「工藤新一だよ、忘れたか?」
概要
CV:幹本雄之
黒ずくめの組織の幹部の一人。
本劇場版のオリジナルキャラクターで、ストーリー終盤までその素顔が明かされない新たな悪役として江戸川コナンの前に立ちはだかる。
金髪・太い眉毛・がっしりした体格の推定30代以上と思われる男性で、本名・国籍などは不明。
コードネーム(Irish)は、欧州のアイルランド島を発祥とする大麦や、小麦、トウモロコシなどの穀物を原料とした蒸留酒の「アイリッシュウイスキー」に由来する(今日では同島の大部分を占めるアイルランド(共和国)産のものを特に強調して呼ばれる)。
その体格を生かした格闘技に長けており、劇中では手こずらされながらも、原作漫画及びテレビアニメ本編でもトップレベルの実力を誇る毛利蘭をノックアウトにして勝利している。
その他洞察力と情報収集力も一流で、コナンが駆使する様々なメカの高性能を見抜き、拳銃一発で破壊する腕前も併せ持つ。
組織のメンバーの一員であったピスコを父親のように慕っていた。
彼の死については組織にかかわる大きなミスを犯したために殺害された事は理解しているが、それに手を下したジンに対しては「射殺した上、亡骸を放置して黒焦げにしやがった」と恨んでおり、失脚などの報復の機会を狙っていた。
なおピスコの殺害はピスコに見切りをつけた黒幕のボスであるあの方からの命令であり、ジンはそれを受けて実行している。
アイリッシュがこの事情を知らなかった、あるいはあの方のことも恨んでいていずれ復讐を果たすつもりであったかなどについては、それを示唆する描写がなかったため不明である。
劇中の活躍
事件の被害者に組織の工作員が含まれており、その人物が隠し持っていたNOCリスト入りのメモリーカードが犯人に奪われたためベルモットの協力で体格の似た松本清長に変装して警視庁に潜入。その最中、捜査会議の後に偶然出会ったコナンの小学生離れした活躍を聞き、その正体が前に探った事のある工藤新一ではないかと疑惑を抱く。
その後帝丹小学校及び帝丹高校に潜入して指紋を採取して「コナン=工藤新一」という事実に独力で辿り着く。そしてコナンを生かしたまま組織のあの方の前に連行し「工藤新一を始末し損ねていた」とアピールすることでジンの失墜を目論んだ(ちなみにコナンの正体を突き止めた際にジンに連絡を取っているが、「殺した奴の名前なんざいちいち覚えちゃいない」と一蹴されてしまった。もしジンが彼から事情を詳しく聞いていたら、映画冒頭のような展開が現実となっていたかもしれない)。
物語終盤では被疑者確保のために東都タワーに乗り込むが、その最中に本性を現し刑事数名を次々とノックダウン(但し、本物の松本の救出に向かっていた佐藤・高木コンビ及び小五郎に同行していた山村警部を除く)。
タワー展望室で犯人を一撃で昏倒させ、全てを語った後にコナンへの暴行を開始。その後コナンの救出に来た蘭と戦闘になる。
至近距離で拳銃の弾丸を見切って回避する離れ業を見せつけた蘭に当初は後れを取るも、変装が破れた様を見て彼女が怯んだことで形勢逆転。
劇場版においても数多くの凶悪犯を叩きのめしてきた蘭が一方的にやられる様は結構ショッキングである。
その後もコナンの武器を次々と撃ち抜き、悉く使用不能にして追い詰めていく。
だが、戦闘の最中に突如として組織のメンバーが乗った軍用ヘリコプターが襲来。
戦いが長引き過ぎたせいでタワーを警察に包囲され、自力で逃げられない段階に陥った事でジンに見切りをつけられ、キャンティにメモリーカードごと胸を撃たれて重傷を負う(命中した後のキャンティとコルンの発言から、二人と仲が良くなかったことが窺える)。
その直後に敵でありながら自分を助けようとするコナンを見て「なるほどな…ベルモットが惚れるわけだ」と笑った(実際、コナンのこの行動はベルモットが工藤新一をシルバーブレットと呼ぶようになったキッカケと同等の行動である)。さらに二度目の狙撃からコナンを庇い「工藤新一…いつまでも、追い続けるがいい…」と言い残し絶命した。
コナン「追い続けてやるさ… オメーらをぶっ潰すまではな!」
独力でコナンの正体を見抜く、不意打ちとはいえ刑事たち数人を一網打尽にし更には蘭も撃破、ジンの介入があるまではほぼ詰み状態までコナンを追い込むなどの活躍は視聴者から評価されており、最終的にコナンを庇って亡くなったことや武人の如き性格から劇場版のみで終わらせるのを惜しまれたキャラクターである。『原作に逆輸入してもらいたかった』という声も多い。
なお、彼の印象が強すぎて事件の犯人の存在が薄くなったのか、組織が登場した『純黒の悪夢』では推理要素を大幅に減らし、『黒鉄の魚影』では組織の構成員(ピンガ)を犯人にしたと言えなくもない(ピンガも蘭と戦っているがナイフを使用した上で結果は五分だった為、戦闘力はアイリッシュが上といえる)。
その後、13作後の劇場版『黒鉄の魚影』でも蒸留酒のコードネームを持つ構成員(=男性の構成員)の一人として存在が触れられている。
関連項目
(劇場版に登場した黒ずくめの組織のオリジナルメンバー)