概要
仏教では、三世のうちの過去世に当たる。インドでは、ヒンドゥー教でも前世が認められている。
アブラハムの宗教では基本的に無い概念。ただし死後の来世はあるので、天国あるいは地獄の人にとってはこの地球での生が前世になる。
仏教における転生には「業（カルマ）」という概念が存在し、現世での在り方は前世でどのように生きたかによって決まり、同様に現世での生き方で来世の在り方が決まるとされる。
この世界観は現世で才能や幸福を授かった有名人に対し「前世において何かしらの形で活躍したのだろう」と捉えたり、ハンセン病等の感染症を「前世で悪事を働いた罰」と無根拠に考え患者を差別する等、社会に強く影響をもたらしてきた。
現代になると、仏教色がやや薄れカジュアルかつミステリアスな前世観が広まってくる。「かつて自分は今とは違う何者かとして生きていた」という想像はロマンを求める人の心をくすぐり、1980年代から1990年代のオカルトブーム期には芸能人や芸人ひな壇によるバラエティ番組のスピリチュアル特集で「貴方の前世は」を取り上げるケースは少なくなかった。
また、「現世で特別な存在になりたいが今の自分の素質や環境では望み薄」という無力感や閉塞感に対し「前世の自分は特別な存在だったから現世の自分も特別になれる」という考え方は人生の希望となり、中二病や電波系の妄想ネタとしても鉄板だった。
逆に、「周囲が自分より劣って見える＝自分が優秀で特別＝自分は特別な存在の生まれ変わり」という自己肯定の飛躍パターンもあり得る。こうした「特別な前世」願望が英雄願望や選民思想と結び付いて暴走してしまう場合もある。具体例としてはオウム真理教がこれにあたる。
前述のようなバラエティ番組も地下鉄サリン事件事件以降下火傾向になったが、2000年代に一時期スピリチュアルブームで復活していたほか、怪しいサイトなどでは今も前世ネタや「前世の存在が科学で証明」「自分の前世を語る子供」的なネタが続いている。
転用
- バーチャルYouTuberの中の人
- ネットで以前名乗っていたアカウント
- トランスジェンダー(mtf・ftm)の性転換前
- 前の芸名
などを指す意味合いで使用される事がある。
声優繋がりとしての前世
声優が演じているキャラクターが登場する作品シリーズ内の別キャラクターを同じ声優が過去に演じている場合、前世という呼び方がされることもある。
一例
| 声優 | キャラクター | 作品シリーズ | 前世に当たるキャラクター |
|---|---|---|---|
| 大川透 | ナレーション(TVアニメ) / ウェザー・リポート(ASB) | ジョジョの奇妙な冒険 | ジョセフ・ジョースター(格闘ゲーム) |
| 大塚明夫 | ワムウ(TVアニメ) | 〃 | モハメド・アヴドゥル(ドラマCD) |
| 小野坂昌也 | アレッシー(TVアニメ) | 〃 | ロバート・E・O・スピードワゴン(PS2) |
| 梶裕貴 | ジョニィ・ジョースター(ASBR) | 〃 | 広瀬康一(LS、ASBR、TVアニメ) |
| 小西克幸 | ディアボロ(TVアニメ) | 〃 | ジョナサン・ジョースター(映画) |
| 櫻井孝宏 | 岸辺露伴(TVアニメ、OVA) | 〃 | ブローノ・ブチャラティ(黄金の旋風) |
| 下野紘 | グッチョ(TVアニメ) | 〃 | セッコ(ASB) |
| 諏訪部順一 | レオーネ・アバッキオ(TVアニメ) | 〃 | テレンス・T・ダービー(ASB、TVアニメ) |
| 浪川大輔 | ナルシソ・アナスイ(TVアニメ) | 〃 | ジョルノ・ジョバァーナ(ASB) |
| 朴璐美 | 広瀬康一(ASB) | 〃 | ジョルノ・ジョバァーナ(黄金の旋風) |
| 速水奨 | 花京院典明(ドラマCD) / エンリコ・プッチ(ASB) | 〃 | ヴァニラ・アイス(格闘ゲーム、EoH、TVアニメ) |
| 真殿光昭 | 東方仗助(ASB、EoH) | 〃 | 花京院典明(未来への遺産) |
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