宇宙世紀
うちゅうせいき
解説
ガンダムシリーズの世界観を表す、暦号の1つ。
またの名をユニバーサル・センチュリーとも言い、U.C.とも略される。
表記は「宇宙世紀 0079」または「U.C.0079」とゼロを入れた4桁の数字で、読み方も「ダブルオーセブンティーナイン」、0123年は「オー・ワン・トゥエンティスリー」。
時系列
西暦からの移行時期
最初に触れたのは、恐らく1989年に刊行された書籍群『ENTERTAINMENT BIBLE』で、
「2045年 第1号コロニーの建造開始」
とされる。コミックボンボンで連載されていた『F91』のコミカライズでも、この設定に習って
「宇宙世紀0123 西暦で言うところの2168年の出来事」
というト書きが登場する。
2000年の『G-SAVIOUR』では映像作品として初めてその設定に触れられ、字幕版で
「西暦2045年 宇宙に生活圏を拡大した人類は “サイド”と呼ばれる宇宙都市群(セツルメント)を建設し大規模な移住を開始してその暦を宇宙世紀へと改めた」
と冒頭のナレーションで説明された。
なお、1988年から1992年にかけて刊行されたアンソロジーコミック集『サイバーコミックス』では複数の掲載作品で共通する形で、アポロ11号が月面に着陸した1969年が宇宙世紀元年であると設定されていたが、現在ではほぼ顧みられていない。
宇宙世紀のオフィシャルとは
制作会社であるサンライズ側から言及されたのは、2005年当時の開発室室長・井上幸一氏の
「厳密に言えば映像化されたもの及び映像作品の中に登場するものに限られる。しかし、サンライズが監修し出版許可を出した書物やゲームに登場するオリジナル設定も広義的には準オフィシャルと言える。また、映像化されていないといっても、富野由悠季が執筆した小説なども皆が正史と捉えるはずで、そもそもファーストガンダム自体が劇場版、TV版、小説版で違っているわけでどれが本物と簡単に言えない」
以外には、2022年現在確認されていない。
井上氏は2016年3月にサンライズを退社しているが、その後も『サンダーボルト』や『THE ORIGIN』はアニメ化されつつもファーストとはパラレルという扱いに落ち着かせる等、一定の整合性に配慮している事がわかる。
その他漫画や小説などの作品の扱いについては映像作品内において機体や設定などを引用する形で一定の取捨選択を行いつつも明言を行っていないため、不明瞭な状態である。
ゲーム作品や模型商品などで多く取り上げられ、認知度の高い作品については各メディアで実質的に公式に準じた扱いもされているが、厳密には未確定状態ということになる。
年表
古くからいくつもの資料が制作されているが、2010年代では『UC』がアニメ化された際に、特別番組として「100秒でわかる!機動戦士ガンダムUC」が作られ、その番組内で映像作品のみを羅列した簡易的な年表が発表された。
これについては、サンライズ側の意向としてはあえて意図的に縛りとなる詳細な出来事を網羅した年表の提示を避け、アニメ作品のみを抜粋して羅列する程度にすることで、根本的な部分は視聴者各自の想像に任されている状態にしたいから、と思われる。
以下、外伝漫画やゲームなど準オフィシャルも含めたものとする。
※公式を参考に、映像作品は太字、パラレル扱いが明らかなものは(パ)を併記。
※『MSV』など、メカニックのみはここでは割愛。
年 | 出来事 | 作品 |
---|---|---|
A.D.2045 | 宇宙世紀へと移行 |
|
U.C.0001 | ラプラス事件 |
|
U.C.0071 | モビルスーツ開発 | |
U.C.0079 | 一年戦争 | -- |
U.C.0080 | 南洋同盟の反乱 |
|
U.C.0082 | ||
U.C.0083 | デラーズ紛争 | |
U.C.0084 | ||
U.C.0085 | ||
U.C.0086 | ||
U.C.0087 | グリプス戦役 | |
U.C.0088 | ペズンの反乱 | |
第一次ネオ・ジオン抗争 | ||
U.C.0089 | ||
U.C.0090 | ||
U.C.0091 | ||
U.C.0092 | ||
U.C.0093 | 第二次ネオ・ジオン抗争 | |
U.C.0094 | ||
U.C.0096 | ラプラス事変(※1) | |
バーナム動乱 | ||
U.C.0097 | 不死鳥狩り | |
U.C.0099 | ||
U.C.0105 | マフティー動乱 | |
U.C.0107 |
| |
U.C.0120 | 第一次オールズモビル戦役 | |
U.C.0122 | 第二次オールズモビル戦役 | |
U.C.0123 | ゼブラゾーン事件 | |
コスモ・バビロニア建国戦争 | ||
U.C.0133 | 木星戦役 | |
U.C.0136 | 神の雷計画 | |
U.C.0140 | 宇宙戦国時代到来 | |
U.C.0153 | ザンスカール戦争 | |
U.C.0168 |
| |
U.C.0203 | マハの反乱 |
|
U.C.0223 | ガイアの光事件 | |
U.C.0653 |
|
※1 - 小説ではラプラス「戦争」。
※2 - ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズが初出で、小説には年代の記載無し。
※3 - 同じく小説では記載がなく、ラジオドラマ版が初出で、ムックなどもこちらが記載されている。執筆年代の都合上、『逆襲のシャア』から直結した未来としての側面が強い。
宇宙世紀以降
年 | 出来事 | 作品 |
---|---|---|
U.C.???? | 宇宙世紀の終焉。リギルド・センチュリーへ移行 | |
R.C.1014 | ||
R.C.???? | リギルド・センチュリーの終焉 | |
???? | ターンA建造
| |
正暦2343年 |
補足
- 『∀ガンダム』
制作時期はこちらが先。時間軸は宇宙世紀の延長線上にあると言われている。
(富野監督曰く「全てのガンダムシリーズは∀に繋がる」)
- 『Gのレコンギスタ』
明確に宇宙世紀の次の時代であるとされている。
ちなみに第16話では「宇宙世紀を含めて2000年を越す歴史がある。トワサンガには」という台詞があるが、トワサンガは宇宙世紀でいうサイド3の位置にある。
この2つの順番については『Gレコ』⇒『∀』であることは「ガンダムエース」などの媒体にも記載があるのだが、『Gレコ』終了後のトークショーにて富野監督は、自分が単独でシリーズ全体の設定を決定する権限は無いと前置きした上で
「『Gレコ』は『∀ガンダム』から約500年後頃を想定して制作した」
と発言。
但し、時代設定としてというよりも、あくまでも物語世界の「雰囲気」を演出する上での想定ともとれるニュアンスであり、続けて
「公式の時系列が自分の見解と異なるものでも、それはそれでいい」
「皆さんなりのガンダム全史のようなものを作っていただければいい」
とも発言し、最終的な位置づけに関しては視聴者に判断を委ねた。
これが寝耳に水だったのか当時大分慌てていた、同席していたプロデューサーの小形尚弘氏は
「色々と整理したいと思いますので、来場者の皆さんは今日聞いたことは一旦胸の内にしまって頂いて。次の何かの機会に、しれっとそうなってる可能性はありますので」
とこの話題を締めくくった。