シャドウ(怪獣娘)
しゃどう
概要
1期第8話より登場した、本作における敵勢力。
正体や出自・目的については何一つわかっていない。劇中の描写から人類との意思の疎通も恐らくできないものと思われるが、感情は有しているらしく、アニメ版では形成が不利になるとみるや大慌てしているような仕草を見せるなど、コミカルな描写もあった。
後述するシャドウジェネラルが、アギラが高所から飛び降りて自身に頭突きを見舞おうとしたのを悟った際に、「その手は食わない」と言っていたことから、何らかの方法で個体同士で情報を共有し合っていたか、若しくは姿形こそは違うものの同じ1つの意思の下で行動する生物であった可能性もある。
一つだけ明らかなのは世界に厄災を齎す存在であるということ。また、なぜか怪獣娘にしか倒せないらしい。
不定形のスライム状の姿をしているが、ある程度であれば自由に姿を変えることができる模様。この第一形態と呼ばれる状態から成長することで後述のシャドウビースト同様複数のタイプ(ナメクジ型、甲虫型、ムカデ型、羽虫型など)が確認される第二形態と呼ばれる状態へと変化する。個々の能力は低いものの圧倒的な数の暴力で襲撃するほか、人類には破壊不可能と言われていたキングジョーの装甲すら溶解させかける粘液を放出するなど特殊な能力を持つ個体も存在している。
GIRLSが結成されて間もない頃に、とある山中で豪雨に紛れて突如多数の個体が出現し、孤立した山間地帯の村落へと救出に向かっていた多岐沢マコト、晴海ソラ、クララ・ソーンの3名を襲撃するが、現場に駆け付けたGIRLSの実動部隊によって一度は撃退される。
しかし、完全に滅びたわけではなく、アニメ版の開始時点では何らかのきっかけで日本各地で大量発生するようになっており、GIRLSは総力を挙げてこのシャドウの掃討に当たることとなる。
東京に出現した個体はすべてGIRLS東京支部の面々によって殲滅され、巣にいた個体もゼットンによって全滅した。
2期の時点でも規模は小さくなったものの活動を続けており、まだ多数の残党がいる模様。
シャドウビースト
シャドウの上級個体で、1期では事実上のラスボスを務めた。
並の怪獣娘でもある程度太刀打ちできたシャドウとは異なり、こちらは戦闘経験を積んだ怪獣娘であっても苦戦を強いられるほどの戦闘力を誇る強敵。
1期では、オーソドックスな怪獣型の個体とムカデ型の個体が登場した。
怪獣型は並の攻撃ではびくともしない強固な体と無双の怪力を持ち、ムカデ型は体を切断されても即座に分裂・再生するなどどちらとも非常に厄介な存在である。
すべてのシャドウが壊滅した後突如市街地に2体出現し、圧倒的な戦闘力でGIRLSの面々を追い詰めるも、怪獣型の方は一瞬の隙を突かれてアギラの渾身のヘッドパッドを受けて顔面の一部を損傷し、最後は損傷した箇所にゼットンの火球を受けて木っ端みじんに粉砕された。ムカデ型の方も分裂・再生を繰り返したものの(直接の描写はないが)最終的にはすべて倒された模様。
2期では後述するシャドウジェネラルに召喚される形で、飛翔能力を持つコウモリ型のシャドウビーストと、円筒型の体型をしたパイルバンカー型シャドウビーストが登場。
前者は空中を飛翔しながら超音波や光線で攻撃してくる厄介な相手。後者はその名の通りパイルバンカー型の両腕を射出して相手を攻撃することが可能で、さらに戦闘不能になったと見せかけて相手に不意打ちを仕掛けるという狡猾さも兼ね備える。
今回も怪獣娘たちを苦戦させたが、エレキング・マガバッサー・マガジャッパが現場に到着して戦力が増強されたことで劣勢となり、両者とも最後は怪獣娘たちに退治された。
なお、コウモリ型とパイルバンカー型は、元々はアプリゲーム『怪獣娘 ~ウルトラ特訓大作戦~』で初登場したキャラクターであり、アニメ版に逆輸入される形での登場となった。
小説版『始まりの物語』でも大柄な体躯を持つシャドウの親玉と思われる存在が登場しており、恐らくこのシャドウビーストのことを指しているものと思われる。
また1期と2期の間の出来事を描いたノベライズでは、第二形態のシャドウが更に進化することでシャドウビーストになることが明かされており、鳥人のような姿の個体も登場している。
シャドウミスト
2期から登場した新種のシャドウ。
実体を持たず、マイナスの感情を持つ人間に憑依し、操ることで活動する。
憑依された人間は、暴走した怪獣娘と同様、目が赤くなってハイライトがなくなり、凶暴化してしまう。
4話において、どうやら何者かによって操られているらしいことが判明した。それが誰だったのかは劇中では直接語られてはいないものの、11話での描写から、後述するシャドウガッツであったと考えられる。
ちなみに、あの邪神が体内で作り出す暗黒物質と同じ名称だが、特に関係はない。
シャドウガッツ
ガッツ星人に憑りついたシャドウミストが、彼女を完全に侵食しきる直前に、睡眠中、無意識にガッツ星人が発動させた分身能力により分離させられたことで実体化したもの。
オリジナルのガッツ星人よりも遥かに高い戦闘力と狂暴性を持ち、2期におけるメインヴィランとして怪獣娘たちの前に立ちはだかった。
最終的に、体からシャドウミストが取り除かれたことでシャドウの呪縛から解放され、シャドウジェネラルとの戦いでは怪獣娘たちに加勢した。
なお、『怪獣娘』とコラボした『モン娘☆は~れむ』にも登場しているが、こちらでは“ガッツ星人(マコ)”という名称になっている。さらに、通常のガッツとは別枠でプレイアブルキャラとして参戦している。
シャドウジェネラル
「はじめまして。そして偽りの怪獣の皆さん…お別れです」
声 - 松田颯水(二役)
11話で、怪獣娘たちの猛攻を受けて倒されたシャドウガッツのシャドウミストが、周囲のシャドウと合体することで誕生した、新たなシャドウの強化形態で、2期におけるラスボス。
シャドウビーストとはまた異なった存在らしく、怪獣娘に憑りついていた影響からか、カブトムシに似たツノと六本の脚が生えた、より細かいディテール、及び人間に近いフォルムを持った身体を獲得した。公開されたビジュアルだけでは性別が判別しかねる少年のようなヒューマノイド型。
また、足にピエロの靴下のような縞模様があり、ガッツ星人の特徴も引き継いでいる。
そして、最大の特徴はアニメで登場したシャドウで初めて人語を話し、明確に知性を有した個体であること。
能力として、2体のシャドウビーストを召喚したり斧とも剣ともブーメランともつかない武器を出したり、頭部や腰部に複数のムカデの様な触手、頭部の目の様な部位から光線を放つ。
自らの実力に絶対的な自信を持っていたのか、はたまた能力が長距離攻撃に特化していたためか、基本的にその場から一歩も動かずに相手を攻撃していたが、逆にその事が災いし、アギラの飛び降りによる急降下攻撃に気付いてこれを防ごうとするも、攻撃を仲間たちに悉く捌かれてキングジョーの拘束を受けてしまい、最後はゼットンのバリアによる補助を受けて威力を増大させたアギラの急降下攻撃で体を貫かれて敗北、そのまま爆散して消滅した。
なお、戦闘の最中であったためにスルーされたものの、怪獣娘たちを「偽りの怪獣」と称しており、怪獣娘のルーツについて何らかの事情を知っていた可能性がある。
名前は似ているがトランプの怪人とは関係ない。
正体について
その正体については現段階では明らかにされていないため、ファンの間でも様々な意見がある。
2期では彼らの謎を知る1つの手掛かりとして、怪獣娘のことを「偽りの怪獣」と称していたことが挙げられる
もし、これを言葉通りに自分たちこそが「真の怪獣」であるという意味だと解釈すれば、怪獣は本来有害な存在であるため、怪獣たちが人間=怪獣娘に転生する際に分離した、自らの闘争本能を満たすためだけに善良で弱い生物すら手にかける凶暴さ、人類にとっての希望の象徴を徹底的に貶めることで抵抗の意志を奪おうとするような狡猾さ、あるいは性格はそもそも関係なく、「ただそういう存在だから」という理由だけで人類に広く害をなす災害のような性質といった、怪獣の魂の悪い部分の集合体こそが彼らの正体ではないか……と考えることもできる。
一応、本作は続編は作られるようなので、願わくばそこでの設定の掘り下げを期待したいところである。
余談
- デザインを手がけたのはZトン氏。Zトン氏は、後にウルトラ怪獣擬人化計画においてパワードバルタンとパワードゼットンのデザインも手がけている。
- 小説版『始まりの物語』では「シャドウズ」と複数形で呼称されている。
- シャドウビーストの鳴き声はグランドキングやアンギラスのものが使用されている。
- 2期でシャドウガッツおよびシャドウジェネラルとの戦いの舞台になった場所は、茨城県つくば市にあるつくばセンタービルの広場がモデルとなっている。ウルトラシリーズではあまり馴染みのない場所であるが、スーパー戦隊シリーズや平成仮面ライダーシリーズ等の東映特撮の作品では戦いの舞台としてしばしば登場する場所であり、特撮ファンなら間違いなくピンときたであろう。
- 『怪獣娘』世界にしか現れない存在かに思われていたが、なんと別世界である筈の『ウルトラ怪獣擬人化計画ギャラクシー☆デイズ』で出現が示唆されている。劇中では44話でレッドキングとキングジョーに撃破されたあとの黒煙でしか描かれていないものの、その後キングジョーが「先日発見された人型」というセリフと共にシャドウジェネラルらしき画像を持ち出すシーンもあるので、この世界においても怪獣少女とシャドウの戦いが繰り広げられているのは間違いないようだ。劇中では何度かクレイブゲートと思われるオブジェが登場しており、恐らくここを通じて『ギャラクシー☆デイズ』の世界へと侵攻してきているのではないかと考えられる。