概要
各小・中・高校にもよるが、大体7/20~8/31の約40日の長期休暇である夏休み期間中に、生徒たちが自堕落にならないように教職員たちが生徒たちに予め課したものが、俗に言うところの「夏休みの宿題」である。
学力が高くやる気がある生徒なら、計画を予め立てて宿題を余裕に終わらせるが、学力が低く遊ぶことが三度のメシより大好きな生徒は8月31日が地獄の最終日となり、涙目にしながら宿題を慌てて終わらせようと徹夜をしながら躍起になる。
また、これとは反対に夏休みの宿題を配布されたその日からおっ始め、徹夜までして早々に(下手をすると休みが始まる前に)終わらせる猛者も稀にいるが、こうした宿題は休み中の計画性や学習力の維持のために行うものであり、早解きを競うものでは決してないため、(前述のような最終日に泣きを見るよりかは遥かにマシではあるが)親や先生から「なんで常日頃からこうじゃないのかねぇ…」と呆れられる奴もたまにいたりする。
加えて、こういう手合いはしばしば宿題を早々に終わらせたと慢心して夏休みをエンジョイしまくった結果、最終日になって明日の始業式の準備をしている際、やり忘れて放置状態の課題を発見して真っ青になったりもする。
定番の宿題
夏休みの宿題として出される主なものは下記な通りである。
ドリル(国数理社英の問題集) 絵日記 読書感想文 昆虫採集 自由研究 図画・工作(絵画・貯金箱等)
各地方自治体の教育委員会など、教育関係者が編集、発行する夏休み課題用冊子
- 計算ドリル・問題集
- 理数系が苦手な人には鬼門の宿題。数十ページの消化が義務化され、先生によっては“間違えた問題のやり直し”まで付属する場合がある。中高生以上はどの教科でもこれに類する宿題が大部分を占めるうえに、分量も“問題集一冊”など半端なく多い。
- 漢字の書き取り
- 小学校の夏休みの宿題の定番。難易度こそ低いが問題はその分量で、大抵は用意されたノートを丸ごと一冊消化させられる。また単に漢字を書き連ねればいいのではなく、一定のルールが定まっているで抜け道が少ないのもミソ。
- 英文の書き取り
- 日記・絵日記
- こちらも小学校の宿題の定番。およそ10日前後の日記を一定の分量の文字数を用いて書き切る。作文に慣れた人からすれば差して問題でもないが、ことおおよその小学生にとっての作文は語彙力と表現力との戦いでもあり、特に文章表現の苦手な人には難易度が一気に跳ね上がる。
- 植物観察・自由研究
- 工作・絵画・書道
- 読書感想文
- 日記系の宿題の発展版。最大の難点は「課題図書の選出」で、まず漫画とアニメにしか馴染んでいなかった学生には“文学”というジャンル自体が苦痛に変わる。さらにアニメや漫画にはない“形式張った”風潮に対し、堅苦しさと敷居の高さを感じてしまうことも。そこに“文字数”という壁も付いて回るため、文系が兎角苦手な人には地獄である。もし手っ取り早く片付けたいのであれば自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述か、アイルランドの貧民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案を使おう。邦訳だけでなく、原題も書けばタイトルだけでかなりの文字数を稼ぐことが出来るはずだ。
- しかし読書感想文を児童作文のコンクールに出展しようとする意識高い系の先生に当たると、もれなく書き直しの刑に処される。必要なのは文字数以上に、読んだ内容をどれだけ理解したかを説明することにある。
- 日記系の宿題の発展版。最大の難点は「課題図書の選出」で、まず漫画とアニメにしか馴染んでいなかった学生には“文学”というジャンル自体が苦痛に変わる。さらにアニメや漫画にはない“形式張った”風潮に対し、堅苦しさと敷居の高さを感じてしまうことも。そこに“文字数”という壁も付いて回るため、文系が兎角苦手な人には地獄である。もし手っ取り早く片付けたいのであれば自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述か、アイルランドの貧民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案を使おう。邦訳だけでなく、原題も書けばタイトルだけでかなりの文字数を稼ぐことが出来るはずだ。
- 小論文
- 夏休みの計画表
- 学校や学年担任の裁量次第だが、一度はやらされたことがあるだろう「製表」という謎の資格。
- 書くのが面倒臭く、絵日記と同様、過ぎ去りし日々を思い出して後から一気に埋める人も少なくない。りなちゃの付録に付いてきたこともある。机の上のビニールカバーに挟んでおくことが多い。
- 先生によっては「計画表通りに毎日過ごせたか」を問い、最終日用に感想や反省の記述を求めてくるケースも少なくない。
あるあるネタ
小学校高学年になってくるとオタクの割合が増え、工作・絵画(書道は下手っぴも多い)がファンロードのケッダーマン・コレクションのようなオタクの工作物の展示所と化すことが多い。昔作った工作物の画像をpixivにあげる人も(版権物だったら受ける可能性あり)。
夏休みの宿題は大人でもトラウマとして残っている人が多く、共感を呼ぶ題材であるせいか、大人向け作品で夏休みの宿題をパロディにした作品が散見される。
夏休みの宿題をやらないキャラ達
挙げられるようなキャラはご覧の通り。
- 磯野カツオ(サザエさん)
- 野比のび太(ドラえもん)※ドラえもんの誕生日と夏休みの終わりが近いため、ドラえもん誕生日スペシャルはしばしばこの件が出てくる。実際に2012年の誕生日スペシャルでは「僕が言わないと全然宿題をしない」と話していた。
- 木之本桜(カードキャプターさくら)
- 木下ベッカム(ペンギンの問題)
- まる子(ちびまる子ちゃん)
- 桜木花道(スラムダンク)
- 流川楓(スラムダンク)
- 宮城リョータ(スラムダンク)
- 三井寿(スラムダンク)
その後
夏休みの宿題を乗り越えても安心してはいけない。
冬には冬休みがあり、そこにはもちろん「冬休みの宿題」があるのだから。
なお、春には春休みがあるが、「春休みの宿題」があるかどうかは学校による。
春休みの宿題自体がない学校がある一方、新入学生に対して春休み中の宿題が課せられる学校もある。
ちなみに
宿題を残したまま始業式を迎える場合だって当然ある。幸いかな、授業開始から1週間前後は短縮授業のため帰宅時間が早まるのだが、当然宿題をやっていない場合はこの期間を利用させて宿題をさせられることが多い。
この期間を過ぎてもなお宿題の提出が終了しない場合、居残り授業という(教師の方も)過酷な最終手段を取られる場合がある。
ところが、居残り授業をするといっても、担当する先生にだって他の仕事があるのだ。大体当日の夕暮れまでに終わらなかったら、次の日以降に再び居残り授業をする約束をして帰らされる場合も多い。
宿題残しの上級者ともなると、これを利用して、居残り授業の期間中ずっと先生にヒントという名の答えを貰い続けた挙句、大半を先生の力で宿題を終わらせるというとんでもない猛者もいる。大体終了するのは9月も3週目くらいに入った辺りであろう。
なお、この期間を過ぎてなお宿題の提出が終わらず10月に突入するハメになった場合、とうとう先生側がギブアップを宣言する(人によっては冬休みまで延々やらされることもある)。ここまで来ると宿題が終わっていないのに提出を免除されるという権限を勝ち取れるが、同時に強い監視下に置かれることを覚悟しなければならないため、
また、この手法が利用できるのは小学生まで。中学、高校と同じ手口を使い続けようとすると内申点に大きく響き、今後の進学に多大なる影響を及ぼしかねないので早い目にこんなことをする習慣を修正すべきである。
フィクション作品では、始業式当日に学校の爆破など物理的に宿題回収が不可能な状況に陥れてバックレようという強硬手段なども描かれる(当然現実にやろうとしたら宿題の数倍の手間がかかるだけでなく、準備段階で計画が露呈し、補導されかねない)。
- 上記の「木下ベッカム」は「解答用紙を盗む」という手段をして夏休みを寝過ごそうと事がある。この時は逮捕されたものの、1か月間刑務所で寝過ごしていため提出を免除されるという権限を勝ち取れたと言えるかもしれない(刑務所の中で宿題をさせればよかったものを)。
近年の問題
近年は金銭を対価に「夏休みの宿題の代行」を行う業者や個人が増えている。
昔から「年下の子供達の宿題を代行して小遣い稼ぎをする中高生」などというのは存在はしていたが、業者が組織的かつ大々的に行うようになったのはここ最近のことである。
前述のドリルや問題集はもちろん、自由研究や読書感想文、工作に至るまで金次第で引き受けるとされており、大都市圏を中心に需要も増加傾向にあるとされている。
この行為に対しては「子供のためにならない」「なんでも『カネで解決できる』と子供が思い込んでしまう」という
非難の声が多くある一方、「最近の子供は塾通いにお稽古事、高校はおろか小・中学にも受験勉強があるため非常に忙しく、代行業に頼まないととても処理しきれない」といった、今時の子供の事情を説いて擁護する声もあり、難しい問題となっている。
終わりに……
夏休みの宿題は、何も学生を苦しめるためにあるのではない。
勉強したことを復習し、二学期への学力をより確かにするための学校からの「厳しい優しさ」なのだ。
何より山のような問題集を成し遂げたあとの解放感、作文や美術作品を仕上げた時の達成感、宿題を済ませて堂々と遊べたときの充足感……など、苦在れば楽在りという言葉をダイレクトに体験できる貴重な機会である。
- 一応、苦しませるために出したケースもあるにはある。その教師が「苦しむ顔が見たいがために出した」との事で、夏休みだけではとても終わりそうにない(目測だと半年はかかりかねない)量を出し、「宿題のし過ぎでぽっくり死ね!」と言いながら帰っていった。それを見た子供が「教師のセリフとは思えん」と話していた。そもそも死んだらどうやったら提出させる気なのだろうか…もっとも、とても教師とは思えない品格(まず勤務している学校では授業を一切やっていないとの事)である上、教師として勤務するシーンがほとんどないのだが。
同時に課題は逃げも隠れもせず常にそこにあるという、世の中の非情さも暗に教えてくれる。
逃げることはできるだろう。だがツケの支払いは必ずやってくる。
遅れれば遅れるほどに、支払いは厳しく容赦なく現実を突き付けてくる。そしていずれは自分への罰として、大なり小なり降りかかってくることになる。
サッサと済ませますか?
後でまとめてやりますか?
計画してコツコツ進めますか?
夏休みの宿題との向き合い方は、あなたの人生との向き合い方と繋がっているのかもしれません。