エネル
えねる
「我が神なり」
「……もうわかっただろう?おれは“雷”だ」
「人は古来より理解できぬ恐怖を全て“神”とおきかえ 恐さから逃げてきた」
「もはや勝てぬと全人類が諦めた“天災”そのものが私なのだ」
「──人は…“神”を恐れるのではない…“恐怖”こそが”神”なのだ」
「不可能などありはしない」
「我は全能なる神である!!!!」
プロフィール
人物
容姿
長身かつ筋肉質で常に半裸の壮年男性。本作によくいる「極端な逆三角体型」ではなく、身長以外のシルエットは常人と大差ない。
空島の住民は背中に小さな白い翼が生えているが、彼は羽の代わりに雷神の太鼓が4つ連結して付いているのが特徴(どう見ても人工物だが、生まれつきかは不明)。
また顔つきも結構特徴があり、下まつ毛、太い眉毛、細い鼻は横筋があり、異様に長い耳たぶ……となかなか個性的。ちなみにいつも被っている白い布キャップの下は金髪のパンチパーマらしい。
性格
「? どのゴミのことかな…」
「おれの前では何もかもが無力っ!!!」
「故に神なのだ」
本作でも一際傲岸不遜な性格で、その強さゆえ自らを全能なる神と呼んで憚らず、自分以外の人間を殺害するのに何の躊躇もしない残忍さも持つ。
一人称は基本的に「私」だが、そのときの気分もあるのか、たまに「おれ」になる。またしばしば「我は神なり」と自身の優位性をアピールするような台詞を口にする。
笑い方は「ヤハハハ」。
傲慢な一方で慢心はしておらず、ルフィが超人系だと察して有効な攻撃をすぐにあみ出す、自然系相手でもダメージを与えられる海楼石に対して自分なりの策を練る、自身の船である方舟マクシムの構造をすべて頭に入れているなど頭脳も優れる。ナミが「電気泡」で自分の雷撃を逸らして対応する様子を見て先ほどとは対照的に大笑いし、まるで余興のように小規模の雷を次々に繰り出して弄ぶなど極めて短時間で未知の事象への認識・対応する能力も高い。
一方で、ロビンの考古学者としての能力に興味を示し語りかける、自らの計画に加える有能な人間を選抜する方法を神の島を舞台にした「サバイバルゲーム」で選定し、それに最終的に生き残った五人を賞賛し、改めて自分の計画に加わることを認める、自分に従うナミには危害を加えずあっさり許し同行を促すなど、計画を邪魔する人物や楯突くもの以外にはそれなりに寛大な対応を見せることもあり、良く言えばきまぐれ、極端に言ってしまえば享楽的で邪神らしい性格であるとも言える。
野望
スカイピアに君臨し、圧倒的な力で恐怖政治を敷いていたエネル。
だがスカイピアの支配そのものに興味はなく、真の目的は故郷ビルカに伝わる聖地「限りない大地(フェアリーヴァース)」へ辿り着く事、そしてその地に"神の国"を興すことにあった(スカイピアに来たのもマクシムの回路を造るのに必要な黄金があるからで、用が済んだら滅ぼすつもりでいた)。
限りない大地はその名の通り見渡す限りの大地が広がる「神が在るべき場所」とされ、それ故に本来空島ではあり得ないほど巨大(小島くらいの大きさ)な"土"である「神の島(アッパーヤード)」でさえ「こんなちっぽけな大地」と吐き捨て、それを巡る400年もの対立も「くだらぬ小事」と一蹴している。
さらに、エネルは本質的に「空島は不自然な存在で、人間が空に住むのは不遜である」と考えており、自分(および自分が選んだ者)が限りない大地へ向かう際には、空島を消滅させて全てを地上へ叩き落とそうと目論んでいた。これについては「神として自然の摂理を守るだけのこと」と宣っているが、そんな自分自身が何より不遜で、自然の摂理にも反しまくっているとは何の皮肉だろうか。
人が空に住んでいることを「不遜」と評するのに地上侵攻を企てなかったのも、限りない大地が地上ではなく更なる天の高みにあるから…ということなのだろう。
戦闘能力
悪魔の実
「……どうあがけば “人間”が “雷”に勝てるというのだ…………」
名称 | ゴロゴロの実 |
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分類 | 自然系 |
能力 |
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欠点 | |
注意点 |
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補足 |
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体を雷に変化させることができる「雷人間」。
全身を電気エネルギー、すなわち雷に転換することができ、2億ボルトまで放電可能になる。
さらには機動力も高く、体を雷に変化させることで、雷の速度で移動することができる(秒速150~200km)。
電気なので金属などの導体を伝って移動することもでき、不用意に攻撃すると感電して攻撃した側が逆にダメージを受けることになる。
能力の使い方はエネルの力量や技術によって多種多様であり、単純な放電による電撃攻撃から、「電熱を使った攻撃」「雷の具象化」「自身の体の雷化」「電波を使った盗聴」「心肺蘇生のための電気ショック」までと幅広く行える。
基礎戦闘力
武器として黄金で作られた長棒「のの様棒」を振るい、雷が効かない相手であってもある程度戦える。
※単純な棒術だけでなく、電熱を纏わせて威力を高めたり、熱で融かして槍に変えたりできる
純粋な身体能力自体も、空島時点のルフィやゾロと張り合えるほど高く、排撃貝(リジェクト)をまともに喰らっても、心臓マッサージだけで蘇生できた程で、純粋な力でも当時のゾロを気絶させるほどの力の持ち主でもある(なおアラバスタ編時点のゾロでも容易く建造物を持ち上げて投げ飛ばせる程の力を持っているため、エネルの力の異常さが窺える)。
当時のルフィが勝てた理由はゴムゴムの実の能力がゴロゴロの実の能力の弱点(電気が通じず、逆に殴ることができる)であったことが大きな要因だが、それでも結構苦しめた。
覇気
内容 |
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この他にも、「心綱(マントラ)」と呼ばれる覇気の技術(見聞色)を会得している。これにより、スカイピア全土に及ぶ程の広範囲の敵の位置を探知したり、敵の攻撃の先読みも可能。
先述した盗聴能力とこの心綱を合わせることで、スカイピアのどこでどんな会話が行われているか把握していた。
「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)」に対し、ルフィの両腕をつかんで止めるという芸当や能力による雷速移動を可能にしているのも、彼の心綱ゆえだろう。
「“心綱”による先読み+ゴロゴロの実の能力による雷速移動」として応用すれば、より早く行動ができるため、相手が行動してからの移動時間を雷の速さ以上に短縮できる。
なお、ある程度の錬度があれば「位置」「先読み」「強さの把握」「生死の判別」等の基本的な派生能力はごく一般的なこと。より高度なレベルになれば未来予知(未来視)として高感度に見聞色を発動できる者もいるため、「エネルでは天下を取れない」という作者のコメントはしっかり裏付けされている。
技
能力に相応しく多彩で強大な電気に纏わる技を操る。
電撃技が効かないことが判明した後でもなお、雷速移動と心綱でギリギリまで追い詰めている。
- 放電(ヴァーリー)
手から雷のエネルギーを放出し、相手を感電させる。
電圧は最大出力である2億ボルトまでなら自由に調節可能で、並みの相手であれば100万ボルトもあれば一撃で戦闘不能に陥れる。
エネルの技は世界各国の伝承に登場する雷にまつわる幻獣や神などから付けられているものが多いが、この技に関しては雷が『ヴァリヴァリ』と鳴ることからその名が付けられたらしい。
- 稲妻(サンゴ)
雷に変化させた腕を対象へ向けて放出する。
これを圧縮・強化したような技が後述の”神の裁き”。
- 神の裁き(エル・トール)
腕を雷のエネルギーに変化させ、巨大化したそれを前方に向けて撃ち出す、もしくは相手の頭上から叩き付ける。
その規模は最早「雷」ではなく、波動砲か何かと化している。
アッパーヤードの大地を丸ごと抉り取る威力を誇り、一撃で大蟒蛇ノラを失神させてしまうほど。
- 電光(カリ)
全身から電熱を放ち、電光と雷鳴、衝撃波を発生させる。
巨木を蒸発させるワイパーの”燃焼砲”を簡単に相殺してしまうほどのエネルギーを持つ。
- 雷鳥(ヒノ)、雷獣(キテン)、雷龍(ジャムブウル)
背負った太鼓を叩き鳴らし、その太鼓を技名に由来する形状の雷に変化させて相手に放つ。
電圧は”雷鳥”が3000万V、”雷龍”が6000万V、”雷獣”は宣言が無かったが、前述したそれぞれの電圧と、”雷鳥”が一つ、”雷龍”が二つの太鼓をたたいて発動させていた事を考慮するとおそらく3000万Vと思われる。
- 雷冶金(グローム・パドリング)
のの様棒に高圧電流を流し、その電熱で別の形状の武器に錬成する。
ルフィには電撃も打撃も効かないことから、その対抗策として使用した技。
のの様棒を矛に変化させて攻撃を仕掛けた。
この技が使われた直後ののの様棒は、触れるだけで木材が炭化するほどの非常に高い電熱を帯びており、エネルは素手でも平気だが、相手は一瞬でも触れれば火傷を負いかねない。
- 万雷(ママラガン)
方舟マクシムから排出された雷雲を刺激し、無数の雷撃を絨毯爆撃の如く降り注がせる。
時間を追うごとに雷は規模も数を増大していく。
あらゆるものを無差別に破壊し続けるその光景は、エネル曰く「絶景」。
しかしスカイピアの大地はそれだけの攻撃を受けても負けず、砕けなかった。
- 雷迎(らいごう)
箱舟マクシムから排出された分厚い積乱雲を一つの球体に取り纏め、目標に向けて落下させる。
莫大な気流と雷のエネルギーを内包した巨大な爆弾と言える代物で、完成すればスカイピア全土を消滅させてしまうほどの絶望的な破壊力を秘める。
エネル単独のみの力ではないとはいえ、島一つを丸ごと消滅させる攻撃は四皇戦を含めても作中を通して唯一であり、ルルシア王国を島ごと消滅させたマザーフレイムや島一つ消し飛ばす威力とされる古代兵器プルトンに並ぶ、現時点で作中最強の大技といえる。
どれもが尋常ならざるスケールを誇るエネルの技の中でも最大の必殺技と言えるが、劇中では完成する前に内部に突入したルフィによって破壊され、スカイピアは消滅を免れた。
また、2023年1月に発売された家庭用ゲーム、ONEPIECE ODYSSEYにおいて黒いキューブにより登場した際には5つの雷迎を作り出し、それを剣へ形状変化させ、攻撃している。原作通り、圧倒的火力で味方側を優に全滅まで追い込むほどの威力を見せる。
名前の由来は仏教用語の「来迎」と雷をかけたものか。
- 2億V ”雷神”(アマル)
全身に限界まで高めた雷のエネルギーを纏い、自らを巨大な雷神の如き姿に変異させる。
触れるだけで2億ボルトの超高電圧が相手に襲い掛かる恐るべき技だが、やはりルフィには単体ではダメージを与えられなかった。
経歴
過去
スカイピアよりもはるか南東にある別の空島「ビルカ」で生まれる。
その後、故郷のビルカを自らの手で滅ぼし、四神官(オーム・シュラ・サトリ・ゲダツ)を率いてスカイピアへと侵攻し、当代の神(国王)であったガン・フォールを降して自らが神の座についた。
そして、自ら「唯一神」を名乗ることでそれまでのスカイピアの過去の権威を否定した。
空島編
スカイピアの唯一神として君臨する傍ら、自らの能力と強制労働により作り上げた空飛ぶ巨大船"方舟"マクシムを使い、スカイピア全土を消滅させ、有能な部下を引き連れて自身の故郷に伝わる聖地「限りない大地」へ移り住んで神の国を建国すること(エネル曰く「還幸」)を画策し、計画の総仕上げと言わんばかりに自身の能力によって何人もの人間を排除した上で空島やその住人たちを「鳥でもないのに空に棲む不遜者」と吐き捨てて全ての空の住人を青海に突き落とそうと計画する。
最終的には「雷迎」でエンジェル島を消滅させるに至ったが、ルフィ達の活躍によりスカイピア全土の消滅は阻止され、ルフィとの死闘の末に「ゴムゴムの黄金回転弾」を受けて敗北。最後はマクシムと共に海雲へと落ちていった。
しかしその日の夜には意識を取り戻してマクシムを再起動させ、一人で「限りない大地」である月へと旅立った。
エネルのスペース大作戦
その後、表紙連載「エネルのスペース大作戦」でエネルのそれからの経緯が描かれている。
なんとマクシムは無事に月に到着。この世界の月には空気があるのか、月の大地に降り立ったエネルは生身でも特に問題なかった。
しかし月にはエネル以外にもやってきている勢力があった。
一つは、偉大なる航路にある未来国バルジモア出身のツキミ博士が作り出したロボットである「スペーシー」たち。博士はロボット達と仲良く暮らしていたが、趣味の月見をしている時に、月面で謎の爆発が起こり、博士はそれに驚いて食べていた月見団子を喉に詰まらせて窒息死。スペーシーたちは博士の仇を打つべく、風船を使って月までやってきていた。
もう一つの勢力は、月に秘められた古代遺跡の秘宝を奪うべくどこからかやってきた宇宙海賊(二足歩行のウサギのような見た目)である。月の爆発はこの宇宙海賊が発掘のために起こしたものであった。
二つの勢力の戦いを目にしたエネルは、どちらかに味方するつもりなどなかったのだが、たまたま先に出会った宇宙海賊を「自分のものであるフェアリーヴァースに土足で踏み込んだ」という認識から神罰として雷で攻撃。その圧倒的な力は海賊を殲滅する。
このことでスペーシー達はエネルをかけがえのない恩人であると見做し、彼に忠誠を誓うことになる。そして、スペーシー達と共に海賊達が発掘しようとしていた遺跡を探索するのだが、その遺跡には何者かが造ったロボット達が眠りについていた(外見はスペーシーと酷似している)。
とりあえずややこしそうなものに対しては攻撃するという横暴なコンタクトで遺跡全体に対して雷撃を放ったところ、この眠りについていたロボット達に電気動力が流れ込み、目覚める。
そしてこのロボットたちもスペーシーと同じくエネルに忠誠を誓うようになり、エネルは計らずも強大な軍団を手に入れることになった。
なお、この遺跡があった月の古代都市の名はビルカであり、エネルが滅ぼしたとされる自らの出身地の名と同じであった。
また、この遺跡の壁画には古代兵器の由来らしきものも描かれている。
余談
- 海賊デビューの伏線?
主人公ルフィをメインに海賊のストーリーがメインのワンピースであるが、ルフィが交戦したほとんどは同業者の海賊で、エネル以前の海賊以外のそれらは元から海兵だったモーガンやスモーカー、一時海賊だったが王権奪還を企み海賊廃業のワポルくらいだった。エネルがルフィと交戦時は一応海賊ではなかった。
しかし、空を飛ぶ船マクシムに乗り込み月で宇宙海賊を撃破したところは、“海洋と島”ではなくSFチックな“宇宙と星”であれど、戦闘や攻略およびに交戦相手からしてまさに探検団を自称したが海賊団のレッテルで不本意に懸賞首になってしまったミンク族の件を通り越した“海賊”そのもの。(もっとも、ルフィがナミに海賊王を口にして激励時には『カイゾク王?』と答えたあたり、エネル自身は海賊には関心と興味はほぼ皆無だったが。)
単行本では49巻474話扉絵を最後に(ワノ国編扉絵リクエストを除く)本編では単行本107巻現在音沙汰がないエネルではあるが、単行本102巻ではSBSにてエネルが実際に青海で海賊になったらどんな海賊旗を掲げるかという質問があり、質問者がエネルの耳たぶと太鼓とバンダナをかたどったドクロマークを描いたところ尾田先生が“あ、いいよそれでー。”と答えている。このため、エネル再登場の際はルフィの敵にしろ味方にしろ海賊デビューを果たす可能性が高い。続報を待とう。
- キャラクターデザイン
顔立ちや衣装が似ているため、アメリカのヒップホッパー「エミネム」がモデルではないかと考察されている。ちなみに『ONEPIECE Island Song Collection』に収録されたエネルのキャラクターソングにもヒップホップの要素が色濃く反映されている。
名前の由来はおそらく「エネルギー」から、衣装には雷神関連のものが多く用いられている。
- 青海での強さについて
世界政府から犯罪者認定を受けておらず賞金首では無いため、エネルに本来懸賞金は無いのだが、作者曰く「あの厄介さから考えても5億以上はかたいかもしれませんね」との事。(43巻を参照)。
当時判明していた最高金額はドンキホーテ・ドフラミンゴの元3億4000万ベリーであり、5億以上という金額はまさに破格の数字であったがこれは戦闘の実力ではなくあくまで厄介さ故にである。一番近い例がシーザーであり、実力はとても新世界では通用しないが科学力や逃走に有利な能力であることから推察された金額であると考える。
空島編ではルフィは「ゴム人間だから雷が効かない」という長所がたまたま有利に働いてエネルに勝利したわけで、ルフィがゴムゴムの実以外の能力者であったならば、当時の実力では勝つことはできず、基礎体力では互角以上だったとしても悪魔の実の効果や相性に圧倒されて敗北するというのは皮肉にもルフィの負けフラグに見られる傾向である。
ただ、同時に作者から「青海には桁違いに強い者達がいるのでエネルは天下を取れない」と断言されている。事実、空島編終了から数年後に偉大なる航路後半の海が舞台になると、四皇をはじめとした懸賞金が数十億の世界的大海賊が登場するようになり、文字通り「桁違い」の連中が青海には存在することが明らかになった。
なお「もし主人公だったら作品は一年にて終わると作者が答えた」というのは赤犬に関するものなので注意。
- ワンピースカードゲーム
ワンピースカードゲームの『新時代の主役』で初登場となった彼のキャラクターカードには場から離れる場合代わりに自分のライフ削ってエネル自身を維持する速攻アタッカーで彼の強さを再現しており、リーダーカードのエネルはライフが0になった場合デッキの上からライフが加わるという原作と同じようなしぶとさを再現しているが、キャラカードのエネルの効果には『キャラのモンキー・D・ルフィ』がいる場合ライフを削って盤面を維持する効果が無効になる。というルフィに対しての反応を原作再現している。敵味方関係なく『ルフィ』が場にいるのであればエネルは使い物にならなくなり、エネルの強さを初っ端かな封じられる覆られない状況を作ってしまう。原作をリスペクトした効果になっている。相手依存と自分のデッキとプレイング次第であるが強力なプレイができる。がもし場にルフィが出てしまった(うっかり出してしまった)その時は笑って許そう。