カタカナ表記の場合、ニンテンドーゲームキューブやニンテンドーDSと違い、ニンテンドウ64である。
名前の由来は本体に搭載されている64ビットCPUより。しかしこのCPUは32ビットモードに対応しており、ほとんどのタイトルでは32ビットで駆動していたのは秘密だ。
開発時のコードネームは「プロジェクト・リアリティ」。正式名前が決定する前の名称は「ウルトラ64」、ゲームユーザーからは「ウルトラファミコン」と呼ばれていた。
キャッチコピーは「ゲームが変わる。64が変える。」。
ソフトについては少数精鋭主義をとり、良質なゲームソフトの供給を目指した。
概要
CPU | MIPS R4300カスタム 64bit | 32bitモード対応 |
---|---|---|
GPU | SGI RCP (Reality Co-Processor) | サウンド処理も担当 |
メモリ | Rambus DRAM 4.5MB/9MB(メモリー拡張パック搭載時) | システム・グラフィック共用 |
メディア | ROMカセット 最大容量64MB | 転送速度5.3MB/s |
プレイステーションやセガサターン、PC-FXといった次世代機に比べ大幅に発売が遅れたが、上記3機種と比べ頭一つ抜けた性能を持っていた。
奥行きを計算し、手前のオブジェクトから効率よく描画する「Zバッファ」や半透明処理の「アルファブレンド」、メタルマリオ等に用いられた物体に金属のような反射効果を持たせる「環境マッピング」等当時の家庭用ゲーム機としては先進的な機能が搭載されている。
コントローラにアナログコントローラの「3D(さんでぃー)スティック」を標準装備しており、スーパーマリオ64等で3D空間をより直感的に自由に動き回ることが可能になった。
前世代の覇者であるスーパーファミコンの後継機として巻き返しが期待された。
高い3D描画性能、特徴的なコントローラ、多人数プレイを前提とした設計、ロードの短いROMカセットの採用などが特徴。しかしながらROMカセットは容量あたりのコストが高く、「低コストで大容量なCD-ROMによるムービーを多用した大作RPG」という当時のトレンドに合わず、有力RPGの獲得に至らなかった。
『ファイナルファンタジーVII』がプレイステーションにて発売されたこともあり、ソフト販売各社の多くはプレイステーションに注力。『ドラゴンクエストVII』がプレイステーションにて発売されることの発表に至って趨勢は決し、64は完全にプレステの後塵を拝する結果になり、ゲーム業界のトップシェアひいては主導権をソニーに渡すこととなってしまった。(ただしトップシェアは奪われたが、欧米ではスーパーファミコン並みに普及したこともあり、ハード事業としては十分な成功をおさめ、ポケモンブームによるゲームボーイの人気再燃とあいまって社としては当時の過去最高益を出したりもしている)
代表的ソフトとしては、前述の「大乱闘スマッシュブラザーズ」、「スーパーマリオ64」、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」、「どうぶつの森」など。記憶に残るソフトが多く、発売から十数年経てもいまだに語られることの多いハード。
2007年、スーパーファミコンと共に修理サービスを終了した。
ターミネーターパック
「はがさないでください」の下にあるアレ。
一見なんの意味もないように見えるが実は64に使用されているメモリ、RDRAMの信号反射を防ぐ重要なパーツでコレかメモリー拡張パックを差しておかないとゲームが起動できないようになっている。
いわばパソコンで言うCRIMMに近い。
周辺機器
コントローラ
特徴的な三叉の形。左部に旧来の十字キー、中央に新しい3Dスティック、右部にボタン類を配置する。
右表面のボタン類はファミコンから続く伝統のA・Bボタンに加え特徴的なCボタンユニットを追加。単純ボタン数としてスーファミに勝る6ボタンであるとともに、A・Bの2ボタン+4方向指示としても使用できる。右側の方向指示器としての「C」の名はのちにゲームキューブ・New3DSのCスティックに受け継がれる。(ヌンチャクのCボタンは…他にいい文字がなかった?)
中央には伝統のSelectボタンを排しStartボタンのみを配置。中央に1つの赤く丸いボタンは見た目によいアクセントになっている。
左右上面にスーファミから受け継いだL・Rボタン、加えて中央を持つ場合にL・Rの代わりになるよう、背面にアルファベットの最後であり格好良い「Z」の名を持つZトリガーボタンを配置。以降ゲームキューブ・Wii・3DS拡張スライドパッド・WiiU・New3DS・Switchと「Z」の名は受け継がれていく。
また裏面に32ピンの拡張端子を持つことも特徴。コントローラパックなどを接続する。
コントローラパック
64のコントローラに差して使用する。
今で言うメモリーカードのようなもので、容量は256kbで123ページ分保存できる。
振動パック
64のコントローラに差して使用する。
モータが内蔵されたパックで単4電池を2本使用する。
64GBパック
64のコントローラに差して使用する。
ゲームボーイのソフトを接続して64のソフトと相互で連動させる事ができる。
メモリー拡張パック
ターミネーターパックと交換することで本体のメモリ(RAM)を拡張することができる。ドンキーコング64などこれを使わないと遊べないソフトも存在する。
拡張パック必須ソフトでなくともフレームレートの安定化や解像度の向上が見込めるソフトもある。
64DD
本体下部に装着する“ディスクシステム”、周辺機器64DDが会員制通信販売のかたちで発売されたが、販売がかなり遅れたこと、その販売形態、ソフト不足などにより64ユーザーにも普及は進まず、約1年後にサービスは終了した。
廉価版
ピカチュウNINTENDO64
2000年7月より国内で発売。64DDの接続に必要なEXTポートが排除されている。
余談
- 電源を入れた時点での3Dスティックの位置を中心点として認識するため、スティックを倒したまま電源を入れるとエラい事になる。(ちなみに中心点は電源をつけてるときにL+R+STARTボタンでいつでも変えられると公式が紹介している)
- 64の3Dスティックは使い続けるうちに中の軸受けが削れていき最終的にスティックの中心がブラブラになっていく。特に初代マリオパーティのとあるミニゲームやスマブラは3Dスティックを特に酷使するゲームで、コントローラを潰した人もいると思われる(そしてスマブラ発売対象となるハードの恒例行事となる)。
- 中古市場では大抵スティックがボロボロの状態で売られていることが多く、スティックの調子が良いとやや値段が高くなる。
- 64のGPUを開発したSGIのグループは後にArtXを設立し、GCのGPUの開発を担当した。因みにArtXはGC発売前にATIに買収され、そのATIも後にAMDに買収された。
- 初期ロットの一部のみ映像出力チップにRGB出力があり、回路を構築するとスーパーファミコン用のRGBケーブルが使える。