はじめに
ポケモンには「三値」というものがあり、その中の一つである「個体値」は生まれた時あるいは捕まえた時に既に決まっている生まれつきの数値である。
その個体値が高いポケモンを手に入れるために廃人達はこれまで孵化と厳選を繰り返していた。
しかし、対戦用の個体を育てるとなると廃人達がこの厳選にあたって大きな壁があるという……
それこそが「めざめるパワー」の存在であった。
特定のタイプを出したいがために厳選していた時、一部のタイプは「素早さの個体値を最高(31)に出来ない」など、多くの点で妥協せざるを得なかったのである。
また、ライトプレイヤーやそこまでバトルに力を入れていないトレーナーの場合、バトル参入のハードルは物凄く高い状態が続いていた。
努力値(基礎ポイント)は後から修正が利くが、個体値はどうしようもなく、かといって孵化厳選する環境にも乏しいので、攻略を諦めざるを得ない状況が続いていた。
第6世代までは。
概要
すごいとっくんとは、殿堂入り後に特定の施設にいる人物(作品によって常駐している施設や人物名は異なる)に「ぎんのおうかん」または「きんのおうかん」を渡すことにより「Lv100のポケモンを鍛えて、能力の個体値を最高(「31」、所謂「V」)の状態にする」というもの。
初出は『ポケットモンスター サン・ムーン』。以降の作品にも引き続き登場している。
「ぎんのおうかん」は1つの能力を、「きんのおうかん」は6か所全ての能力を対象とする。「ぎんのおうかん」の場合1匹の複数の能力をまとめて指定することもできる。
「Lv100まで上げる」のは大変だが、『USUM』や『剣盾』はレベルを上げやすくなっているので頑張ってみよう。
すごいとっくんで鍛えた箇所はジャッジ機能を使った際に「きたえた!」と表記され、数値も個体値31のときと全く同等ものになる。
ただし、あくまで個体値を擬似的に「最高の状態にする」だけであり、本当に個体値が最高に書き換えられる訳ではない。
故に、預かり屋にポケモンを預けても遺伝されるのは鍛える前の「元の個体値」であり、すごいとっくんで「きたえた!」状態になった能力は遺伝されないので注意。当然、低個体値のメタモンに「きんのおうかん」とか使っても遺伝することはできない。
同様に「めざめるパワー」も「元の個体値を参照してタイプが決定される」ことになる。そのため、たとえすごいとっくんを行ってもタイプは変化しない。
なお、一度鍛えた能力は元に戻せない。別段注意する必要がないと思いきや、これが一部ケースの結構な落とし穴だったりする(後述)。
これにより、ほのお・かくとう等これまで最速を諦めなければいけなかった「めざめるパワー」のタイプであっても最速で放てるようになった。今まで諦めていた最速との両立が叶い、大きく強化されるようになった。
また、所謂「旅パ」のポケモンであっても個体値最大の状態で戦えるので、「旅パと対戦用のパーティは別」「旅パではバトルを極めるられない」という常識が覆り始めることになった。
また、孵化厳選が不可能な伝説のポケモンや幻のポケモンも個体値最大の状態で戦わせることができるようになった。
伝説・幻組のほとんどが属する「タマゴ未発見グループ」は第6世代以降で入手する際に3V以上確定となるため、それ以前に比べれば格段に厳選しやすくなっているが、「すごいとっくん」の登場で遂に性格だけ粘ればよくなった。
ちなみに3V最低保証の関係上、第6世代以降で入手したこれらのポケモンの「めざめるパワー」かくとうが存在し得なくなっていることには注意(孵化できるフィオネのみ例外)。どうしても欲しければ第5世代以前で厳選する必要がある。
……が、実のところこの「すごいとっくん」は闇雲に使っていいものではないと言われている。
理由は簡単。個体値が低い場合が最良とされるケースが結構あるため。
- 特殊技しか使わないポケモンの場合、「こうげき」の個体値が高いと「イカサマ」や「こんらん」の自傷で受けるダメージが増えてしまうため、「こうげき」の個体値は低い方がよい。
- 自分または味方が「トリックルーム」を使う場合、「すばやさ」の個体値が高いと先手を取れなくなる可能性が出るため、「すばやさ」の個体値は低い方がよい。
残念ながら個体値を最低にするアイテムは現在見つかっていないため、この部分は厳選が必要で、しかもうっかり「すごいとっくん」など使ってしまったら取り返しがつかなくなる。
真のポケモン廃人にとって「最高個体値は最良個体値とは限らない」のである。
そしてこういった事情から、引き上げる個体値を選べる「ぎんのおうかん」の方が需要が高い。
『剣盾』では「めざめるパワー」が廃止されているため、いよいよもって性格による補正だけ厳選すればよくなった……どころかその補正すら後天的に変更できてしまう上に隠れ特性に変えることもできるため、(アイテムの入手自体はかなり困難とはいえ)最早該当する種の個体だけいればよくなった。
なお、一時期ポケモンホームにおいて「すごいとっくん」できたえた箇所がリセットされる不具合が発生していたが、現在はアップデートで無事に修正された(ここからも「一時的に引き上げているだけの状態」であることが分かる)。
『SV』ではなんとすごいとっくんが可能な最低レベルが50まで引き下げられたため、ストーリー攻略中から恩恵にあずかれるようになった。
しかもぎんのおうかんは20000円で購入できる店売りアイテムに入手条件が緩和。
このことから、金策さえすれば適当な孵化余りを約20分で理想個体に作り変えられるようになった。無論わざマシンの調達や努力値振りを考えると+αの時間はかかるが、テラレイドバトルや野生で調達できない御三家を除けば、A0やS0を粘る場合でもない限り厳選する意味がほぼなくなった。特にストーリー終盤以降入手できるようになるパラドックスポケモンは、全種がタマゴ未発見グループに分類されている上、特別なイベントを除けばテラレイドバトルにも登場していないため、実戦で使えるようにするには、このすごいとっくんが必須となっている(これは、個体値がすべて「かなりいい」固定である準伝説枠のウガツホムラ・タケルライコ・テツノイワオ・テツノカシラも同様である)。
また、『藍の円盤』のストーリークリア後に遭遇できるようになる伝説ポケモンも、本作ではV保証がないため、実戦で使えるようにするにはとっくんが不可欠となっている(もっとも、裏を返せば、A0やS0を狙いやすくなったということでもあるため、プレイヤーからはこの仕様について特に大きな批判はされていない)。