概要
マイアサウラ(学名:Maiasaura )は、約7670万年前(中生代白亜紀後期中葉後半にあたるカンパニアン)のララミディア大陸(現・北アメリカ大陸西部)に棲息していた鳥脚類の恐竜。植物食性。カモノハシ竜の一種。
Maiasaura peeblesorum (マイアサウラ・ペーブレソルム)の1種のみが知られている。
化石はツーメディスン累層およびオールドマン累層から出土している(米国モンタナ州およびカナダのアルバータ州から出土)。
- 分類学チャート
和名 | マイアサウラ |
---|---|
学名 | Maiasaura Horner et Makela, 1979 |
英語名 | Maiasaura |
中国語名 | 慈母龍(簡体字:慈母龙) |
分類 | 爬虫綱 - 双弓類亜綱 - 主竜形下綱 (cf.) - 恐竜上目 - 鳥脚亜目 - ハドロサウルス上科 (cf.) - ハドロサウルス形類 (cf.) - ハドロサウルス科 - サウロロフス亜科 (cf.) - ブラキロフォサウルス族 (cf.) - マイアサウラ属 |
名称
属名 Maiasaura は、生物学用トランスリンガル(新ラテン語)で[ maia(良母、良いお母さん)+ -saura(-saurusの女性形)]という語構成になっている。
ここに見える "maia" は、古代ギリシア語 "μαῖα(ラテン翻字:maîa、音写:マーイア)" をその一語義である「良母 (good mother)」をもって語源とし、子育てをしていたと思しき本種の学名に採用したものである。
"-saura(サウラ)" は、「爬虫類 (reptile)」全般に用いられる生物学用トランスリンガル "-saurus(サウルス)" の女性形。その語源は、やはりこれも古代ギリシア語の "σαύρα(ラテン翻字:saúrā、音写:サウラ)" で、「蜥蜴(とかげ)(lizard)」を意味する。
以上のようなことから、本種の属名は、"Good Mother Reptile" または "Good Mother Lizard" と英訳されており、「良母爬虫類」あるいは「良母とかげ / 良母トカゲ」と和訳することができる。
なお、中国語名「慈母龍」は、「慈母(慈しみ深い母親恐竜」の意。
特徴
全長は約9メートル。
ハドロサウルスの仲間(いわゆるカモノハシ竜)としては比較的原始的で、小さく細長い鼻孔、額の辺りの低く小さな鶏冠が特徴。
最初の化石は、のちに「エッグマウンテン」として知られる場所で、古生物学者ジャック・ホーナーによって発見された。
このとき見つかったのは、様々な成長段階にある多数のマイアサウラの化石と卵殻、そして巣の跡。また、エッグマウンテン直下の地層からも多数の巣の跡が発見された。つまりここはマイアサウラの集団営巣地であった。
このとき発見された幼体の化石(足首関節が完成しきっておらず、まだ歩けない)の歯には、すり減った跡が見られたことから、親がまだ歩けない子供に餌を与えていた、すなわち「子育てをしていた」と考えられた。
しかし、巣の中に卵殻が残っていたこと(鳥であれば、ヒナがケガをしないように親が取り除く)や、巣の中に腐肉食性の昆虫の化石もあったことなどから、単にこれらの幼体化石は孵化前の胚であったとする説もある(何らかの理由で卵が割れて胚が露出し、昆虫がやってきて死んだ胚を食べたものと考えられる)。というか孵化前でものを食べられるはずがない幼体の歯にも既にすり減った様子が見られるという大きな謎もある。
実際のところ、どのくらいの「子育て」をしたかはわからないが、マイアサウラの集団が定期的にエッグマウンテンを訪れ、集団で産卵したことは間違いないとされている。ちなみにマイアサウラは成長が早く、生後1年で3メートルにも達したという。
復元骨格は日本でも目にすることができる。「子育て恐竜」というキャッチもあり、(当時としては)命名からさほど間をおかずに日本でも有名になった。
同時期同地域の生物
同じ地層の同じ時期か非常に近しい時期から化石を産出している生物のうち、代表的なものは以下のとおり。
- 古い時代から同地域で栄えていて、マイアサウラの化石産出時期にも生きていた化石種。
グリポサウルス(ハドロサウルス科サウロロフス亜科〈cf.〉)
サウロルニトレステス(デイノニコサウルス類ドロマエオサウルス科サウロルニトレステス亜科)
- マイアサウラと同時期に同地域で共存していた化石種。
オロドロメウス(ヒプシロフォドン科)
バンビラプトル(デイノニコサウルス類ドロマエオサウルス科)
- 新しい時代に同地域で栄えるが、マイアサウラの化石産出時期には既に出現していた種。
ヒパクロサウルス(ハドロサウルス科ランベオサウルス亜科)
関連イラスト
左から順に解説する(以下同様)。
1. 生態復元想像図 (cf.tag,Wikipedia)。
2. ヒトとの大きさ比較。ヒト(成年男性)は燭台切光忠(『刀剣乱舞』の登場人物)。
3. 生態復元想像図。営巣の様子。
4. 同じく、集団営巣地(コロニー〈cf.Wikipedia:en:Colony (biology)〉)の様子。
5. 生態復元想像図。集団営巣地の様子。
6. 子育てするマイアサウラのイメージ。作者のキャプションによると、我が子が生まれた記念に「子育て恐竜」を描いたらしい。
7. 今まさに孵化している途中の子竜の主観視点。出迎えてくれてるのが母竜で良かったね♡ 出迎えがどこぞの卵泥棒なら最悪だった! あ、“卵泥棒”と言ってもオヴィラプトルのことではないよ(そもそも遙かなる海の向こうの北シナ地塊産〈モンゴル産〉だし)。あのネーミングは冤罪による汚名だから(笑)。ここで言ってるのは、卵を盗み食いする動物全般のことね。小型獣脚類とかヘビとか小型哺乳類(ネズミはまだいない)とか、そういうの。同じ約7670万年前の層から出土しているコエルロサウルス類(トロオドン、サウロルニトレステス、バンビラプトル)などは、卵や子竜にとって恐ろしい天敵だったに違いない。
8. おかあさん、いつもありがとう!! /母の日にちなんだ作品。頭なでなでされている女の子は香風智乃(『ご注文はうさぎですか?』の登場人物)。
古代王者恐竜キング
『古代王者恐竜キング』には、第3紀から登場している。
イグアノドンやコリトサウルスと同じ草属性の強さ1400に属し中堅どころでキレイにグーチョキパーが揃う。
バトルタイプは第6紀までとDS版はあいこタイプ、2007第3紀から2007第4紀+ではとつげきタイプ、激闘!ザンジャークではそっこうタイプ、目覚めよ!新たなる力!!ではあいこまもりタイプ。ショルダーネームは「母なる癒し」。
- トリプルスラッシュキャンペーン仕様カードはバトルタイプがピンチタイプになっており、唯一通常版とバーコードが異なる恐竜カードであったとともに、対象バージョンで唯一排出されない恐竜カードだった。
幼体と成体の両方が描かれているカードもあった。
テレビアニメでは第6話で登場。アルプスの草原にカードが落ちた事で現れた。
子供を探して暴れ出し、同じカプセルに入っていた「ダイビングプレス」のわざカードの力でわざを使っていたが、子供が無事見つかると大人しくなり、自分からカードに戻っていった。
第1期の最終話でも登場したものの、ブラックティラノサウルスにあっさり一蹴された。
第2期の第1話でも登場した。
※ダイビングプレス
グーの属性なし攻撃わざ。砂かけで怯ませた隙に飛びかかって首筋に噛みつき、そのまま地面に背中から叩きつける。AC版ではテクニック800の技なのでテクニック700の本種はテクニックが足りず威力を引き出せない。
- 強さ1200以下のオウラノサウルスやチンタオサウルスなら相性が◎になるため、十分に強化される。そもそもテレビアニメには強さ1200以下の恐竜がフクイサウルス、アケロウサウルス、レクソヴィサウルス、ゴジラサウルスしか出てこないが。