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イリシッド

いりしっど

TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に登場する頭足類のような頭部のモンスター。
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概要編集

TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場する種族。

姿と能力の元ネタはクトゥルフ神話シュド=メルクトーニアンで、名前はホメロスのイーリアスを捩ったものである。


口元に触手を生やした頭足類のような頭部と藤色の肌、そして非常に高い知性を持つ属性”秩序にして悪”の人型種族で、彼らが持つ精神攻撃能力から他の種族からはマインド・フレイヤー(Mind Flayer:精神をムチ打つ者)」と呼ばれ恐れられている。


強い光を嫌うために地下世界アンダーダークや洞窟の奥深くに共同体を作って住んでおり、高い魔法耐性と空中浮遊をはじめとするサイコキネシステレパシーなどの超能力を持つ。

さらに他種族を魅了の力や精神攻撃マインド・ブラストで屈服させて連れ去り、奴隷や献体(後述)、食料にする。


イリシッドが恐れられ嫌悪される最たる理由が彼らの食性で、人型種族のを食する。

相手の頭部を触手-初期はメスの様に硬質な部位で、現在は分泌する肉と骨を分解する酵素で頭を穿ちあるいは切開し、脳を吸い出しまたは摘出してしまう。対象は当然即死する。

この能力は触手を頭部に直接巻き付けて行使されるため大抵麻痺や昏倒など無防備な相手にのみ行われる反面、魔法ではない為どれほど強力な魔法防御を施しても防げない。


奴隷に建造させた地底都市にある共同体では多岐にわたる研究開発の他、検体を用いた実験や幼体の育成管理が行われている。

共同体の中心は死したイリシッドから取り出した脳とその精神を融合・保存する「古き脳」エルダー・ブレイン。塩水(≒脳漿)のプールに浸るこの巨大な脳の様な存在はテレパシーで住人全てを統括支配している。

幼体はオタマジャクシのような姿をしており、エルダー・ブレインのプールまたは育成室で飼育される。10年ほど育成された幼体が検体の脳に寄生するCeremorphosis(脳変容)という過程を経ると、検体の肉体は変容し成体となる。

なお彼らは幼体を同族と見做していない。エルダー・ブレインの食料は幼体であるし、後述の危険性から10年以上生かしておくこともない。


元は異なる次元界「彼方の領域」の存在で、その影響が色濃い肉体には既知の諸力を操る魔法に対する高い耐性がある。複数の次元界にまたがる大帝国を築いていたが、自らが施した邪な改造で強大な力を持つに至った奴隷種族「ギス」の大反乱によって滅亡したといわれる。現在見られる者は地下世界に逃れた生き残りとされ、全次元界支配を目論み暗躍と研究を続けている。


基本的にその生態から他種族とは相容れない存在であるが、『D&D』第3版以降、脳を食べることを止めた「ナーコーザーグ」や善に目覚めた女性体(通常は雌雄同体)の「サクアルム」などの変わり種の個体が登場している。


上位種および変異種編集

エルダー・ブレイン(Elder Brain)編集

「古き脳」「祖脳」とも呼ばれる共同体の長老にして支配者。

幼体→検体を脳変容させて成体→成体一個体の死の先にあるライフサイクルの終着段階であり、無数のイリシッドの死体から取り出された脳が融合した怪物。巨大な脳に無数の触手が生えたような姿をしている。その肉体には融合した個々の脳の精神・記憶が集合意識となって宿っており、その膨大な知識で勢力を拡大しようとしている。

塩水のプールから動くことはほとんどないが、テレパシーで共同体の構成員は勿論、広大な範囲の外敵を含む全存在を把握、記憶と思考を共有している(即ちいちいち命令する必要はなく、また個人の認識は同時に全構成員に共有される)。テレパシー以外にもマインド・ブラストを始めとする数々の超能力は健在で、触手での直接戦闘を行うこともできる。

運ばれてくる人型生物の脳や自身のプールで育成される幼体を食す。

寿命はなくほぼ不死であり、共同体の構成員はエルダー・ブレインある限り自身の記憶と精神も不滅と確信している。

ブレイン・ゴーレム(Brain Golem)編集

エルダー・ブレインが自身の組織から造り出す一種のフレッシュゴーレム。巨人型端末で同時に複数体作ることができ、主に直接戦闘を行う。

エルダー・ブレイン・ドラゴン(Elder Brain Dragon)編集

エルダー・ブレインがドラゴンに寄生し変異した姿。ドラゴンの強力な肉体を得たことで塩水のプールから出て自由に行動できるようになった。どのドラゴンに寄生してもこの姿になり、ブレスは幼体を大量に含んだ塩水=かつてのプールのそれ。このブレスを浴びると被害者は強制的に幼体に寄生され、通常よりも短時間で脳変容してしまう。

ウリサリッド(Ulitharid)編集

0.1%未満の確率で生まれる上位種で、他種族であるところの貴族階級である。触手の数や体格・寿命など全ての面で通常のイリシッドを凌駕しエルダー・ブレインのテレパシーを中継して影響範囲を拡大する能力を持つ。

一方でエルダー・ブレインの支配を受けない。ウリサリッドは将来、新たな共同体を作ると配下のイリシッドたちを引き連れて新たな土地に移り、そこで自身の脳を抉り出し(または首を切り落とし)塩水のプールに浸けさせる。そして長い時間をかけて新たなエルダー・ブレインとなる。

アルフーン(Alhoon)編集

死霊術を極めリッチとなったイリシッドで「イリシリッチ」とも呼ばれる。元々魔法耐性が強い種族なので完全なリッチ状態には移行せず、エルダー・ブレインにもなれないことから共同体からは迫害される。

ヴァンパイア・マインド・フレイヤーズ(Vampire Mind Flayers)編集

吸血鬼化したイリシッド。アルフーンの設定と矛盾するため現在ではとある背景世界にしか登場しない。

ハイ・マスター・イリシッド(High Master Illithid)編集

イリシッドの上位者。ウリサリッドの設定と矛盾するため現在ではとある背景世界にしか登場しない。

ネオセリッド(Neothelid)編集

イリシッドが幼体を10年以上生かさない理由である。

管理する共同体が滅びるなど放置された幼体が共食いの果てに生き残った一体幼形成熟した大蛇のような怪物。 脳以外を溶かすブレスを吐き、同族であるはずのイリシッドすらも喰らう。

マインドウィットネス(Mindwitness)編集

脳変容の対象がビホルダーであったイリシッドで、ビホルダーの体にイリシッドの肌と眼球と触手を備え、両種族の能力(視線でかける回数無制限の魔法に数々の超能力、触手による即死攻撃)を持つ恐るべき怪物である。

現在その戦力は下方修正され、新たにテレパシーを中継する能力が加わった。

ウロピオン(Urophion)編集

ローパーに寄生した個体。

ヤゴル(Yaggol)編集

ドラゴンランス』シリーズにおけるイリシッドの近縁種。日の射さない密林に棲み、保護色を備える。肉体的にはイリシッドより頑強だがサイキック的には退行しており1時間に一回マインド・ブラストが使えるのみ。


その他の創作での扱い編集

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の販売元が権利関係で非常に厳しい規制を敷いていたため、同作品のオリジナルモンスタービホルダーを登場させた作品(鈴木土下座衛門参照)でのトラブルを受け、版元が関わっている作品以外ではそのままの姿や名前で登場させている作品はない。


関連タグ編集

ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター(D&D) マインド・フレイヤー/マインドフレイヤー

マインドフレイア(魔物娘図鑑) クトゥルフ神話

頭足類 超能力者


マインドブラスト 脳姦

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