概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC9巻収録「通りぬけフープ」。
フラフープ型の道具で、これを取り付けた壁には穴が直線状に開き、壁の向こう側まで貫通する。壁を物理的に破壊している訳ではない為、穴をあけても壁自体の強度は変わらず、外せば元通りになる。
ただし壁ではなく床や天井に取り付けた場合も穴が開く為、仮にフープが転がって地面に倒れた場合、その部分に落とし穴が出来てしまう。地下室や下水道等がある場合、その位置までの通路が出来る。
また『日本誕生』に登場するギガゾンビは、通りぬけフープの通路を23世紀の技術で捻じ曲げる妨害工作を行っている。
原作版初期は「ぬけあなフープ」という名称だった(大全集6巻収録「通りぬけフープ」の扉絵や『ドラえもん全百科』にて確認可能)。しかし大長編版『ブリキの迷宮』で「ぬけ穴フープ」が登場した際、通りぬけフープとは別の道具として扱われている。
「ぬけ穴」という名称通り、壁や地面に取り付ければ目的地(地下の場合は地上、地上の場合は地下室)まで繋がるワームホールを自動的に作り出し、そこを通り抜けることが出来る。
参考として『ドラえもんのひみつ道具使い方事典3』では、この道具は「空間原子分解装置」で構成されており、壁に取り付けると自動的にスイッチが入り、空間原子分解装置から電波が放射され、装置同士が電波で共鳴し合うことで、通り抜ける物の原子を揺らして穴をあけると解説されている。
派生作品
映画版『ブリキの迷宮』では、上記のぬけ穴フープではなく通りぬけフープが登場しており、大長編版と同様に地下の迷宮から地上へ脱出する様子が描かれている。
スピンオフ作品『ザ・ドラえもんズスペシャル』では、通りぬけフープを地面に設置した際、地球を貫通してブラジルまで到達する様子が描かれている(作中では、ドラリーニョがブラジルから通りぬけフープで穴をあけ、日光に弱い妖怪・一角大王にブラジルの真昼の直射日光を浴びせて撃退した)。
水田わさび版アニメ「子犬イチの国 ~キボウ編~」では、鉄格子等といった壁とは呼べないスカスカな障害物に対しても問題なく効果を発揮している(作中では、とある建物に侵入する際、ドラえもんとのび太はこの道具を使用して鉄格子を突破している)。一方、大山のぶ代版アニメオリジナルエピソード「ツアーロボット」では、通りぬけフープが鉄格子に対して効果を発揮しない様子が描かれている。
大山版アニメオリジナルエピソード「お好みルームカタログ」では、のび太としずかがふすまに「四次元ドアシート」を貼り付け、ドアシート内の四次元空間で遊んでいたのだが、途中でドアシートが剥がれてしまったことでのび太達が四次元空間の中に閉じ込められてしまう。その際、ドラえもんは四次元空間に取り残されたのび太達を救出する為、この道具をふすまに取り付け、現実空間から次元を超えて四次元空間の中へ移動する様子が描かれている。
また、上記の『ザ・ドラえもんズスペシャル』ではドラゴンの身体にこの道具を取り付けることで抜け穴を作り出したり、2020年版「のび太シンデレラ」ではドラえもん達が「絵本入りこみぐつ」を使用して『赤ずきんちゃん』の世界に入り込んだ際、赤ずきんとお婆さんを食べてしまった狼の腹部にこの道具を取り付け、赤ずきんとお婆さんを救出する様子が描かれている。
『ザ・ドラえもんズ 怪盗ドラパン謎の挑戦状!』では、ドクターアチモフが操る巨大ロボットの張り手を避ける為、ドラえもんがLLサイズの通りぬけフープを取り出し、張り手攻撃を回避した。
水田版アニメ「のび太の部屋は進入禁止」及び水田版アニメオリジナルエピソード「のび太のエビフライ」では、「ルームガードセット」(他者が自室に侵入出来ないよう妨害することが出来るひみつ道具)が通りぬけフープによる空間操作を無効化する様子が描かれている(原作版ではそのような設定及び描写は存在しない)。
関連道具
- マジックチャック
チャック(ファスナー及びジッパー)型のひみつ道具。別名「まほうのチャック」。
これを壁や地面に取り付けてチャックを下ろすと、その中に入り込むことが出来る。
『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』では、通りぬけフープと同様に壁を通り抜ける様子が描かれている(原作版では壁を通り抜ける描写はない)。
- かべぬけき
円錐を模した手袋型のひみつ道具。
この道具を手にはめると、壁やポスト、机や人間等、どんなものでもすり抜けて移動することが出来るようになる。
ただし作中では、この道具を使用したドラえもんはトイレに落ちてしまっている。その際、ドラえもんが排泄物や床等を貫通して地下へ落下することはなく、彼の身体が排泄物で汚れてしまった。
- ぬけ穴ライト
ライト型のひみつ道具。
このライトで壁を照らすと、光線が当たった部分に抜け穴を作ることが出来る。また、作った抜け穴から元の場所に戻れば、自動的に穴も塞がる。
- ぬけ穴ボールペン
ボールペン型のひみつ道具。
この道具で孔を書くと、その部分が抜け穴になる。「通りぬけフープ」のように壁をそのまま通過するのではなく、別の壁まで繋がったワームホールを作り出し、その中を移動することが出来る。しかしどこが出口になるかは本人も指定できず、あくまで「脱出」という目的のみを追求した道具である。
室内で使用し、裸足あるいは靴下の状態でワームホールを通ったとしても、外に出た時点で勝手に靴を履いている状態になるという便利な代物。それだけでなく、野外で使用すると起点空間の入り口(最初に輪を描いた場所)にリターンすることが出来る。
原作版では一回限りの登場だが、映画版『ひみつ道具博物館』にて再登場を果たしている(ただし原作版とは効果が微妙に異なっており、原作版では出口を指定することが出来なかったが、こちらは出口を自由に指定することが出来るようになっている)。
- 即席落とし穴
地面に置くと瞬時に落とし穴を作ることが出来る。ただしこちらは「通りぬけフープ」とは違い、地下まで通路が出来てしまうことはない。塹壕として利用する事も可能。
大全集4巻収録「そくせきおとしあな」では紐型の道具として描かれているが、『鉄人兵団』ではフープ型の道具として描かれている。
また『ぼくよりダメなやつがきた』では名称こそ出てこないもののこれと思しき道具が登場したが、外見は鉄人兵団と同じフープ型。