歴史
全てはここから始まった ~空島編~
その実を食し、雷を自在に操る能力を持ったエネルは、自らを「神」を名乗り「スカイピア」を侵略。元領主であるガン・フォールを軽々と打ち破ると、島全域を対象とした落雷による恐怖政治を行い、瞬く間に島を支配した。
島に住む人達を救おうと立ち上がった麦わら海賊団一行であったが、エネルの強力な雷技の前にはなす術もなく、一人、また一人と倒されていく。
最後に主人公「モンキー・D・ルフィ」と戦うこととなったエネルは、今まで消してきた者達と同じように、岩をも瞬時に蒸発させるほどの威力を持つ雷技「神の裁き(エル・トール)」をルフィに向けて放ち、一蹴する。
……が、ルフィには全然効いておらず、それを見たエネルは「上手く避けたようだな」と呟く。
エネルはルフィに対しさらに威力の高い「6000万V雷竜(ジャムブウル)」、ダメ押しに「1億V放電(ヴァーリー)」と立て続けに攻撃するが、それでも全くルフィには通じない。
ゴムゴムの実の能力によって完全な絶縁体となったルフィには電気そのものが通じなかったのだ。
その光景を見ていた周囲の人々は皆驚愕していたが、エネルだけは動じず、余裕な態度…かと思いきや、一番驚いていたのは他でもないエネルであった。
その時に見せた表情がこれである
1頁ぶち抜きで描かれたこの表情には焦り、驚き、絶望といったありとあらゆる感情が詰め込まれており、読者の腹筋と顎にも「神の裁き」が降りることとなった。
ちなみに、白海(スカイピアのある地域)にはゴムの木が存在しないため、エネルはゴムの存在を知らなかった。
厳密には絶縁体は電気を絶対通さないわけではなく、超高電圧をかけることで「絶縁破壊」という現象を起こし電気を通してしまう。ただ、電気自体にも「最も抵抗値が低い、流れやすい経路を流れたがる」という性質がある。この場合、極端に抵抗値が高いルフィの肉体よりも大気の方が流れやすかったために実質「電気の方がルフィの肉体を避けて流れた」と表現したほうが正しい(また、リンク先は最新話ネタバレになっているのでここでは詳しく記載しないが、遠い未来でゴムゴムの実にとんでもない秘密が発覚したので、絶縁破壊が起きずにルフィが無事だった理由もある意味納得がいく)。ルフィが被っている麦わら帽子も無事だったのもそのおかげかもしれない。
後にスピンオフのワンピースパーティーでルフィと再戦する際にエネル顔をするような心綱を乱さないように自身を成長したようだが、案の定披露する事になった。
作者の尾田栄一郎は後の田中真弓との対談で、「エネルの「完璧で冷静、かっこいい」(田中談)というここまでのキャラクターはこのシーンを描くためだけにずっと描いてきた」と回顧し、また「こんなの描いた週は反応が楽しみでしょうがない」と述べている。
数ヶ月かけた用意の上で持ってきた渾身の一コマは話題となり、本人も手応えがあったのか…
想像だにしなかった裏切りに ~ウォーターセブン編~
世界政府直属の諜報機関CP9に連れ去られたニコ・ロビンとフランキーの救出、そしてアイスバーグを襲った相手とケジメを取るべく、海列車「ロケットマン」に搭乗した麦わらの一味とガレーラカンパニーの船大工達とフランキー一家。
そこでガレーラの船大工、ピープリー・ルルとタイルストンがアイスバーグ襲撃の真犯人は誰かとパウリーに質問を投げかける。
そして真犯人はルッチ、カク、カリファ、ブルーノである事を伝えられ、それを神妙な面持ちで黙って聞いていた……
…が次の瞬間、今にも口から心臓が飛び出そうな勢いでエネル顔を炸裂させるルルとタイルストンの姿があった。
パウリー「想像だにしてなかったのか!!!」
ちなみに2人は襲撃の真犯人を裏町のマイケルとホイケルだと思い込んでいた様子。
さらにアニメではショックのあまり、真っ白に色が抜け落ちていた他、ルルが「し…しかし あいつらは里帰りしたって…!!」とパウリーのウソを露骨に信じきっていたと思わせるセリフが追加された。
パウリー「するか!!! この非常時に!!!」
二度あることは三度ある ~スリラーバーク編~
王下七武海の一角ゲッコー・モリアに「影」を奪われ弱体化した麦わらの一味は、影を取り戻すために、世界一巨大な海賊船「スリラーバーク」に乗り込む。
そこで一味を迎え撃つのが、モリアの部下であるペローナだった。
ホロホロの実を食した彼女は、相手を「ネガティブ」な思考にさせ、戦意を喪失させる能力の持ち主だった。ペローナは一瞬でゾロ、サンジ、ウソップ、フランキーの戦意を奪い、立ち上がれないほどの程のヘナチョコにしてしまう。
勝ち誇った笑みを浮かべるペローナだったが、なぜかウソップだけは立ち上がって戦闘を続ける。
どういうことだ、と驚きの色を隠せないペローナに対し、ウソップは高らかに叫ぶ。
「おれは元から!!!! ネガティブだァ!!!!!」
結果、エネルとほぼ同じ顔で目ん玉ひんむいて驚愕するペローナ。
ウソップは残った三人に「ここはおれに任せろ、でもゾンビはちゃんと倒してってね」と告げ、再びペローナに挑みかかるのだった。
真面目な人の顔芸こそ光るものがある ~魚人島編~
2年ぶりに再会した麦わらの一味はサウザンドサニー号に乗り込み、魚人島へと向かう。突入時にバラバラになってしまい、ルフィはひょんなことから魚人島の王女・しらほし姫と出会う。海賊バンダー・デッケン九世の求婚から身を隠すために幽閉され、母親の墓参りにも行けないことを知ったルフィは、しらほし姫をペットの大鮫のメガロの口の中に隠して外に連れ出す。
さて、デッケンを追い払って無事王妃の墓に着いたルフィは、旧知の魚人ジンベエに出会う。
そのジンベエがルフィとあいさつした後、何気なくしらほしにも声をかけた時にようやくその事態の重大さに気が付き、この顔になるのだった。
敵味方入り混じりの顔芸特盛スペシャル ~ドレスローザ編~
王下七武会の一角ドンキホーテ・ドフラミンゴの治める王国・ドレスローザにやってきた麦わらの一味は、班ごとに分かれて活動することとなる。
途中で亡き兄の形見であるメラメラの実がコロシアムの優勝賞品にされていることを知ったルフィは、変装してメラメラの実奪取のためにコロシアムに飛び入り参加する。
Cブロックで強敵たちを破り決勝戦にたどり着いたルフィは、Bブロックのベラミーとバルトロメオに出会い、コロシアムから外に出るための道を聞こうとする。
そこに突然謎の男が現れ、ルフィたちに話しかけようとする。
バルトロメオは「なんだお前、このお方を誰と心得る!? この方はポートガス・D・エースの弟で、将来の海賊王であらせられる…」と突っかかるが、男は「そんなことは昔から知っていたさ」と返す。
その顔を見たルフィは、1頁ぶち抜きでエネル顔を晒し、、その後も「生きているとは思わなかったんだ」と泣きじゃくる。
その男こそ生きていたもう一人の兄であった。
場面は変わって「オモチャの家」。ドンキホーテ海賊団の特別幹部・シュガーを気絶させれば、シュガーの悪魔の実の能力が解けて国中のオモチャが人間に戻ると知ったウソップ、ロビン、フランキーの三人は、怒りの雷兵、小人(トンタッタ)と共にシュガーを気絶させようと目論む。ウソップはシュガーに激辛のグレープを食わせ、暗殺…もとい気絶を狙うが、あえなく失敗して逆に捕えられてしまう。ロビンやトンタッタ達もおもちゃにトランスフォームされてしまう。
残ったウソランドことウソップを始末しようとしたシュガーはそれを「毒入り」と思い、激辛グレープを食わせる。しかし、あまりの辛さに目玉と舌が飛び出た、エネル顔に匹敵するものすごいリアクション顔をしたウソランドの顔にシュガーが予想外のエネル顔で驚き、気を失うことに。
「シュガーを気絶させてオモチャを人間に戻す」という目的は(形はどうあれ)これで果たされたのだった。
ちなみにこの回、「キュロスの過去」が掘り下げられた回なのだが、その最終見開き2ページでこの展開を持ってきたという点も評価される。
しばらくし、ドフラミンゴが「ドレスローザ中に映像でルフィ達の首を取ったものに賞金を献上する」というゲームを行う説明を行う場面があるのだが、そのラストの方に、前記のシュガーの気絶により計画を破壊したことで彼を最も怒らせたゴッドウソップの首を取ったものに5億ベリーを獲得できる旨、本人の顔を映し出された。
船長のルフィ達の懸賞金を軽く超えた5億の賞金とそれを目的に自分が狙われる事をウソップ(及びそばに居たトンタッタ達)は(完全に絶望している意味で)エネル顔になった。ルフィ達を紹介してからの間隔とそれを作ったドフラミンゴ、そしてアニメにおける演出と効果音で恐怖と怒りと絶望を通り越して吹いてしまう読者と視聴者が多かった。
その後に復活したシュガーはルフィとローの前に現れて玩具にトランスフォームさせようとするが、覇気に目覚めた(らしい)ウソップがカン十郎の作った作品を弾にして狙撃し、トラウマになったリアクション顔の人形を見てまた気絶した。
これまでの顔芸のように反応の表現に留まらず「シュガーを気絶させてオモチャ化した人々を解除する事に成功」「復活したシュガーを遠距離から戦闘を介さずに戦線離脱させる」といった形で麦わらの一味の勝利に大きく貢献した顔芸であり、二度目に至っては意図的に戦略として取り入れられている(前述の通り、ウソップはペローナ戦で精神的なダメージによる気絶を狙ってたりする)。
また、この戦いのエピローグで、先のゲームの件と今回の功績でウソップは2億ベリーの懸賞金をかけられることになった。
四皇の身内も考える事は同じ ~万国編~
ヴィンスモーク&ビッグ・マム海賊団の戦略結婚に巻き込まれたサンジ。婚約者であるシャーロット・プリンに夜食を届けようと庭へ出て窓から部屋の様子を見た際に、彼女が今まで見せてきた優しい人柄が全て演技だった事を知る。プリンはサンジの姉であるレイジュにヴィンスモーク家を皆殺しにする計画を教えながら、自分の手で拳銃を向けられた時のサンジのリアクションを「こんな顔するかしら」と予想し始めた。その表情の内の一つに、(ご丁寧に額の三つ目も一緒に)目玉と舌を盛大に飛び出させた見事なエネル顔があった。
あくまで予想でありプリンの本心からの反応ではなく、また特に大きなコマを使って強調されたシーンでもないが、「盛大に驚いた時のリアクションの分かりやすい一例」としてエネル顔が提示された珍しいシーン。
またアニメでは、カタクリの素顔を見たフランペが披露している。
鎖国という壁すら乗りこえる顔芸 ~ワノ国編~
という報告を聞いた時にエネル顔に。さらに逃走しているルフィを見て『追えよ』とツッコミをいれる。
その後、シャーロット・リンリンが現れた時、クイーンと部下達はルフィ共々エネル顔をした。
受け継がれるエネル顔
こうして劇中でキャラクターが驚愕する時の表情の定番パターンとして定着したエネル顔は、
レジェンドの意志並みに受け継がれていく・・・。
「受け継がれる意志」
「時代のうねり」
「人の夢」
「エネル顔」
それらは止めることが出来ないものだ!
人々が新たなリアクションを求める限り、それらは決してとどまる事はない!
番外編
そして顔芸は次なる後継者を選ぶ
こうしてONE-PIECE世界で脈々と受け継がれてきたエネル顔だが、2021年、ついに作品の垣根を越えて新たなる習得者が現れた。それは「僕のヒーローアカデミア」の劇場版ワールドヒーローズミッションのゲストキャラロディ・ソウル(と彼の相棒のピノ)。映画序盤、とある経緯で緑谷出久に追われることとなった彼は、地の利を最大限に生かして追跡を振り切りなんとか地下鉄に逃げ込む。しかし、地下鉄に逃げ込まれた程度でヒーローデクが追跡を諦める筈もなく、なんと走る地下鉄を自らも走って追跡し飛び付くという奇行をやってのける。そんな彼の存在(と張り付いたデクの変顔)を認識したロディとピノが見せたのが、叫び声と共に目が飛び出すという基本に忠実なエネル顔であった。
グッズ化、食玩
2014年12月下旬にバンダイから 「超びっくりスイング」が発売。
2019年1月21日にバンダイキャンディから 「ワンピース スパイシー・D・スナック」(クリップ付)が発売。
こうしてお菓子コーナーにエネル顔が並ぶことになった(エネルを初めとした上記の彼らを初め、謎か本編で披露していないキャラの書き下ろしのエネル顔を描かれている)。
いらすとやとのコラボ
漫画「ONE PIECE」連載1000話記念という名目でいらすとやはONE PIECEとコラボをさせてもらったという形でイラストを公開したが、エネルのイラストは明らかにエネル顔である。
ちなみにいらすとやの解説では「エネルが変な顔でびっくりして(驚いて)いるイラストです。(原文ママ)」との事。
アニメ版1000話までの道のり
YouTubeではアニメ「ONE PIECE」1000話到達記念PVとして投稿された【1000話/1000秒PV】ONE Second From 1000Episodes of ONE PIECEで1話/1秒、1000秒で1000話を振り返る内容だが、3:34辺りにやっぱりエネル顔が載ってあった。それだけ公式スタッフも印象深かったのだ。
余談
尾田栄一郎の師匠・徳弘正也も自身の作品で似たようなリアクション顔を使っている。
関連イラスト
案の定、この顔を他のキャラクターにやらせたパロディイラストが豊富に存在する。
関連項目
似ているもの
やろう、ぶっころしてやる(コマンドー版)