近世
きんせい
近世(ちかよ)は人名、ただしpixivにおいてはこの用法の利用は存在しない。
ヨーロッパにおいて発達していた歴史学においては「古代・中世・近代」の3分類において歴史の時代が分類されていた。しかし、研究が進むにすれ、その分類では説明しづらい項目が存在することが明らかとなった。
そのため、中世と近代の間に新たに付け加えたものが近世という歴史区分である。
近世(フランス語:temps moderne、ドイツ語:Frühe Neuzeit、英語:early modern period)は海外において提唱された用語であるが、日本においても特に日本史に適用可能であるため、広く用いられている。
この概念に関しては主として西洋史で用いられるが、東洋史においても用いられている。
近世の概念は国により異なり、近世が存在しないとされる国も存在する。
ヨーロッパにおいてはおおむね15世紀中ごろの東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の滅亡から18世紀半ばまでの産業革命(およびそれに伴う市民による革命)のあたりまでをこの歴史区分として扱う。すなわち、ルネッサンスによる近代的な芸術・科学の始まり、地理上の発見と大航海時代、主権国家体制や絶対王政の確立した時代をこの時代に充てている。天才的な芸術家や学者の登場、急速な技術発展と冒険の時代でありヨーロッパ史上でも実に華やかな時代である。だがその華やかさゆえにpixiv的には、中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジー創作等でも近世的な設定を持ち込みやすくなる為、時代考証は要注意である。
また、日本においてはおおむね江戸時代が該当し、ほかに安土桃山時代や戦国時代まで含むかその一部のみ含むか、幕末を含むかなどは学者等により異なる。
他のアジア諸国に関しては諸説存在する。中国については内藤湖南に始まる東洋史学の京都学派が宋代から清朝までを近世と呼ぶ。唐から宋にかけて欧州のルネッサンスに匹敵するほどに政治経済文化的変化が大きいからというのがその理由である。しかしこの変化は古代から中世への変化であり、辛亥革命による近代の始まり迄近世と呼べる時期はなかったという異論もある。
ルネッサンスは西欧に様々な恩恵をもたらしたが、その代表格がいわゆるルネッサンス三大発明/世界三大発明と言われる活版印刷・羅針盤・火薬である。これらは何れも中国で誕生したのだが、実用的な有効性を発揮したのはこの時期の欧州である。まず活版印刷は、わずか20種類余りで文字を表現できるというアルファベットの利点もあって、活字の組み替えによる速やかな印刷組版の作成と印字を可能にした。学術の成果は速やかに印刷物になって各地に伝わり、学術の競争と発達は急加速した。また羅針盤は、船に積み込まれて正確な方角を知ることに貢献した。これによって欧州の船は遠洋航海を行うことが可能になり、アフリカの南端を通過してインドに向かうといった複雑な航路も自在に取れるようになった。
軍事面で中世と近世を分ける画期的な変化の象徴が火薬の活用、鉄砲や大砲など「火器」の出現である。中国で生まれた火薬はモンゴルとイスラムを通じてルネサンス期のヨーロッパに伝播。改良が施され銃が生まれ、フス戦争や百年戦争で実戦投入され、遠洋航海でも大きく役立った。火器の威力は鎧で防ぐことが不可能な殺傷力を誇り、旧来の弓矢や剣槍などで武装した停泊地現地の軍勢をなぎ倒した。日本にも戦国時代にもたらされ、日本の合戦を大きく変容させ、近世の幕開けとなる信長の天下統一にも貢献した。