概要
TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する種族。
姿と能力の元ネタはクトゥルフ神話のシュド=メルとクトーニアンで、名前はホメロスのイーリアスを捩ったものである。
口元に触手を生やした頭足類のような頭部を持つ、藤色肌の属性”秩序にして悪”の人型種族で、彼らが持つ精神攻撃能力から他の種族からは「マインド・フレイヤー(Mind Flayer:精神をムチ打つ者)」と呼ばれ恐れられている。
強い光に弱いために地下世界アンダーダークや洞窟の奥深くに住んでおり、空中浮遊などのサイコキネシスやテレパシーなどの超能力を持つ。
さらに他種族を魅了の力や精神攻撃「マインド・ブラスト」で屈服させて奴隷としたり、頭蓋骨を触手で破り脳を食べてしまう。
幼体のときはオタマジャクシのような姿をしており、エルダー・ブレイン(死したイリシッドの脳と精神で造られた集合意識のプール)の中で10年ほど生き延びた個体が人型種族の脳に寄生するCeremorphosis(脳変容)という過程を経て、人型の肉体を得た成体となる。
元は異なる次元界「彼方の領域」の存在で、複数の次元界にまたがる大帝国を築いていたが、自らが施した邪法で強大な力を持つに至った奴隷種族「ギス」の大反乱によって滅亡したため、現在見られる者は地下世界に逃れた生き残りであるとされる。
上位種および変異種
エルダー・ブレイン(Elder Brain)
肉体的な死を経て脳漿のプールに浸る不死の集合精神体となった存在で、共同体を統制している。
ブレイン・ゴーレム(Brain Golem)
エルダー・ブレインが自身の組織から造り出す活動体。
ウリサリッド(Ulitharid)
0.1%未満の確率で生まれる上位種で、他種族であるところの貴族階級である。体格を含め全ての能力で通常のイリシッドを凌駕する。
アルフーン(Alhoon)
死霊術を極めリッチとなったイリシッドで「イリシリッチ」とも呼ばれる。元々魔法耐性が強い種族なので完全なリッチ状態には移行せず、エルダー・ブレインにもなれないことから共同体からは迫害される。
ヴァンパイア・マインド・フレイヤーズ(Vampire Mind Flayers)
吸血鬼化したイリシッド。
ハイ・マスター・イリシッド(High Master Illithid)
イリシッドの上位者。
ネオセリッド(Neothelid)
管理する共同体が滅びるなどの理由で脳変容を経ずに幼形成熟した存在で、 脳以外を溶かすブレスを吐く大蛇のような怪物となり同族であるはずのイリシッドすらも喰らう。
マインドウィットネス(Mindwitness)
脳変容の対象がビホルダーであったイリシッドで、イリシッドの肌と眼球を持つ両種族の能力を持つ恐るべき怪物である。
ウロピオン(Urophion)
ローパーに寄生した個体。
基本的にその生態から他種族とは相容れない存在であるが、『D&D』第3版以降、脳を食べることを止めた「ナーコーザーグ」や善に目覚めた女性体(通常は雌雄同体)の「サクアルム」などの変わり種の個体が登場している。
その他の創作での扱い
『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の販売元が権利関係で非常に厳しい規制を敷いていたため、同作品のオリジナルモンスタービホルダーを登場させた作品(鈴木土下座衛門参照)でのトラブルを受け、版元が関わっている作品以外ではそのままの姿や名前で登場させている作品はない。
- 『ドラゴンランス戦記』シリーズは『AD&D』の設定を元に書かれた小説シリーズであり、類似したヤゴル(Yaggol)という種族が登場しているが、この時系列では能力的にかなり弱体化している。
- 『ファイナルファンタジー』シリーズでは第一作以来、複数のタイトルでイカ頭姿のマインドフレアという名で登場しており、FF4ではまさかの隠し召喚獣として使役可能。
- 『Wizardry Ⅵ(BCF)』にもMIND FLAYERが出現。PC版のグラフィックは頭部が頭足類になっているが、末弥純によるSFC版では人間型になっている(頭髪はない)。
- 『ウィザードリィエンパイア』シリーズでもマインドフレアが出現。このシリーズでは『D&D』由来のモンスターが多く登場する。
- 『ファイティングファンタジー』では第九作『雪の魔女の洞窟』に頭脳殺し(Brain Slayer)が登場する。またこれとは別に、形態が似通ったムチ叩き(Flayer)という種族もあり、何らかの関連性が疑われている。
- 『LUNARエターナルブルー』には港町アサドを荒らす魔獣マインドフレア登場。触手の腕を持つ直立したナメクジのような姿で、リメイク版ではフレイムファングというモンスターに変更され登場しない。
- 『迷宮キングダム』では第1版によく似たココログライ(Brain Eater)が登場したが、第2版以降は脳漿喰らい(Mind Flayer)に変更されている。
- 『神撃のバハムート』ではフォースマインドフレイア、ミニマインドフレイアという萌え擬人化したキャラクターが登場している。
- 『デモンズソウル』では姿や能力が酷似するタコ看守(タコ頭の看守)、タコ先生(ニコニコ大百科(仮)での表記)が登場している。
- 『オーバーロード』では人型の頭足類のような脳喰い(ブレイン・イーター)という種族の拷問官ニューロニスト・ペインキルが登場している。また至高の四十一人の大錬金術師タブラ・スマラグディナも同種族である。
- 『妖怪ウォッチ』ではエネルギー吸収と同時に混乱付与という能力を持つイカカモネ議長およびゲソヒゲール大臣というボス妖怪が登場する。
- その他、影響を受けたと思わしき頭足類の属性を持つ魔術師というキャラクターとして、『トランスフォーマー2010』に登場するクインテッサ星人のマラ・アルタや、『GS美神』の魔族プロフェッサー・ヌル、『サクラ大戦3』のカルマール公爵、『ウォーザード』のヌールなどがいる。
関連タグ
ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター(D&D) マインド・フレイヤー/マインドフレイヤー