概要
型式番号 | MFS-3 |
---|---|
身長 | 60m |
体重 | 重武装型:40000t、高機動型:36000t |
正式名称は「3式多目的戦闘システム」(Multi-purpose Fighting System-3)。
『ゴジラ×メカゴジラ』『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の所謂「機龍二部作」に登場する。
これまでのメカゴジラと違い、現生人類が自力で一から作り上げた兵器という設定であり、作中では自衛隊の命名方式に乗っ取り「3式機龍」と呼ばれる(準備稿では「03式」という表記であった)。
この3式という呼び名には「3種類目のメカゴジラ(初代と2代目は同種)」、「平成に入って3体目の対ゴジラ超兵器(1号機:スーパーメカゴジラ、2号機:MOGERA)」という意味も含まれているともとれる。
なお、メカゴジラという名称は劇中では湯原親子のみが使用しており、さらに湯原沙羅は正式名称判明とともに「機龍」と呼ぶようになっているため、メカゴジラという愛称を最後まで使ったのは湯原博士のみ。そして親子が登場しない『東京SOS』では終始機龍と呼ばれメカゴジラという呼称は出てこない。
専ら遠距離戦闘を主軸にし近距離では動きは鈍かったこれまでのメカゴジラに対して、こちらは動きも身軽で格闘戦もこなせてしまう。
これらの設定は現代のロボット工学技術の発展を反映したものである。
初代と2代目の中間の様な顔立ちをしているが、コンセプトデザインは歴代でもかなり右往左往したようであり、シーボーズ然としたものや重戦車のようなものまであった(参照)。
またプロデューサーによりバンダイ側の意見も聞きたいということで、西川氏によるデザインがほぼほぼ完成していたところで、野中剛氏が(ここまでデザインが完成していることから、玩具的ギミック等を提案すべきと考え)CGが発達してきたことからスーツではできない変形機構を盛り込んだアイデアスケッチを提出している(ただ初代ゴジラの骨を利用しているという最低限の設定しか知らず、しかもそれの詳細を理解していないままのアイデアだったため、現場には届いていたものの没になったとのこと)。
房総半島沖から発見されたオキシジェンデストロイヤーによって抹殺された初代ゴジラの骨を、サルベージした後機体のメインフレームおよびDNAコンピューターの基幹にするという形で製作された。これはゴジラのフォルムが極めて戦闘に適したものであるということが判明したからである。
一方で“死したものを冒涜している”という観点からインファント島の小美人からは「機龍は間違った存在である」として解体および使われているゴジラの骨を海に返すように求められており、同時にこの機龍自体がゴジラを呼び寄せている原因になっているとも指摘されていた。
五十嵐隼人総理もそのことを真摯に受け止めていたが、現状機龍以外にゴジラに対処する手段がないことと代わりに戦ってくれるモスラがかつて(事情があれど)東京を破壊してしまった前歴があることから放棄に関しては態度を保留していた。ただ実際には総理もゴジラを駆逐した後は機龍を即刻破棄するつもりだった。
スペック
「重武装型」はスーパーメカゴジラのガルーダのような多目的バックパックを装備しているが、その武器は主にミサイル兵器。
後述のアブソリュート・ゼロを除くと本体の武装は口腔内の二連小型メーサー砲のみ。両腕には着脱式の2連レールガンと高圧電流を流す近接武器メーサー・ブレードを組み合わせた複合兵装「0式レールガン」が取り付けられている。
組み込まれたDNAコンピュータの恩恵により素での運動能力に優れており、さらに接近戦時にはバックパックユニットを分離して純粋な格闘モードである「高機動型」へと移行する。
最大の武器は胸部に装備された「3式絶対零度砲(アブソリュート・ゼロ)」で、マイナス273.15℃の超低温光弾を発射することで対象を凍結し、分子レベルにまで破壊する超兵器である。ただし、エネルギーの大半を消費するため、外してしまうとエネルギー切れで一気に不利になる諸刃の剣である。
DNAコンピューターは通常のコンピューターよりも演算能力が高いとされ、動作指令の伝達において極めて高速の情報処理ができることから従来のロボット兵器とは違う至って生物的な素早い挙動が可能になっているのが最大の特徴。
そのため通常の人間では稼働の際にかかるGに耐えられないとして特殊戦闘機「AC-3しらさぎ」から遠隔操作によって制御する(一応内部からの直接操縦も可能だが、上記の問題から推奨されていない)という方式を取り、エネルギーとなる電力も基地からマイクロ波に変換したものをしらさぎを経由して背鰭に送られることで供給される。
だが、DNAコンピューターにゴジラの骨に残っていた細胞を使用していたため、初代ゴジラの性質が奥底に残ってしまっており、ゴジラとの初戦ではその咆哮を聞いて記憶を取り戻したかのように暴走するという事態を引き起こした(一時的に咆哮もゴジラと酷似した物になっている)。
これを受けてコンピューターに使われているDNAを修飾塩基(RNAの塩基)に置き換え、別物にするという処置が取られることとなった。
『×メカゴジラ』では品川でゴジラと死闘を繰り広げ、大きなダメージを受けつつも最終的に洋上でアブソリュート・ゼロを命中させた。とは言え、水中で放ったこととゴジラが熱線を同時に撃ったことで決定打には至らなかったものの、ゴジラに深手を負わせて退散させることには成功し、結果としては痛み分けに終わった。
3式機龍改
前回の決戦で損傷率37%ものダメージを負ったことを受けて大幅な改修が施された形態。
見た目はさほど変わっていないが全体の色合いが変化しており、何より損失した右腕部は可変式ドリルアーム「スパイラルクロウ」に換装されているのが特徴。
重装型の方も両腕の0式レールガンはブレードを廃した射撃兵装に絞り、そしてバックパックユニットは小型化および機能の拡張が成されるなど武装の全体的な見直しが図られている。
また前回の戦いで起き上がる隙を何度も狙われたことからか姿勢制御用ブースターの数が増設されている。
ただし、前回の戦いで大破したアブソリュート・ゼロは予算の都合上修理できなかったため本体にはその代替策として大口径3連装ハイパーメーサー砲を搭載することとなった。これにより最大火力こそ低下したが、結果として継戦能力は上がっている。
また、メーサーの共振現象(メーサー同士を近づけて発射すると威力が上がる)によりハイパーメーサー砲の威力もバカにならないレベルとなっており、劇中では口腔内の二連小型メーサー砲と合わせて五つ分のメーサーをスパイラルクロウで抉ったゴジラの傷口に浴びせることでゴジラをダウンさせた(以降、ゴジラはダウンしたまま起き上がれなかったため、後述のトラブルがなければ確実にゴジラを倒せていた)。
一方で内部システムの修復にはまだ時間がかかっており、再出撃の際には整備が未完の状態だったことから以前よりも動きが若干鈍くなっている。
劇中ではゴジラの熱線を頭部に受けたことで駆動システムに障害が発生し、整備士の中條義人が実際に現場に赴き整備隊に無線を繋ぎながら応急処置を行うという展開も見られた。
ゴジラ再出現に際して当初はまだ修理が完全でなかったこと、小美人に指摘された倫理的観点から出撃は渋られていたが、命を顧みずゴジラに挑むモスラ成虫を支援するため改めて出撃命令が下され、上記の問題を抱えつつも強化された武装によってゴジラ相手に善戦する。
モスラ幼虫の支援もあってゴジラの封じ込めに成功するが、止めを刺そうとしたところで再び初代の自我に目覚めると動きを封じられたゴジラを抱えて共に日本海溝へと身を投げ、そのまま両者ともに姿を消した。
なお、海に沈む直前に自身の整備担当者で、最後まで自身を修理・整備してくれた中條義人に対して「SAYONARA YOSHITO」という別れの言葉のようなメッセージを残している(義人は仲間の援護もあり脱出に成功している)。
格闘戦への傾倒、頭部の兵器は口にのみ装備、電撃を模したメーサー兵器の数々と可変式のアームドリルと冷凍兵器はまるで昭和メカゴジラとスーパーメカゴジラ&昭和メカゴジラの倒され方へのテーゼまたはアンチテーゼのようである。
オペレーター
- 家城茜(『×メカゴジラ』)
- 秋葉恭介(『東京SOS』)
他作品
巨影としてゲスト出演したゲーム『巨影都市』では、口からのメーサーが従来のような青色になっている。メタ的には機龍のメーサー砲の色はゴジラの熱線との差別化で黄色に設定され、劇中設定では出力向上によって色が黄色に変化しているため、本作の場合、原作より威力が低いと見ればそこまで逸脱した設定ではないと言える。
2016年夏の『シン・ゴジラ』公開を記念して開催されている『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボ企画。
同企画において三代目メカゴジラこと3式機龍とエヴァを組み合わせた商品がいくつか制作されているが、機龍は生体由来のフレームに機械の装甲を被せているというコンセプト、人の手を離れて暴走する、といった要素から公開当時はファンの間で度々「エヴァっぽい」と指摘されていた(その他にも元ネタ自体は別途であり関係はないとされているが『×メカゴジラ』の逆転の展開がヤシマ作戦っぽいという意見もあった)。
・メカゴジラ初号機VER
セブン・イレブン限定発売の前売り券特典としてエヴァ初号機のカラーを施した三式機龍のフィギュアである「ムービーモンスターシリーズ メカゴジラ初号機VER」が限定発売された。
・3式機龍(重武装型) エヴァ初号機イメージカラー
・3式機龍改(重武装型) エヴァ2号機イメージカラー
プレミアムバンダイより東宝30cmシリーズとしてエヴァ初号機カラーの2002年版機龍およびエヴァ2号機カラーの2003年版機龍のフィギュアが販売された。
アオシマからも、プラモデル「ACKS」シリーズの機龍に同様のカラーリングを施した「3式機龍 エヴァ初号機カラーVer.」「3式機龍〈改〉エヴァ2号機カラーVer.」が発売されている。
『スーパーロボット大戦X-Ω』にて機龍がスパロボシリーズに参戦した。
これまでにもメカゴジラのエッセンスを引き継ぐ機体としてギルギルガンやガルガウ等が登場していたが実際に本機が出るのは初の事である。
また上述のエヴァ初号機カラーの機龍も「3式機龍乙型」という名称で参戦。コラボ企画と少し設定が異なり、「0式レールガンのみを装備した変則型の高機動型」となっている。パイロットはもちろん碇シンジである。
メカゴジラの要素を持っている主な機体(X-Ω登場作品のみ)
・ニルヴァーシュ type the END(交響詩篇エウレカセブン)
「戦姫絶唱シンフォギア」のアプリゲーム。
これのコラボイベントクエスト第3弾「ゴジラVSシンフォギア」で登場。本ゲームはシンフォギアシリーズに登場したウェル博士が初代ゴジラの骨格細胞を元に開発して自ら運用するというぶっとんだ設定になっている。
意気揚々とゴジラに挑むが、僅差に敗れ更にキングギドラの乱入、同時3式機龍が暴走を起こして三つ巴の戦いと化す。
また、マリアがこの機龍を意識したギアを装備する。
国内外のサブカルチャーキャラを多数させている小説『ゲームウォーズ』にも登場。
小説では「レオパルドンの2倍」であると書かれていることから全高200mであるとされる。
実写映画版の『レディ・プレイヤー1』に登場したのはデザインが差し替えられており、名称もあくまで“メカゴジラ”でしかない。
ちなみに、このメカゴジラは『vsメカゴジラ』のポスター版のメカゴジラがデザインのベースで、そのデザインベースは機龍のデザイナーでもある西川伸司氏である。西川氏曰く「かなり距離のある関係」とのこと
エンディングでワンシーンのみ中破したジェットジャガー(映画版)と共に登場。
口の二連小型メーサー砲と腕部レールガンを同時発射しているが、その際メーサー砲は首を後ろに反転させて放っている。
小説版においてはミサキオクの地下にあったゴジラの骨はかつてオキシジェンデストロイヤーで倒されたものではないかと語り手によって推測されており、その後はロボゴジラへと改造されるという3式機龍と同じ流れとなっている。
余談
映画公開から20年余りたった令和現在でも関連商品が発売され、ゲーム作品でも機龍に声がかかることが多く、その人気は極めて高いことが窺える。
映画公開当初は、従来のメカゴジラのように火力でゴジラを圧倒するシーンがほぼなく、巨大怪獣映画には珍しい高速戦闘描写が斬新過ぎ、一部の古参ゴジラファンから厳しい批判を受けた機体でもあった。
従来のメカゴジラは「重火力と重装甲でゴジラを圧倒するスーパーメカ」の色合いが強く、一発熱線を受けてそれなりのダメージを受けるシーンもある機龍は脆弱に映ったという。
とはいえ、先代のメカゴジラはいずれも宇宙人や未来からの超技術を採用したいわばチートといえる手段で作り上げられた設定であり、機龍が日本独力でゼロから作り上げたことを考えれば、決して弱いというわけではない。
むしろ、熱線が数発被弾した位では戦闘続行しているタフネスを持ち、アブソリュート・ゼロを加味すれば瞬間火力はサイズに比して最強ともいえる。さらに格闘能力は歴代の日本版メカゴジラの中でも飛び抜けており、機龍改に至っては更にスパイラルクロウによる近接制圧力により傾倒した改良が行われている。
また、兵器としてみても、武装ユニットの換装で比較的容易に強化でき、高速戦闘も柔軟に対応可能で、防衛予算さえあれば二機目も量産できることが映画ラストで仄めかされている。
精悍で秀逸なデザインと自衛隊の防衛装備品由来のリアリティのある設定、ゴジラの亡骸から作られたという悲劇的な背景などが相まって令和現在は旧来のゴジラファンからの再評価も進んでいる。
コンセプトデザイン段階では銀と紫を基調とした、肉体が残っているかのような姿のどっかで見たことのあるデザインのものもあり、「ゴジラの死体を利用した兵器」「親子対決(釈ゴジは初代ゴジラの子であるという裏設定がある)」などの展開も、そっくりさんの登場作品を意識したものであるかもしれない。
また、機龍と戦ったゴジラは戦闘中微動だにしないシーンも多く、あまり戦闘に積極的に見えないのは、親ゴジラの面影を機龍に見て戸惑っているのかもしれない。
関連タグ
サイバーゴジラ:(ゴジラの死骸とエイリアンの技術を使ったサイボーグである)