コピープロテクトについて
コピーガード(英 : Copy Protect、Copy Protection)とは、映画やDVD、ゲームなどの著作物を不正にコピーされるのを防ぐため、著作権者が自ら、著作物を不正複製できなくさせると言う権利者にとっては心強い味方となるそれらを保護するための技術。他には個人情報或いは機密(企業秘密)情報を保護する目的にも用いられている。
ただし、これらのプロテクトは、自身の大事な個人情報や作品がどっかへ勝手に漏れないといったメリットこそ充分にある。そういったものの中には、創作作品の権利を所有する権利者側にとっては心強い味方ともなるが→しかし、その反面ではコンテンツ愛好者側のユーザーに対してはいろんな意味で不便を強要するものであり、さらに誤爆により、「まともに自分のお気に入りコンテンツを楽しめなくする」というデメリットも存在している。
実用されてるコピーガード
違法複製を防ぐため、デジタルやアナログも問わずプロテクトそのものは進化を続けている。ところが、新しいプロテクトが生まれるとその都度その都度ハッカー(クラッカー)などが無効化したり回避する技術やプログラム等を製造。最終的には悪人がセキュリティシステムを破ると善人(ホワイトハッカー)がその脆弱性を修正して情報などの漏洩を阻止するといったイタチごっこを繰り返すザンス。そのため、まともなユーザーへの不便の強要がさらに悪化していたりする。
機密書類や個人情報の保護につかわれる一般的なコピーガード
これらが主に採用されているのは国々、日本では県庁や市役所といった役場などで発行される障害者や福祉サービスに関する通知書(福祉サービスによる生活支援等)などがある。
コピー機でコピーするとコピーの証拠となる【copy】と言う文字が共に印刷されるといったものや日本においては都道府県や国(シンボルの菊)のシンボルマークなど。(例えば、和歌山県では和が描かれている)これにより他人による不正利用はできない様になっている。こういった重要な機密書類をいとも簡単に解読されない様に使われることが多い。
ビデオやゲーム機・メディア機器等に使われてるコンテンツのガードシステム
映像メディアに使用される形式である。
※基本的に光ディスクの内、ビデオCD系のVCDとSVCDの記録メディアには非対応。
アナログ映像信号
APS(Analog Protection System)とも呼ばれる。
アナログ映像信号におけるガードは、通常ミーたちが画面を通じて見る映像の外側にあるブランキングエリアにかけられる。マクロビジョンおよびカラーストライプ
- マクロヴィジョン方式
クソ長いので簡単にまとめることにする。
マクロヴィジョン技術は、マイクロヴィジョン社だった頃の米国ティーボ社(以前の旧名はロビィ社)が作ったコピーガードシステムであり、これが搭載されたビデオソフトを普通にVHSビデオデッキにダビングしても、ダビングされた映像は極端に明るくなったり、暗くなったり、果てには著しく垂直同期が乱れたりして見るに堪えがたい画像になる。さらに通常見る場合の画質も落ちる場合もある。なんともひどいこと。
原理的にはVHSビデオデッキに搭載されてる輝度処理回路のAGC( 自動利得制御 - 輝度入力信号の利得、gainを自動調節し、適切な輝度を保つ )機能を誤作動させるような映像信号を入れることにより引き起こされる。
ただ、最近のテレビにはAGC回路の搭載がないため、ダビングしたものを見ることができるといわれるが、ビデオデッキを通すとコピーガードが誤爆して見られなくなる。ヒドス。
- カラーストライプ
急速に変調したカラーバースト信号をビデオ信号に加えることによるコピーガードでありこれが仕掛けられたビデオソフトをVHSビデオデッキでダビングすると、録画した映像には細い横線が15本から25本、均等間隔で入る。マクロヴィジョン方式の一種であるが、登場がDVDとの切り替わりの時期と遅かったためそれほど搭載された作品は少ないといわれる。
- CGMS-A(Copy Generation Management System - Analog)
読みは『コピー・ジェネレーション・マネージメントシステム・アナログ』→『複製を防止する著作権保護管理システム』。
映像信号に直接コピーの可否を示す信号を載せたもの。デジタル放送で用いられるが、これは新しい機器にしか対応していない( PCのキャプチャなどには対応してコピーは不可能でも古いVHSのデッキなどでは対応しないためコピーが可能となる )。
デジタル映像
主にテレビやビデオ機器、テレビ機能付きのパソコンなどに使われるものを述べる。
デジタルデータはコピーの際劣化しないためコピー対策も頑丈に採られている。
ここではデジタルコンテンツのプロテクトされたもので代表的なものを幾つか以下に挙げる。
CPRM(Content Protection for Recordable Media)
読みは『コンテンツプロテクション・フォー・レコーダブルメディア』。
DVDレコーダー、DVDプレーヤー(Blu-rayレコーダー、Blu-rayプレーヤーにて共通に搭載されている著作権保護技術。
DVD-R、DVD-RWの記録メディアに使われるコピープロテクト。各デジタルビデオのレコーダー側には暗号鍵を持たせるMedia Key Block(メディアキーブロック)=MKBが採用されているので更新して書き換えてしまえば万が一プロテクト破りにあっても複合化できなくしてしまう特殊なプロテクトだ。
DTCP(Digital Transmission Content Protection)
読みは『デジタル・トランスミッション・コンテンツプロテクション』。
規格の策定及び管理運営団体はDTLAが行っている。
機器ごとにIDを持たせ、公開鍵暗号または共通鍵暗号を利用して相互認証させるDTCP(Digital Transmission Content Protection)及び高度な暗号で保護された映像データをレコーダーで録画した番組の映像をレコーダーからインターネットを経由してスマートフォンなどの対応機器にデータ転送する技術としてDTCP-IP(Digital Transmission Content Protection Over Internet Protocolはデジタル・トランスミッション・コンテンツプロテクション・オーバー・インターネット・プロトコルと読む)がある。
DVDに搭載され映像コンテンツを暗号化し、その暗号鍵を複製できないエリアに記録するうえ、日本だと解除するとコピープロテクトの法律に引っかかる
AACS(Advanced Access Content System)、読みは『アドバンスド・アクセス・コンテンツ・システム』と呼ばれるBlu-ray(Ultra_HD_Blu-ray)やHD-DVDなどの次世代DVDに搭載され、Discから機械に書き込まれるAACS、CD-ROMの技術を応用したALPHA-DVD、インターネット認証を行うDVDMAGIC、地域により再生制限をかけるリージョンコード、そのほか複数の形式が存在している。これらのシステムはたまに誤爆する。
ちなみに、DVDMAGICのシステムを応用し、更にそれを強化させた保護技術がUltra HD Blu-rayでリリースされる一部の作品でもインターネット認証が必要になっている。
これらは主に『HDCP』としてプレイステーション3などの次世代ゲーム機にも搭載されている。(正式名称及び詳しくはゲーム類へ)
- Cinavia
Blu-rayにある著作権保護機能。シナビアと読む。
光デジタル音声入力から出力される音声の録音を防止する。コピーガード情報のプログラムがヒトの不可聴音域のほぼ無音同然の電子音による音電子透かしと呼ばれるオーディオタイプのコピーガードで、従来のケーブル経由によるコピーガードに加えてデジカメによるケーブル以外からの直撮り対策が加えられ強化された。検出すると再生停止になるが、何もしていないのにも関わらずに再生停止になる。この場合は盗聴機さえも検出してしまうくらい強化されているらしい。こちらも誤爆のしやすさは上記のプロテクトと同じく伊達じゃない。
- SeeQVault
読みはシーキューボルト。
けっこう長いのでけっこう重要な部分だけを解説し、初心者にも分かりやすく説明する。
パナソニック、サムスン、ソニー、東芝が開発した著作権保護技術で、ハードディスク一部のSDカード(小型規格ではmicroSDのみ)にも対応している。規格の運営管理団体はNSM Initiatives。
一見するとレコーダー内にある番組の管理データに記録されるダビング10を維持してなおかつどんなレコーダーにも録画済みの放送番組の引っ越しができるかと思いきや、実はそうでない。
SeeQVault方式に対応するテレビでSSD或いはHDDをその方式にフォーマットをしなければいけないので注意と言うこと。しかも、引っ越し先と引っ越し元のレコーダーと同じメーカーのレコーダーでなければならないのと非対応の従来レコーダーとでは引っ越しができない言う不便さが目立つ。
例えば、SeeQVault対応かつ、ソニーのレコーダーからソニーのレコーダーへ録画番組を引っ越しするといったところ。
気になる人は対応するレコーダー、カードメディア類の再生機器を出している上記メーカーのサイトからPDFの説明書を落として見てみよう。
ちなみに、プロテクトの仕様は公開鍵暗号基盤(通称:PKI)のGAMMA(ただし、DVD用コピーガードのCGMS-Aとは全くの別物)、セキュリティではAES暗号化レベル128bit、レコーダー向けの固有IDを持たせているEMIDを採用している。
他のプロテクトより比べるとある程度ハードルが下がり不便さが多少ながらも実質的に減ったとも言える。
SeeQVault紹介映像
音声のコピープロテクト
音声に関しては現状デジタルからデジタルへのコピーのみが制限されている。プロテクトとしてはデジタル信号に含まれるコピー情報を検出しコピーに制限をかけるSCMSや同様に高速録音を制限するHCMS、CD本体に細工してコピー妨害するコピーコントロールCDなどが知られている。テレビからデジタル音声を出力する光デジタル端子付きテレビでは電子透かしとも呼ばれる音声録音防止するためのプロテクトもある。こちらは、Blu-rayに追加された最新型のプロテクトであるCinaviaと言う著作権保護機能として実装されている。ちなみにこちらは誤爆すると「Cinaviaによってコンテンツの再生が停止されました。」が延々と表示される仕組みになっている。(※三菱REALのトリセツより)
なお、誤爆しなくてもAACS実質的にデジカメ等による直撮りは不可である。インターネット上には『CNAVIAお客様センター』と言う消費者向けの解説サイトがある。
パソコン
特にPCにおけるフロッピーディスクを用いたソフトウェアにて発達したといわれるが、1990年代以降はCD-ROM供給となり、しばらくはプロテクトは不要であったが、家庭用のCD-Rの普及により再度プロテクトが必要となった。
プロテクトとしては、フロッピーディスクの書き込み不能なところに解除信号などの重要なデータを隠す、わざとNGデータを書き込みNGでなければコピーとみなすようにする、専用ハードを用いるプロテクトの一種ドングルや、インターネットや電話などで認証を行うアクティベーション、説明書等の付属品がないと回答不可能な謎を仕込むマニュアルプロテクトなどが存在している。
また、「コピーできたように見えても実際にはNGを返す」という場合も存在し、「コピーであることが発覚するとデータを強制的に消去する」というさらに恐ろしいものも存在したりする、なお、これらのプロテクトが他の動作に悪影響を与えたり、ユーザーの同意なしにプログラムをインストールする、ウイルス(いわゆるランサムウェア)となる、プロテクトそのものがウィルスの一種であったり、安全であるはずのソフトウェアでも誤爆したりする事例も存在する。
CDの規格から外れた異常なデータを入れる事でシークを繰り返すことになってドライブへの負荷が異常なほど増加したり、訂正可能な範囲のエラーを超えてしまう事でCD-DAの再生時にノイズが乗る、音飛びの発生などの問題を引き起こす事もある。
こういった事例が多くなったせいで、海外では訴訟問題にまで発展している。
尤も、現在は光学ドライブを持たないPCが多くなったことで「単なる起動用のファイルがディスクにしか入っていない」「正規のディスクが入っているか否かをチェックする」と言ったものが減り、更にWindows10では正規メディアのチェックに用いられる各種ドライバがセキュリティホールの関係で無効化されているため、「光学記録メディアにプロテクトを掛けるタイプ」は非常に少なくなっている。但し、主にゲームソフトになるがこの影響でWindows2000前後~8時代までに発売された作品の起動が難しくなっているため、DL配信されているものならともかく代替手段のない場合は(正規品のユーザーであっても)NOCDやNODVDと呼ばれる改造版バイナリを頼る他にないという実情も生んでいる。
ゲーム類
ゲームにおけるコピープロテクトには2種類存在し、ゲーム自体のコピーに対するものとゲームデータの改造、チート、ゲーム中の完全なネタバレとなる映像の記録に対するものが存在する。
- ハードウェア技術を応用したもの
いわゆる地雷基板とも呼ばれる。これはアーケードゲーム筺体によく見られ、バッテリーバックアップで専用パロメータを管理し、コピー基板ではそのようなものがないため電池切れを引き起こし起動不能にすることで不正コピー防止としていたものが存在する。当然正規基板でも電池切れになるとメーカー修理の必要が生じ多額の費用がかかることとなり、基板の収集家泣かせだったりする。また、他の基板やシステムと互換性の低いシステムを使いコピーを作られにくくする、という技術も用いられた。これもシステムの構築や筐体の修理に手間がかかる結果となっている。このような基板でゲーム自体に面白いものがない場合は気にしなくてもいいが、実際には面白いゲームが複数存在したりしてそのゲームのファンは涙目になるしかない。
コンシューマの場合、「専用コントローラ」や「専用付属機器」がこれに該当する。これがある場合エミュレータなどでのプレイがほぼ不能となる。ガンコンなど、TV環境に依存するものでは正規品で本体も専用コントローラもあってもプレイ不可能になるものもある。
任天堂のものではファミリーコンピュータのディスクシステムでもゲームデータに対するコピープロテクトが施されていた。(※外部リンクからの出典:違法コピーにクリエイティブな天罰を下す9つのゲームより)
- 異常感知
プロテクトに引っかかるなどの異常を感知するとデータを書き換え、プレイに支障が出るようにする物であり、「絶対に倒せない敵が登場する」、「フラグがたたずゲームの進行がストップする」、「変な称号がつく」などの不具合が発生する。特にチート対策の場合誤爆する事例が存在する。
またそれを知らず雑誌等で問い合わせるという間抜けなことも発生している。この場合「そんなものはありません」という回答であったといわれる( さすがに「コピープロテクトです」とはいえなかったと )。
レベルファイブのゲームの取扱い説明書によればレベルファイブの作品でも意図的に起きる様になっているとのこと。
- 誤爆の実例
誤爆で有名なものとしてはプレイステーションの「レッドハンドプロテクト」が有名である。これは古い本体で比較的新しいゲーム(※)をプレイするとその名の通りで、赤い手のマークが表示されプレイできないというものであり、一部では有名となった。また、何らかの拍子でコピーと認識され、警告文などが表示されトラウマとなる実例も存在する。PS2では基本的にネットワークを介したパッチの適応ができない為か、新しいバージョンの本体への買い替えが推奨されたという事もあった。言うならば、正規使用しているユーザーにまでも負担を強いられる形である。マークの元ネタはおそらくパッケージ裏に表示されているNO RESALEロゴを意識している。
『PS1のレッドハンドプロテクトの映像』
『異常検知時に強制終了(バイオハザード2より)』
PCゲームではあまりに誤爆率が高いために回避プログラムが正規に配布されたりプロテクトを搭載していないディスクが配布されるなども行われたが、ソフトメーカー側による対応が出来ずにサポートが放棄されてユーザーが被害を被った事例もあった。
※…と、言っても全てのPSソフトに使われたわけではないらしく、当時のSCEI製のソフトはほぼ全てに施されたが、サードパーティの場合は大手のサードパーティ製のビッグタイトルにしか施されなかったらしい。(その後のプレイステーション3とは違ってゲーム映像の録画はできるが)
昔のゲームではゲーム映像に関してのコピーガードはなかったが、Intelが開発したHDCP(High-Bandwidth Digital Content Protectionはハイブラインズ・デジタル・コンテンツ・プロテクションと読む)が使われるゲーム機が出始める。
例えば、プレイステーション3(※プレイステーション4、PS4Proでは設定にて著作権保護重視となるYouTubeやHulu、ニコニコ動画は観れなくなる代わりにOFFにできるが、PS3では最終のシステムアップデートでも対応されていない)
アトラスのゲーム作品では、PS4版のCATHERINEではシナリオ後半からこれが機能する様になっている。かつては、ドラゴンクエスト11(無印の発売当初)でも録画禁止区間設定されていた。
Switch(オプション扱いで一部のソフトのみ導入)から導入されたが、一例として対応スイッチソフトのパッケージのジャケット裏には【HDCP】といった感じで印字されているのソフトが目印である。ゲーム会社が指定する公開可能な章などといったガイドラインによってソフト側でこの制限が掛かることもある。
ソフトウェア側にはWii U(3DS)からは『このソフトには知的財産権を保護するセキュリティが組み込まれています。』が表示されている。
カプコン等のゲームメーカーではACCSロゴがある。
コピー対策としては
実際にコピー対策としてこれらは成立しているかといえば、実際にはそうなってはいない。映像やプログラムのコピーを行うような人々は多少プロテクトをかけても解除の方法を探り、ある場合には回避する方法を編み出してしまう。
コピープロテクト等の搭載によって正規のディスクであっても環境によっては読み込めないといった製品としては致命的な問題を引き起こすが、サポートが対応しなければわざわざアングラな手段を用いて回避などしない為、被害を受けるのは正規ユーザーばかりである。
また、アクティベーションはサポート終了や窓口の消滅等により認証が不可能となり、プロテクトの解除が不可能となるという問題もある。(サポートの終了宣言をされたRPGツクールXPなど)
このように損害をこうむるのは普通に楽しむのに劣化したり誤爆したりせざるを得ない一般ユーザーおよび対策に金をかけねばならないメーカーだったりする。
「コピープロテクトの有無で売上への有意な影響は生じない」(「プロテクトすれば海賊版が減って売上減が少なくなると主張→実際は減少ペースに変化なし」や「改めてプロテクト無しで売ってみたが、売れ行きにこれと言って変化なし」)といった意見や報告は、消費者側のみならずメーカー側からも何度も発表されているが、大々的に止めると決めた場合にどんな影響が生じるか、といった不安もあり単純に止める訳にも行かないのが実情である。
関連タグ
AntiPiracyScreen:似て非なるもの。いわゆる「ファンメイド」の動画。
関連する外部リンク
地雷基板とは (ジライキバンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科