江戸っ子
えどっこ
江戸っ子とは、往年の江戸・東京で育った人物(特に男性)を指す。江戸の領域は現在の東京23区とはイコールではなく、概ね山手線以東および墨田区・江東区の横十間川以西(大正時代以前の東京15区)を指す。
江戸時代に「江戸っ子」なる概念が成立した当時は町人(店を構える商工業者)のみを指した。よって旗本・御家人のような武士や、長屋住まいの借家人は、江戸で生まれ育ち江戸言葉を使っていても「江戸っ子」とは呼ばれなかったのだが、明治時代に薩長出身者が東京で幅をきかせるようになると、彼らに反感を募らせた在来の東京市民は武家出身者や借家人を含めこぞって「江戸っ子」気質を誇示するようになった。
旧東京市域で明治以降に生まれた人物もしばしば「江戸っ子」を自称したが、第二次大戦後に生まれた世代(団塊の世代以降)では江戸っ子気質は薄れている。
短気で人情に厚く、しかし見栄っ張りの捻くれで勝負好き、というのがよく言われる江戸っ子気質である。
「江戸言葉」にもその気質は見受けられ、口をあまり開かず早口で捲し立てるようにしゃべるせいで、「ヒ」が「シ」になったり、「アイ」・「アエ」・「オイ」が「エー」、「ウイ」が「イー」と変化する。
また「粋でいなせ」という特有の美意識を持ち、「風情を愛し、懐が広く、押しつけがましくない」行動をさりげなくやってみせる者を大いに称賛した。流行りものも大好きで、流行には敏感。困っている人は放っておけないお節介焼き。しかしそれを他人に指摘されることを嫌うへそ曲がりな性分。
金銭に頓着がなく、「宵越しの銭は持たぬ」といわれるように、手に入れたら入れただけパッと派手に使って、後から内心で後悔するのも珍しくない。
そして負けず嫌いで、何事も相手より優れていないと気が済まない。特に見知った相手なら、なおのこと負けずにはいられない。「火事と喧嘩は江戸の華」と言われるように喧嘩っ早さにも定評があるが、過ぎたことをいつまでも言うのは「野暮」であり、事が済めば直ぐに水に流すからっとした気性である。
- 両津勘吉(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)
- 車寅次郎(『男はつらいよ』)
- ※ただしどちらの作品も旧江戸地区の外側の葛飾区(大正以前は農村であり、関東大震災以降に市街地化した)を舞台にしている。
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