「毒はやがて お前から全てを奪う」
「──これが 貴様への刑罰だ… 侵入者」
「24時間… 苦しみ… そして本物の 地獄へ堕ちろ」
概要
世界政府付属機関である海底監獄インペルダウンの副署長を務める男。
2年前まではトップの監獄署長であった。
プロフィール
本名 | マゼラン |
---|---|
年齢 | 45歳→47歳 |
身長 | 491cm |
所属 | インペルダウン署長→副署長 |
悪魔の実 | ドクドクの実(超人系) |
出身地 | 偉大なる航路 |
誕生日 | 10月9日(10←ド、9←ク、ドクの実) |
星座 | てんびん座 |
血液型 | X型 |
好きな食べ物 | 毒のスープ、フグの刺身(毒抜きなし) |
初登場 | 単行本54巻 第528話『海侠のジンベエ』 |
CV | 星野充昭 |
人物
基本的に真面目な性格で、職務に対しても勤勉で部下達から頼りにされているが、緊急時には部下を攻撃に巻き込むことを厭わない。毒を浴びた部下に「おれの戦闘範囲に入ってくるなバカ者」と呆れる冷徹な面も見せた。
毒舌家で、ハンニャバルに面と向かって「ザマァみろバカな部下め」「おれには何という心ない部下がついてしまったのだ」と毒突いたりする(ただし、本心は信頼している模様)。また美女に弱いのか、ボア・ハンコックの要望を優先して一大事を放置、事態を悪化させてしまった。
だが頭は回る方で、その後は広範囲にわたる暴動にハンニャバルを始めとする部下たちが慌てるなか、冷静に指示を出し、肩書きに恥じない手際を見せる場面もある。
しかし、後述する能力による下痢の影響で毎日約10時間トイレに籠っている。
その癖して毎日約8時間たっぷりと睡眠を取る。
そして食事や休憩もしっかり取るので実質的な勤務時間は僅か4時間程。
ハンコックからは「それで署長が務まるのか?」と呆れ半分のツッコミを入れられてたが、ドミノは「いざとなれば頼れるお方です」と返している。
明るく開けた場所よりも暗く閉ざされた場所が好きという、監獄勤務向きの嗜好を持ち、彼の趣向のため、所長イスはまるで個室トイレのような狭苦しいものだった(しかもアニメ版ではトイレ兼用であることも明かされ、ハンニャバルから「えんがちょ~!」と突っ込まれてしまった)。
戦闘能力
「おれには お前ら全員を この場で処刑する権限と その能力がある事を忘れるな………!!!」
全身から様々な毒を分泌する事ができる「毒人間」。
毒は「気体」「液体」「ゲル」「固体」と様々な形状で産出でき、その威力も催涙ガスからインペルダウンを破壊する危険のあるものまで多種多様。
さらに全身から毒液を流出させたり、溜息や唾液ですら猛毒であったりするため、生身では直接攻撃はおろか接近することすら困難。
仮に何とか接近したとしても、毒の塊であるマゼランに素手で攻撃するのは自殺行為に過ぎず、数回の打撃では到底倒れないマゼランのタフさも併せて自分が毒に侵されて身体能力を摩耗していくだけである。
ガスガスの実(自然系)を保有するシーザー・クラウンからは「あんなのと一緒にすんじゃねェ」と言われていたが、単身で黒ひげ海賊団を壊滅寸前まで追い詰めたり、インペルダウン編は『マゼランから如何に逃げるか』で話が進んでいたりと、その戦闘能力は破格と言っていいほどで、数ある超人系の中でも相当上位に位置する戦闘力と"対処の困難さ"を有する。
また、脱獄囚たちの中で2年前の時点で覇気を使えても不自然でない人物がこぞってマゼランの足止めでなく逃走用の軍艦奪取に動いていたため、この毒を覇気で無効化できるかどうかは未だに未知数(覇気の性質上、受け流されることはなくなっても、能力の行使自体はよほどの例外相手でもない限り可能であるため)である。
ルフィ自身はレイリーから覇気を習う際に『ドクのやつにも触れる』と希望を見出しているが、現に同じく覇気を使えそうな人物は足止めのために一騎討ちを挑んだ結果毒液を受けて敗北している。
帽子についている角のような装飾は取り外しが可能で、手にはめたこれに自身が作り出した毒液を流し、相手に突き立てて毒を送り込む武器として用いる事がある。
また、「毒液」や「毒ガス」は牢屋の隙間を容易に突破してしまうので、たとえ格子が海楼石で作られた独房でもマゼランはその向こう側から対象を毒殺する事ができる。
あまりに態度の悪い囚人は、過度でなければドクドクの能力と署長権限でその場で(見せしめも兼ねて)処刑する事が許されていた(副署長となった現在でも権限があるか否かは不明である)。
現にレベル5の囚人たちは『毒の刑罰』という呼称を使いながらこれを受けた新入りが連行される姿をさほど大きな驚きもなく見送っており、似たような状態に陥り死亡確認作業同然でレベル5に送り込まれる囚人が一定数存在することが示唆されている。
また、毒人間故に毒物を直接摂取しても命に別状はない体質になっており、むしろ味覚的には毒物が大好物らしい(能力の効果か単に本人の好みかは不明)。
しかし完全には食べた毒を消化しきれずに下痢を起こし、長時間に渡って閉ざされた場所(要するに屋根と壁付きのおまる)に籠るのが日課となっている。
また、長時間能力を行使し続けると能力の反動としてこれまた強烈な下痢に見舞われる。
なお悪魔の実の能力だけでなく、逃げられないと戦う覚悟を決めたルフィが放った技を喰らっても殆どダメージを受けた様子が無いなど、肉体的なタフさもすさまじく、その実力は元看守長のシリュウと共にインペルダウンの二枚看板として畏れられ、インペルダウンの並みいる猛者達を押さえつけられるのも彼あってこそ。
能力の上での弱点としては、壁を貫通出来ないというものがある。
作中ではドルドルの実の能力で作り出した蝋の壁を突破できず、同じくペロペロの実やビスビスの実、バリバリの実などといった防壁となるものを生み出し、それを利用して攻撃もできる能力者とは相性がよくないと思われる。
ただし、この点に関しても後述のように手段さえ選ばなければ対応策自体は存在するため、明確な弱点にはなり得ない。
これらの点から最大の弱点は前述した実質的な活動時間がたったの4時間と短い点であり、イワンコフからも同様の理由でシリュウの方が厄介と断じられている。
マゼランは幼少期からこの能力を保持していたらしく、SBSで描かれた幼少時代のイラストでは、汗まで毒液なため花に水をやれず哀しむ姿が描かれていた。
ワンピース歌舞伎でマゼラン役を演じた市川男女蔵も「マゼランは本当は優しい男で、花に水をやる度に毒を流してしまって泣く」と語っている。
技
- 毒竜(ヒドラ)
麻痺性の神経毒の塊で三つ首の竜を作りだし、自在に操る。
呑み込まれれば全身に激痛が走り、瞬く間に痺れて動けなくなり、やがては死に至る。
毒竜の本体の中を潜水するようにして高速で移動し、竜の口から飛び出す毒の道(ベノムロード)という移動技もある。
- 毒ガス弾(クロロボール)
ガムを噛むようにしながら口内で毒ガスの塊を作り、相手へ向けて勢いよく噴き出す。
火にくべると爆発を起こし、周囲に「催涙くしゃみガス」を撒き散らして相手の感覚を刺激する。
- 毒フグ
大きく息を吸い込んだ後、勢いよく毒液の塊を吐き出す。
着弾と同時に周囲に毒液が飛び散るため、見た目より大きく回避しないと完全には避けられない。
- 毒・雲(ドクグモ)
毒の吐息を吐き漏らし、周囲を霧状の毒ガスで包み込む。
巻き込まれると視覚や聴覚、運動能力などに深刻な影響を及ぼし、やがては全身の力を奪われ倒れ伏す。
- 毒の巨兵(ベノムデーモン)「地獄の審判」
毒液の塊でできたドクロの巨人を作り出し、マゼラン自身の動きと連動させるようにして操る。
生物はもちろん、無機物さえも汚染し侵蝕する(蝋の防毒性と鉄の強度を兼ね備え、これが出てくるまでのマゼランの毒液をほぼ完全に防いでいたギャルディーノのドルドルの実による装備や防壁でさえ、この毒だけは防ぎきれず蝕まれた)凶悪な猛毒であり、毒に侵されたものに触れた者にも瞬く間に同様の毒が伝染する。
あまりに強力かつ危険すぎる毒性であるため、インペルダウンそのものを破壊し兼ねない「禁じ手」。
アニメでは通常の毒が紫で表現されるのに対し、この毒は真紅で描かれていた。
活躍
2年前はインペルダウン監獄署長として、同監獄に侵入してきたルフィをいとも簡単に瀕死に追いやったのを皮切りに、革命軍のイワンコフやイナズマ、そして黒ひげ海賊団までもをあっさり毒で撃破する大活躍を見せた。
しかし、最終的にルフィ達241人が脱獄した事に加え、味方のシリュウ看守長の裏切りに遭ってしまい、彼の助けで回復した黒ひげ海賊団により瀕死の重傷を負わされ、政府すら存在を揉み消すレベルの大悪党であるレベル6を含む囚人大量脱獄という前代未聞の大事件を許してしまう。
世間に知られたら、20年間1人の脱獄もなく、侵入者など前代未聞であるインペルダウンの信用は失墜し、マゼラン自身が良くても懲戒免職、下手をすれば収監されかねない程の大失態である。
自責の念に苛まれたマゼランは自害もやむ無しと考えるほど思い詰めていた模様(センゴクは「そんなくだらないマネ絶対にさせるな」と憤慨していた)だったが、署員全員から慕われている人望と、これまでの実績の高さ、そして囚人に睨みを利かせる上で重要な役割を持っている事から思い留まるよう説得された事で、責任を取って署長職を部下のハンニャバルに譲り、2年後は副署長として活動している。
降格で済んだのは、『インペルダウンの戦力として残って欲しい』と考える政府と、マゼランの間で交わされた妥協案で、世界政府はこの件の隠蔽も図っていた為、責任者であるマゼランを表立って処分するのはあまりにも不自然だったという事情もあると思われる(この現象は現実世界の組織運営でももみ消しを図る際に時折見られる)。
というか、シリュウの裏切り等も考えるとマゼラン1人の責任では無い事は明確だろう。
実際問題、大量脱獄の一件でインペルダウンは監獄としての強固さが揺らいでおり、戦力低下が著しく、マゼランに責任を問うことは得策ではなかった。
仮に政府の戦力としてインペルダウン以外に異動させるとしても、屋外で彼がドクドクの実の能力を使うのはあまりにも危険。
更に彼が自殺などした場合、ドクドクの実が世界の何処かで復活するが、それが海賊に渡ってしまえば被害が出ることは確実なので、降格という形でインペルダウンに残留させるのが最善だったと思われる。
2年後のエッグヘッド編では世界中(インペルダウンの全てのフロアも含む)で流れているベガパンクの海面上昇のメッセージをレベル6で収監されているドフラミンゴと共に聞いていた。
余談
実はルフィが現状作中で負け越している数少ない相手の一人でもある。
マゼランと戦い、重複した毒から生き延びたルフィは毒類に対する極めて高い抵抗力を得るに至った。
ヒョウゾウ(毒種ヒョウモンダコの人魚)やシーザー・クラウン(ガス人間)による毒攻撃がほとんど通じなくなっている他、ウイルス兵器に根性で耐えたり、常人なら一口食えば即死に至る毒魚を躊躇なく口に運んだりしていた(そのせいで致死量の数千倍を摂取して死にかけることになったが)。
キングと外見的特徴が似ていることが指摘されているが、キング本人との関係性は不明。
厳密には服が似ており、「ダブルスーツ」「詰襟」「ドクロマーク」がついている点が一致しており、おそらくは、両者とも『軍服』をイメージしたが故の一致だと思われる。
より突っ込んで言えば、マゼラン側はあくまで『インペルダウンの制服が軍服モチーフ(より正確には、帽子にあしらわれたドクロの帽章からしておそらくナチス武装親衛隊の物)』である。
そういう意味では部下であるシリュウの服装も似たり寄ったりであり、むしろドクロが帽章だけでなく上着にもあしらわれている点ではこちらの方がより近い。
またドミノをはじめとする看守たちも上着の色と言った差異はあるが同じ方向性のデザインである。
マゼランやシリュウはルナーリア族の特徴たる『黒い翼』『褐色の肌』『白髪』『炎』といった特徴を何一つ持っていない。
厳密にはマゼランにも翼はついているが、幼少期の姿やハンニャバル、サルデスを見る限り単なる装飾の可能性も高い。
仮に本物の翼であったとしてもルナーリア族のそれとは明らかに異なっている。
また、キング側も出自を考えればインペルダウンに看守として所属していた可能性がほぼあり得ないことを考えると、現状の描写を見る範囲では偶然の一致以上の意味はないだろう。
また、1053話にて明らかになった現四皇の内三名が(2年前の時点で、と但し書きはつくが)協力者の助けや妨害がなければ手も足も出ず、その場で全滅していたという、とんでもない実績を上げていたことが確定した。
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ONEPIECE 世界政府 看守 ドクドクの実 毒 刑罰 どうあがいても絶望 強敵
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