概要
人為的に神秘・奇跡を再現する行為の総称。
儀式に基づいた空間干渉・活用法とも。
門派ごとに違いはあるものの、基本的には術者の体内、もしくは外界に満ちた魔力を用い、定められた現象を再現する機構。
各門派が取り仕切る基盤(システム)に従って術者が命令(コマンド)を送り、あらかじめ作られていた機能(プログラム)が実行される、というもの。
その命令を送り、機能を実行させる為に必要な電力(エネルギー)が魔力である。
魔術には万能のイメージがあるが、基本的には等価交換で神秘を起こす。万能ではあるが不可能を可能にはできない。魔術とはあくまで「過程」を短縮し、「手段」を個人だけで可能とする技法とされる。
大自然に干渉するほどの魔術は、やはり大自然に満ちる程の魔力(マナ)でなければ発動できない。個人の魔力(オド)だけでは発動できる魔術に限界がある。
修練すれば誰でも扱えるものだが、効力は個人の資質(魔術回路の質、数)に左右される。
ソロモンのスキル「啓示:B」によると、ソロモンは生前ただ一度の啓示を元に、只人の手でも行える現象操作術───即ち、魔術を確立したとされ、それまで魔術は神に連なる者のみの業だったという。
魔法との違いについてはそちらの記事を参照。
用語
魔力
魔術を発動させる為の要素。原初の生命力とも、命そのものとも言われる。
エーテルとは、魔術協会において「第五架空要素」と呼ばれるもの。四大の要素に溶け合い、形を成す為に必要な媒介とされる。
それ単体ではカタチはなく、しかし、それがなくては魔術は成立しない要素。
第五架空要素は西暦以後の大気に満ちる人工的な魔力であり、西暦以前の魔力は「真エーテル」、「第五真説要素」と呼ばれるものだった。
詳細はこちらを参照。
『Fate/hollow ataraxia』によると、本来魔術を起動させるための燃料に過ぎず、それ単体で効果を発揮することはない魔力自体が後述する魔術特性を持つ場合もあるという。
アインツベルンによって人格の与えられた聖杯や、聖堂教会が語る『受肉した魔』である『真性悪魔』等がこれに該当する。
魔術回路
魔術師が体内に持つ擬似神経。
生命力を魔力に変換する為の路であり、基盤となる大魔術式に繋がる路でもある。
生まれながらに持ち得る数が決まっており、魔術師の家系は自分たちに手を加えて、魔術回路が一本でも 多い後継ぎを誕生させようとする。
一度開いてしまえば、あとは術者の意思でオンオフができる。
スイッチの仕方は術者のイメージそれぞれで、士郎は銃の撃鉄のイメージ、凛は心臓をナイフで刺すイメージだとか。
これは一番初めの“開き”に関係しており、中には性的興奮で聞くもの、自傷行為によってしか開かないもの、と様々。
妖精は「神代紋様」または「妖精紋様」と呼ばれる人間でいう魔術回路に相当するモノを持つ。
真性悪魔はその生体機能全てが『魔』を呼び込む為の機能であるため、人間としての神経の裏に作り上げた、後付けの能力である魔術回路を持たない。
マテリアル等で魔術師・魔術使いのキャラクターのプロフィールには「魔術回路/質」・「魔術回路/量」・「魔術回路/編成」の3項目が記載されている。
アルクェイドやベオには、彼らが魔法以前の地球にあった神秘をどれだけ再現出来るか、といった基準である「神代回帰」が設定されている。いわば彼ら風の魔術回路であり、こちらも「神代回帰/質」・「神代回帰/量」・「神代回帰/編成」の3項目で評価される。
魔術刻印
魔術師の家系が歴史とともに伝えてきた、最大の家宝というべき品。
生涯を以って鍛え上げ、固定化(安定化)した神秘を刻印にし、子孫に遺したもの。
その血統の歴史全てが刻まれているといっても過言ではなく、魔術刻印を継承した魔術師は一族の無念を背負って、次の後継者に刻印を譲り渡さねばならない。
ある意味、代を重ねて重みを増していく呪いと言える。
もうひとつの臓器のようなもので、家系以外の人間には適合しない。魔術世界において、古い家が圧倒的に幅をきかせているのは、魔術回路の数と、この魔術刻印のふたつによるところが大きい。この刻印に刻まれてきた魔術こそは、魔術師にとって最大の力であり、子孫に至るまでの生涯を縛り付ける呪いである。
魔術刻印を複製することは不可能であるが、魔術刻印の一部を他者に移植する「株分け」と呼ばれる方法があり、規模の大きい魔術師の家系は株分けで魔術刻印を増やし、分家を作る。分家が持つ株分けした魔術刻印に対し、本家が持つ大本の魔術刻印を「源流刻印」と呼ぶ。
また、『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』で登場した、極めて年月の浅い、書き込みの少ない魔術刻印に限り二つに分割することができる「あいはぎ」(現実においても芸術で真作を二つに分けたり、修復するために使われる手法)という方法もある。
ただし、普通は株分けした方がマシで、年月の浅い魔術刻印を複製する意味は皆無であるため、ほとんど使われることのない手法である。
魔術基盤
世界に刻みつけられた魔術理論。人々の信仰や無意識によって、この効果は大きく強化される。
神秘は広まれば広まるほど力を失う。しかし、知名度が高いほど安定するという、一見矛盾した事柄が成立するのは、この魔術基盤というシステムのため。現行世界において最も広大かつ強大な魔術基盤は、聖堂教会による『神の教え』そのものである。
もっとも、家伝の魔術はこうした魔術基盤を利用せず、個人の魔術式だけで成立するし、フラットのように「毎回魔術式を新しく構築する」などという変態も存在する。
各魔術流派は、それぞれの魔術理論の基盤を世界に刻みつけ、そのルールとシステムに乗っ取って魔術を起動させる。
信仰・基盤の小さな一派の魔術は弱く、他国においてまっとうに機能しないのはザラ。
ちなみに、中東圏の魔術基盤は時計塔とは相容れず、互いに不可侵を装っている。
『TYPE-MOON FES. 一問一答』や『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』によると、箒で空を飛ぶ魔女のおとぎ話は古くから人類が信じてきた「魔術基盤:黒魔術」の一種であり、全世界に神秘設定がされているという。
主な魔術理論は、「魔術理論・世界卵」、「魔術理論・疑似霊子」等がある。
魔術式
単に「術式」とも呼ばれる。
魔術基盤に含まれる、魔術の機能を記したもの。
魔術式に命令を送り、魔力を注ぐことであらかじめ組み込まれていた魔術の機能が発動する。
詠唱
魔術を起動させる為の動作。
魔力を通すだけで魔術を起動させる一工程(シングルアクション)から、一つの事柄を自身の中で固定化する一小節、十以上の小節を以って簡易的な儀式と成す瞬間契約(テンカウント)等が確認されている。
一流派として安定した魔術を使用する際は、定められた形式通りに手順を踏まねばならず、その一端が呪文である。
手続きで言うのなら、申請、受理、審査、発行のうち、最初の申請である。
大きな基盤を持つ魔術行使に関しては約束事でしかないが、自己流の魔術行使の場合は自己暗示として効力の方が大きい。
魔術師の体には、魔術を成す為の魔術回路が作られている。
この魔術回路を効率よく起動・作動させる方法の一つとして、自らを作り変える『決り文句』である呪文が作られた。
呪文は世界に訴えるものではなく自身に訴えるもの。同じ魔術であれ、魔術師ごとに呪文詠唱が異なるのは術者の人間性の違いという事。
属性
魔術師が得意とする魔術の方向性を決定する要素。
魔術師個人が持つ、どのような特性を持ちやすいか、その魔術師がどのような特性の魔術と相性が良いかを決定する。
通常は地・水・火・風・空の「五大元素」に、虚・無の「架空元素」の計7種がある。
「風」はノウブル、「火」はノーマルと呼ばれる。
「虚」は「虚数」とも呼ばれる。魔術において「ありえるが、物質界にないもの」。
「無」は物理学や数学で用いられる「無」とは意味が異なる。魔術において、「ありえないが、物質化するもの」。
中には複数の属性を得意とする「二重属性」や「三重属性」の者もおり、五大元素全てを得意とする者を「五大元素使い(アベレージ・ワン)」という。
起源が強く出た者は起源そのものが魔術属性になる。その場合は通常の属性の魔術とは相性が悪く、汎用性がないが、一芸特化の専門家になりやすい。
特性
魔術の効果を決定する要素の一つ。
魔術は基本として五大元素を操る「五大元素魔術」があり、特性はこの五大元素魔術に意味合いを付与し、汎用性を広げるもの。
例としては「強化」、「投影」、「転換」等がある。
魔術礼装
ミスティックコード。
魔術によって作成された、または魔術を使うための道具。
詳細は該当記事を参照。
魔眼
おもに魔術師が持つ、一工程の魔術行使。
本来、外界からの情報を得る受動機能である眼球を、自身から外界に働きかける能動機能に変えたもの。
詳細は該当記事を参照。
魔術系統
世界各地に流布している魔術の種類。
『空の境界』の蒼崎橙子によると、世界に流布しているあらゆる魔術系統は、根源の渦から流れている細い川の一つにすぎず、もとの原因は同じもので、細部を脚色するのは"川"を読み取った者の民族性であり、各国に類似した伝承や神話があるのはそのためであるという。
例に挙げるならアストロロジー、アルケミー、カバラ、神仙道、ルーン等があり、それこそ数えきれない程にあるとされる。
『Fate/stay night』の衛宮切嗣によると、どんな人間も起源に従って魔力を引き出すことができ、一つは適した魔術系統があるとのこと。
『歌月十夜』では「法術系統」、『Fate/Apocrypha material』では「呪術系統」という言葉が登場したが、「魔術系統」と同一のものであるかは不明。
魔術体系
複数の魔術にまたがった魔術の種類。
代表的なものに「宝石魔術」がある。
『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』によれば、宝石魔術という『体系』そのものを改革するような行為は、総合的な宝石魔術の知見が必要になるとのこと。
また、思想魔術の製作者たちはより洗練された魔術体系を作るために思想盤を作り、これをもって、彼らは大陸の魔術体系の法を敷いたという。
『2015年の時計塔』によると、魔術師にとって過去の魔術書の解読とは、その年代にのみ成立した神秘がこの時代でも再現できるように意味を再定義する事である。
過去にのみ成立した流行を現代にも通用する流行にリライトするようなものであり、これが"ある魔術書の解読"ではなく"ある体系の解読"である場合、事はすべて連続し、有機的につながった現象として捉えなければならなくなる。
魔術書Aと魔術書Bの中で、ある事柄において異なる見解が見られたのなら再びAの内容を検討しなくてはならない。解読する本が多くなればなるほど再定義にかかる時間は、それこそ天文学的数字に増していく。
魔術形式
魔術を行使する形式の種類。
『Fate/stay night』では、自身の力だけでは足りないから、代価を用意して取引するという魔術形式にフォーマルクラフトとルビが振られていた。
地域や時代による魔術の種類
TYPE-MOONの世界観に登場する魔術の多くは、時計塔において主流とされる「西洋魔術」であるが、時代や地域によっては西洋魔術とは別の魔術形式による魔術が存在する。
西洋魔術
主に時計塔において主流とされる魔術。
魔術基盤に指令を送り魔術式を起動させる、つかのま世界を騙すモノ。
神代魔術
神々の時代である神代の魔術。
契約した神(神霊)を通じて根源と接続する、当然の権利によって世界を書き換えるモノ。
詳細はこちらを参照。
日本の魔術
神の欠片である「神體」に接続し、行使する魔術。
規模こそ減衰しているが、「神代魔術」と同一の次元とされる。
詳細はこちらを参照。
思想魔術
主にアジアから中東にかけて広がった魔術。
時計塔の西洋魔術と異なり、魔術基盤ではなく、ある種の人工根源である地球と融合した超巨大礼装・思想盤と魔術式によって行使される、世界を一時的に改竄するモノ。
詳細は該当記事を参照。
理想魔術
神代よりもっと古い、惑星と天空、宇宙に魔力が満ちていた頃の魔術。
占星術の元になった、惑星と天空、宇宙の運営を借り受ける天体魔術の原始の姿。
人為的に惑星を直列させ、巨大な魔術回路として使用する。
呪術
肉体を作り替えることをメインとする魔術。
自身の肉体を使って行われる物理現象。
通常の魔術は“そこにあるものを組み替える”プログラムだが、呪術は“自身の肉体を素材にして組み替える”プログラム。
呪術は西洋の魔術協会では学問ではないと蔑視されており、中東圈に大きく後れをとっている。
玉藻の前の「ダキニ天法」やメフィストフェレスの「古典的西洋呪術」等、本拠である中東圏以外でも呪術は使われている。
妄想心音、解体聖母、微睡む爆弾等の解説によると、呪術・呪いは"魔力の高さ"や"呪いへの耐性"でのみ防ぐことのできるものであり、物理的な防御は無論、スキル『対魔力』も呪術への耐性が含まれる場合や呪術を斬れる者を除いて防ぐことはできない。
『Fate/strange Fake』では、バズディロット・コーデリオンが真アーチャーに令呪を使用した際、対魔力の壁に東洋の呪術で切り込み、聖杯の泥をねじ込んでいた。
コードキャスト
電脳空間で使用される簡易術式(プログラム)。
ウィザードはあらかじめコードを設計・製造しておき、これに魔力を通して起動させる。
詳細は該当記事を参照。
魔術一覧
- 投影魔術
- 置換魔術
- 宝石魔術
- 虚数魔術
- 黒魔術(ウィッチクラフト)
- 白魔術
- 死霊魔術(ネクロマンシー)
- 混沌魔術(ケイオスマジック)
- 蝶魔術(パピリオ・マギア)
- 獣性魔術
- 対獣魔術
- 天体魔術
- 治癒魔術
- 建築魔術
- 音楽魔術
- 風水魔術
- 干渉魔術
- ルーン魔術
- 降霊術(降霊魔術、召喚術※)
- 錬金術
- 元素変換(フォーマルクラフト)
- 強化魔術
- 結界魔術
- 飛行魔術
- 変化
- 転換
- 支配
- 魅了
- 時間操作
- カバラ
- 修験道
- 陰陽道
- 鬼道
etc.
※召喚術は降霊術の一種。
関連タグ
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 ロード・エルメロイⅡ世の冒険