テング(カクレンジャー)
げんだいのてんぐ
概要
第12話「出たァ!!新獣将」に登場する妖怪の1体で、自称「世界一強い妖怪」。
天狗は今も昔も威張ったり得意になると鼻が伸びるのは変わらないが、現代の天狗は鼻ピアスを付け、帽子を被ったりしているとされる。服装も原典のような山伏ではなく、筋骨隆々な上半身を露出させて下に青いジーンズと言う洋画に出て来そうな屈強な出で立ちで、先述した帽子も頭巾からギャングハットと西洋じみたアウトローのそれと、徹底的に現代化されている。
それでも原典通り赤い団扇を所有しており、人間を操る妖術や両目からの光線と言った技を持つ。
天狗らしく自尊心が高く、劇中では、妖怪世界の雑誌と思しき『週刊妖怪』の「強い妖怪ベスト10」上位にランクインしていないことに不満を抱き、ユガミ博士と共謀してカクレンジャーを倒して、ベスト1の栄冠を手にしようとした。
活躍
ピエロに扮したドロドロが子供達を黒い玉に取り込む中、本拠地の館で「儂は子供の泣く声が大好きじゃ」と嘯くユガミ博士の元に現れ、彼が行っている研究の進捗を問う。
世界一強い妖怪を自称しているテングは、自分が雑誌『週刊妖怪 No.124』の「強い妖怪ベスト10」で第3位以内にランクインしていない事に憤慨しており、ベスト1に輝くために自身の妖術とユガミ博士の発明でカクレンジャーを打倒しようとしていたのだ。
某所の街の住民を妖術で操りカクレンジャーにけしかけると、5人に助けを求めて来た少年の正夫が彼等から離れた場所でピエロ姿のドロドロが黒い玉に取り込む。
やがて黒い玉に取り込まれた正夫の声を追ってカクレンジャーが採石場へやって来ると、ユガミ博士と共にドロドロを率いて姿を現す。ユガミ博士が黒い玉に謎の液薬を掛けると、其処からカッパ、モクモクレン、オボログルマ、アズキアライ、ヌリカベの5体を妖怪レプリカとして生み出し、レッド達をそれぞれ圧倒。
やがてテングも痺れを切らし、妖怪エネルギーの落雷を妖怪レプリカと共に浴びて巨大化する。
負けじと隠流巨大獣将之術で獣将化して巨大戦を繰り広げるカクレンジャーだったが、それぞれの武器を取り出した時にテングは残酷な事実を自慢気に語る。
「止めろ! 子供達の命がどうなってもいいのか!? 正夫だけじゃない。これまでに誘拐した子供達が、妖怪レプリカの体内に1人ずつ入っているのだ! つまり、貴様等が妖怪レプリカを倒せば、子供達も一緒に死ぬという寸法だ!」
妖怪レプリカの触媒となっている黒い玉には子供達が取り込まれているため、倒せば子供も道連れになってしまう。それはまさしく無関係な子供達を人質にも使える戦いの道具に仕立て上げるという、下衆の極みと言うべき奸計であった。
子供達を人質に取られたも同然の状況の中、テングは妖怪レプリカと共に一方的に五獣将を痛め付けてKO。5人を外に放り出し、変身まで解除する程の大ダメージを与える事に成功する。
尚もテングは追撃を止めず、止めとばかりに両目から光線を発射してサスケ達を蹂躙して追い詰める。だが、サスケ達の心は折れていなかった。子供達を救いたいという強い想いで立ち上がる5人。
「俺達には……俺達には正義を守るための、無限の忍法があるんだ!」
その想いと共に5人はドロンチェンジャーのメダルから獣将ファイターを召喚。巨大戦第2ラウンドの火蓋が切って落とされる。
妖怪レプリカと共に獣将ファイターを迎え撃つテングだったが5体の素早い動きに翻弄され、逆に押されてしまう。やがて五獣将が無敵将軍に忍者合体すると、単身立ち向かうも結局は火炎将軍剣で鼻を斬られ、「ベスト1の妖怪になりたかったのにぃ……!」という断末魔と共に爆散。同時に妖怪レプリカも消滅し、取り込まれた正夫達も助かるのだった。
なお、作中では書かれていないが、操られていた正夫の両親を含む街の住民達も元に戻った模様。
余談
戦いを総括する限り、テングがカクレンジャー相手に優位に立ち回れたのは妖怪レプリカを生み出したユガミ博士の助力による所が大きく、彼だけの力ではカクレンジャーを倒すどころか追い詰める事も難しかっただろう。何にせよ、プライドだけで中身が満足に伴っておらず、誰かと共謀している時点でベスト1=最強の妖怪と呼ばれるには程遠い小物だったのは間違い無い。
妖怪モチーフは天狗の他、ギャングも含まれる模様。スーパー戦隊シリーズに於いて天狗がモチーフの怪人は『大戦隊ゴーグルファイブ』のテングモズー以来の登場となった。
ちなみに『百化繚乱[上之巻]』のデザイン画では、右手に銃を装備した造形になる予定だった模様。
声を演じる岸野氏は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』にてドーラミノタウロス、ドーラコカトリス2号、ドーラエンドス、強化ゴーレム兵、ドーラシルキスといった怪人達の声を複数担当していた。次の出演は3年後の『電磁戦隊メガレンジャー』におけるカマキリネジラーの声である。