概要
てんとう虫コミックス35巻及び、藤子・F・不二雄大全集第12巻に収録。
動物を助けた後にこの薬をかけると、その動物が人間に変身して自分の元へ恩返ししに来てくれる。ただし変身しても元の動物の習性が残っていたり、また性格次第でもあるため恩を仇で返されることもある。恩返しが終わると、元の動物の姿に戻って薬の効力が消える。薬をかけた動物をいじめると、逆に仕返しをされてしまう。劇中で人間の姿となった動物達は全て少女の姿だったが雄の動物が少年の姿で現れるかは不明(これやこれに近いものか)。
ストーリー
「鶴の恩返し」を読んだのび太は話に感化されドラえもんにこの薬を出してもらい、空地の木に縛り付けられている子犬を助け、これに薬を使用した。するとこの子犬が可愛い女の子になって家を訪れたので、ドラえもんはどら焼きでも食べようと押し入れを捜すが見当たらず、女の子が匂いを手掛かりに本棚からどら焼きを見つけ出したため、のび太が隠していたことが判明した。
これにより子犬は恩を返したため元の姿に戻って帰って行ったが、のび太はこの薬を持ち出しゴミバケツに閉じ込められていた猫に使用した。しかしこの猫(時折登場する野良猫のクロ)は男性が閉じ込めていた泥棒猫だったため、野比家を訪れた際も水槽の金魚にいたずらしたり、昼寝を始めたり、のび太を叱りに来たママを引っかいたりする始末だった。
これに怒ったママから逃げるのび太だったが、持って追いかけて来たドラえもんの手からこの薬を地面に投げ捨てた際、薬が漏れて蟻が溺れたため、蟻が変身した少女数名により、のび太も同じように川に放り込まれてしまい、ドラえもんも慌てて駆け寄るのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1983年12月9日に、水田版は2014年2月7日にそれぞれ放送している
1983年版
- のび太が読んだ鶴の恩返しは鶴が予ひょうのもとから去っていく場面も描かれている。
- ドラえもんは初めこの道具を出すのを渋っていたが、のび太から「動物を可愛がるのはいいことでしょ」と言われ、取り出した。
- 子犬は縛られていたのではなく、大型の犬に追われていたところをドラえもん達に助けられた。ただしドラえもん達も大型犬と戦って多少ダメージを負っていた。
- のび太はバケツが動いた際、これをポリバケツのオバケだと思っていた。そして猫をバケツに閉じ込めたのはジャイアンとスネ夫になっている。
- 猫が昼寝を始めた際はのび太も昼寝をしようと布団を敷いたが、猫に邪魔され、更に棚に頭をぶつけた拍子に買ったばかりの漫画が落ちてきて、何とか恩返ししようと思った猫に破かれてしまった。そして猫と一緒に外に出た際ジャイアンとスネ夫に会い、猫を逃がした件を問い詰められギタギタにされてしまった。
- ラストは助けようとしたドラえもんも一緒に川の中に入ってしまっていて、幸いこの川は浅かったのだが、のび太は溺れて一人助けを求めていた。
2014年版
- 鶴の恩返しの内容はのび太が読み上げたものではなく、のび太がドラえもんに説明するかたちとなっていて、与ひょうはのび太に、鶴はしずかに当てはめられていた。
- 子犬は倒れた自転車と物置の間に閉じ込められて、場所もどこかよその家の庭だった。
- ママはやって来た女の子が「クー」としか言わないことを少し怪しんでいたが、ドラえもんが緊張しているからと言ったことで誤魔化せた。
- 泥棒猫を閉じ込めていたのは被害にあった魚屋の男性。
- ママは0点のテストを洗濯をした際に見つけていた。
- 泥棒猫はのび太に怒られて部屋から出て行った直後、台所にあったおかずの魚を咥えて逃走し、ドラえもんは追いかけている最中ゴミバケツにぶつかり、中から出て来たネズミに誤ってこの薬をかけてしまった。
- これによりドラえもんがネズミを助けたことになってしまい、女の子になって恩返しにきたため、ドラえもんは押し入れにこもってしまう。だがこの子が泥棒猫から魚と取り返そうとしてピンチになったため、ドラえもんは割って入り替わりに引っかかれたが、この後この子に治療され気絶してしまった。
- 先ほどゴミバケツが転倒したことで空き瓶などが散乱し、この中に薬も紛れ込んでいて、のび太が捜そうとした際知らずに足で蹴ってしまい、これにより薬が漏れて蟻が溺れた。
- ラストでのび太が蟻に放り込まれたのはスネ夫の庭の池で、この様子にスネ夫もびっくりしていた。