描いた戦記作品。登場人物も実在の人物をモデルにして描いている。事実と異なる部分は多いが、過酷な戦場の様子が生々しく描かれている。
2007年には「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~」というタイトルでNHKでドラマ化され、香川照之が水木しげると丸山の一人二役を演じた。また鬼太郎・目玉おやじ・ねずみ男も登場。
物語
昭和18年(1943年)。丸山二等兵は田所少佐率いる部隊とともに南太平洋ニューブリテン島バイエンに向かった。上官や先輩や古兵にいびられたり、時に優しくされたりしながら、仲間たちと供にジャングルで過ごしていた。
やがて連合軍が上陸し、大規模戦闘が始まるも、敵の圧倒的物量の前に追い詰められ、田所少佐は玉砕戦を実行する。突撃がされるも部隊は散り散りとなり、聖ジョージ岬へと撤退する。
一方、ラバウル司令部はバイエン支隊が玉砕し全滅したものとし、大本営にもバイエン支隊玉砕を伝えるが、直後に生存者の存在が伝わり、「敵前逃亡」「ラバウル全軍面汚し」として、彼らの抹殺を講じる。
向かった木戸参謀が生存者たちを尋問し、責任者は自決。昭和20年(1945年)、生き残った丸山たちは再び敵への突撃を命じられる。
登場人物
丸山二等兵
水木しげるの分身である主人公で、水木同様のんびりとした性格で食い意地が人一倍強い。
田所少佐
バイエン支隊長。楠木正成を心酔しており、しきりに玉砕戦を主張する。
中隊長
温厚な性格で田所少佐の玉砕に反対する。児玉清三中佐がモデルで、水木は彼の部隊におり、児玉中隊がゲリラ戦に転じたため、水木は玉砕せずに済んだ。
本田軍曹
文字通りの鬼軍曹で、丸山たちの厳しい上官であり、時に部下思いの面も見せる。
赤崎二等兵
丸山とは入隊前の汽車で知り合って以来の親友。
石山中尉
バイエン支隊の軍医で、生き残った部隊の命乞いをしようと司令部に直談判に向かう。
水本少尉
バイエン支隊の小隊長で、生き残った部隊の再突入時の指揮を取る。
木戸参謀
ラバウル司令部から派遣され、生き残ったバイエン支隊の尋問と指揮を取る。
関連タグ
鬼太郎誕生ゲゲゲの謎:本作を踏まえたと思しき描写がある。