鋼星獣
こうせいじゅう
物語後半より登場する星獣の一種。作中では後述の3体が確認されている。
他の星獣達との差異として、「金属質な身体を持つ」「ビークル状の形態への変形ないし分離機構を備える」といったものが挙げられる。もっとも、これらの差異については当初から彼らが持ち合わせていたものではない。
元々、鋼星獣達は他の星獣達と同様に有機的な姿を持ち、各々の星を守る使命を果たしていた。しかし宇宙海賊バルバンの猛威により、彼等は守っていた星を滅ぼされた上、力を失って石化した状態で宇宙を漂うことを余儀なくされた。さらに彼等に商品価値を見出した闇商人ビズネラにより、捕獲されたのみならず生体兵器としての改造を施され、現在のロボット然とした姿へと変貌させられたのである。
このような経緯から、当初はバルバンの新たな戦力(※1)として登場し、彼等に操られるがままの存在としてギンガマンと対峙することとなる。変わり果てた姿とはいえ同じ星獣であることから、ギンガイオーやブルタウラスも戦意が鈍らざるを得ず、その攻撃力の高さも相まってギンガマンを一時窮地に追い込んでみせた。
しかし、星獣達とギンガマンの必死の呼びかけにより、失われていたはずの「星を守る正義の心」が蘇り、一転してギンガマンの心強い仲間として戦列に加わることとなる。その際、頭部と胸の形状も改造当初の悪役然としたものから、ヒロイックなものへと変化した(※2)。
これ以降、毎回ギンガイオーがバルバンの魔人に対してピンチに陥る度に、状況に応じて相性の良い鋼星獣を出動させ、戦況を逆転に導くのが定番の流れとなった(ゴビースの様に対策を練って抵抗を試みた魔人はいたものの、結局こちらが一枚上手で逆転されている)。バルバンの魔人相手に鋼星獣の介入をもってしても解決しなかったのは、倒すのではなく救うのが目的だったデギウス戦のみである(因みにこれが通常のギンガイオーとの初の共闘回である)。
物語後半の主戦力として、バルバンを壊滅させるのにも大いに貢献した鋼星獣であるが、TVシリーズの後日談に当たるOV『星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー』では、魔獣ゲルマディクスとの戦闘でギガライノスとギガフェニックスが大破するという事態が発生。これが映像上における最後の出番であり、以降2023年現在に至るまでその後の消息については公式に言及されていない(※3)。
(※1 その際バルバンはビズネラに対し、代金として金貨5箱分を支払っている。もっとも、程なくして鋼星獣がギンガマンの味方となってしまったため、ゼイハブ船長はその責任を取らせる形で代金も含めたビズネラの全財産を没収。これに伴いビズネラは旧知のバットバスの下で働く羽目になった。)
(※2 バルバンに使役されていた、戦闘兵器状態での頭部と胸部のデザインは、本作でもゲスト怪人のデザインなどを担当していた下條美治が手掛けている)
(※3 この時点でギガバイタスは健在であったため、その後回収・修復された可能性もある。ただこの場合でも、OV『救急戦隊ゴーゴーファイブVSギンガマン』ではこの経緯だけではなく、上記の様にデギウスが救えなかったからレスキュー向きでないとの理由で参戦出来なかったと見る事も出来る)
前述の通り、鋼星獣達はそれぞれ分離ないし変形機構を備えており、分離機構を有するギガライノス・ギガフェニックスの「分身獣」達は、平時は母艦的な存在であるギガバイタスの体内にて格納されている。
ギンガマンが巨大戦でピンチに陥った際、彼等の呼びかけに応じてギガバイタスは戦況を分析し、ギガライノスを構成する5台の「ギガホイール」か、ギガフェニックスを構成する5機の「ギガウイング」のいずれかを自動発進させる。各分身獣にはコックピットらしき部位も備わっているが、作中では一貫してギンガマンがこれに乗り込むことはなく、あくまでも鋼星獣それぞれの意思によって動く存在として位置付けられている。
また発進の際、ギガホイールは車輪や武装を、ギガウィングは羽をばたつかせるような挙動を取る他、発進後や合体を完了させた際にはかつての星獣だった頃の姿がほんの一瞬オーバーラップするなど、ロボットのような姿ではあるが元は生物であったという点が、演出の端々で強調されている。特撮監督の佛田洋はこれについて、設定を汲む形で『宇宙鉄人キョーダイン』をイメージした、キャラクター性のある動きをつけたことを後に証言している。
基本的に戦闘に参加するのはギガライノス・ギガフェニックスの2体のみであり、ギガバイタスは彼等を戦場まで運搬すると共に、戦闘での損傷を修復する役割を担う。その都合上、魔獣ダイタニクスとの戦闘などごく一部を除き、ギガバイタスが戦闘に参加することは殆どない。
陸戦タイプの鋼星獣で、赤いカラーリングとマッシブなボディが特徴。かつては沼の星「ライノス星」を護っていたサイ型の星獣だった。持ち前のパワーを生かした肉弾戦を得意とする。武器は1秒間に30発のプラズマ弾を発射できるビーム砲「ギガンティスバスター」。
空戦タイプの鋼星獣で、スマートなボディと青いカラーリングが特徴。かつては山岳の星「フェニックス星」を護っていた鷹型の星獣だった。持ち前の俊敏さを生かしたトリッキーな戦法を得意とする。武器は防御にも活用できる巨大ブーメラン「ギガンティックブーメラン」。
作中に登場する星獣の中でも、屈指の巨躯の持ち主である鋼星獣。かつては海の星「バイタス星」を護る鮫型の星獣だった。普段は巡航形態「クルーザーモード」として滝壺に隠れており、ギンガマンの呼びかけに応じて他の2体のいずれか、もしくは両方を出撃させる役割を担う。その際には自身も人型の戦闘形態「スクランブルモード」へと変形、両腕には各5門の「バイタスキャノン」を装備している。
ファンタジー的な世界観の『ギンガマン』という作品には些か不釣り合いな、(見た目としては)完全なメカや合体ロボットとして描かれている鋼星獣であるが、そもそも彼等のデザインは『ギンガマン』の世界観に即して描き起こされたものとは言い難い節もない訳ではない。
実際にその傍証とも言えるものとして、前年の『電磁戦隊メガレンジャー』用のイメージスケッチや没デザイン案(一部のムック本では、これらを便宜上「『ギガレンジャー』とでも呼ぶべきアイディア」として扱っている)の一つとして描かれた、ギガライノスやギガフェニックスの原型ともいうべき「5台の惑星探査車や戦闘機が合体したロボット」の案の存在が挙げられる。
これらの没案が、実際に発表された鋼星獣に直結するものであるかどうかまでは定かではないが、本作では鋼星獣の登場以前にも、「DX超合金 星獣合体ギンガイオー」が諸般の事情から発売が遅れるなど、商品展開において多少の混乱があったという背景から、ファンの間では鋼星獣についても「十分なデザインを練りこむ時間がなく、前年の没案から流用せざるを得なかったのではないか」と見る向きも根強く残されている。
一方で当時バンダイに所属し、本作の玩具デザインに関与していた野中剛は、「予想もつかない商品群」の一つとして、年末商戦向けの5体合体ロボの2体同時発売(※4)を企画したと後に語っており、この証言を踏まえると世界観からやや浮いた感のある鋼星獣の見た目も、あるいはそうした「予想もつかない」要素を演出するためではないか、とも推察される。野中はこの他にも、作中で毎回どちらの鋼星獣が活躍するのか楽しみにしていた子供も多く、セールスは成功であったとも証言している。
(※4 当初の案では、ギガライノスやギガフェニックスの2体以外にも、さらに3体の5機合体ロボットの登場が検討されていたという)