SLAYER
すれいやー
1981年に結成されたアメリカのカリフォリニア州出身のヘヴィメタルバンド。
同時期に結成されたMETALLICA、MEGADETH、ANTHRAXと並んでBIG4と称される。
他の3バンドがスラッシュメタルから音楽性を変える中、2019年11月の活動終了までスラッシュメタルを貫いていた。
他のスラッシュメタルバンドよりも、ひたすらアグレッシブな作風が特徴的で、歌詞のテーマも、殺人、虐殺、死、サタニズム、自殺、精神病など、猟奇的で暴力的な内容が多く、教育委員会やPTAの批判にさらされることも少なくない。
その代表例として、1986年リリースの『レイン・イン・ブラッド』収録の『エンジェル・オブ・デス』は、発売当時、歌詞の内容を巡り、大きな論争を呼んだ。この楽曲は、アウシュヴィッツでのヨーゼフ・メンゲレによる人体実験がモチーフであり、結果的に、アメリカ国内のユダヤ人組織やホロコーストの生存者の逆鱗に触れてしまったのがきっかけであった。このため、彼らを『反ユダヤ主義者』、『ネオナチ』、『レイシスト』などと誤解するものもいたという。
これらの経緯から、しばしば誤解されることの多いバンドでもあるが、トムは敬虔なカトリック教徒であり、無神論者のケリーも悪魔主義にも否定的な考えを持っている。また、先述の『エンジェル・オブ・デス』を手掛けたジェフも、インタビューでメンゲレを厳しく批判している(ちなみに、これが立証しうる根拠として、オリジナルメンバーのうちトムとデイヴの2人はヒスパニックの血を受け継いでおり、長年バンドのプロデュースを手掛けていた名物プロデューサーのリック・ルービンもユダヤ系である)。
他のスラッシュメタルバンドよりも群を抜いた独自の世界観や作風から、デスメタルやブラックメタルなどに分類される数々のバンドにも与え、その多大な影響力から、スラッシュのみに留まらなず、広いジャンルでリスペクトされて続けるバンドの一つでもある。
※メインイメージはオリジナルメンバーのもので、左から、トム、ケリー、ジェフ、デイヴ。
最終メンバー
トム・アラヤ (Vo, B) オリジナルメンバー。チリとの二重国籍者。吐き捨てるようなボーカルスタイルが特徴。以前は、8の字を横にした軌道で激しく首を振り回しながらベースを演奏する姿が知られていたが、近年は頸椎を痛めてしまったことから、極力首を振るのを控えている。
ケリー・キング (G) オリジナルメンバー。長いヒゲと上半身のタトゥーが特徴。いかつい風貌とは裏腹に、根は非常に優しく、動物好きと言うお茶目な一面も。
ゲイリー・ホルト (G) 元々は、ベイ・エリア・スラッシュの大御所の1バンド・エクソダスのメンバー。病気療養中であったジェフの代役としてツアーに同行し、ジェフの死後もエクソダスとの2足のわらじで活動している。
ポール・ボスタフ (Dr) 数々のベイ・エリア・スラッシュの大御所バンドを渡り歩いてきた豊富なキャリアと、複雑なリズムも奏でる巧みな演奏力からメンバーの評価を買われ、オリジナルメンバーのデイヴの後任として加入。2013年6月より、デイヴの再脱退に伴い、再び加入することになった。
ジェフ・ハンネマン (G) オリジナルメンバー。先述の「エンジェル・オブ・デス」をはじめ数々のバンドの人気曲を手掛けていた。筋金入りのハードコアパンクマニアであり、ジェフの音楽的な趣味がバンドの攻撃的なサウンドに非常に大きな影響を与えている。2011年にクモに噛まれた傷が原因で壊死性筋膜炎を引き起こし、長らく休業していたが、2013年5月、アルコール中毒に起因する肝不全により、49歳で死去。
デイヴ・ロンバード (Dr) オリジナルメンバー。キューバ・ハバナ生まれ。激しいドラミングが特徴で、複雑なリズムも刻める凄腕な演奏力から、メタルのみならず音楽界でも非常に高く評価されている。2002年より復帰していたが、2013年に再び脱退(原因はギャラの支払いを巡るトラブル。後のインタビューにてスレイヤーへの復帰の意思はないことを表明している)。現在は自らのバンドであるPHILMなどでのソロ活動や、AMEN、MISFITSなど他のアーティストやバンドのサポート参加で活動し、2016年より、METALLICAの現ベーシストであるロバート・トゥルージロが参加していたスイサイダル・テンデンシーズに加入している。
ジョン・デッティ (Dr) ポール・ボスタフが一時脱退した時とデイブの2度目の脱退に加入。ツアーのみの参加で、アルバムのレコーディングには参加していない。