概要
怪獣や宇宙人には冷酷だが女には甘い男、モロボシ・ダン。前回の作戦に学んだピット星人はセブンの弱点を突き、エレキングの遺伝子データからハニートラップ特化型の女ハイブリッドを生み出した――。
…のではなくて、
『ウルトラセブン』第3話でピット星人によって送り込まれた宇宙怪獣“エレキング”をモチーフに、擬人化したキャラクター。
元々人気の高い怪獣だけに、二次創作の怪獣擬人化のジャンルでも数多く採り上げられていたエレキングだが、円谷プロ公認の『ウルトラ怪獣擬人化計画』でも、いわゆる「プレックス版」「POP版」「KADOKAWA(角川)版」の3バージョンがそれぞれ発表されるというゴージャスな扱いである。
その後、「プレックス版」の新規リリースが止まったため、エレキングはレッドキング、ゼットンおよびラバーストラップ&ねんどろいどの発売されたキングジョーと共に、3バージョンがそろい踏みしている数少ない怪獣となっている。
なお、厳密には「エレキングさん」と「さん」付けで呼ばれるのはプレックス版と電撃版のみであるが、本項ではPOP版もあわせて解説する。
プレックス版
プレックスによる円谷プロ公認プロジェクト「ウルトラ怪獣擬人化計画 Figure Project」の記念すべき第1弾としてリリース。
…一見怪獣とは思えない風貌をしているが、よく見ると全体をエレキングのイメージカラーである白と黒に仕上げ、長い尻尾をロングマフラーにするなど、特徴もしっかり活かしたデザインとなっている。
また、その露出した胸や脚の絶対領域が眩しい事から、紳士たちの間では「エロキング」との呼び声高し。
電撃版
デザインは、『インフィニット・ストラトス』新装版の挿絵や『ゼノサーガ』シリーズのメカデザインを手がけたことなどで知られるCHOCO氏が担当。同じくCHOCO氏が手がけたクレージーゴンとの同時発表だった。
こちらは他の2つとは異なり、女騎士を思わせる凛々しい雰囲気のお姉さまに(掲載誌によると、ピット星人を守護する怪獣であったことから、主君に仕える騎士というイメージが湧いたのだという)。一方で、ピンク色の髪など女の子らしい可愛らしさもしっかりと残されている。
右手に尻尾を模したムチを持っているのは、某地底戦士の持つ能力に触発されたのだろうか。なお、後述するアニメ版の描写を見る限り、これは普段は尻尾としてお尻のあたり(?)に装着されており、必要に応じて取り外して使用しているようである。
一方、左手にはピット星人の円盤を模した盾を携えている(よく見ると、イヤリングもピット星人の円盤と同じ形をしている)。
ただ、どうにも気になるのは胸元。
困ったことに、オリジナルの黒い斑点を極端に布地の少ない水着状にアレンジしているのである(上記イラスト参照)。
ただでさえほとんどはみ出していて、大変目のやり場に困るというのに、その後リリースされた『怪獣大図鑑Vol.2』の表紙では…………
ちょっ……、見えちゃってませんかコレ!?
流石に露出過多過ぎたのか、アニメ版では胸元の布地が少し増量されている。
(それでも胸の谷間も横乳も丸見えだが)
また、胸にばかり目が行きがちだが、スカートも非常に丈が短く、お尻が殆ど見えてしまっている。
後述するアニメ版のラジオ番組「怪獣娘 ウルトラGIRLSトーク」においても、パーソナリティを務めた五十嵐裕美と諏訪彩花から、「お尻見えてますよ」「おっぱいもすごいよ」「あ、ホントだ!!しかも装甲とかなくてここだけ…」とツッコまれている。
このように、実にけしからんデザインをしている電撃版エレキングだが、追い打ちをかけるかのごとく、掲載された際に雑誌にも
「セブンに負け『くっ、殺せ!』といってくれる妄想がはかどります。」
などと書かれたり、アニメの小説版の2作目でも「露出の多い怪獣娘の中でもダントツの露出度」等という一文が挿入されるという始末。
公式ですら、ごらんの有様だよ!
…そんなわけで、案の定というべきか、こちらのバージョンもめでたく(?)「エロキング」認定(タグ付け)されてしまった。
同年9月に行われた原画展での人気投票では、初登場ながらも2位にランクインと大躍進。
著名デザイナーが関わったことや、女騎士を思わせる凛々しいデザイン(はたまた露出度)が好影響したか。
2016年11月号では、水着を着た成長途上の姿を描いた“水中Ver.”も公開されている。
漫画版
24話で登場。
円谷学園の近辺で、「闇と共に現れる」謎のUMAが目撃されたという情報を受け(彼女自身もUMAを目撃していた)、湖に身をひそめてUMAを捕まえようと狙っていた。
正体不明の怪物を捉えようと危険を顧みずに率先して活動していたり、ミクラスをUMAと見誤って捕獲してしまった際には素直に自らの非を認めて謝罪したりと、「女騎士」らしい実直で真面目な性格のようである。もっとも、その謎のUMAの正体が同じ学園の生徒であることを見抜けなかったあたり、やはりどこか抜けているのかもしれないが…。
ちなみに、ミクラスからはこの一件以降「強くてカッコいい人」として憧れの対象となっている。
終盤のシャドウ襲来時にはソウルライザーの力でEXモードに強化変身。二刀流になった鞭でシャドウジェネラルとシャドウビーストをまとめて薙ぎ払った。
アニメ版
準レギュラーとして登場。初登場は第4話。
エレキングの魂を受け継いだ怪獣娘で、本名は湖上ラン。名字は「湖のひみつ」、下の名は恐らく「ライトニング」からだろうが、小説版に登場したガーディー(柴崎ラン)と名前がかぶってしまっている。
ピグモンからは「エレエレ」と呼ばれている。
カプセル怪獣3人娘の先輩格(彼女も高校生で、3人よりも1学年上とのこと)で、礼儀に厳しい。劇中では語られていないが、実家は金持ちで実は結構なお嬢様らしい。
ぶっきらぼうな性格で辛辣な物言いが目立つなど、どこか人当たりの悪そうな印象を与える一匹狼気質の少女だが、ピグモン曰く、「心根はとても優しい」らしい。
1期の最終話でゼットンとLINEらしきもので連絡を取り合った際には、顔文字も交えたかなりフランクな口調を用いるという意外な一面も見せている。SNS上やメール上では性格が豹変するタイプなのかもしれない(ちなみに、現状ゼットンの連絡先を知っているのは彼女だけのようだ)。
『お前にピットイン!』(通称:おまピト)などの漫画・アニメを好む腐女子という意外な一面も持っている。
2期4話でマガバッサーに趣味を聞かれた際には「マンガ・アニメ・ゲーム・スマホ」と即答していた。
インドア派なのね。
本人の性格上、趣味については1人で密やかに楽しみたいと考えており、SNS上で誰かと一緒に盛り上がったり共有するといったことは好んでいないようだが、趣味を同じくするレイカからは「同じ趣味を持っている先輩」として密かに憧れを抱かれており、それなりに親睦を深めている模様。
一方で、ミクからは初対面時のやり取りがきっかけで苦手意識を抱かれてしまった(原典において、怪獣のミクラスは、エレキングに尻尾で巻かれて電撃を喰らった事があり、恐らくこれを意識した小ネタと思われる)。
本人曰く「戦闘タイプではない」らしい(『ウルトラ特訓大作戦』やゲスト出演した『モン娘☆は~れむ』では調査員であると名乗っている)が、シャドウとの決戦では増援が来るまでの間1人で複数の個体を相手に互角以上の戦いを繰り広げていた。というか、まとめて何匹ものシャドウを一刀両断しながら言われても全く説得力がない。
ちなみに、調査課への配属を希望したのは「色々な所へ行けるから」らしい。恐らく、空いた時間にアニメグッズなどを買い漁れるためであろう(1期でも空き時間を利用してアニメショップにいる様子が確認できる他、2期でもシャドウの調査に行ったついでに好きなアニメの限定グッズをちゃっかり購入している)。
また、劇場版の予告動画では、ピグモンと共に司令室にいるシーンがあることから、単なる平の調査員というわけではなく、組織内でそれなりの地位に就いている可能性がある。
2期では本編終了後のおまけコーナー「おしエレ ~教えてエレキング先輩~」にて、新人であるマガバッサーとマガジャッパの指導係を兼任。同時に、1期で押し込めて来たオタクとしての個性が加速して行く。
3話ではとうとう変身前の姿を初披露。この際、普段は眼鏡をかけていることが判明した。露出の多い怪獣娘の時の姿とは対照的に、普段はズボンスタイルのスーツという割とフォーマルな格好をしており、原画展ではその恰好を見ることができる。
一方で、独自にシャドウガッツの調査を進めてその内容を他の怪獣娘たちに報告したり、シャドウジェネラルとの最終決戦では敵の攻撃から仲間たちを守った上で、気合を入れて戦いに臨むよう発破をかけたりと、ちゃんと頼もしい先輩としての姿も見せている。
また、ゴモラとレッドキングがパイルバンカー型シャドウビーストの不意討ちを受けた際にも、即座に敵の腕を破壊して二人を救っている。本当に戦闘タイプじゃないんですよね……?
小説版
『ミクラス編』では、本腰で勉強に取り組めなかったミクラスに敢えてキツイ言葉を投げかけて発破をかけ、結果、彼女が昇任試験に合格するのに一役買ってあげていたことが語られている。
この際、ミクラスにとうとう面と向かって「あんたのことが苦手」と言われてしまうが、エレキングの方はミクラスに対して「単純で分かりやすい性格だから、私は寧ろあなたのことが得意」と返している。
こうした相手の性格や特性を見極めてそれに応じた指導を行えるという一種の教員適性に関してはレッドキングを始めとする他のメンバーたちも認めているところであり、2期で新人教育を任されたのは組織内でこうした点が評価されてのことだったようだ(当の本人は「自由時間が減る」と愚痴をこぼしていたが)。
『ウインダム編』では、他の人と趣味を共有できずに悩んでいたウインダムから相談を受けた際、「あなたが本当にしたいことは何?」と解決のためのヒントをさりげなく与え、彼女が迷いを断ち切るきっかけを与えている。
アニメ本編では何かとキツい言動ばかりが目立ってしまい、とっつきづらい印象を抱かれてしまっていた彼女だが、小説版では後進の成長のためにあえて嫌われ役を買って出ることも厭わないなど、「いい先輩」らしい一面が強調されている。
また、いずれのケースにおいても、自分自身は問題には過度に干渉せず、事態打開のためのヒントや糸口を与え、あとは当人たちの努力に任せるというスタンスを取っている。そういった意味では、この人たちに近い立ち位置にいるキャラと言えるのかもしれない。
担当声優
潘めぐみ(アニメ版)
2期が決定した際にはジードのエレキングの爆殺シーンで祝われている(潘は『ジード』ではペガッサ星人ペガ役を演じている)。そして、2期4話では遂にジードにまつわる小ネタが…。
feat.POP版
他の2バージョンとはデザインのベクトルが大きく異なり、ロリ……もとい!!少女のような姿。
さしずめ「エロキング」ならぬ「萌エレキング」か(小柄なので、「リムエレキングっぽい」との声もあったり)。
デザインを手がけたPOP氏によると、やはり可愛らしさを意識したデザインにしたとのことである。また、エレキングの足が個人的に印象的だったらしく、それを踏まえて足をもっこりした感じにデザインしている(上のイラストのように、折り返しの付いたブーツ状になっている)。
電気を扱うことから、コンセントなどの電気をイメージしたアイテムも組み込んでいる。
実は3バージョンの中で、最初に映像化されたエレキングさんだったりもする(後述)。
なお、現在のデザイン(上のイラスト)と後述する『はいたい七葉』の動画に登場している際のデザインがかなり異なっているが、これはPOP氏が「最初にデザインしたものと、今のデザインのイメージとの差が出て来てしまった」ために一度デザインを描き直したことに起因する(同様の理由により、ゼットン、レッドキング、キングジョーも一度デザインを描き直されている)。
『リング☆ドリーム』とのコラボで榎木くるみが着用している着ぐるみの元になったことでも有名。
ウルトラ怪女子
怪獣墓場の住人として登場。メフィラス星人とテンペラー星人の侵略計画に(内心は乗り気ではないが)参加する。
上記の幼い容姿についてもネタにされており、「豊満なボディを連想させるホルスタイン柄なのに幼女体型であざとい」等と散々な言われ様であった(一応、本人も気にしてはいるようだが、生前、魚ほどの大きさから急成長したことから、すぐに大きくなるとかなり楽観的に考えている)。
アイスラッガーで体を切断された時のことを「ちょっと気持ちよかった」と発言した為、変態疑惑をかけられてしまうが、テンペラーに「自分もハサミを切り落とされた時興奮した」とフォロー(?)されたことで事なきを得る。
はいたい七葉
第20話で、テンペラー星人の従者としてキングジョーと共に登場。デザインは旧バージョンが使われている。
基本的にはイーナや主人であるテンペラー星人の世話をしていることが多く、台詞は殆どなかった(テンペラー星人に帰ることを告げられた際に「はーい」と言ったのが唯一)が、イーナやテンペラー星人と共にげらげら笑うシーンがあった為、無感情な人物という訳ではない様子。
feat.POPComiccode
秋田書店の隔週誌「ヤングチャンピオン」で掲載されている漫画版では、メインヒロインとして登場。デザインはリデザイン後の新バージョンが採用されている。
笑顔のステキな癒し系の女の子で、誰とでも分け隔てなく接する優しい性格。
主人公のメフィラスが怪獣墓場に飛ばされてから最初に会話をした生徒であり、以降も良き友人として学校生活を支えている(一方のメフィラスは、彼女に対して明らかに友情以上の感情を抱いていると思われる節がある)。
一方で、若干天然ボケの帰来もあり、しれっと毒を吐いたり、お土産にと買ってきた泥パックでジャミラのトラウマを刺激してしまったりと、(本人は自覚していないが)小悪魔な一面も持つ。
争いごとは好まないが、体内にはその気になれば惑星の1つや2つ容易く消し炭にできるほどの凄まじい電気が秘められているらしく、メフィラスたちが円盤で地球へ向かう際に電力を供給し続けるという大仕事をやってのけたこともある(ただ、体力を大幅に消耗してしまうらしく、地球に着いてしばらくは昏倒してしまっていた)。ただ、後にこの能力に目をつけたイカルス星人によって遠隔操作して暴れ回り、街に大きな被害を出してしまったこともある(これにより、メフィラスたちの地球侵略計画は完全に破綻してしまうことになった)。
実は、メフィラスとは学園に来る前から非常に縁の深い間柄であり、4巻で一時的に記憶の一部を取り戻した際には、その時の出来事が断片的ながら描写されている。
頭の角は電話としての役割を担っているほか、決められた方向に回転させることで体の大きさを小さくすることができる(ちなみに、何故か外見まで一緒に幼くなってしまい、目一杯まで小さくすると、原作におけるウナギのような姿をした幼体の姿になってしまう)。これはピット星人によってあらかじめ組み込まれたものらしく、作中では取扱い説明書まで存在している(元々は怪獣墓場学園の図書室に保管されている書籍だったらしく、メトロン星人が借り受けていた)。
体を切断されて「気持ちよかった」と感じたエピソードは本作でも第2話にて導入されており、そのことでレッドキングと意気投合していた。
レッドキング、おまえもか…。
なお、メロンブックスの単行本第1巻の特典ブックカバーもエレキングだったほか、ヤングチャンピオン2016年04号でもエレキングのクリアファイルが付属されている。
そして、2016年8月19日発売予定の単行本では、とうとう表紙を飾る(上のイラスト)という好待遇を受ける。
さすがはメインヒロインといったところか。
そのあざとかわいさは、多くの読者をも虜にしており、発売後に執筆者の風上旬氏がtwitter上で行った人気投票でも、見事1位に輝いている。
そんなエレキングだが、執筆を担当している風上氏は、意外にも「エレキングを描くのは苦手」と話している。
曰く、「POP氏のイラストの可愛らしさやイメージを損ねずに描き上げるのが非常に難しいから」とのこと。
……ご謙遜を。
担当声優
桑原由気(はいたい七葉)
佐藤利奈(ウルトラ怪女子)
ちなみに、佐藤利奈は、別作品でも電気に関係するキャラクターを演じたことがある。
余談
- 因みに、怪獣図鑑では古くから、「エレキングの出身地であるピット星は女性だけが住む惑星」と紹介されていた(作中に登場したピット星人は2人共女性)。とはいえエレキング自身もメスだとは明記されていないが。
- ピット星人は『feat. POP Comic code』においてもエレキングの回想という形で登場しており、彼女たちの生前の発言(「地球人の男性は可愛い子に弱いということが分かった」)が、メフィラスたちの行動にも影響を与えることになる。
- また、アニメ版では、『お前にピットイン!』(通称:おまピト)という、明らかにピット星人をネタにしていると思われる劇中劇が登場する。
- 誤解されがちだが、エロキングの由来(元祖)は擬人化計画のエレキングさんではなく、『北川怪獣アパート』という二次創作作品に登場したエレキングの方である。現在でも、pixivで「エロキング」と検索した時のイラストの割合は、「北川」版エレキングの方がやや多い。
- 全部で3バージョンのデザインが存在する擬人化エレキングだが、いずれも髪の色がピンク色という共通点がある。
関連項目
ウルトラシリーズ ウルトラ怪獣 ウルトラ怪獣擬人化計画 ウルトラセブン