新人弁護士、成歩堂龍一が担当することになった初めての法廷は、何と殺人事件!
「感心するわ。あなたにも、依頼人にも」「借りがあるんですよ。ヤツには。助けてやりたい・・」
呆れ顔の美人やり手弁護士の所長に答える、いかにも頼りなさそうな新人弁護士・成歩堂。
彼の行く手には、どんな事件が待ち構えているのであろうか?
概要
カプコンのゲームデザイナー・巧舟によって生み出された推理型ミステリーADVゲーム、及びそれを元としたシリーズ作品。
《法廷バトル》と呼ばれる独自のゲームジャンルを確立させた作品となっており、“弁護士”を探偵役かつ操作キャラに据えて事件の真相を暴くという独自のゲーム性によって人気を博している。
裁判で証言のムジュンを暴いてハンニンを追いつめる爽快感をゲームの醍醐味とする他、個性豊かなキャラクターやストーリー展開等の魅力も合わせて話題を呼び、様々なシリーズ作品が製作・発売されている。
本記事では『逆転裁判』1作目及び、シリーズ作品全体について記述する。シリーズ各作品の詳細については、シリーズ一覧から当該記事を参照。
ゲームシステム
ゲームは2種類のパート‥‥《探偵パート》と《法廷パート》で構成されており、特定の手順を踏むことでゲームを進めることができる。
「プレイヤーの推理力で事件の謎を解き明かしていくゲーム」を目指して、選択肢が幅広く用意されるようなシステムとなっているが、いわゆる“ハズレ”と呼ばれる選択肢にも登場人物の小粋な会話が用意されるなど、プレイヤーのモチベーションを意識した構成となっている。
シリーズによっては下記システム以外にも、捜査道具や登場人物の特殊能力、ゲーム内の世界観などに合わせて、専用のシステムが用意されることもある。
法廷記録
2種類のパートにおいて、共通で用意される項目。ゲームの進行に応じて捜査情報が記録・更新・削除されていく。
大別すると、解剖記録や証拠写真について記録した《証拠品ファイル》と、事件関係者について記録した《人物ファイル》に分類できる。
事件内容の確認の他、各パートにおいて専用のコマンドを入力する際にも用いられる。
法廷パート
法廷で、被告人の有罪・無罪を巡って検事や証人とたたかうパート。
選択肢を誤ると“ペナルティ”と称して、ポイントあるいは心証ゲージ(シリーズによって異なる)が減少し、すべて無くなると、ゲームオーバーとなる。
尋問
「法廷パート」のメインとなるゲームシステム。法廷に召喚された証人の《証言》を聞き、その証言の内容におかしいところや、《法廷記録》のデータと「ムジュン」するところが無いかどうか弁護側が調べることができ、証言に隠された「ウソ」や「ムジュン」を指摘して相手の主張を突き崩すことが目的。尋問中に使えるコマンドは、主に以下のものがある。
ゆさぶる
その証言に「待った!」と声をかけ、証言の内容についてツッコミを入れられるコマンド。基本的に無制限で使用でき、ゆさぶることで証言の内容が変化したり、新しい情報を引き出せることもある。
つきつける
法廷記録とムジュンした証言に、「異議あり!」の声とともに、そのコンキョとなる法廷記録のデータをつきつけるコマンド。ムジュンをうまく指摘できると審理が先へ進むが、失敗するとペナルティを受けて尋問にもどされる。『5』では、何度か失敗すると「相談する」コマンドが現れ、パートナーからヒントがもらえるようになった。
探偵パート
事件現場を調べたり、関係者に話を聞いたりして、翌日の裁判で勝つために必要な証拠品や情報を集めていくパート。4つのコマンド‥‥《調べる》、《移動する》、《話す》、《つきつける》を駆使してゲームを進めていき、必要な証拠品や情報が全て揃うと、次の法廷パートに進むことができる。
エピソード
ゲーム1作品につき、4〜5話ほどのエピソードが収録されており、DLCによって新たにエピソードが配信される作品もある。エピソードタイトルには、“逆転”という単語を挿入するのがある種のお約束のようになっている。
基本的に、発生した事件を解決していくオムニバス形式となっているが、作品全体を通じて、ライバルとなる天才検事との対決が描かれたり、ところどころに挿入された“謎”や“伏線”などが、最終的に作品全体に関わる大事件へとつながっていくような構成となっている。
『逆転裁判(無印)』のエピソード
物語は新米弁護士・成歩堂龍一の法廷デビューから始まり、数々の難事件に挑んで実力や経験を積んでいく成歩堂の成長が描かれる。やがて天才検事・御剣怜侍や伝説の検事・狩魔豪が目の前に立ちふさがり、15年前の未解決事件の真相にも探りを入れていく。
DS版への移植にあたり、『2』との間の時期に起きた事件を描いた新作エピソードが追加されている。
- 第1話 はじめての逆転
7月31日、マンションの一室で殺人事件が発生。恋人殺害の罪で逮捕された親友・矢張政志を助けるべく、成歩堂は初めての法廷に立つ。
- 第2話 逆転姉妹
9月5日、成歩堂が所属する事務所・綾里法律事務所にて殺人事件が発生。現場に居合わせた少女・綾里真宵に殺人の容疑がかかる。多くの弁護士が依頼に背を向ける中、成歩堂は彼女を救い出すべく事件の捜査を始める。
- 第3話 逆転のトノサマン
10月15日、子供向けヒーロー番組《大江戸戦士トノサマン》の撮影所‥‥英都撮影所にて殺人事件が発生。ヒーローが怪人をやっつけて逮捕されるという冗談のような事態に対し、成歩堂は被告人・荷星三郎の弁護を引き受ける。
- 第4話 逆転、そしてサヨナラ
12月25日、ひょうたん湖公園にて死体が発見されるという事件が発生。15年前の未解決事件《DL6号事件》がウラで糸を引く殺人事件を前に、弁護士・成歩堂龍一と40年無敗を誇る伝説の検事・狩魔豪の対決が繰り広げられる。
- 第5話 蘇る逆転
2月21日、地方検事局の地下駐車場で捜査官が殺害される事件が発生。容疑者は主席検事の宝月巴。彼女の妹の宝月茜から弁護を依頼された成歩堂は、上司の有罪を立証しなければならなくなった御剣と再び法廷で対峙する。
主な登場人物
基本的に、「主人公となる弁護士」、「横に立って主人公を支える助手(兼ヒロイン)」、「主人公になんらかの助言を与えてくれる師匠」、「主人公のライバルとして立ちはだかる天才検事(通称・ライバル検事)」、「検事の下で働く刑事」、という構図になることが多い。
“裁判”という堅苦しいイメージを有する題材を用いている分、徹底的にキョーレツなキャラクターが登場するようになっている。
逆転裁判(無印)
成歩堂龍一‥‥主人公。新米弁護士。
綾里真宵‥‥メインヒロイン。修行中の霊媒師。
綾里千尋‥‥成歩堂の師匠。ヤリ手の女流弁護士。
御剣怜侍‥‥天才検事。成歩堂のライバル。
糸鋸圭介‥‥所轄署の刑事。事件の初動捜査担当。
矢張政志‥‥成歩堂の友人。憎めない性格のトラブルメーカー。
裁判長‥‥地方裁判所の裁判長。
その他の登場人物の詳細については、各シリーズ作品、及び逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧のページを参照。
世界観
逆転裁判シリーズは現実世界とは異なる法制度「序審法廷(じょしんほうてい)」が敷かれているのが最大の特徴である。
それは新世紀になっても増加の一途をたどる凶悪犯罪に対処するために生まれた画期的なシステムであり、「三日以内に被告人の有罪か無罪かのみを決定する」という裁判制度である。序審法廷で有罪となったものは通常法廷に移され量刑が決定されることになるが、そこで無罪になることは決してない。
この制度のおかげで裁判のスピード化が進行したものの、結果として検事の権力が異常に増大し、冤罪の疑いがある案件も増えてしまった。
そんなディストピア目前となってしまった世界において、弱者の味方として頼れる存在となったのが弁護士なのである。
弁護士と検事の丁々発止はある種のエンターテイメントと化し、人々は事件が起きる度にその対決に注目するようになった。
なお、この世界では現実ではありえないレベルのオーバーテクノロジーや霊能力が極秘裏に存在しており、それらが事件の根幹に関わってくることも珍しくない。この世界の現行法はそれらを想定していないが、検事や弁護士はそれでも「勢いとハッタリ」で裁判を進行させる。どんな無茶でも裁判長を納得させれば勝ちなのである。
ゲーム中で主人公(プレイヤー)が扱う裁判は基本的に刑事裁判となっている。
ネタ
- キャタツとハシゴ
シリーズ内の会話にて発生する、ある種の定番ネタ。
ネタの流れとしては、
ある人物の「ハシゴだ。」という反応に対し、別の人物が後に続くように「それはキャタツだよ。」と付け加えるのだが、「どう違うの?」と返され、「もっとホンシツを見よう」というフレーズで締める、
というのが基本的なものとなっている。
- 特別法廷
東京ゲームショウ等のイベントではおなじみとされている、シリーズキャラクターの掛け合いを描く寸劇映像を指す。
劇中の会話は基本的に、ゲーム内で用いられる音‥‥いわゆる“ポポポ”ではなく、本職の声優を用いて収録したCVを採用している。
キャラクターの一存で平然と天変地異が起きたり、時空がネジれて本編ではありえない共演が果たされたりもするが、全体的には『決して深く考えず、テキトーに楽しんでくださいね』というようなノリで構成されている。
シリーズ一覧
『逆転裁判123』
ジャンル《法廷バトル》を始動させたシリーズ1作目と、その続編からなる作品群。
『無印』から『3』にかけて、シリーズの原点となる、弁護士“成歩堂龍一”の活躍を描く。
『蘇る』では『無印』のエピソード4つに加え、新作エピソード《蘇る逆転》が第5話に収録された。
『蘇る』、『2』、『3』の3作品はひとまとめにして扱われることが多く、3DSソフト『逆転裁判123 成歩堂セレクション』のように、3作品を同時に収録したゲームも発売されている。
『逆転裁判4』〜
「3」から7年後の世界を舞台に、新主人公・王泥喜法介を迎え入れた物語が展開していく。
『逆転検事』シリーズ
『123』で人気を博したライバル検事・御剣怜侍を主人公に据えたスピンオフ的作品。
《推理アドベンチャー》をジャンルとして謳い、法廷から事件現場へと舞台を移して、検事側から事件を追っていく。
『大逆転裁判』シリーズ
ジャンルを《大法廷バトル》として、19世紀末の大日本帝国と大英帝国を舞台に、主人公・成歩堂龍ノ介の活躍を描く。
大探偵、シャーロック・ホームズとともに事件の真相に迫る『共同推理』など、本シリーズ独自のシステムが魅力の一つ。
『レイトン教授シリーズ』コラボ
ゲーム名 | 対応機種 | CERO | 発売日 |
---|---|---|---|
レイトン教授VS逆転裁判 | 3DS | B | 2012年11月29日 |
ジャンルを《ナゾトキ・法廷アドベンチャー》として、話題のナゾトキゲームとのコラボレーション作品がレベルファイブより発売。
考古学者・レイトン教授と弁護士・成歩堂龍一の2人の視点から物語が展開する。
メディア展開
法廷を舞台とした独自の作品性が人気を博したとされ、2009年には舞台化、2012年には映画化が果たされ、以下のTVアニメ化もなされている。
TVアニメ
『逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜』というタイトルで、2016年4月から同年9月まで福井放送を含む日本テレビ系列28局およびテレビ大分にて放送された。
続編として、『逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜Season 2』も製作され、2018年10月から2019年3月まで放送されている。
ネット局は両者同一で、読売テレビが制作局となる。アニメーション製作については前者はA-1Pictures、後者はクローバーワークスへ変更されたが、該当スタジオはA-1Picturesの高円寺スタジオが独立した形で設立されたいきさつがあるため、事実上の変更なしと見る人も少なからずいる。
基本的にゲームの内容をなぞった作品となっており、『無印』と『2』を中心とした前者、『3』を中心とした後者、といった感じになっている。尺と話数の関係から一部エピソードに調整が加えられつつも、巧舟による原作監修のもとでアニメオリジナルエピソードも作成されており、1話完結ものの他、数話かけて一つの大きな事件を扱った《逆転特急、北へ》というものもある。
関連タグ・リンク
評価タグ
逆転裁判100users入り‥‥users入りはこちら。
ネタ
外部出典