藤堂早紀
とうどうさき
「ここから先は通さない……ガトランティス!」
CV:高垣彩陽
『宇宙戦艦ヤマト2202』より登場する、地球連邦防衛軍の新規女性キャラクターの1人。27歳にして、宇宙戦艦ヤマトの準同型艦〈銀河〉の艦長を務める。
また、地球連邦防衛軍の統括司令長官である藤堂平九郎の1人娘である。
容貌は、紫色系のロングヘアをハーフアップにし、瞳も同様の色をしている。美女ではあるが、冷徹な雰囲気を醸し出している。黒目が大きく、まるで西洋人形のような印象をぱっと見では受けるが、実際は割と表情豊か(笑顔よりしかめっ面の方が多いが)。
制服は、シルバー色の艦長服(襟内は紺色系)に、軍帽を被る。また艦長服の下はヤマトの女性クルーが着用するものと同一タイプで、紺色の生地に灰色のサイドラインが入っており、ブーツパーツは白となっている。
性格
極めて冷静であり、なおかつ冷徹な部分も含まれるが、鬼神に迫るが如き気迫を見せる事もある。人間らしさを捨ててまで、効率化重視の考え方を持っているが、その思考に至る理由は後述の過去が影響している。
しかし、本質としては優しい性格であり、機械的・合理的な思考を重視していた頃も、完全に人間の感情を切り捨てる事は出来なかった模様。それは、ブラックアナライザーの無情な提案に対して次第に躊躇いの表情を見せていたことからも窺える。また、父との通信のやり取りからも、娘らしい「お父さん」という言葉からも、窺えるであろう。
続編では冷静さはそのままに比較的穏やかな性格を取り戻している。
家族・交友関係
父の平九郎と母の千晶がいるが、母はガミラス戦争中に故人となっている(後述)。
副長の神崎恵とも親交がある。
新見薫のことは下の名前で呼んでおり、以前から交流があることが窺える。
『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』のブルーレイ特典小説によると、母親の葬儀の日に芹沢虎鉄が同行させた時が初対面。芹沢が母親を失った早紀の話し相手になるよう新見に求めた(単純に早紀を心配したのか、藤堂の娘を取り込もうとしたのか、はたまたその両方かは不明とされている)ため、新見の方から積極的に交流してきたとのこと。
ちなみにどちらも宇宙防衛大学の出身だが、新見の卒業と入れ違いに早紀が入学したため、在学年度は被っていない。
宇宙戦艦ヤマト2202
第五章
時間断層工場内のコントロール艦〈プロメテウス〉で、〈銀河〉建造のための作業指揮を執っていた。土星沖海戦の際は、中継されたものを〈プロメテウス〉艦内で観ていた模様。海戦の様子に対して、特に言及はしていない。シナリオ集、絵コンテ集では、ガトランティスの侵攻に対して、「コスモリバース(CRS)の奇蹟は、もう起きない」と断言し、自らが危機を乗り越えねばならない事を語っている。
さらに、同シナリオ集や絵コンテ集内で、〈銀河〉クルーである航海長市瀬美奈が「戦闘に感情は不要」と言い切り、星名透から「君は自らを機械化する事も出来るか?」という問いに意味深な笑みを浮かべたが、藤堂早紀自身も、自らの力で危機を切り抜ける為には、身体を機械化させることも辞さない考えを示している。
第六章
土星沖海戦で大敗した地球防衛軍艦隊の後に到着し、破滅ミサイルで撃沈寸前だった〈アンドロメダ〉を、巨大な波動防壁で間一髪のところで防いだ。またガミラス艦隊と地球艦隊残存艦が〈銀河〉の両側に布陣し、白色彗星の侵攻を『ガミラス臣民の壁』の妨害で妨げ、時間稼ぎに出た。
白色彗星に飲み込まれる寸前に脱出したヤマトクルーの一部要員を、今後のG計画達成の為として〈銀河〉の艦橋要員に配置させる。クルーの能力をデータとしてフィードバックし、自律運用を完成に近づける為だとしている。
損耗した戦力を増強させるために、地球の時間断層工場による大量生産が始まっていたが、より多くの波動砲艦を揃える為の時間稼ぎを決定する。白色彗星から出撃するガトランティス軍の後続部隊(多数のカラクルム級戦闘艦と対消滅ミサイル搭載型ミサイル戦艦)を撃破する為に、〈銀河〉が中心となっての攻勢に出た。
〈銀河〉のCRSによって連合艦隊の防御力を強化し、ガトランティス軍の注意を引き付ける。そこへ無人戦闘機ブラックバードを投入する。大艦隊の中へ無人機を送り届ける為に、志願者である加藤三郎を有人機に載せて送り出した。
敵艦隊内で、ブラックバードに内蔵された大量の波動コアがばら撒かれるも、予想以上の迎撃力で波動コアが破壊されていってしまう。指揮AIであるブラックアナライザーの判断で、早期のCRS発動が提案され、加藤機が影響圏内に要るにも拘らず、早紀もそれを承認してしまった。CRSの発動によって波動コアが共鳴現象を引き起こし、ガトランティス軍を一瞬のうちに行動不能にせしめたうえ、破滅ミサイルの誘爆で壊滅した。
白色彗星が動き出すまでに、白色彗星が及ぼす重力傾斜のデータ観測を実施し、ギリギリ離脱できる範囲を測定していた。後にイーターⅠで『ガミラス臣民の壁』を破壊されたうえで火星付近までワープされたのに続き、〈銀河〉も追跡のためワープする。
〈銀河〉が木星を通過した時点で、連合軍は50%の損害を受けたことから、ブラックアナライザーがG計画を優先すべく戦線不参加と、艦の指揮権の一部委譲を提案する。機械が指揮権を持つことに、さしもの島は驚愕し、さらにG計画に疑惑を持つ真田が改めて問いかける。ここで初めて、G計画が人類存続のための途方もない計画である事が、早紀の口から明かされた。
「恐怖を克服するには、自らが恐怖になるしかない」
人間らしさを残しては、この弱肉強食の世界では地球は生き残れないと判断していた。
直後、〈アンドロメダ改〉の山南修から、〈ヤマト〉生存の報告を受け、なおかつ〈アンドロメダ改〉単艦による重力源破壊を試みる旨を聞かされる。無謀な案だが、真田が、CRSを利用しての波動砲なら破壊できる可能性があると提案。片やCRSの破損を理由にG計画優先と続けるブラックアナライザー。2つの主張を受け、早紀の心情が次第に揺れ動き始めていた。
そこへ土方の通信が艦内に流れる。特攻して差し違えいようとする山南へ、そしてその場にいる者達へ向けて。
「人間は弱い、そして間違える。それがどうした。機械は恥を知らない。生きろ、生きて恥をかけ。間違えるのも、恥をかくのも、人間の特権なんだ!」
土方の声を受け、揺れ動いていた早紀は決心し、指揮AIによる指揮を拒絶する。G計画を推し進めるブラックアナライザーを銃で破壊し、指揮権を自身に戻した。単艦で重力源破壊へ挑む山南を援護すべく、〈銀河〉を〈アンドロメダ改〉の後方に付けるとCRSを最大稼働させる。下手をすればCRSが失われる可能性もあったが、それに構わず、彼女は〈ヤマト〉救出の為にCRSを発動させた。
「これは私達の……人間の艦だ!」
自身の決意を滲ませた結果として、彼女の決断によって重力源の破壊を成功させ、〈ヤマト〉も〈アンドロメダ改〉によって救出されるに至った。
戦闘後、父である藤堂に事情を報告する。上司と部下の呈であったが、藤堂が父としての責務を中々果たせなかったことを口にし、通信を切られる直前に、久々の父子としての会話を口にする。母の死を切っ掛けに機械的・合理的思考に走っていた彼女は、今回の一件から人間として生きる事を決意し、自身の考えを改めたことを父藤堂に告白した。
〈ヤマト〉に装備を譲り、決戦に向かう姿を、艦橋で見送った。その際、彼女は心に誓った。
「私は、人間でありたい。どんな事に成ろうとも、最後の1秒まで……」
宇宙戦艦ヤマト2205
前作から引き続き月の修復作業に携わっている。
劇中では技術交流のために来訪したヤーブ・スケルジこと薮助治を出迎えるが、星間情勢を鑑みてガミラスとの技術交流を大っぴらに見せびらかすべきではないという上層部の判断により、薮はヤマトへ移乗することになる。
かつてヤマトクルーでありながらイスカンダルへの旅を放棄してガミラスへ亡命した裏切り者ともいえる薮が再びヤマトに戻っても針の筵になるのは明らかであり、彼の今後について案じている。
ガミラス星崩壊の報が知らされた後は、イスカンダル星の動向を銀河から長距離観測し、イスカンダル星がワープしたことを藤堂長官に報告している。
ヤマトよ永遠に REBEL3199
ガトランティス戦役で破壊された土星の修復に携わる。
覚悟が決まり過ぎていた『2202』の頃に比べると大分気持ちに余裕ができたためか、気安い雰囲気となっている。
グランドリバースの太陽系侵入時、通信障害によって状況がはっきりしない中、古代の進言で地球へ向かう。そして、オペレーションDADに従い、ヤマト艦隊クルーの回収任務に就く。
彼女の母親の千晶を演じた杉山佳寿子は、『宇宙戦艦ヤマトⅢ』にて平九郎の孫娘である晶子を演じている。十中八九狙っての配役だろう。
第21話での母親の自殺方法は、本編だと飛び降りだが脚本だと風呂場での自殺(おそらくリストカット)であり、早紀は中学生という多感な時期に自殺した母親の遺体を目の当たりにするという本編よりも辛い内容となっている。
ちなみにその直前の母親が早紀の手を放すシーンについて、早紀側が手の位置・サイズおよび声色的にどう見ても小学生くらいにしか見えないのだが、実際には劇中から10年前の出来事なので彼女は既に高校生である(ガミラス大戦勃発時点でも中学生)。まだ細かい年齢が確定していないであろう脚本段階でも上記の通り中学生頃とされているので、おそらくは絵コンテを切った人の確認不足と思われる。
コメント
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