概要
てんとう虫コミックス31巻及び、藤子・F・不二雄大全集13巻に収録「海坊主がつれた!」に登場。
この針に魚がかかると、指定した大きさに魚が膨らんで大きくなる。ちなみに生物のみならず、ドラえもんのようなロボットでも釣り針にかかれば膨れ上がる。
ストーリー
電話で46cmの大物のイシダイを釣ったから魚拓を見せに来ると自慢の電話を聞かされたパパ。これに対しイライラするパパを見て、自分がスネ夫に自慢された時と同じで分かると、同情したのび太はドラえもんに相談する。
するとドラえもんは46cm以上の大物を釣ればいいというが、のび太曰くパパはそんなものを釣ったことがないという。そこでドラえもんはみせかけつり針を取り出し、試しに水槽の金魚をこれで巨大化させてみせ、のび太と共に魚拓を作った。
そしてのび太は居間にいたママに魚を借りに行くが、借りられたのは、メザシ4尾と切り身一切れだけだった。だがその時、電話で話していた男性がやってきたため、ドラえもんとのび太は急いでスネ夫の元にいき、そこの池で泳いでいた鯉で魚拓を作り、男性から自慢話を聞かされるパパのもとに持ってきた。
男性はこの魚拓を見て驚き、こんなのいるわけないとたじろぐが、のび太がこの魚拓が証拠と言い出す。これに便乗したパパは自慢げに見栄を張るが、男性から今度の日曜日に、どっちが大物を釣り上げるかの血糖を申し込まれてしまう。
そして日曜日になり、男性は鯵やスズキを次々に釣り上げるが、パパは一匹も釣れず、男性にからかわれてしまう。海中で待機していたドラえもん達はこれに見かね、釣り針をみせかけつり針に取り換え、イシダイもくっつけてパパに3メートル以上の大物を釣り上げさせる。
だが、パパの証言を男性は全く信用しなかったので、のび太は海上に出てパパにネタ晴らしをし、ドラえもんに再びみせかけつり針を付けるよう促す。しかしドラえもんはダイヤルが滑ってなかなかうまくいかず、誤って自分の頭に付けてしまい、パパは巨大化したドラえもんを釣り上げてしまい、「海坊主!!」と仰天するのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版が1983年10月28日に、水田版が2010年7月9日及び、2022年7月9日にそれぞれ放送している。
1983年版
- サブタイトルが「みせかけつり針」に変更。
- 今回、パパは浴衣を着ており、電話を終えてからタバコを吸っている。
- のび太がスネ夫の話をした際には、イメージ映像が追加された。
- ドラえもん達がみせかけつり針で大きくした金魚は珍魚鉢に入っていた。そしてのび太は、この金魚の魚拓をパパが釣ったことにしようとしたが、ドラえもんから「金魚の魚拓ってのは...」と言われたので、ママに魚をねだった。ちなみにこの時、ママは台所にいた。
- 野比家にやってきた来客の男性は、持ってきた魚拓を机の上に置いてパパに自慢しており、タバコは吸っていなかった。そしてパパに決闘を申し込んだ際には、パパも負けじと反論したため、口論になり、ドラえもん達が持ってきた魚拓をぶちまけて、自分がもってきたものも野比家に忘れて帰っていった。
- そして日曜日の対決になり、パパに「数より大きさの勝負だろ」と言われると、「一匹も釣れなきゃ話にならんからな」と憎まれ口をたたいている。また、ドラえもんとのび太はえらチューブと深海クリームを使用してから海に潜っている。ちなみにパパの釣り針にくっ付けた、みせかけつり針の倍率は1000倍であったため、これにくっ付けたイシダイの大きさも10mになっている。
- ラストで巨大化したドラえもんを吊り上げる際、パパはこの男性と一緒に吊り上げており、この2人がドラえもんを海坊主と間違えて驚き倒れた後、のび太もドラえもんの頭の上で海坊主というのに納得し、クスクスと笑っているが、怒ったドラえもんに振り落とされてしまった。
2010年版
- 今回もママは1983年版と同じく、台所にいて、ドラえもん達に渡した切り身は2切れになっている。
- 野比家にやってきた来客の男性には磯崎という名前があり、1983年版と同じく、持ってきた魚拓を机の上に置いてパパに自慢している。また、パパは一方的に自慢された怒りで思わず、この魚拓を踏んでしまった。
- パパは磯崎に決闘を申し込まれた際、自信満々に受けて立とうと答えている。
- ドラえもんとのび太はもう一度、パパの釣り針に魚をくっつけようとするも、なかなか魚を見つけられず、」手間取っていた。そしてパパもなかなかOKのサインが来ず、不安になって小声でドラえもん達にまだかと聞いているが、これを磯崎に聞かれたので、適当に誤魔化している。
- その後、のび太はやっと魚を見つけるも。ドラえもんはなかなか捕まえられず、投げ縄の容量で魚にみせかけつり針をくっつけようとしたが、間違って海底に沈んでいた下駄にくっ付けてしまい、そのままパパは巨大な下駄を吊り上げてしまい、磯崎に笑われ大変に悔しい思いをした。
- だが今度はカレイをくっつけ、パパはこれを大物として釣り上げるが、磯崎を呼んでいる間に釣り針から取れて、彼がやってきた時には元の大きさに戻ってしまい、パパはこれをリリースした。そしてパパは今度こそ大物を釣ると、磯崎にそこで見ているよう言い放った。
- ドラえもんの頭にみせかけつり針がくっついたのは、再び魚をみせかけつり針にくっ付けようとした際、蛸が墨を吐いて周りが見えなくなり、この中でドラえもんとのび太がパニックになったから。そしてこの蛸はのび太がが海上に出た際、頭の上に乗っている。
2022年版
- 冒頭にはスネ夫が釣りをして、カラフトマスやアオリイカ、クロダイ、ロウニンアジを釣った自慢話をし、金魚ぐらいがお似合いと、のび太に自慢話と嫌みを言う下りが追加されている。このため、この後のび太がドラえもんにスネ夫の話をした際は、このことを話している。
- 野比家に来た男性は磯川という名前が付いていて、のび太が帰宅した時にはすでに来ていたため、パパがこの磯川から魚拓を見せに来るという電話をかけられる下りは描かれていない。そして、磯川は過去の2バージョンと同じく、魚拓を机の上に広げて自慢している。ちなみにドラえもんがのび太に魚拓について説明する描写ももがかれている。
- ドラえもんがみせかけつり針をくっつけた金魚は出目金で、水槽は玄関のそばに設置されていた。それからこの後は1983年版と同じ下りで、ママに魚をねだっており、この時ママは過去の2バージョンと同じく台所にいて、ドラえもん達に渡した切り身は3切れになっている。
- ドラえもんとのび太が押しかけて来た時、スネ夫は既に池にラジコンの船を浮かべていた。
- ドラえもん達は磯川が帰ろうとした時に魚拓を見せにきており、決闘を申し込まれた際パパは2010年版と同じく自信満々に受けて立っており、負けた方は鼻からうどんを約束している。そしてこれを見ていたドラえもんは「誰かさんにそっくり」とつぶやいている。
- 日曜日になり、ドラえもんとのび太が一足先に現地に向かった際には、スネ夫が先に来て釣りをしており、自信満々に大物を釣り上げたかに見えたが、現実には小物だった。そしてドラえもん達がやってくると、慌てて釣り竿を隠し、「釣れて釣れて休む暇もない」と嘘をつくが、釣った魚が見当たらないと聞かれると、釣ったらすぐにリリースするのが通だと見栄を張っている。
- そしてドラえもん達から釣りをしに来たと聞くと竜神が怒って海坊主になった伝説が止めた方がいいと、のび太を怖がらせにかかったが、ドラえもんがスネ夫が示した看板が落石注意のものであると指摘すると、のび太の後ろに海坊主が、と嘘をついてのび太はビビッて磯だまりに落ちてしまった。これに怒った2人はみせかけつり針でカニを巨大化し、驚いて逃げる際に転んだスネ夫の魚拓をとっている。
- 磯川は実際にうどんの玉をいくつもクーラーボックスに入れて持ってきており、ドラえもん達は1983年版と同じく、えらチューブを使用して海中に潜っているが、深海クリームは使用していない。
- ラストは1983年版と同じく、磯川はパパと一緒に巨大化したドラえもんを上げており、この時、周辺にいたスネ夫やその他の釣り人達もこの2人に注目している。
余談
2010年版で磯崎を演じた難波圭一はかつて、ドラ・ザ・キッドを演じており、2022年版で磯川を演じた一条和矢もこれ以前に『のび太の宝島』でムッシュを演じている。