概要
「野狐」は「野の狐」と同時に、狐の妖怪・狐憑きをも意味する。
> の‐ぎつね【野×狐】
> や‐こ【野×狐】
> 山野にすむキツネ。のぎつね。
(『デジタル大辞泉』)
> 野狐(やこ)
(『デジタル大辞泉プラス』)
野干・射干
野狐は「野干」(射干・射杆)ともいい、これも妖怪と狐の両方を意味する。野干の鳴き声は狼のようだという。
また、殺生石にまつわる能面、植物も指す。猿と見なされることもある。
> や‐かん【野干/▽射干】
> 1 中国で伝説上の悪獣の名。キツネに似て小さく、よく木に登り、夜鳴く声がオオカミに似るという。
> 2 キツネの別名。野狐(やこ)。「この后は―となって走りうせけるぞおそろしき」〈平家・二〉
> 3 能面の一。キツネの顔を表した鬼畜面。「小鍛冶(こかじ)」「殺生石(せっしょうせき)」などの後ジテに用いる。
(『デジタル大辞泉』)
> やかん【野干】
> 中国文献や仏典に見える野獣。射干,射杆とも書く。狐に似て狐より小さく,群れをなして夜行する。よく木に登るので猿の一種とみなされることがある。司馬相如の《子虚賦》に,雲夢沢の密林の樹上に射干その他の鳥獣が住んでいることをうたっている。日本では狐の異名として用いられることが多い。妖狐を題材とする謡曲《殺生石》の後シテは,野干の面を着ける。《野干》という曲もあったが,今では廃曲となっている。
(『世界大百科事典 第2版』)
他の信仰・伝承との同一視(習合)
野狐の信仰・伝承は多様で、お稲荷様をはじめ三狐神(サグジ)・倉稲魂(ウカノミタマ)・ダキニ天・悪魔・貴狐天皇とも同一視(習合)されている。
詳細は「お稲荷様」を参照。