概要
物語は擬人化された自動車を中心とする乗り物たちの世界となっており、牛や虫などの動物も自動車の姿をしている。
メインとなる舞台はアメリカ西部で、一切人間のキャラクターが登場しない作品でもある。
主人公であるライトニング・マックィーンを除き、登場する自動車のキャラクターは全て実在する世界各国の有名車種をモデルにしており、日本車をモデルにしたキャラも登場する。
劇中に登場するレースはNASCAR(全米自動車競争協会)の競技を彷彿とさせるもので、英語版の吹き替えではミハエル・シューマッハなどのレーサーや元レーサーらが特別出演として参加している。英国版ではあのパワー厨も出演していたりする。
2006年7月に映画公開され、主題歌はシェリル・クロウの「REAL Gone」。
2011年7月に2作目の「カーズ2」が、2017年7月には3作目の「カーズ/クロスロード」が映画公開された。
ストーリー
彗星の如く現れた新人サーキットレーサーのライトニング・マックィーンは、生まれ持っての性能とセンスを生かして飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍していた。
しかしスーパー・ルーキーとして注目を浴びて有頂天で、我儘で整備士チームを何度も交代させるほどの問題児でもあり、お抱え運転手(トレーラー)であるマック以外に友人は一人もいなかった。
カリフォルニア州での「ピストン・カップ」のシーズン最終決戦が決まった際、大手石油会社のスポンサー獲得を狙っていたマックィーンはいち早く現地入りして好印象を持ってもらおうと、半ば強引にマックに夜通しで運転させていた。
するとマックの居眠り運転と途中で出くわした暴走族のイタズラが原因でマックィーンは迷子となり、人気のない砂漠のど真ん中にある「ラジエーター・スプリングス」という田舎町にたどり着く。
パニックを起こしたあげくメイン通りをめちゃくちゃにしたマックィーンは、地元の交通裁判所の決定でアスファルトの再舗装を命じられる。
自分をレーサーとして全く知らないのんきな住民たちに小馬鹿にされながらの舗装工事は早く進まず、レースまでの時間も刻々と過ぎていく。
何度も脱走を試みるなど半ば自暴自棄になっていたマックィーンだったが、次第に町のレッカー車であるメーターと弁護士兼ホテル経営のサリー・カレラとの交流が深まっていく。
メーターとは近隣の農場や荒野で童心に帰って遊ぶようになり、唯一の同年代であるサリーとは自然と懇ろな間柄となる。
サリーは都会でのエリート生活に疲れ果てていた慰安旅行中に偶然たどり着いたこの町の雄大な自然美と住民たちの温かさに惹かれて移住した事を明かし、またこの町がかつては「ルート66」(国道66号線)の中継地として大いに賑わっていた事をマックィーンに伝える。
また、マックィーンは自分に工事を命じたレーサー嫌いの老判事ドック・ハドソンが実は50年代を代表する伝説の名レーサーであったことに気づく。
まさかの大先輩に尊敬の眼差しを向けるマックィーンであったが、ドックは「最後のレースでの大怪我から復帰した際には新人や若手たちに出番を取られて居場所がなくなっており、実力は落ちていなかったのに出場機会さえ与えられなかった」と、もの悲しい引退劇を語る。
自分はそんな薄情な連中とは違うと食い下がるマックィーンであったが、「お前は自分ではなく誰かのために本気で何かをした事はあるのか?」と問いかけられるのであった。
高速道路の開通と国道の廃線の影響でゴーストタウンと化した町の復活を模索するサリーと半ば諦めている住民たちの姿に、マックィーンの心が大きく動き出す。
主なキャラクターと日本語版声優
主人公の新人レーサー。真っ赤なボディーとイナズマのステッカートレードマーク。ゼッケンは95番。口癖は「カチャウ!」。
当初は有頂天で自分勝手な性格だったが、ラジエーター・スプリングスの住人との交流を経て成長していく。
NASCARに出場するレーシングカーがモデルだが、明確なベース車は設定されていない。
陽気なロードサービスのレッカー車。全身錆だらけだが、とても活動的。バック走行では彼の右に出る者はいない。
マックィーンの友人として、彼の改心のきっかけとなる。
ベースはロケ地のルート66にいたインターナショナル・ハーベスターL-170。
本作のヒロイン。透き通るような水色のボディーが特徴。弁護士でモーテルも経営。
多忙な毎日の中で出会ったラジエーター・スプリングスとその住人に強く惹かれ、町おこしのために奮闘している。彼女とのあくせくしないゆったりとしたドライブが、マックィーンの改心のきっかけの一つとなった。
ベースはポルシェ911(996型)。
医者兼判事の老人で、ぶっきらぼうな性格。当初はマックィーンをよく思っておらず、事あるごとに嫌味を言う。
実はピストン・カップで3連覇した伝説のレーサーで、彼の複雑な半生はマックィーンに大きな影響を与えた。
ベースはファビュラス・ハドソン・ホーネット。
ラジエーター・スプリングスの住人。グイドと共にタイヤ店を営んでいる。イタリア出身で陽気な性格。
ベースはフィアット500。
- グイド:デニーロ・デ・ジローラモ(仏語版を流用)
ラジエーター・スプリングスの住人。ルイジと共にタイヤ店を営んでいる、小型のフォークリフト。タイヤ交換のスピードはプロ顔負けで、続編でもマックィーンのピットクルーとして活躍。
- サージ:麦人
ラジエーター・スプリングスの住人。払い下げ軍用品店を営む退役軍人。厳格な性格で、隣人とのフィルモアとは馬が合わないが、何だかんだ息はピッタリ。
ベースはウィリス・ジープ。
- フィルモア:八奈見乗児
ラジエーター・スプリングスの住人。手作りのバイオ燃料店を営んでいる。のんびりした性格で隣人のサージとは馬が合わないが、何だかんだ息はピッタリ。
ベースはヒッピースタイルのワーゲンバス。
- レッド:ルイス・ダニエル・ラミレス(仏語・西語版を流用)
ラジエーター・スプリングスの住人。無口で繊細な消防車。ポンプで花に水をやるのが日課。
- シェリフ:池田勝
ラジエーター・スプリングスの住人。保安官を務める中老のパトカー。街に迷い込んできたマックィーンの監視役。
ベースはマーキュリーの警察用車両。
- ラモーン:樋浦勉
ラジエーター・スプリングスの住人。ペイントショップを営んでいる。所謂ローライダー仕様であり、ハイドロとカスタムペイントがトレードマーク。
ベースは1959年式シボレー・インパラ。
- フロー:片岡富枝
ラジエーター・スプリングスの住人。ラモーンの妻で、ガソリンスタンド(喫茶店)のママであるショーカー。面倒見の良い性格。
- リジー:森ひろ子
ラジエーター・スプリングスの住人。今は亡き街の開拓者の妻。土産物店を営むお婆ちゃん。
ベースはT型フォード。
マックィーンが移動で使うトレーラーヘッド(専属運転手)。新人時代のマックィーンが唯一心を許している相手。
ムチャな行程でうっかり居眠りしてしまい、それがマックィーンがラジエーター・スプリングスに迷い込むきっかけとなる。
ピストン・カップでマックイーンと争うライバル。大手石油会社ダイナコをスポンサーとする大ベテラン。本名はストリップ・ウェザース。
ベースは1970年式プリマス・スーパーバードで、実在するレースカーがモデル(ドライバーはリチャード・ぺティ)。
ピストン・カップでマックイーンと争うライバルで、本作のディズニーヴィランズ。万年2位のベテラン。ダーティーで卑怯な手を平然と使う。
ベースは1986年式ビュイック・GNX。
余談/トリビア
●本作の監督を務めたジョン・ラセターは超がつくほどの車好き。そのため主要登場人物は実在するモデルで固めたほか、本国版では本職のレーサーが一部キャラの声を担当するマニアックぶりを発揮した。エンディングではあの伝説のレーサーもカメオ出演。更にはカリフォルニアならではの人らしき車も…
●ピクサーのお家芸「A113」は中盤に一瞬写る機関車の番号。更にピザプラネットトラックは終盤のカリフォルニアの決勝戦の観客として出演。他のキャラクターに準じて顔がついている。この他にも他のディズニー映画と同様、様々な作品のオマージュ・パロディーが盛り込まれているので探してみよう。
●楽屋ネタを披露したバグズ・ライフやトイ・ストーリー2と異なり、本作のエンディングは人気を取り戻したラジエーター・スプリングスと住人たちを活写。ちゃっかり中の人ネタが仕込まれている。
●中盤、マックにちょっかいをかける暴走族は一部でやたら人気がある。そのせいかスピンオフでこんな作品が作られたり、他の作品でもちょくちょくカメオ出演している。
●冒頭のレースで登場するレースカーはマックィーンも含めて43台。大半は数秒しか映らないモブキャラだが、1台1台に詳細なプロファイルがある。中には実在の会社をスポンサーとしている車両も。
●キングのスポンサーであるダイナコ石油は、トイ・ストーリー中盤でウッディとバズが喧嘩をしたガソリンスタンドとしても登場している。
●特典ディスクでは未公開シーンや初期の構想を絵コンテで見る事ができる。それによるとホラーど真ん中の森の中に迷い込む、マックィーンがロードローラーに変えられてしまう等、結構ショッキングな案が多い。なお当初マックィーンのゼッケンは57番だった。
ディズニーパーク
本作のヒットを受けて、2012年にカリフォルニア州アナハイムにあるディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー内にカーズランドがオープンした。
サーキットや横回転型のアトラクションが3つある他、登場する全住民の店と庁舎がレストランや売店として整備されるなど、ラジエーター・スプリングスの街並みと荒野の風景が忠実に再現されている。
外部リンク
関連イラスト
関連タグ
チョロQHG4:同作のディレクター小田桐太郎氏がインタビューで類似性を指摘しており、同作公式サイトでは「あの『Cars』の原点になった!」と宣伝していた。