あのタイヤ付きの艦を停めるための盾になれ!壁になれ!モビルスーツ!!――でも、核爆発…綺麗な核なんてあるわけない…っ
カタログスペック
頭頂高 | 14.5m |
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本体重量 | 8.1t |
全備重量 | 16.5t |
ジェネレーター出力 | 3,980kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金セラミック複合材 |
スラスター総推力 | 69,260kg |
概要
宇宙世紀122年〜から地球連邦軍で運用されていた量産型第二期MS(モビルスーツ)。
連邦軍が最後に制式採用した機体と言われ(正確にはもう一つ機体は存在するが)、同じ量産型として開発された「ジェムズガン」の兄弟機(後継機)にあたる。
ジェムズガンが未だ設計段階にあった宇宙世紀0111年において、サナリィの台頭を許したアナハイム・エレクトロニクス(以下、AE社)がこれに対抗する為にジェムズガンの開発計画自体に変更、宇宙用の高機動機として根本からの開発が行われる。
その後ロールアウトされたジェムズガンに対する連邦軍からの大きな不評を受け、ある計画による検証(盗用および裏取引で入手)されたと思われる技術からのフィードバックにより再設計され完成に至った。
(その際に付けられた型式番号RGM-122が示すように、ロールアウトはジェムズガン(宇宙世紀0119年)よりも後年となっており、制式採用は宇宙世紀0122年……すなわちシルエットガンダムおよびネオガンダムのロールアウトと同年である)。
宇宙戦用として再設計した際、宙間戦闘に重要なファクターとなるサブスラスターが腰部・脚部を中心に全身に増設。
特にこのサブスラスターの増設はそのまま地上運用においても運動性・機動力の向上に繋がっており(ベースとなったジェムズガンが本来は全領域対応として開発された事もあって)、簡易的な改修によって大気圏内での運用にも対応可能である(実際にモトラッド艦隊とぶつかった南米・タンピコの部隊では、本機を地上用に改修した機体を運用していた)。
尚電装系は、連邦量産機としては珍しくデュアルセンサー採用型である(保護ゴーグルをしているため外観はジム系と大差がない)。
本機最大の特徴は自身の名を冠した武装「ジャベリンユニット」である。
このクロスボーンバンガードから流用された技術によって、接近戦における基礎戦闘力の底上げに成功した。
またジェムズガンから再設計された武装も使用可能な上、ビームシールドも初期ロットから装備されているなど互換性や汎用性も安定した。
総じて「AE社が本当の意味で生産に力を入れた第2世代機」を力強く主張することに成功し、宇宙世紀0120年代においてクロスボーンバンガードのMS以上の性能を持つ、連邦軍が求めた「第二世代MSとして及第点」に達した機体である。
だがAE社が本格的に小型MSに着手したのが遅れたことが災いして、本格的な配備が完了したのは開発されてから10年も経過してからのことであり、本来の仮想敵であるクロスボーンバンガードとの戦いには間に合わなかったと言われている。
だがその性能の高さと安定性により、制式採用されてから30年の長きに渡り連邦軍の主力MSとして活躍することになった。
(宇宙世紀0130年代を舞台とした漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズであり、木星帝国のモビルスーツを相手に善戦する姿が描かれている)
その後宇宙世紀0150年代においては流石に旧式化が否めず、ザンスカール帝国の運用するベスパ(サイド2駐留のサナリィが前身)開発MSには常に劣勢であった。特に大気圏内戦闘においてはミノフスキー・エフェクトを利用した長距離空中航行機構(ビームローターなど)を装備していない事が致命的であった。
だが宇宙世紀0150年代において「数を揃え易い量産機としては」主力武器のジャベリンユニットのお陰で、ザンスカール帝国機と渡り合える唯一の機種であった。
それ故に連邦軍だけでなくリガ・ミリティアにおいても、ガンイージやVガンダムの生産調達が不可能であった部隊は本機を運用していたとされる。
その結果なのか、終盤のエンジェル・ハイロゥ攻防戦においては相当の数が参加している。
武装
頭部バルカン砲
連邦軍系列機の基本武装。
ビームライフル
連邦軍系列機の基本武装。
前身のジャベリンのライフルが不評を受けたため、完全新規設計された。
バレル・ストック・センサーの全てが大型化されフォアグリップも増設されるなど、あらゆる面で性能が向上している事が伺われる。
エンジェル・ハイロゥ攻防戦終盤では、専用ライフルをリグ・コンティオに破壊されたV2ガンダムも使用した。
ビームバズーカ
地球連邦軍で制式採用されている規格武装。
宇宙世紀0120年代において、サナリィのF90ⅢYタイプが運用テストしていたメガビームバズーカの量産バージョン。
宇宙世紀0150年代では、サナリィの特許を用いてAE社がOEM生産している。
カラーリングはグレー一色。
他にも本武装のエネルギーコンデンサー容量(1度のチャージによる弾数)をアップし、ハードポイントに対応させた改造版がリガ・ミリティアでも標準装備として運用されている(ガンイージはダークグリーン、ガンブラスターはライトグリーンのカラーリングで使用)。
こちらは威力・射程面においては、ザンスカール帝国機と充分に渡り合える性能を有している。
ビームサーベル
ジェムズガンと同仕様。
アイドリング・リミッターを搭載し、ビーム刃の収束率も高い。
ラッチはバックスカートアーマー裏側にあるため、外観からは携行箇所がわからない。
ジャベリン・ユニット
本機最大の特徴となる武装。大型のショットランサー。
ジャベリン制式採用決定後の翌年に、地球連邦に対して建国戦争を仕掛けたクロスボーン・バンガード所属機の基本装備を自身用に洗練。
AE社は宇宙世紀0122~0123年においてブッホ・コンツェルンと複数技術の裏取引を行っているため、本機にもそれがフィードバックされている可能性を指摘する資料もある。
背面に二基、背負うような形でバックパックとボールジョイントで接続されている。
通常はランサー部を回転射出することで、その質量と運動エネルギーで目標を破壊する。
更にユニット後部にはスラスターを有しているため、ランサーを含めたユニット全てを対艦ミサイルとして射出することも可能。
またジョイント部から取り外してより大型な対艦戦専用や後方支援武装など、戦局に合わせて換装できるようになっている。
他にも側面部にグリップがある事から近接戦闘にも対応しており、バックパックに装備したままF91のヴェスバーのように前方に回り込ませてランサーを展開可能。
そしてジョイントから取り外してユニットをマニピュレーターで持ち、ランサー部を伸縮させて打撃兵器としても使用できる。
(このショットランサーの特徴として「質量兵器である」ため、敵機のジェネレーターの核爆発を誘発させにくい利点がある)
ビームシールド
前腕部パーツから、ジェムズガンと共用している。
ビームシールド接続用コネクタの円形が重なった形状は、やはりシルエットガンダムのそれに酷似している。
ジャンヌ・ダルク艦隊所属機は、三機のシールド(のIフィールド)を同期させた高出力・大面積シールドとしての展開により、ゴトラタンのキャノンから母艦を守るというプロの軍人らしい運用を見せている。
バリエーション機
プロトタイプジャベリン
漫画『機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 継がれし血統』(非公式作品)に登場。
新規開発にあたりジェムズガンをベースに製作したデータ収集の為の試作機である。
メインカメラにゴーグルが装着されておらずデュアルセンサーが剥き出しとなっており、ジェムズガンのフレームと外装をベースに新開発したパーツを組み込んだだけの仕様のためジャベリンユニットも装備していない。
だが一説にはこの時点でCV軍のベルガ・ギロスと同等の性能を有していたとも言われている。
機体カラーはカナリアイエロー。
宇宙世紀0123年のコスモ・バビロニア建国戦争にてカムナ・タチバナ将軍が本機で出撃し、息子であるシュウ・タチバナことシュテイン・バニィール中尉が操縦する金色のベルガ・ギロスと交戦。
老齢ながらも一年戦争から戦ってきた元MSパイロットであるカムナ将軍の技量と相まって互角以上の戦いを繰り広げた。
初期生産タイプ
正式採用された直後に生産された機体。
当初はジェムズガンと同一のラインで生産されており、多くのパーツがジェムズガンと同じものを採用している。ただし、ショットランサーはこの頃から標準搭載となっていた。
ジェムズガンの生産終了以降は、専用設計の部品を使用した量産タイプへと移行していった。
量産タイプ
制式採用決定後に生産されたタイプ。
ジェムズガンの生産終了によりラインを共有する必要がなくなったため、より最適化を施したマイナーチェンジが行われた。
生産ラインによってはセンサーのゴーグルを無装着とし、代わりにデュアルアイが剥き出しとなっている機体も確認されている。
ザグレン隊所属機はエメラルドグリーンのカラーリングで宇宙艦隊の機体はジムと同じカラーリングとなっている。
対艦用ジャベリン
対艦用の大型ショットランサーを装備した機体。
ミサイルタイプのランサーであるメガスピアを高速で射出して敵艦を打ち抜く。
対艦専門部隊であるティルコッド隊に配備されていた機体は、ウグイス色に塗装されている。
ジャベリンキャノン
型式番号RGM-122C。
量産後期に少数だけ製造された砲撃戦タイプ。
ショットランサーに代わり、単装または4連装のビーム砲2門を装備している。
しかし汎用機として設計されたジャベリンでは、重砲撃戦を行うためにはジェネレーター出力が足りおらず、攻撃回数が制限される事となり十分な性能は引き出せなかった。
ザグレン隊所属機は赤、ティルコッド隊所属機は濃い青で塗装されている。
アクアジャベリン
PCゲーム「SDガンダムウォーズ」に登場する水中用の機体。
ビームトライデントや遠距離ミサイルを装備している。
関連イラスト
余談
制式採用の後
本来、このジャベリンの後に開発される制式採用機はコンペティション結果を反映してサナリィが主導する事となっていた。
だがAE社の生産設備規模や政治、経済への影響力の大きさ、何よりも地球連邦政府全体の予算の困窮を理由に「次期主力機開発計画自体が棚上げ」となり、結果的にジャベリンが地球連邦軍の制式採用量産機となった。
ただし上記の通り、生産設備の転換(つまるところ、予算面)などを理由に本格的な実戦配備までに10年もの期間を費やしている上、そこから更に20年が経過した宇宙世紀0153年に至っても、未だに充分数の配備が完了しておらず、スペースコロニーの駐留部隊によってはヘビーガンや、ジェガンのマイナーチェンジ機が運用されていた。
この事実は、当該年代には最早地球連邦政府には地球圏を管理・運営していくだけの組織力が残っていなかった事実を克明に表している。
逆に言えば、本機が多数配備されていたムバラク・スターン大将指揮するジャンヌ・ダルクを旗艦とした連邦艦隊は、『第一艦隊』としての体面を保っていたとも言える。
ジェネレーターの核爆発
サナリィのF90以降のMS(第二期MS)に搭載されている小型・高出力ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉は、ビームが直撃すると甚大な核爆発を生じる可能性が高い。
これを理解した上でウッソは第34話において、モトラッド艦隊を停めるため“やむを得ず”無人のジャベリンを艦隊の侵攻方向に放り投げ、ジェネレーターにビームライフルを直撃させる事で、意図的に核爆発を起こしている(最上段のセリフはこの時のもの)。
この核爆発の被害については、漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト』においても、南米に設けられたマリア・シティ潜入編開始時にフォント・ボーのモノローグによって語られており、大気圏内におけるモビルスーツ戦がいかにデリケートであるかを示している。
……が、実はこの『ジェネ―レーター核爆発』の設定については『機動戦士ガンダムF91』(1991年公開)の時点では設定されておらず、『Vガンダム』(1993年放送)時に再編・追加された設定である。このため、F91~Vの期間に開発された第二期MSは、1993年以降のムック等でこの核爆発の危険性が後付けされている。
なおこの設定は、当時(以降)の富野監督が年齢もあってかナチュラリスト志向が強くなっており、核の利用が地球・人類にとって如何に危険かを啓蒙するために追加されたものであり、ブレンパワード~の各作品群においても常に核の危険性を謳っている。
デザイナー
RGM系列最後の機体だが、デザインは石垣純哉氏が担当しており、同作において大河原邦男氏はガンイージ、ガンブラスターのデザインにまわっている。
何故か、と問うてはいけない。『機動戦士Vガンダム』は全体的にそういう作品だからである。