概要
C.E.75年(『FREEDOM』)で運用される新型戦術核ミサイル。Mk5核弾頭ミサイルの強化版として開発されたもので、GLCMは「地上発射巡航ミサイル(Ground Launched Cruising Missile)」の意味であり、従来のMk5では難しかった地上での運用・攻撃も可能となっている。言及はされていないが、ニュートロンジャマー範囲内の地球上で使われている事からニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)が搭載されている。
ニュートロンスタンピーダーの登場で核ミサイルはただのコレクション……などになるはずもなく、スタンピーダーとその技術を有しているのはプラントのみに限定され、「プラントへの核ミサイル攻撃」が封印されたに過ぎない。つまるところ、NJCがある以上核ミサイルそのものの永久的な封印と言う段階には至らず、地球連合に敵対する国家への牽制や威嚇と言った目的で改良は進んでいる。
劇中では
ユーラシア連邦側の地球連合軍が保有する核兵器として計3基が登場する。オーブ連合首長国の支援で体制の立て直しが進む大西洋連邦とは違い、ユーラシア連邦は世界平和監視機構コンパスの創設もファウンデーション王国の独立も双方への不審感からか認めておらず、ブルーコスモス残党を捕縛するためとはいえその二者が軍事境界線付近で協同作戦を行う旨を伝えられ、その作戦を承諾する傍らで境界線に牽制目的でMk72を積んだトレーラーを配備していた。
しかし、ファウンデーション王国のブラックナイトスコードによって配備されていたMk72のパスコードと制御を奪われてしまい、ブラックナイトスコードは自国であるファウンデーション王国の首都イシュタリアへ向けて発射(発射直後にトレーラーは破壊)。発射を即座に検知したアークエンジェルからの情報でマーズ・シメオンとヘルベルト・フォン・ラインハルトのゲルググメナース2機が撃墜へ向かうが、アークエンジェルが口封じのためブラックナイトスコード ルドラから攻撃を受けたために両機とも援護へ戻り、ミサイルは手つかずのままイシュタリアへ向かう。
イシュタリア付近に配置されていたミレニアムも当然ミサイルを発見しており、ルナマリア・ホークのゲルググメナースを緊急発進させて迎撃。狙撃により1発はNJCを切り離されて無力化されるが、2発目は突然コースを変更したことで迎撃に失敗、そのままイシュタリアに直撃して15万人もの死者・行方不明者を出す。なお、爆発範囲内にいたラクス・クラインらはオルフェ・ラム・タオとアウラ・マハ・ハイバルに言いくるめられてファウンデーションのシャトルに乗り脱出…という体で拉致された。
さらに、ブラックナイトスコードはコンパスのライジングフリーダムが暴走して境界線を越えた際のどさくさに3基目のMk72を戦場のど真ん中へ向けて発射(こちらも即座にトレーラーを破壊している)、大破し放棄されたアークエンジェルやライジングフリーダムは核の炎に包まれ消滅した。
ファウンデーション王国が自国へミサイルを放った目的は、コンパスを戦力的にも社会的にも壊滅させつつラクスを攫い、『ユーラシア連邦による核攻撃で首都を焼かれた悲劇の国』と言う構図を作り出すことにあった。この影響で核ミサイル発射の引き金となったキラの所属するコンパスは世界中の非難が集まり活動を凍結。責任を擦りつけたることに成功したファウンデーションは、ユーラシアに対し「報復」として戦略兵器レクイエムを勧告なしで発射する暴挙に出た。戦略兵器を使うためだけに自国の国民を自ら虐殺しておきながら、被害者面のままその戦略兵器でさらなる虐殺を実行するという盛大なマッチポンプを披露している。その上、ラクスの名を使いプラントを焚きつけつつ「全世界にデスティニープランの導入・実行を勧告し、従わない場合はレクイエムを発射する」という世界規模の脅迫に乗り出したのだった。
しかし、3基目のMk72の爆発範囲はブラックナイトスコードが戦闘中の宙域であったため、必然的に着弾前には離脱を余儀なくされた。この影響でコンパスの面々にとどめを刺せたかは確認できないまま離脱していた。その上、コンパス側も比較的機体が無事だったムウ・ラ・フラガとヒルダ・ハーケンの尽力に加えターミナルのアスラン・ザラとメイリン・ホークの支援もあって、3基目発射時点で生存していたメンバーは辛くも全員が生還に成功していた。それをつゆ知らず計画を進行していたファウンデーションに対し、キラ・ヤマト達エルドアから秘密裏に生還したメンバー+アレクセイ・コノエら志願者で構成され発進したミレニアムより国際救難チャンネルで放送が入り、キラの口から『ファウンデーションは自作自演で国民を大量虐殺した犯罪者集団である』と全世界へ暴露されてしまった。
『どこの世界に自国へ核ミサイルを撃つやつが居るんだ!?』などと、シリーズでも前代未聞の暴挙であった事は間違いない(※)。
※:外伝漫画『ECLIPSE』にてブルーコスモスの工作活動による「地球連合軍が開戦を引き起こす大義名分を作る」ための作戦の最終段階として、核エンジンを暴走させたMSで地球連合軍の基地へ特攻しようと画策しており、コズミック・イラの世界ではもはや前代未聞では無くなってしまう。堪らねえぜ、この悪辣さ。
なお、ライジングフリーダムに軍事境界線を侵犯され侵略の意思ありと判断した際には、ユーラシア連邦が核ミサイルの使用に踏み切り掛けている。コンパス側はライジングフリーダムとそのパイロットに異常が起きていたと主張しているが、ユーラシア連邦側から見れば承認していない武力組織の、それもその組織のナンバー2が最新鋭MSによる軍事境界線の越境を行っており、それは『侵略戦争を仕掛けている』と言われても仕方ない状況である。
余談
作中で解除方法がパスワードのみで行える上、ブラックナイトスコードが解析した際にたった4桁しかないことは結構ネタにされる。しかもその数字が「0214」とコズミック・イラ的にかなり不吉。
あまりの管理の軽さに、いざとなれば即発射する気満々なのが見て取れる。